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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
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【Pre-match Words 湘南ベルマーレ・高山薫編】
(2015年7月28日掲載)
Q、ここまで6ゴール取っていますが、「このゴールは良かったな」というようなゴールはありましたか?
A、清水戦(2015年J1 1st-第13節 〇4-0)の2点目のゴールは、裏に出て三竿(雄斗)からボーンとクリアみたいなボールが出てきて決めたヤツだったんですけど、アレとか逆に1対1になり過ぎて、一昨年とかだったら絶対に外したと思うんですけど、あそこを落ち着いてやれたというのは良かったんじゃないかなと自分の中で思います。
Q、何か落ち着いてできた理由ってありましたか?
A、ちょうどそういう練習をしていたんですよ。そのタイミングでGKコーチも「1対1の時にこうした方が良いよ」と言ってくれた感じとか、そのイメージのままで1対1になったので、凄く落ち着いてやれました。
Q、鳥栖戦(2015年J1 1st-第8節 〇4-2)のゴールは良い意味で"らしく"なかったと思いますが(笑)、あのゴールはいかがでしたか?
A、アレはやっている時はあんなに良いゴールという感覚でやっていないんですよ。なんかもう必死だったので、あんなタンタンというタッチとかしていた記憶もあまりないですし、映像で見て「ああ、結構良いゴールを決めていたんだな」という感じだったので、マグレです。アレは。たぶん。
Q、普段から深く考えるよりは割と体が動くタイプですか?
A、鳥栖戦はそんな感じでしたね。でも、あんまり考えてないかもしれないです(笑) だいたいのゴールは。はい。
Q、名古屋戦(2015年J1 2nd-第1節 〇2-1)のゴールは凄くストライカーっぽいゴールでしたね。
A、そうですね。あれは練習とかでもクロスは結構やっているし、上げてくれたのが藤田征也君なんですけど、征也君も俺がどういう入り方をするかはわかっているし、俺も何となく征也君がどういうボールを上げるかというのはわかっているので、それがお互いにうまくいって入ったゴールかなって思います。
Q、ああいうゴールって今までの高山選手のイメージとはちょっと違う気がしました。
A、あの動き出しに関しては結構良いゴールだったなと思いますけど、結構そういうクロスとかって意外と自信あります。やっぱり高さとかじゃなくて、結局動き出しとかタイミングだと思うので、アレとかは来ると思っていて来たし、鳥栖戦も自分がヘディングしたボールがこぼれて大槻(周平)が決めたりしていますし、意外と自信ありますよ。
Q、去年の湘南がああいう形でぶっちぎりで昇格した中で、高山選手は1年置いてこのチームに戻ってきた訳ですが、2年前のチームと今のチームでは何が一番違っていましたか?
A、みんな普通にサッカー自体上手くなっているし、やっぱり自信も全然みんなが違いますね。2年前は相手をリスペクトし過ぎている部分とか、自分もそうだったんですけど、そういうのもあって歯が立たない相手とかありましたけど、今年は全然そういうのは感じないし、キャンプから練習に入った時もレベルが凄く上がっていたし、それは凄く感じましたね。
Q、サッカー的な部分の変化で意外な部分はありましたか?
A、いや、根本的にそういうのはないですね。でも、3バックの攻撃参加は遥かに増えましたよね。J2を見ていても思ったし、三竿が上がって行ってクロスを上げてアシストするとかもあったし、そういうのは去年見ていても感じていましたし、今年やっていても感じました。
Q、着実にチョウ監督のやりたいサッカーをチーム全体で表現できているなという手応えはありますか?
A、そうですね。それはかなりありますけど、試合をしていく中でやるのは選手たちじゃないですか。いつもなんかあまり良くなくて、チョウさんに言われて良くなってみたいなのは、昔はかなりあったんですけど今もやっぱりあって、そこは選手たちがしっかりやるしかないと思うので、そこをもっと自分とかも結構年上の方だし、もっとみんなでしっかりやっていけたらなと思います。
Q、去年の1年間は今回対戦するレイソルでプレーされていましたが、その1年間で一番得たものはどういう部分ですか?
A、サッカーは全然上手くなっていないと思いますけど、単純に経験値ですかね。わからないですけど。試合も結構出させてもらったし、全然ベンチで出られない試合とかもあったし、去年はそういう意味では全部味わえたというか。最後はACLの出場権もチームとして獲得できたし、そういう色々な経験ができたし、全然ダメな試合とかもありましたけど、しっかり選手がみんな切り替えて次の試合に行ったりとか、そういう姿勢とかみんな自立しているというか、そういう部分は違うんだなというのを去年は感じました。
Q、レイソルで日々の練習から得たものはどういうものがありましたか?
A、練習ですか。何だろうな。俺のJ1のイメージは「やらなくてもできちゃう」というイメージだったんです。今までJ1であまりやったことなかったので。でも、レイソルは全然違っていて、みんな凄くマジメだし、良い意味で練習中はピリピリしているというのが俺の中では1年間あったので、そういうのは凄く良い経験になったかなと思います。
Q、それはやっぱりネルシーニョ監督の醸し出す雰囲気みたいな所ですか?
A、それは確実にあったと思います。
Q、右サイドバック、シャドー、左のウイングバックと色々なポジションでプレーされていましたが、ネルシーニョ監督からの信頼は感じていましたか?
A、意外とわからないですね。もうとりあえず必死でした。信頼というのは感じられてはなかったかもしれないですね。
Q、レイソルでやっていく中で、メンタルの部分が強化されていくような感覚はシーズン中にありましたか?
A、それはあったかなと思います。湘南は良い意味でも悪い意味でもチョウさんが言ってくれるというのがあったけど、試合に出ていても出ていなくても別に誰も何も言ってくれないし、それで出られなかったとしても、出られない選手はみんなブレずにやっていたし、そういうのを見てちょっとは成長できたなと思います。
Q、去年の1年間でサッカーについて考えることは増えましたか?
A、そうですね、こうやって言っても柏の選手には「オマエなんか絶対考えてないだろ」とたぶん思われると思うんですけど(笑)、自分としては去年1年間行って、サッカーに対して試合中も凄く考えられるようになりました。たぶん柏の人たちは誰もそう思っていないですけど、個人的には本当に思っています。今年もそれを生かせていると自分的には思っているし、それで選手同士で話もできるようになったと思っているし、そういう風に思わせてくれたというのは本当に感謝しています。
Q、それでよりサッカーが面白くなったような感じですか?
A、そうですね。去年1年経験してまた戻ってきて、本当に今は充実していると思います。
Q、ここからはキャリアのお話を聞かせてください。以前権田(修一)選手が川崎選抜で高山選手と一緒だったと話していましたが、それとは別に所属されていたチームがあったんですよね?
A、そうです。メッチャ弱いチームとフロンターレのスクールに入っていて、武田(英二郎)も隣の町のクラブみたいな感じでいたんですよ。
Q、権田選手のいた『さぎぬまSC』は強かったんですね。
A、そうなんですよ。だから、ゴンちゃんは昔からエリートなんですよ(笑) 特別連絡を取ったりとかはしないですけど、会ったら「おお、久しぶり」みたいな感じで喋りますし、川崎選抜のメンバーが結婚したりする時に会ったりとか。まあ、だいたいゴンちゃんがいるとすべてを持って行かれるんですけど(笑) もう日本代表ですからね。
Q、中学はフロンターレU-15に進まれて、まだトップチームもそこまで強かった訳ではなかったと思いますけど、決め手は何だったんですか?
A、単純にその時はフロンターレが純粋に好きだったし、あとは慣れた環境でやりたかったというか、知らない所でやるというのが凄く嫌だったので、他のチームのセレクションとかも受けに行きませんでした。一応スクールにもスペシャルクラスというのがあって、そこの子たちはみんなジュニアユースに上がれると言われていて、俺もみんなのことがメチャクチャ好きだったし、そもそも選抜とかが凄く嫌いだったので、マジ嫌いだったので(笑)、そんな感じでまた知らない人がいる所に行くのは嫌だったというのもあって、そのままフロンターレに行きました。
Q、そこにチョウさんがいた訳ですよね。
A、はい、チョウさんがいきなり。そう言えばって感じですけど(笑)
Q、最初はチョウさんの印象ってどうでしたか?
A、最初も凄く楽しかった思い出はありますけどね。怖かったというのもあります。
Q、どういう所が怖かったんですか?
A、いや、凄いんですよ。だいたい俺らは弱かったので、相手がマリノスとか体の大きなチームとやる時に、俺もそうなんですけどメッチャビビっちゃうんですよ。「絶対勝てない」とか思ってやっていましたし。そういう時に前半ヒドい試合をすると、ハーフタイムにチョウさんがブチ切れるんですよ。そうするといきなり後半に流れがメッチャ良くなるんです(笑) だいだいいつもそんな感じで「また怒られるよ」とか思って。あとは私生活とかも、俺とかも自転車に乗りながらパン食ってるのとか見つかってメッチャキレられたりとか、そういう感じですね。「オマエ、自転車乗りながらパン食うとかありえないだろ」みたいな感じで怒られたり。色々ありましたね。
Q、どっちかと言うとサッカーより私生活の部分を言われていた感じですか?
A、いや、俺は結構ビビリなんでそんなに私生活のことでは怒られていないですけど、みんな中学生でバカなんでかなり私生活で怒られていましたね。でも、俺はサッカーの方が多かったかなと思います。
Q、サッカー面ではどういうことを言われていたんですか?
A、もうだいたいメンタル系ですね。結構メンタルが弱かったので、相手が強いとか体がデカいとか、そういうことでダメな時とかにメッチャ怒られたりしていました。
Q、そういうメンタル的なことは今もチョウさんに言われますか?
A、全然あります。だいぶ昔よりは減りましたけど、今でも言われます。
Q、中学の時に先生みたいな立場だった人と、大人になって一緒に仕事をしている訳じゃないですか。それってどんな感覚なんですか?
A、まあこんなコミュニケーションを取れる監督はいないだろうなって感じです。ソリさん(反町康治・前監督)とか今は逆に大丈夫で、普通に挨拶して喋ったりできるんですけど、やっぱり監督の時は「監督だ」みたいな感じであまり絡めないというか、ネルシーニョもそうだったんですけど、一目置いちゃうというか。でも、チョウさんは選手に対してもフランクだし、自分は昔から知っているし、なんか不思議ですよね。
Q、チョウさんは基本的に変わっていないですか?
A、全然変わっていないです。本当にまったく変わっていないと思います。
Q、それって凄いことですよね。
A、凄いですよね。若干ポッチャリしたくらいです(笑)
Q、若干ですか?(笑)
A、いや、わからないです(笑)
Q、中学生の頃でも良いですし、プロになってからでも良いですけど、チョウさんから言われた言葉でとりわけ印象に残っている言葉って何かありますか?
A、中学を卒業する時にみんなにメッセージみたいなのをくれたんです。今でも実家にあるんですけど、チョウさんが「世界一優しいサッカー選手になれ」って書いてくれたんですよ。それはメッチャ覚えてます。「オマエは優しいから」って。俺は別に自分を優しいって思っていないですけど、なんかそういう言葉を書いてくれたなって。それは忘れていないですね。書いてある文字の感じとかも。
Q、誰にでも贈れる言葉じゃないですよね。「世界一優しいサッカー選手」って日本語を僕も今初めて聞きました。
A、そうですよね。俺もちょっと意味は深く理解できないですけど(笑)、何となく言いたいことはわかるというか、当時もかなり響きましたね。
Q、そんな人と今一緒に仕事しているなんて凄いですね。
A、凄いですよね。でも、ベルマーレに来たのもチョウさんと(永木)亮太がいたというのがありましたから。
Q、今まさに名前の出た永木選手もだいぶ特別な存在ですよね。
A、俺はずっと中学も高校もキャプテンをやっていて、「選抜とかも俺の方が入っていたし」みたいな変な感情はあったんですけど、大学に入ってアイツは中央大で1年から出て、俺は専修大で2部でみたいな感じだったので、もう「俺はアイツに負けてる」みたいに思っていました。しかもアイツは大学4年の時も特別指定でJリーグの試合に出てアシストしたりとかして。だから、最初の方は亮太に対して劣等感しかなかったです。自分がベルマーレに決まった時も、最初の入団会見の時に俺とか経歴も何もなかったので、記者の人とかも全然話を聞きに来ないんですよ。
Q、ああ、そういうのって結構如実に出ますよね。
A、如実にわかりやすいですよね(笑) 取材のスペースとかあって、亮太の所にはいっぱい記者の人も来ていて、俺とかは誰も来ないのに「いる意味ないじゃん」とか思って(笑)、「さちえさん(※クラブ広報の遠藤さん)、早く帰らせてよ」みたいな。そういうのでも結構劣等感が最初はありましたね。
Q、そういう感情はどういう風に変わっていったんですか?今はもう劣等感なんてないですよね?
A、今はないですね。やっぱり単純に自分も試合に出させてもらったというのもあると思います。でも、同期に岩尾憲(水戸)もいたんですけど、アイツも亮太も入った時から凄く上手くて。最初にあの同い年の2人がいてくれたから頑張れたというのはあると思います。
Q、劣等感があった時は普段の接し方もちょっと違ったりしましたか?
A、いや、それは大丈夫でした。普段は普段で全然大丈夫なんですけど、サッカーの時だけでした。
Q、今はもう自信を持ってプレーされているということですよね。
A、うーん、自信は持てないタイプなので自信はないですけど、昔は自信がなさ過ぎるくらいだったので、今は普通って感じです(笑)
Q、でも、これだけJ1で経験を積まれて、代表監督も幅広く選手を招集するような流れの中で、僕は高山選手も代表のラージグループに入っているんじゃないかなと思っているんですけど、これからもプロとしてやっていけそうな手応えや感覚はあるんじゃないですか?
A、全部自分次第だと思うんですけど、自分がちゃんとやればちゃんとした結果が出るというか、たぶんJ1でもやれると思うし、でも自分がやるというのも簡単なことではないと思うので、やれるっていう感覚もあるし、不安も少々あるって感じです。
Q、このチームはチョウさんの指導も含めて、どんどん自分に自信が持てるような環境なんじゃないかなと外から見ていると勝手に思うんですけど、いかがですか?
A、そうですね。チョウさんのおかげというか、練習でも自分のやらなきゃいけないことに色々トライできるというか、それは本当にありがたいです。サッカーを良い意味で自分のやりたいようにやらせてくれるというか。プロって監督とかによってはそんなにうまいこと行かないと思うので、そういう意味では本当にありがたいです。
Q、最後にお聞きしたいんですけど、ザックリで良いので今後の夢って何ですか?
A、ザックリですか?え~...
Q、ピンポイントでもいいです(笑)
A、意外と俺は夢を持てないタイプなんですけど、しっかりJ1でこれからもずっとサッカーをしてレベルアップして、もっと自信を持ってサッカーをやりたいし、良い意味で練習試合をやっているぐらいの感覚でやりたいし、そっちの方がたぶん良いプレーができると思うので、そのぐらい自分に自信を持ってやりたいですね。大卒なので30歳オーバーまでというか、10年はプロでやりたいなっていう感じです(笑)
Q、謙虚ですね(笑)
A、謙虚というか、プロになるという夢はあったんですけど、意外となってみたら「試合に出られないぞ。どうしよう」みたいな所から始まっているので、メンタルが強い人ってマジで凄いと思います。凄く上を見ている人とか。俺はそう思おうとして思えるタイプじゃないですし、俺はそういう風にしか思えないタイプだから、それはそれで良いかなと思いますけどね。でも、ちょっとずつですけど夢は大きくなっています。今とかは点もメッチャ取りたいですけど、昔はそんなに思わなかったですし。だから俺はちょっとずつなんですよね。自分の今いる位置よりちょっと上を達成したらもう1個みたいな。だいたいそんな感じだと思うんですよね。
Q、じゃあこれから夢がどんどん大きくなっていく可能性も十分ありますね。
A、はい。そうなって欲しいです(笑)
【プロフィール】
川崎U-15、川崎U-18、専修大を経て、2011年に湘南へ入団。ルーキーイヤーからレギュラーとして活躍し、そのスピードを生かしたプレーで不動の地位を築く。2014年には柏へ完全移籍するも、今シーズンから湘南へ復帰。髪型や服装も含めたファッションセンスにも定評がある。
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取材、文:土屋雅史
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