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9月24日~27日、トップリーグの合間を縫って、11月のオールブラックスやイングランド代表とのテストマッチ、来年に迫っているラグビーワールドカップに向けたラグビー日本代表候補にあたる「NDS(ナショナル・デベロップメント・スコッド)/RWCTS(ラグビーワールドカップトレーニングスコッド)」のキャンプが、和歌山・上富田スポーツセンターで行われた。
当初は47名の参加予定だったが、トップリーグの試合などで負傷した5名が参加せず、42名での合宿となった。
上富田スポーツセンターは男女の7人制日本代表やU20日本代表、女子日本代表も使用したことのあるスポーツ施設で、日本代表は初めての使用となった。
ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は昨年視察した上で、キャンプ地として決めたという。「地元のラグビー関係者にも会いましたが、非常に温かい人たちで迎えてくれました。本当に素晴らしい場所だと思います」。
合宿初日はトップリーグの試合のリカバリーを兼ねて、ウェイトトレーニングのみだった。2日目、3日目にはフィットネスやウェイトトレーニングの測定も行われたが、今回の合宿は座学である「ワークショップ」が中心だった。
グラウンド練習は、ともに1時間のフィットネストレーニングのみという徹底ぶりで、今週末や来週末にトップリーグの試合が控えていることもあり、一切ボールを使う練習は行われなかった。
ジョセフHCはフィットネス、フィジカルトレーニングといったメニューをやりながらも、今回のキャンプの意図を「6月のイタリアとジョージアとのテストマッチが終わり、みんな会っていなかったので再集合、再集結してつながりあうこと。あとはワールドカップで勝つために、どういう準備をするかをやっていきたい」と説明した。
初めて日本代表候補合宿に参加した選手や、ジョセフHCが就任して初めての日本代表候補合宿となった選手もおり、指揮官と1対1の面談があった選手もいたようだ。2日目と3日目の昼間は、「ワークショップ」としてミーティングや時には7~8つのチームで分かれてディスカッションが行われた。
つまり、日本代表における戦略、戦術の確認しつつ、6月とは違い、どの試合でも一貫性を持ったプレーができるように、11月、そして来年に向けてのマインドセット(心構え)の醸造に重点が置かれたキャンプとなったというわけだ。
ワークショップでは、6月の代表戦に出ていない選手もいたが、まずは6月のテストマッチのレビューから始まったという。
SH(スクラムハーフ)流大(サントリー)によると「最初の10分、後半の最初の10分で、ミスタックルが多かったりディフェンスのほころびがあったりするところが多かった。それは疲れていない状態なので、メンタルで受けにまわっているというレビューがあった」という。
また、来年のワールドカップに向けて想定される、メディアやファン、スポンサー、家族など自分たちにかかるプレッシャーについてどう対処していくかも話し合ったという。
「プレッシャーの部分でいうと日本開催だからこそ、いろんな情報も入ってくると思います。チームファースト、パフォーマンス重視で考えていくのが、選手としてはすごく大事になってくると思います」とCTB(センター)立川理道(クボタ)。
また、グラウンドでの練習がフィットネスの強化のみだった背景には2つの理由がある。
1つには、6月のようにゲームごとに波のある試合を少なくするために、強度の高い中、そして一番疲れた状態でもスピードやパワーのあるプレーを発揮したいという理由からだ。
もう一つは、SH流が「ストラクチャーより、やっぱりアンストラクチャーが自分たちのスタイルです。ボールを持っているだけでなく、ボールをキックして(相手に渡して)コントロールしたりして、ボールインプレーを長くしたい」というように、キックを使いつつ、ボールがフィールドにある時間をより増やしていきたいという狙いがあろう。
最終日は午前中に解散し、トップリーグ期間中の日本代表候補選手たちによる和歌山キャンプは終了となった。
「みんなで合宿をできる時間は少ないと思うので、その時間をしっかり大事にして、本番に向けてピークを持って行きたい」とCTB立川。
その言葉通り、日本代表候補選手たちは、11月のテストマッチシリーズ、そしてワールドカップに向けた心構え、そしてアンストラクチャーラグビーで、キックも多用しながらフィールドでプレーする時間を増やしてくことを再認識したキャンプとなった。
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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