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『31-27』。秩父宮ラグビー場の電光掲示板にはあの日と同じスコアが記されていた。しかし、グラウンド上の光景はあの日とは真逆だった。
全国大学選手権準決勝は、宿敵・明治大学との早明戦。早稲田大学は、開始早々にFB(フルバック)河瀬諒介(スポ1=大阪・東海大仰星)のトライで先制したものの、その後は明大を追う展開となる。
敵陣へ攻め込む場面も多くあったが、紫紺のカベを打ち崩すことはできず、27-31で敗戦。何かのあやだろうか、関東大学対抗戦優勝を決めたあの日と同じスコアだった。
「ちょっと驚きましたね」(河瀬)と振り返る通り、試合は意外な形で幕を開けた。
1分、FB山沢京平(明大)のキックを河瀬がチャージし、そのままインゴールへと飛び込み先制に成功。その後は互いにPG(ペナルティゴール)を1本ずつ成功させ、10-3。
キックの蹴り合いが続く時間も多かった中、風上という状況をうまく利用したSO(スタンドオフ)岸岡智樹(教3=大阪・東海大仰星)のエリアマネージメントも功を奏し、ここまで課題とされていた試合の入り方では早大が主導権をつかんだ。
しかし、21分、試合は振り出しに戻る。明大がフェアキャッチを選択し、明大陣内22mからクイックリスタートすると、そのまま展開し明大のWTB(ウィング)高橋汰地へ。
アンストラクチャーな状況で、ディフェンスが整備されていなかったこともあり、高橋に自陣5m前まで大きくゲインを許すと、逆サイドへ展開されて被トライ。
「ふと抜けてしまったときに仕掛けられることが前半は顕著だった」(相良南海夫監督、平4政経卒=東京・早大学院)と振り返るように、一瞬のスキを明大に突かれてしまった。
その後は、35分に再びPGを成功させて再びリードを奪うが、その直後、自陣中盤で明大がボックスキックを蹴ると、ブレイクダウンでターンオーバーを許す。
最後は明大の CTB(センター)射場大輔にタックラー3人が振り払われてインゴールへ叩き込まれ、13-17とビハインドで前半を終了した。
後半、早大は敵陣で攻める時間帯が続く。開始早々には14フェーズを重ね、その後も負傷者で1人欠きながらも37フェーズも攻め続けた。しかし、崩せない。
「ディフェンスが本当に堅かった」(PR/プロップ小林賢太、スポ1=東福岡)と振り返る通り、目の前に立ちはだかる分厚い紫紺の防御網を崩せなかった。
すると20分、自陣ゴール前で明大ボールのセンタースクラムを迎える。前回対戦時はまさにこの状況から流れを呼び込んだ状況。
しかし、この試合ではピックアンドゴーでFW(フォワード)に押し込まれて、インゴールにねじ込まれてしまった。
13-24と点差を広げられたが、早大も23分にCTB桑山淳生(スポ3=鹿児島実)が反撃のトライを挙げ、すぐに4点差に詰め寄る。
その後は、34分、明大に34フェーズにわたる連続攻撃を攻め切られてインゴールを明け渡すが、38分には早大も16フェーズを重ねて、最後はWTB佐々木尚(社4=神奈川・桐蔭学園)がトライ。
再び、4点ビハインドでラストワンプレーを迎えた。自陣奥深くから、ゲインラインを切り続け、敵陣まで攻め込む。もう一度あのときの歓喜の再現へ――。
着々とフェーズを重ねるが、17フェーズ目、PR千野健斗(人4=東京・成蹊)の手からボールがこぼれた。そのまま蹴り出されて、試合終了。創部100周年の節目のシーズン、『荒ぶる』へはあと2つ届かなかった。
「個人としては完敗かなと思っています」(岸岡)。4点差での敗戦だったが、ゲームキャプテンを務めた司令塔は明大との差を痛感していた。
我慢強さ、そしてスローガンに掲げた『Moving』を体現できなかったことが、明大にリベンジを許した要因として選手たちから口々に挙げられた。
シーズンを通し、課題となっていた攻守における我慢強さが最後まで響く形となった。
その一方、今季のチームは大きな成長を遂げたのも事実。相良監督も「山を登るように1試合1試合成長を積み上げてここまで来られた」と、今季のチームの成長ぶりを評価した。
死闘となった準々決勝を制し、5年ぶりに『年越し』を果たしたことがそれを物語っているだろう。
「もうこんなに悔しい思いはしたくない」(LO/ロック下川甲嗣、スポ2=福岡・修猷館)。この悔しさを胸に。来季の『荒ぶる』へ向けた挑戦は既に始まっている。
文:新開滉倫/写真:小田真史、千葉洋介(早稲田スポーツ)
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