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■ボルダリング
世界選手権最初の種目はボルダリング。ボルダリングはロープを付けず、高さ4~5m程度のコース(課題)を登る種目です。手数が4~8手と短いため、1手1手に難しさが凝縮され、派手な動きやバランシーな動きがあるので、観戦する側も選手の1つ1つの登り方を楽しめます。
世界選手権最初の種目はボルダリング。ボルダリングはロープを付けず、高さ4~5m程度のコース(課題)を登る種目です。手数が4~8手と短いため、1手1手に難しさが凝縮され、派手な動きやバランシーな動きがあるので、観戦する側も選手の1つ1つの登り方を楽しめます。
予選では5課題、準決勝・決勝は4課題にトライし、時間内に「いくつコースが登れたか」(完登数)で成績が決まります。課題の途中に「ゾーン」と呼ばれる中間地点があり、完登数が同じ場合は「いくつゾーンまで到達したか」(ゾーン数)も考慮されます。ゾーン数も同じなら、完登やゾーンをより少ないトライ数で獲得した選手が上位になります。
ボルダリングは日本人が得意とする種目であり男女ともに表彰台への期待がかかりますが、世界には強力なライバルがいます。
女子はスロベニアのヤンヤ・ガンブレット選手が今シーズンのボルダリングW杯で6戦全戦優勝という前代未聞の快挙を成し遂げた最大の優勝候補。昨年の世界選手権の覇者でもあります。ガンブレット選手は天性の運動神経が強みであり、ダイナミックな課題を大の得意としています。ここに日本の2大エースである野口啓代選手と野中生萌選手がどう対抗するかが最大のみどころ。
男子は今シーズンのW杯年間ランキング首位の楢﨑智亜選手、3位の緒方良行選手、昨年の世界選手権の優勝者である原田海選手など金メダルを狙える選手を数多く擁しています。特に楢﨑選手は躍動感溢れる登りが持ち味で、試合の展開を一気に引き寄せる爆発力があり彼の登りは必見。海外勢でライバルとなるのはチェコのアダム・オンドラ選手と韓国のチョン・ジョンウォン選手です。オンドラ選手は世界最強クライマーとも呼ばれオールラウンドにあらゆるタイプのクライミングに対応します。チョン選手は指の力がずば抜けて強く、W杯の年間優勝も2度している経験豊富な選手です。
世界選手権の幕開けとなるボルダリング種目。いきなり激しい争いが見られそうで目が離せません。
■リード
世界選手権の2種目目はリード。命綱となるロープを付けて、12m以上にもなる高い壁を登っていきます。総手数は最大で60手にもなるため、選手には苦しい状況になっても少しでも上に登るための持久力が求められます。
世界選手権の2種目目はリード。命綱となるロープを付けて、12m以上にもなる高い壁を登っていきます。総手数は最大で60手にもなるため、選手には苦しい状況になっても少しでも上に登るための持久力が求められます。
予選では2本のコース(ルート)、準決勝と決勝ではそれぞれ1本のルートに1度だけトライし、6分間のタイム内で「どこまで登ったか」(高度)で成績が決まります。
リードは歴史が深い種目であり、クライミング発祥の地である欧米はアジア諸国より常に先んじて強豪選手を生んできました。しかし最近になって日本・韓国・中国が力を付けつつありその勢力図に変化が見られています。
女子はボルダリング同様にスロベニアのヤンヤ・ガンブレット選手がトップを牽引し続けていましたが、今シーズンに入って韓国の15歳であるソ・チェヒョンがW杯2連勝でランキング首位に立っています。その底なしのスタミナは驚異的。ソと同世代の中国のツァン・ユートン選手、森秋彩選手、なども今シーズンからめきめきと頭角を現している注目の選手たちです。日本人では他に野口啓代選手や小武芽生選手も昨年の世界選手権で決勝を経験しているベテランなので、若い世代に力を見せてくれることを期待。
男子は日本人でも有力選手が生まれつつありますが、まだまだヨーロッパの選手達が最上位を占めます。昨年の世界選手権でもオーストリアのヤコブ・シューベルト選手、チェコのアダム・オンドラ選手、ドイツのアレクサンダー・メゴス選手が表彰台を占め、今回も引き続き彼らを中心に試合展開が進みそうです。日本人では16歳の西田秀聖選手に大注目。先日のW杯で初優勝という快挙を成し遂げて、一躍スターダムへのし上がりました。純朴な見た目、そして年齢に見合わない老練な登りが持ち味です。
リードはクライミングの王道種目。選手たちがどんどんと高みへ登っているその様子は見応えがあるのでぜひ観戦よろしくお願いします。
植田 幹也
植田 幹也(うえだ みきや)。大学卒業後から始めたフリークライミングに魅せられ、サラリーマンを辞めてボルダリングジムスタッフに。ブログ「Mickipedia」やクライミング雑誌『Rock&Snow』等での執筆活動、ジャパンカップやW杯の実況解説も担当。
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