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グランプリ・ブダペスト大会は今週末、8月10日から12日までハンガリー・ブダペストで開催される。 この模様はJSPORTSでダイジェスト放送される。
バクー世界選手権(9月20日~27日)までに行われるワールドツアー大会はこれが最後。本番前の最終調整の場を求めて集った選手の数は、2週間前のザグレブ大会の78ケ国507名を大きく超える90ヶ国、実に626名(8/8時点)という大人数。
となればさぞや豪華な面子打ち揃うであろう、というところだがさにあらず。今大会の出場者はちょっと一定の傾向が見出しがたい、かなりばらつきのある構成となっている。継続出場する強豪あり、スポット参戦する中堅あり、久々ツアーに顔を出すベテランあり。日本勢だけはかなりの陣容を揃えてはいるがこれは例外中の例外。敢えて括れば、世界選手権決勝ラウンドなみにスター選手が一極集中したザグレブ大会を避けて、中堅の強豪が大量に流れ込んだ実力派大会ということになるだろう。
こういう状況では特定の国、あるいは階級に絞ってみどころを紹介するのは難しい。単に共通の「テーマ」が見出しがたいだけでどの階級も面子はかなり面白いのだが、こういう状況ではまず特定個人とその周辺に絞って大会をウォッチするのがおすすめである。
男子は100kg級のウルフアロンに注目したい。ウルフはいわずとしれた昨年度の世界選手権チャンピオン。しかし昨年12月に負傷、以降は国際大会、代表選考大会すべてに出場出来ず、6月の全日本実業団体対抗大会でようやく復帰を果たしたばかり。同大会では圧勝も、試合後は得意の作用足をまず送り込む内股の仕掛けなど負傷による「違和感」を吐露していた。ウルフはバクー世界選手権の代表に選ばれており、今回は国際大会復帰戦にしていきなり最終調整の場というまさに今年の最重要大会。論理的な戦いが売りのウルフがどのようなチューニングを経て本番に向かうのか、その戦いぶり非常に楽しみである。この階級はは業師ジョルジ・フォンセカ(ポルトガル)や、担ぎ技と捨身技を獲得してモデルチェンジ中のカールリヒャード・フレイ(ドイツ)らライバルも魅力的、ザグレブ大会で強豪を次々倒して決勝まで進んだカヨル・レイズ(カナダ)も気に掛けておきたい。
女子は57kg級の出口クリスタ (カナダ)と78kg超級のイダリス・オルティス(キューバ)に注目。
出口は今年に入ってから負けがない。ワールドツアーは3連勝中、ヨーロッパオープン、パンナム選手権も含めると出場大会実に5連勝中、しかも全ての試合を「一本」(相手の反則負け含む)で勝ち抜くというちょっと異次元の出来を示している。バクー世界選手権はもちろん有力な優勝候補。今大会は日本から宇菜絵、ブラジルからラファエラ・シウバと2人の世界チャンピオンの参戦があり、出口との直接対決は理屈抜きに楽しみ。
3度世界を制した女王・オルティスは、昨年12月のワールドマスターズ以来のワールドツアー参加。この人はめったに試合に出ず本気になるのは五輪、世界選手権といった節目の大会のみ。ヨーロッパで、それもこの切羽詰まった時期の大会にわざわざエントリーするからには、今回の世界選手権はかなり負荷をかけて臨むつもりだろう。変わり始めた78kg超級戦線の状況に、さすがに1回周囲と手合わせして呼吸を整える必要を感じたのだろうか。出場あるとなれば注目である。
古田 英毅
「eJudo」編集長。国内の主要大会はほぼ全てを直接取材、レポートを執筆する。自身も柔道六段でインターハイ出場歴あり。2019年東京世界選手権から、全日本柔道連盟の場内解説者も務める。J SPORTSワールドツアー中継ではデータマンを担当。
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