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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
【Pre-match Words 湘南ベルマーレ・菊地俊介編】
(2015年8月28日掲載)
Q:J1というステージに関して、実際に体験した印象はいかがですか?
A:やっぱり全然違うなというのがあって、本当に最初の方は小さなミスが失点に繋がったりとか、ワンチャンスをモノにしてくる力というのは間違いなく去年より高いですし、そういう所でチームとしても個人としても苦しんだ所もあったので、やっぱり去年のJ2では味わえない経験ができているなという感じがします。
Q:「J1でも十分通用するな」というような手応えを掴んだ部分はどういう所ですか?
A:ボールを奪うこととか、前に追い越して行って、自分たちの良さである人数を掛けて攻めるとか、そういった部分はできているなというのは最初の方から感じていましたし、ここ最近は本当にゴール前の粘り強さだったりとか、守備の部分で失点も物凄く減ってきているので、そういう所は今自信になっています。
Q:曺監督は「J1でも去年と同じスタイルで通用していますね」と言われると、「去年と変えている部分もあるんだけどなあ」とおっしゃったりしていますが(笑)、実際に去年と今年でJ1に挑むに当たって、何か変えている部分というのはありますか?
A:メンバーが多少変わったので、個人個人の特徴という所では多少変わっている部分もある中で、チームのやり方としてはやっている僕たちからすると「そんなに変わっている部分はないんじゃないかな」と思うんですけど、どうなんですかね?(笑)
Q:例えばプレッシャーの掛け方に関して、前からの行き方を変えている部分もありますか?
A:J2の時よりは前の選手が凄くプレッシャーに行くようになったというか、ファーストディフェンスの選手がボールホルダーに対してプレッシャーを掛けるという所は、去年より激しくなったと思います。
Q:逆に前からのプレスを外されることも多くなってきた印象はありますか?
A:それは去年よりは間違いなく感じますけど、「外されたら帰れ」っていう風に言われるので、単純に戻るという所は意識してやっています。
Q:ご自身としては柏戦(2015年J1 2nd-第5節 〇3-0)からポジションがボランチから2シャドーの一角に変わりましたが、そのことに関してはいかがですか?
A:そんなに違和感はなくやれている感じなんですけど、ただボランチの時よりは少し前のポジションでボールを受けたりすることが多いですし、そこである程度は自由にやらせてもらってはいるので、攻撃の基点になったりとか、ファーストプレッシャーに行くとか、そういう所は思い切ってやれているかなと思います。
Q:1つポジションが上がったことで見える景色も変わると思いますが、徐々に慣れてきた感じもありますか?
A:そうですね。今は凄く楽しくやっていますけどね。ボランチの時は守備で戻って3ボランチ気味に守るというのは良い感じでできていると思います。
Q:川崎戦(2015年J1 2nd-第8節 〇2-1)も最終ラインまで戻られることも多くて、ボランチの時に比べて運動量もより増えている印象もありますが、そのあたりはいかがですか?
A:ボランチの時は横ずれというか横の動きが多かったので、そういう意味では今のポジションは凄く前後に動かないといけないので、スプリントの回数というのもボランチの時より増えていると思いますし、やっぱりキツいですけど僕のポジションがサボるとチームのバランスも崩れてしまうと思うので、そこは頑張らないとという感じです(笑)
Q:チーム自体が運動量を凄く求められる中で、特に菊地選手はそれを求められていると思いますが、正直キツイなって思いますか?
A:まあ相当キツいですね(笑) 1試合終わった後でも動けないくらいの感じなので、そうですね。でも、周りの選手も凄く走っているので、やらなきゃいけないという感じですね。
Q:そのキツさというのは去年のJ2でやった1年より、頭の疲労も含めてよりキツくなっていますか?
Aそうですね。全然違うと思います。たぶんサッカー人生で一番キツいんじゃないかというぐらい、1試合が終わった後の疲労感はあります。
Q:チームのスタイルがハッキリしている中で、うまく行かないゲームになってしまう時というのは、具体的にどういう部分が「うまく行かないな」と感じることが多いですか?
A:やっぱり前の3人のファーストディフェンスが行けていないと、後ろももちろん限定できないですし、守備がハマらないと良い攻撃ができないので、しっかりプレッシャーに行けている時は自分たちのサッカーができているなと思います。良いゲームの時は高い位置でボールを奪う時もありますし、そこがハマればという感じですね。
Q:去年より前に人数を掛ける部分でも、7,8人が一気に攻め上がるというよりは、少しバランスを取っているようにも見えますが、そのあたりはいかがですか?
A:攻め残っているチームも結構多いので、その中でやっぱり外国人の選手とか、本当に能力の高い選手が前に残っていますし、個人で打開できる選手も多いので、そこで少しリスクを考えたプレーというのも去年よりは増えているというか、やっぱりファーストステージの時にやられている部分もあるので、そこは今学んでできている所だとは思います。
Q:それは曺監督からもそういう指示があってやっているという感じですか?
A:誰かが上がったら誰かが下がるというか、例えばストッパーの選手が上がった時にはしっかりボランチの選手がカバーしてという所は、練習のゲームの中からできていると思います。
Q:曺監督とは2年目の付き合いだと思いますが、率直にどうですか?
A:どうですか...(笑) 難しいなあ。やっぱり「良く選手を見ているな」というか、「見られているな」という感じはしますけどね。怖いです(笑)
Q:どういう所で「見られているな」というのを実感しますか?
A:たぶん表情とか、その日の顔とかを全部見ていますね。後で何か言われた時に「昨日こうだった」とか「最近何か悩みはあるか?」とか、そういうのも1人1人ちゃんと見ているから、あまり隙は見せないようにしていますけどね(笑)
Q:セカンドステージの柏戦の前に馬入へ来た時、練習後に菊地選手と三竿(雄斗)選手が曺監督と30分ぐらい話し込んでいて、そのことを曺さんにお聞きしたら「アイツらは強いベルマーレしか知らないからね」と話していたのが印象的だったんですけど、その時に言われた話は結構響きましたか?
A:そうですね。ただ、僕は個人的にあの後もう1回家に帰ってから呼ばれて、実はまた1時間ぐらい話をしたんですけど、僕の考えていることや悩みを全部言って、ちょっと熱く話ができたので、ああいう監督というのはなかなかいないのかなと思いますけどね。
Q:ちゃんと話せる人という感じですよね。
A:そうですね。僕の悩みとかに対してちゃんと向き合って答えてくれるというか、凄く自信になるような言葉をくれるので、凄くありがたいなという感じですよね。試合前のミーティングでもモチベーションが上がりますし、あそこで1つスイッチを入れる感じもあるので、本当に凄いです。
Q:個人としてはポジションも変わった中で、残りの試合ではこういうことをやりたいなという部分はありますか?
A:シャドーで出るかボランチで出るかというのは、その試合になってみないとわからないですけど、今までと変わらずに攻撃と守備に関わるという所にプラスして、やっぱり得点が今シーズンはまだ取れていないので、そこが一番今は目標ですね。
Q:去年もチャンスをきっちり生かせていたら二桁ゴールを取れていたくらい、菊地選手はゴール前に入って行く感覚が凄くあるなと僕も思っているんですけど、得点に対する意欲はいかがですか?
A:昔は結構アシストする方がカッコいいと思っていました(笑) 大学でもセンターバックをやっていて、あまり攻撃に出て行くということはなかったですし、本当に去年からああいうプレーをやり始めたという感じなので。でも、今はシャドーのポジションもやっていて、ゴールに近い位置でプレーしていますし、シュートチャンスも今までよりは増えていると思うので、そういうチャンスを本当にモノにできるように頑張ります。
Q:あと1つという所までは十分行けていますよね?
A:そこから先が問題ですね(笑)
Q:ここからはキャリアのお話を聞かせてください。土地柄もあってご家族で大宮アルディージャが好きだったらしいですね?
A:そうですね。小学校の時はお母さんとお父さんがスタジアムに並んでくれていて、練習や練習試合とかが終わってそのままスタジアムに行くと、席を取ってくれていて(笑) 結構行っていましたね。NTT関東の頃にも行ったことがありますよ。
Q:単純に住んでいたこともあって応援していたという感じですか?
A:そうですね。旧大宮市なので。周りも大宮アルディージャか浦和レッズという感じでしたけど、浦和を応援している人の方が多かったかもしれないですね。
Q:アルディージャに誰か憧れの選手とかはいたんですか?
A:うーん、結構外国人の選手とかが好きでしたね。マーク・バークとか知ってますか?
Q:もちろん知ってますよ(笑)
A:あとはフォワードのジョルジーニョとか、デリー・バルデスとか、その頃が一番好きでしたね。
Q:じゃあ本当にJ2時代のアルディージャを応援していた感じですね。
A:そうですね。J1に上がってからはそんなに見に行けていなかったですね。
Q:J1昇格を決めた試合も見に行っていましたか?
A:行ってました。3-1の試合ですよね?バレーとトゥットの2トップで。
Q:点を取ったのはバレー、トゥット、森田(浩史)!
A:知ってますね(笑) 僕は多分メインで見ていました。中学2年生くらいだったと思います。中学の時はホームのチケットをもらえていたので。小学校の時はスクールに入っていて、ホームの試合は全部タダで見ていました(笑)
Q:所属とは別にアルディージャのスクールに入っていたんですね?
A:そうですね。スクールは平日にやっていました。
Q:スクールに入って、応援していたクラブのエンブレムの入った服を着た時は、テンションが上がりましたか?
A:いや、そんなに(笑) ただ、中学校はセレクトされたメンバーしか入れないので、ジュニアユースに入れた時はやっぱり嬉しかったですね。
Q:セレクションを経てジュニアユースに入ったという感じですか?
A:いえ、セレクションは受けなかったです。一応トレセンの上の方に行けていたので、内定をもらってという感じでした。実はお兄ちゃんも2つ上で大宮のジュニアユースだったんですよ。
Q:じゃあ小学校の頃から県選抜には入っていたんですね?
A:一応ナショナルトレセンまでは行きました。
Q:それだと逆に選べる進路も多かったんじゃないですか?
A:レッズの練習会も行きましたけど、「やっぱりアルディージャじゃないとな」という感じでしたね。親のこともあったので(笑)
Q:今ではアルディージャの下部組織は全国でも結果を出していますけど、菊地選手がいらっしゃった時はいかがでしたか?
A:そんなに強くなかったですけど、僕らの代は中学校の時に全国のベスト16ぐらいでしたね。関東でも2位とかだったと思います。ジュニアユースは僕らの代でまだ3期生だったので、ちょうど僕らの時に3学年揃ったという感じでした。
Q:その前後からアルディージャも下部組織からトップに上がる選手が増えてきていて、渡部大輔選手とか新井涼平選手はユースから昇格しましたけど、やっぱりレベル自体は高かったですか?
A:渡部君の代は凄かったなという印象がありますね。涼平君とかの代はそんなに強くなかったですよ(笑)
Q:菊地選手の代はいかがでしたか?
A:ユース上がりの選手は誰もプロには行かなかったです。結局、石川俊輝と僕がプロに行きましたけど、他は誰も行かなかったですね。
Q:石川選手とは当時から仲は良かったですか?
A:うーん、まあ家が凄く近いので、練習場に自転車で一緒に行ったりはしていました。親同士も知っていますしね。
Q:そんな中学時代を知っている友だちと、大人になって一緒に仕事をするってどんな感覚ですか?
A:いやあ、不思議というか凄いですよね。ジュニアユースの監督だった横山(雄次)さんが今はヘッドコーチじゃないですか。だから、サッカー界って凄く狭いなと思いますよね(笑) でも、嬉しいですよ。ヨコさんは中学校の頃は凄く怖かったですけど(笑)
Q:聞こうと思っていた横山さんの話を出して頂いて(笑) じゃあ、横山さんは怖かったなという印象ですか?
A:そうですね。怖かったです。今は全然ですけど。おとなしくなりました(笑) でも、僕らが中学校の頃は逆に「厳しくしろ」って上から言われていたみたいで、「わざと厳しくしていた」って言っていましたけどね(笑) 本当に怖かったですから。球際とかに行かないとメッチャ怒鳴られました。激しさを結構求められたので。
Q:今はそんな感じじゃないんですね。
A:今はそんなに。今はチョウさんの方が怖いですよ(笑)
Q:横山さんにあの頃の片鱗はないんですね(笑)
A:ないですねえ。僕も中学校の時は体が小さかったんですよ。でも、僕が歳も含めてこんなに大きくなっているということは、まあ「ヨコさんも歳を取ったな」という感じですよね。「おとなしくなったなあ」と。不思議な感じです。
Q:ちょっと話を戻しますけど、なぜ高校は伊奈学園総合だったんですか?
A:ユースに上がれる話もあったんです。中学校の時は体が小さいこともあってフィジカル的にも難しくて、なかなか試合に出られない時期もあったので、そういう中で将来性を見越してユースに上げてくれるという話も戴いたんですけど、ユースにそのまま上がった時に試合に出られるかと考えたら、その時は自信がなかったので「高校サッカーに行こうかな」ということを考えました。まあ、実はお兄ちゃんも伊奈学園なんですけどね(笑)
あとは横山さんが高校の時に一緒にやっていたフタミ先生という方が監督だったので、そこで話をしてもらったこともあります。それと伊奈学園の学校の特色にも凄く興味を惹かれました。県立なんですけどちょっと変わった学校で、単位制なんですよ。各自に時間割があってという、ちょっと大学みたいな学校で、お兄ちゃんが行っていたのでそれも知っていて、そこに興味があったというのもありましたね。
Q:結構お兄さんの影響が強そうですね。
A:まあたまたまお兄ちゃんが行っていた道が「楽しそうだな」と思って、辿っているだけですけどね。
Q:と言いつつも凄く尊敬していたりとか(笑)
A:でも、昔からサッカーは僕の方が上手かったですけどね(笑)
Q:伊奈学園での3年間はいかがでしたか?
A:本当に部活動を一生懸命やっていたなという思い出と、あとは自分で言うのもアレですけど学業もそこそこやっていたなという(笑) 本当に文武両道というか。でも、サッカーをしに来ているという人が少ないというか、埼玉で本当にサッカーで選手権を狙っているような人は私立に行くじゃないですか。だから、僕は伊奈学園が選手権に出たことがなかったので「自分が選手権に連れて行く」という気持ちでサッカー部に入りましたけど、全員が全員そういう訳ではなかったです。ただ、自分が中心として部活動を3年間できたというのは、凄く思い出に残っていますね。
Q:そんなにプロや目指しているとは言っても選手権が身近ではなかった中で、こうやってプロの世界でやっているというのは、当時で考えたら想像できなかった感じですか?
A:全く想像できなかったですね。でも、やっぱり大学の4年間が大きかったなとは思います。
Q:率直に今って楽しいですか?
A:楽しいですよ。
Q:そういう楽しさを実感することってありますか?
A:やっぱり試合に勝った時とか、サポーターが喜んでいる時とか、そういう時は本当に楽しいなと思いますね。
Q:BMWスタジアムって試合前にサポーターから名前を呼ばれると思うんですけど、アレってどういう感じですか?
A:どうだろう(笑) 他のチームにはあまりないですよね?凄くサポーターと選手に一体感があるなと感じますし、本当にテンションも上がるので、アレは楽しいですね。
【プロフィール】
大宮ジュニアユース、伊奈学園総合高、日本体育大を経て、2014年に湘南へ加入。ルーキーイヤーの開幕戦からレギュラーを勝ち獲り、チームのJ1昇格へ大きく貢献。2年目となる今シーズンはポジションの幅も広げつつ、J1の舞台で大きな存在感を示している。
※所属チームを含めた情報は、当時のものをそのまま掲載しています。
ご了承ください。
取材、文:土屋雅史
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