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モータースポーツ コラム 2026年10月1日

ジャッキー・スチュワートが語るモータースポーツと認知症研究

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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WEC富士に来場したジャッキー・スチュワート

トヨタ8号車の劇的な逆転優勝で幕を閉じた2026年のFIA世界耐久選手権(WEC)。今年のル・マン24時間レースもトヨタが制したこともあってか、週末は天候が不安定だったにもかかわらず、延べ7万2400人の動員を記録し、大きな盛り上がりを見せた。

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今年は、いろんなトピックがあったWEC富士だが、その中で大きな注目を集めたのが、3度のF1チャンピオンに輝くなど、数々のレースで活躍してきたレジェンド、ジャッキー・スチュワート氏の来場だ。

決勝レースのフォーメーションラップ開始の合図を出す名誉スターターを務めたが、彼が立ち上げた認知症研究の支援団体「Race Against Dementia」の活動も、今回富士に来場した主な目的のひとつ。大会期間中の25日(金)にはチャリティ・ガラも開かれた。

きっかけは、彼の妻であるヘレンが10年前に前頭側頭型認知症を発症したことだ。彼の息子で、ともに団体の活動に力を入れているマーク・スチュワートはこう語る。

「認知症には実に多くの種類があり、実際には200種類以上も存在します。しかし、現時点では根本的な治療法がありません。そこで父は、博士号を持つ若手研究者を支援するための資金を集め、彼らに5年間のフェローシップを提供しようと、この団体を設立しました」

ドライバーとしてだけではなく、1990年代後半にはチームオーナーとしても活躍し、F1には半世紀以上も携わっているジャッキー氏。そこでの技術の進化を知っているからこそ、その“マインドセット”を、認知症研究の世界にも応用できないかと、彼は考えているのだ。

認知症研究の支援団体について語るジャッキー・スチュワート

「モータースポーツにおける技術の進化は、おそらく他のあらゆる活動よりも急速に進んでいます。かつてのコンコルド(超音速旅客機)開発の時代と比べてもそうです」

「実際、コンコルドに関わっていた多くの技術者が、後にモータースポーツの世界に入ってきました。ですから、F1における最先端技術のレベルは、純粋なスポーツと呼べる他のあらゆる活動と比べても、おそらく世界で最も進んでいると言えるでしょう」

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「私たちは世界中で活動を展開しています。今や世界中のほぼすべての人が車を所有し、車との関わりが深まっています。そのため、モータースポーツはより大きな社会的意義を持つようになりました。私自身のモータースポーツとの関わりは、ごく初期の、小さな規模の活動から始まりました」

「今日こうして日本にいますが、F1は今や世界中の多くの国で開催されています。私の視点から、そして先ほど息子が説明したことに関連して言えば、モータースポーツは認知症という問題にも関わりを持っています」

「認知症は、予測によれば、今日生まれた人の3人に1人が将来、認知症になると言われています。通常は高齢になってから発症するもので、私の妻ヘレンも認知症を患っています。彼女はもう歩くことができず、自宅で過ごしています。遠征中も毎日彼女と話をしていますが、認知症が及ぼす影響の規模は非常に大きいです」

「モータースポーツは、他のスポーツにはない独自の方法で新しいアイデアを生み出す力を持っています。自動車、ドライバー、空力技術など、その要素は非常に大規模なものです。ですから、この病気について人々の関心を高めることは、私にとって非常に重要なのです」

土曜日に行なわれたジャッキー氏の記者会見。その冒頭では「60年前に初めて富士スピードウェイを訪れた話題や、当日は雨に見舞われたこともあり「スコティッシュウェザーだね!」と、場を和ませるような会見序盤だったが、いざ認知症研究という点や、モータースポーツに関する点は、とにかく現状を、より多くの人に知ってもらおうと熱く語りかける姿が印象的だった。

文:吉田 知弘

吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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