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ラグビー コラム 2019年6月22日

サンウルブズ、ワールドカップイヤーの2019年シーズン総括。スーパーラグビー

ラグビーニュース by 斉藤 健仁
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6月21日、スーパーラグビー4年目を終えたオーストラリアカンファレンスのサンウルブズより今シーズンの総括コメントとデータが発表された。

今シーズン、初めて敵地で勝利した試合もあったが、サンウルブズは2勝14敗で、カンファレンスだけでなく、リーグ全体でも最下位に終わった。

2勝、得失点-290はワーストだが、ボーナスポイントも4点獲得し、接戦も多かったことがわかる。

また、スコッドは70人に達し、試合に出場した選手が59人(スコッドに入りながら出場しなかった選手が11人)と、過去4年間で最多となってしまった。

ケガも重なり、ワールドカップに備えて、スコッドに入ったが、日本代表の主力のうち何人かは参加することができなかった。

選手を固定しなかった影響で、ラインアウトの成功率は81.9%で15位、スクラムの成功率も12位タイで89%とセットプレーは安定しなかった。

反則の回数も1試合10回以上、イエローカードも16チームで最多の10枚と規律の面は最後まで改善されなかった。

ただ、アタッキングチームのサンウルブズは、ボールを持って走った距離は7位の6915m、オフロードパスの回数も5位と146回と多かった。

それにも関わらず、トライ数は最下位の14位タイの34と過去4年間で一番少なかった。やはり、チームとして成熟しなかったことを示している。

一方でWTB(ウィング)セミシ・マシレワはリーグ戦終了後のトライラインキングは、11トライと全体で2位。

クリーンブレイクの数もWTBマシレワは28回で全体2位、走った距離はWTBマシレワが1053mで全体2位、ゲラード・ファンデンヒーファーは966mで全体5位。

そして、得点ランキングでもSO(スタンドオフ)ヘイデン・パーカーは112得点で全体7位だった。今年はこの3人がチームを引っ張っていたことは明白だ。

また、観客数も秩父宮ラグビー場6試合の平均が14,978人、シンガポール国立競技場の2試合を入れてもホームの平均入場者数は12,403人とサンウルブズはファンに愛されていることがわかる。

最後に、サンウルブズを運営する一般社団法人ジャパンエスアール代表理事&CEOの渡瀬裕司氏のシーズン総括コメントを紹介する。

「サンウルブズの2019年のスーパーラグビーシーズンを通して、皆様にはヒト・コミュニケーションズサンウルブズズ)への多大なるご支援、ご声援をいただきまして、誠にありがとうございました。

サンウルブズの2019年シーズンは、最終的には2勝14敗という成績に終わりました。

サポートいただきましたスポンサー、サプライヤーの皆様、ファウンダーズクラブの皆様、メディアの皆様、そして、苦しい時も大きな声で応援していただいたファンの皆様には、大変申し訳なく思っております。

今シーズンのサンウルブズが不振に陥ったことに関しまして、サンウルブズを代表して少し述べさせていただきます。

1つが、トニー・ブラウンHC(ヘッドコーチ)に、シーズンを通してチームに帯同してもらうことが出来なかったことです。

今年はワールドカップイヤーということもあり、『日本代表の準備のため、トニー・ブラウンは一時的にチームを離れ、スコット・ハンセンAC(アシスタントコーチ)がHC代行として指揮を執る』という事を、2019シーズン当初よりアナウンスさせていただきました。

しかしながら、その準備には相当量の時間がかかってしまったのは事実であり、また、HC不在のままスーパーラグビーのシーズン開始を迎えたことが、想像以上の影響をチームに与えてしまったのは事実です。

ブラウンHCとハンセンACは綿密に連絡を取り合い、選手起用や戦術戦略に関しての意思疎通を充分に図っておりました。

彼らが十分な話し合いの中で、同じ方向軸での指揮を執っていたことに間違いはありませんし、HC不在の中で、ハンセンACは十二分の働きをしてくれました。

しかしながら、このような結果となってしまったのは、我々マネジメントに責任があると言わざるを得ません。

一部では『トニー・ブラウンHCはサンウルブズの指揮をとらず、休暇をとっている』との報道もありましたが、それは一部を切り取ったもので、事実とは異なります。

実際には日本代表の準備にあたっておりました。ワールドカップに向けて、彼のより一層の活躍を期待したいものです。もう1つ、選手起用の点についてお話しさせていただきます。

2019シーズンはサンウルブズと並行して、日本代表候補選手を中心とした“ウルフパック”というチームを組成し、トレーニング及び試合を行ってきました。

当初の予定ではスーパーラグビーの4月中旬から下旬の試合において、ウルフパックからサンウルブズに選手が合流し、スーパーラグビーの試合に出場する方針でした。

結果として、何名かの選手はウルフパックからサンウルブズに合流出来たのですが、一方でコンディションが上がらない選手については、サンウルブズには合流せずに、ウルフパックでコンディションを上げることに注力しました。

これは、スーパーラグビーが非常に強度の強い試合であり、コンディションが良くない場合には、ケガをするリスクが高まるということに他なりません。

実際に、サンウルブズではシーズン最初から想定外のケガ人が続出しましたし、その影響で新たな戦力の補充にも苦心しました。スーパーラグビーにおいて重要なのは、その時点でコンディションが一番良い状態にある選手を起用することです。

従いまして、ケガ人が出る度にジェイミー・ジョセフ日本代表HCはもとより、ブラウンHC、ハンセンACらと話し合い、状態の良い選手を選考し招集してきました。

結果として、サンウルブズでの活躍が認められて日本代表候補に選出されている選手、例えば茂野選手や山中選手、ボスアヤコ選手も出てきました。

最後に、チームの規律に関して少し話をしたいと思います。今年はイエローカードの数が10と、スーパーラグビー15チームの中で一番多く、サンウルブズの歴史から見てもこれまで年間で4~5だったものが倍増してしまいました。

これは我々マネジメント側が、OneTeamを徹底出来なかった事に責任があると感じています。

前述したケガ人による選手招集、そしてSANZAARによる決定など、チームを揺るがす想定外のことがあまりに多く、まとめきれなかった事に対して責任を感じております。

私も市原での練習や遠征にも帯同し、選手・スタッフたちと話し合いながら、1つのチームとして足りない部分を埋める努力をしてきましたが、浸透させる事ができませんでした。

SANZAARによる決定については、また改めて『日本のラグビーの将来」ということも含めて、日本協会と共にお話しさせていただきたいと思いますが、このサンウルブズというチームを将来的にどのように日本のラグビーのために活用して行くのか、ということは我々の喫緊の課題であると認識しております。

今シーズンのサンウルブズは多くの外国人選手が在籍し、結果を残すために身体を張って、与えられた環境で最大限のプレーをして戦ってくれました。

また、少ない日本人選手たちも、外国人選手とコミュニケーションをとりながら、1つのチームとしてまとまる努力をしてくれていました。

最後まで諦めないで戦ってくれた選手たちを誇りに思いますし、支えていただいた皆様には感謝の気持ちしかありません。

まもなくラグビーワールドカップが始まります。そしてその後には、2020年シーズンのスーパーラグビーが待ち受けます。

今シーズンの反省を生かし、2020年シーズンは更に良いチームに成長させるよう努力してまいります。皆様には、今後とも変わらぬご支援を、何卒よろしくお願い致します」。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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