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複数のメダルが期待されるチェアスキー
3月6日(金)の開会式から15日(日)の閉会式まで、10日間に渡ってイタリアで開催される『ミラノ・コルティナ2026パラリンピック冬季競技大会』。
6競技79種目が行われ、日本からは選手44名に加え、競技パートナー、コーチ、スタッフなど合計101名が参加する。今回は日本パラリンピック委員会の三阪洋行 委員長にパラリンピックのみどころや、注目選手などをお聞きした。
ミラノ・コルティナ2026パラリンピック
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ミラノ・コルティナ2026パラリンピック
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―― パラリンピックの開幕が近づいてきました
五輪では北京大会の18個を大幅に超えて、24個のメダルを獲得。すごく盛り上がりました。このメダルラッシュを,うまく引き継いで、結果が出てほしいという思いはあります。
夏季の五輪・パラリンピックに比べて、冬季はなかなか一般の方の目に届く機会が少ない中、4年に1回の大会は冬の競技を知ってもらうのに、いい機会だと思います。
また、五輪でも雪によって順延したり、スキージャンプも3回目に記録が出たのに、それが天候で認められなかったりするなど、冬季大会は夏季以上に天候や自然、環境との戦いも魅力です。
勢いに乗って活躍したいパラアイスホッケー
―― ここを見てほしいという部分を教えてください
パラスポーツは障がいのある方がチャレンジしています。障がいの特性によって、身体が不自由な部分があっても、ルールであったり、道具であったり、また残された機能をうまく使って、しかもそれが楽しむレベルではなくて、種目によっては健常者を超える記録を出すようなパフォーマンスが発揮できる。
ある種、人間の可能性を改めて目の当たりできるところが、パラスポーツの大きな特徴だと思います。
見てほしいところは、パラスポーツの特徴である用具です。同じスキー競技でも、車いす競技はチェアスキーと呼ばれる,スキー板のついた椅子の形のデザインであったりとか、手足や損傷のある方に関しては、その部分をカバーするなど、用具を工夫して競技が行われるということを知ってほしいです。
また、公平性というところで、障がいに違いのある人が同じように競い合えるようにクラス分けをしているところ。そして、支えるという部分では、視覚障がいの方の競技のように失っている部分を補い合いながら、一緒に競技ができるというところも魅力だと思います。
健常者からすると、なかったり、失った部分をいかに工夫して、競技として行っているかという観点も魅力なので、そういったところも注目してもらえると、より魅力を感じてもらえると思います。
日本選手団の結団式
―― 日本選手に期待していることを教えてください
まず、我々として誇りたいのは、6競技全てに日本選手を派遣できたこと。メダルもそうですが、日本選手が出場しているどうかでも、その競技に対する興味、関心が変わると思いますので、非常に大きな意味があると思います。
パラアルペンスキーでは、3大会連続の金メダルがかかる村岡桃佳選手。エースとして複数メダルの獲得が期待されてますが、ケガの影響でリハビリをしながら、本番に向けて調子を上げてきている状況です。
7大会連続出場の森井大輝選手や、3大会ぶりのメダルを狙う鈴木猛史選手。こういったベテランがメダルを取ることで、まだまだトップは譲らないということを見せつつも、次世代に繋いでいくという結果を出してほしいと思います。また、パラクロスカントリーは、若きエースの川除大輝選手が引っ張ってくれると思います。
パラスノーボードは小須田潤太選手を筆頭に、直前のワールドカップで小栗大地選手も優勝しています。個人種目ですが、スノーボードチームは本当にチームワークを感じるグループだったので、1人がメダルを取るとどんどん続いていくような勢いがつくと思います。
パラアイスホッケーはメダルに届くか、少し未知数なところはありますが、20歳トリオの伊藤樹選手、鵜飼祥生選手、森崎天夢選手の活躍が注目です。また、世代交代が課題でしたが、16歳の河原優星選手もメンバー入りしました。
中北浩仁監督も言われてましたが、そういった若い世代が今回つなぐところもありますし、若い世代とこれまで引っ張ってきたベテラン選手との融合で、いい意味で未知数の可能性を持っています。初戦を取ったら、そのままメダルに絡んでくる可能性は十分あると思っています。
車いすカーリング混合ダブルの小川亜希選手(左)と中島洋治選手
また、パラスポーツは年齢にとらわれないところもあります。車いすカーリング混合ダブルの中島洋治選手(61歳)と、小川亜希選手(50歳)のコンビは、足して110歳を超えますが、昨年の世界選手権で初優勝して、日本選手団の中で最も早く今大会の出場権を獲得されています。一番最初の競技なので、日本選手団に勢いをつける勝利を期待しながら、メダルまで走ってほしいと思います。
パラスポーツの発信であったり、競技の価値を高めるということに関して、メダリストになる意味は非常に重要だという認識はあります。メダルを取れる可能性を持つ選手団を派遣できたと思っていますので、前回の北京を超える目標を持ってチャレンジしたいですし、それを支援したいと思っています。
―― 最後に最近のパラスポーツを取り巻く環境を教えてください
東京2020大会の招致を機に大きな変革が起きました。まず、所管が厚生労働省から文部科学省に移ったことで、パラスポーツが福祉からスポーツに移行した大きなタイミングだったと思います。それによって競技団体が、より予算をつけて競技力を向上させる機会になりました。
私自身も車いすラグビーの競技者でしたが、今のナショナルチームは月に1回、1週間とか、ナショナルトレーニングセンターで合宿できる環境があります。
僕らがやっている頃は平日普通に働いて、週末の2、3日をうまく使いながら、かつ障がい者スポーツに特化した場所、障がい者スポーツセンターと呼ばれる場所を使って、限られた時間でトレーニングをするという環境だったので、まずそういった競技に打ち込む環境が大きく変わりました。
選手として活躍する機会だったり、企業にアスリートとして雇用してもらう、競技に専念できる環境がガラッと変わったことは大きく、競技力が向上したことは間違いないと思います。
また、東京2020大会を機にいろいろなことを、五輪・パラリンピック一体でやらせてもらうことで、認知はすごく高まったと思います。
国内の大会でも観客が多く集まるようになったし、テレビでパラアスリートが当たり前のようにCMに出て、何か発信する立場になっていることも、僕が20年前ぐらいにパラスポーツを始めた頃には想像もできなかったことです。
そういう大きな変革のタイミングで、パラスポーツの価値というものを改めて社会の中で発信して、それを認知してもらったというところが、今につながってきているという印象を持っています
三阪洋行 委員長
◆三阪洋行 委員長プロフィール
1981年6月21日生まれ、大阪府東大阪市出身。高校生の時にラグビーの練習中の事故で頸椎を損傷し、車いす生活となる。入院生活の後にウィルチェアラグビー(車いすラグビー)と出会い、4年後には最年少で日本代表に選出された。2004年のアテネ大会、2008年の北京大会、2012年のロンドン大会と3大会連続でパラリンピック出場。
ロンドン大会では副主将を務め4位入賞。引退後は日本代表のアシスタントコーチを務め、2016年リオデジャネイロ大会へ出場。日本初となる銅メダル獲得に貢献した。現在は自身の経験を生かし、障がい者への認識・理解を促進する活動に取り組んでいる。
インタビュー/文:小野寺俊明(スポーツ企画工房) 写真提供:日本パラリンピック委員会
小野寺 俊明
京都市出身。同志社大学卒業後、リクルートを経てスポーツ業界に。今はなき「ISIZE SPOERTS」や、Jリーグファンサイト「J's GOAL」で執筆を始めた。現在は株式会社スポーツ企画工房の代表で、ライターのほか、スポーツのコンテンツクリエーター、広報アドバイザー、WebサイトやSNSのプロデューサーなどを務める。
「X」アカウント
@tigeronodera
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