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4月第1週のグランプリ・アンタラヤ大会から1ヶ月強。大陸選手権、あるいは国内選手権のために中断していたワールドツアー大会が、この週末のグランドスラム・バクー大会(5月10日~12日)からいよいよ再開される。この大会の様子はJSPORTSで生中継される(5月11日、12日開催分)。
ここから東京世界選手権(8月25日~9月1日)まで組まれたワールドツアー大会は5月に2つ、7月に2つの計4大会。調整出場にせよ、腕試しにせよ、シード権奪取のためのポイント狙いにせよ、使える機会は決して多くはない。今年は欧州選手権が7月開催(EOCヨーロッパ競技大会の一種目として実施)という常と異なる日程で行われるという変数もあり、どこに誰が出、誰と戦わねばならないかという選手同士の読み合いはかなり激しいものがあると聞く。これまで参加選手を比較的早く公表して来た日本もいよいよ情報戦に本腰を入れたか、今大会は有力選手ほぼ全員を登録し、大会まで一週間を切ってから一斉に削り込むという策を採った。
さて今大会。ロシアやジョージア、フランスの重量級の一軍が6日まで日本で国際合宿に参加していたという事情もあってか、昨今には珍しく男子100kg超級のメンバーが地味め。男子は、全体を見渡すと66kg級が非常に面白いように感じられる。
ここ2年ほど日本勢の参加の有無がそのままトーナメントの面白さに直結していた感がある66kg級であるが、リオ後の低調期を経て現在人材が勃興中。今回はバルチ・シュマイロフ(イスラエル)やタル・フリッカー(イスラエル)に加え、この「揚がる新興勢力」の代表とすべきデニス・ヴィエル(モルドバ)に注目してほしい。昨年までワールドツアータイトルなしでどちらかというとU-23カテゴリの好選手というイメージであったこの選手だが、今年はグランドスラム・パリにグランプリ・アンタラヤとビッグゲーム2つを立て続けに制してメキメキ売り出し中。細身の体から体落や出足払など「調子を取る」ことが必要な、まるで日本選手のような切れ味ある技を繰り出して「一本」を量産。さらにこれぞ欧州型という腰車や横車などのパワー技も使いこなし、大化けの予感を漂わせている。この階級は彼ら新興勢力のほか、ダバドルジ・ツムルフレグ(モンゴル)、ゲオルギー・ザンタライア(ウクライナ)、チャールス・チバナ(ブラジル)、さらにリオ五輪60kg級金メダリストのベスラン・ムドラノフ(ロシア)らロンドン-リオ期を牽引したベテラン勢も大量参加して、新旧勢力激突の様相。阿部一二三と丸山城志郎という日本のトップ2が注目される裏で、激しく変わりつつあるリオ-東京期における66kg級世界の「潮目」がわかりやすく観察できる大会だ。
ここから東京世界選手権(8月25日~9月1日)まで組まれたワールドツアー大会は5月に2つ、7月に2つの計4大会。調整出場にせよ、腕試しにせよ、シード権奪取のためのポイント狙いにせよ、使える機会は決して多くはない。今年は欧州選手権が7月開催(EOCヨーロッパ競技大会の一種目として実施)という常と異なる日程で行われるという変数もあり、どこに誰が出、誰と戦わねばならないかという選手同士の読み合いはかなり激しいものがあると聞く。これまで参加選手を比較的早く公表して来た日本もいよいよ情報戦に本腰を入れたか、今大会は有力選手ほぼ全員を登録し、大会まで一週間を切ってから一斉に削り込むという策を採った。
さて今大会。ロシアやジョージア、フランスの重量級の一軍が6日まで日本で国際合宿に参加していたという事情もあってか、昨今には珍しく男子100kg超級のメンバーが地味め。男子は、全体を見渡すと66kg級が非常に面白いように感じられる。
ここ2年ほど日本勢の参加の有無がそのままトーナメントの面白さに直結していた感がある66kg級であるが、リオ後の低調期を経て現在人材が勃興中。今回はバルチ・シュマイロフ(イスラエル)やタル・フリッカー(イスラエル)に加え、この「揚がる新興勢力」の代表とすべきデニス・ヴィエル(モルドバ)に注目してほしい。昨年までワールドツアータイトルなしでどちらかというとU-23カテゴリの好選手というイメージであったこの選手だが、今年はグランドスラム・パリにグランプリ・アンタラヤとビッグゲーム2つを立て続けに制してメキメキ売り出し中。細身の体から体落や出足払など「調子を取る」ことが必要な、まるで日本選手のような切れ味ある技を繰り出して「一本」を量産。さらにこれぞ欧州型という腰車や横車などのパワー技も使いこなし、大化けの予感を漂わせている。この階級は彼ら新興勢力のほか、ダバドルジ・ツムルフレグ(モンゴル)、ゲオルギー・ザンタライア(ウクライナ)、チャールス・チバナ(ブラジル)、さらにリオ五輪60kg級金メダリストのベスラン・ムドラノフ(ロシア)らロンドン-リオ期を牽引したベテラン勢も大量参加して、新旧勢力激突の様相。阿部一二三と丸山城志郎という日本のトップ2が注目される裏で、激しく変わりつつあるリオ-東京期における66kg級世界の「潮目」がわかりやすく観察できる大会だ。
アゼルバイジャンのスター2人が参加する73kg級、常の通り強豪ずらりと参加してまったく上位の顔ぶれが読めない81kg級も面白いが、日本のファンとしてはやはり90kg級に注目しておきたい。世界選手権で1人代表を務める向翔一郎、団体戦の代表に抜擢された村尾三四郎が揃って投入されたのだ。向は現在ワールドランキング22位、この階級の混戦ぶりとこれまでの試合を考えれば本番におけるシード権(8位以内)の奪取は必須。2月のデュッセルドルフ大会(2位)で世界に衝撃を与えた村尾も同27位で、夏以降五輪代表争いに絡むにはポイントの積み上げが必須だ。ともに、グランドスラム大会派遣という大チャンスを逃すわけにはいかない。
女子の注目選手は70kg級の世界選手権連覇者・新井千鶴。昨年11月のグランドスラム大阪で今年の世界選手権代表に内定したため以後は調整に専念、これが2019年初めての試合だ。本来の持ち味である技の切れ味に頼り過ぎず、力でねじ伏せる形で連覇を飾った新井だが、以後足技、逆方向への技など新たな進化を模索しているとのこと。世界選手権で決勝を争ったマリーイヴ・ガイ(フランス)に、大阪で2位のアンナ・ベルンホルム(スウェーデン)ら、腕試しの相手は揃っている。
1階級のみの派遣に留まった男子とは対照的に、女子は一線級を大量投入。48kg級近藤亜美、52kg級志々目愛、57kg級芳田司、63kg級田代未来、70kg級の新井に78kg級濵田尚里と、世界タイトル保持者5名を含む6名が出場する。全ての階級が面白いが、マイラ・アギアール(ブラジル)にマデリーン・マロンガ(フランス)はじめターゲット選手大量出場の78kg級、芳田含めて世界王者が3名出場の57kg級は特に注目である。
5月7日時点のエントリー情報をもとに作成しています。
古田 英毅
「eJudo」編集長。国内の主要大会はほぼ全てを直接取材、レポートを執筆する。自身も柔道六段でインターハイ出場歴あり。2019年東京世界選手権から、全日本柔道連盟の場内解説者も務める。J SPORTSワールドツアー中継ではデータマンを担当。
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