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マルチクラッシュが起きてしまったSUPER GT第3戦。
世界最速、最強のツーリングカーシリーズ、SUPER GTの第3戦が行われた鈴鹿で終盤に入りかけたところでまた戦慄のマルチクラッシュが起こってしまった。結果的にレース中断、レース終了となった。
スリリングでスペクタクル。2クラスが同時にスタートして展開される日本独自、シリーズプロモーターであるGTアソシエイションが創り上げたレースフォーマットは、日本で最も人気を博し、海外からも一目置かれている。
450Km、77周レース。GT500クラスのマシンが59周目を走行。130Rを立ち上がってシケインまでの短い直線でアクシデントは、発生した。GT300クラスの9番手争いをしていた87号車Bamboo AirwaysランボルギーニGT3と30号車apr GR86 GTが並走していた時にGT500クラスの5位を走行していた23号車MOTUL AUTECH Zが前を走行する2台の左側から抜きにかかった。右側の87号車と23号車に挟まれる格好となった30号車。クラス違いのスピード差は明らかだった。そして23号車の右のリヤが30号車の左前と接触。スピン状態で後ろ向きとなって浮き上がりコース右側のバリアーに激突した。これによって赤旗中断となりマシンがストレートに戻ってきた直後に30号車のドライバー織戸 学選手にコメントを聞くことができた。
「130Rを立ち上がった時にコースケ(87号車の松浦孝亮選手)が寄って(牽制して)きた。そうしたらイン側(左側)にものすごい勢いで23が入ってきて、こっちはどうすることもできずに挟まれて、左側にスペースはあったのに23が当たってきて目の前で回って(スピンして)飛んでいった。コースケとも当たってクラッシュした」
アクシデントの当事者である織戸選手の顔は紅潮していた。そして、まだ興奮状態で気持ちの整理など全くついていない。
映像では、アクシデントの状況を二方向から捉えている。そして直後の23号車のドライバー松田次生選手の救出の模様も。しかし、それは、テレビには放映されていない。命に関わるほどのアクシデントではあったけれど、不幸中の幸いで外傷は無く、意識もしっかりとしているという情報が報告された。
今回のアクシデントは、GT500クラスのマシンに非がある。GT500クラスのマシンは、GT300クラスのマシンたちの争いに水を差すようなことはあってはならない。今回は正に2台のGT300クラスマシンが超高速コーナー130Rで並走していた直後に接触したことが端を発している。GT500クラスのドライバーのマナーを再確認すべき出来事だった。そして、現場のGTカーの走行速度が極度に高まっていることへの警鐘であることを関係者は深く考えなくてはならない。
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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