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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2019年11月07日

高校選手権東京B準々決勝 駒澤大学高×関東第一@清瀬内山G

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駒澤×関一.JPG

おそらくはクォーターファイナル最大のビッグマッチ。ここ5年で3度の全国出場を誇る駒澤大学高と、2度の出場を数える関東第一の激突は、引き続き清瀬内山グラウンドです。

國學院久我山、駿台学園、帝京と次々に迫り来る強豪をなぎ倒し、2年ぶりの全国切符を獲得。駒沢陸上競技場での開幕戦では那覇西との壮絶なPK戦に屈したものの、改めてそのスタイルを印象付けた昨年度の駒澤大学高。今シーズンは関東大会予選で國學院久我山にベスト8で敗れると、インターハイ予選でも全国を懸けたベスト4で、またも國學院久我山に延長戦で敗退を突き付けられる結果に。ただ、例年以上にボールを動かせるチームの力は実証済み。「本当に1試合1試合気が抜けないと思うし、負けたら本当に終わっちゃうので、少しでもみんなと長くサッカーできるようにやっていきたいと思います」とは副キャプテンの松本悠佑(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15)。連覇に向けて大きな山場に挑みます。

2016年のインターハイ予選から都内のトーナメントコンペティションは、7大会連続制覇というとんでもない記録を打ち立てながら、選手権予選では初戦の東京実業戦でPK戦の末に競り負け、3年連続での出場が懸かっていた全国を逃した昨シーズンの関東第一。主力の大半が残って迎えた今シーズンは、関東大会予選、インターハイ予選と代表権に手が届いていない中で、この選手権予選には相当な意気込みで臨んでいる様子。ここまでは駒込を4-0、都立南葛飾を4-1と下して勝ち上がっており、「ここまで駒澤さんとは2試合やったんですけど、1分け1敗でまだ勝てていないので、最後の1勝を飾るためにもここでしっかり倒したいですね」とは守護神の出口貴也(3年・葛飾青葉中)。駒澤相手の"3度目の正直"の先には、セミファイナルへと続く道が待っています。注目の一戦ということもあって、グラウンドの周囲にはこの日一番の観衆が。負ければ終わり。強豪同士の準々決勝は、駒澤のキックオフでその幕が上がりました。

ファーストシュートは7分の関東第一。中央やや左、ゴールまで約25mの位置で得たFK。スポットに立った佐藤誠也(3年・VIVAIO船橋)が直接狙ったキックは、駒澤のGK三浦健太(3年・S.T.FC)がキャッチしましたが、まずはセットプレーから枠内シュートを。8分には駒澤も左から手島大雅(3年・FC VIENTAS)が得意のロングスローを投げ込み、ここは関東第一の右ウイングを務める横山慎也(3年・ブリオベッカ浦安U-15)がクリアしましたが、9分にもスタメン起用された時田悠人(3年・Y.S.C.C横浜U-15)が左CKを蹴り入れ、ファーに飛び込んだ内田哲平(3年・坂戸ディプロマッツ)のヘディングはクロスバーを越えるも、お互いにセットプレーからフィニッシュを取り合います。

12分は関東第一。平田晟也(2年・フレンドリー)が突っ掛けて奪った右CK。岡田琉空(3年・FC多摩)が蹴ったボールを、ファーで合わせた鹿股翼(2年・東急SレイエスFC)のヘディングはゴール左へ。18分は駒澤。右サイドで手にしたFKを時田が蹴ると、鹿股が大きくクリア。24分は関東第一。類家が獲得したFKは、ピッチ中央やや左。ゴールまで25m弱の位置で、キッカーが少し動かしたボールから、ルーキーのセンターバック池田健人(1年・大豆戸FC)はシュートを狙うも、カベがきっちりブロック。28分は駒澤。右サイドから森田陸翔(3年・クラブ与野)がロングスローを放り込み、こぼれを叩いた小林蒼太(3年・Forza'02)のシュートは枠の右へ。「ある程度押し込まれることは全員頭に入っていた」とは関東第一のゲームキャプテン田中大生(3年・横浜FC JY)ですが、ゲームリズムはほとんどフィフティ。

38分は関東第一に流れの中からチャンス。岡田が左へ流したボールを、開いていた横山がクロス。エリア内でトラップした佐藤の左足シュートは三浦がキャッチ。40+1分は駒澤。混戦の中から松本が左クロスを放り込み、佐藤海来(2年・杉並アヤックスU-15)がヘディングで残したボールは田中が確実にクリア。直後も駒澤。松本の右CKに、突っ込んだ林駿佑(3年・クラブ与野)のヘディングはヒットせず、関東第一のGK出口がキャッチ。「正直前半はウチの方が入りが良かったと思います」とは関東第一の小野貴裕監督。前半はほぼ互角に近い展開の中、スコアレスで40分間が終了しました。

後半に入って、先にチャンスを掴んだのは駒澤。44分に時田を起点に林が右へ流すと、上がってきた森田は好クロス。ニアで合わせた林のシュートはゴール右へ外れたものの、流れの中からフィニッシュまで。48分は関東第一。佐藤が左へ丁寧に送り、岡田のクロスはピンポイントでファーまで届くも、右ウイングバックの菅原涼太(2年・SCH)が頭で狙ったシュートは、懸命に戻った小林蒼太が決死のブロック。49分も関東第一。左サイドを細かいパスワークで崩し、平田のヒールから笠井佳祐(2年・VIVAIO船橋)が枠へ飛ばしたシュートはクロスバーの上へ。らしいアタックからのフィニッシュも、先制とは行きません。

51分は駒澤に1人目の交替。プレースキッカーとして奮闘していた時田に替えて、清水宏晃(3年・C.A.アレグレ)が右サイドハーフに入り、その位置にいた林が中央へスライド。58分も駒澤。左サイドでヘディングが続き、内田が打ち切ったミドルは枠の上へ。59分も駒澤。松本の左CKは跳ね返され、手島の左クロスは出口がキャッチ。60分も駒澤。小林蒼太が左へ流し、手島の右足クロスに佐藤が当てたヘディングはここも出口がキャッチ。「前で収まりが悪くなって、時間も作れなくなったんですけど、我慢しようと全員の意思統一があった」とは田中。少しずつ押し込み始めた赤黒軍団。

64分は駒澤に2人目の交替。林を下げて、チーム屈指のドリブラー橋本雄也(3年・ルキナス印西)を送り込み、前線のメンバーに新たな変化を。64分も駒澤。右から森田が2回続けて投げ込んだロングスローは、どちらもシュートには至らず。71分も駒澤。右サイドを運んだ森田が中へ付け、清水がシュートを放つも出口がキャッチ。直後も駒澤。橋本が縦に仕掛けて右へ展開。清水の折り返しを内田は右スミの枠内ギリギリに打ち込むも、出口がファインキャッチ。74分も駒澤。右から松本が蹴ったCKも打てず。取り切りたい駒澤。耐え切りたい関東第一。

75分も駒澤。松本の左CKからゴール前に混戦が生まれるも、DFの人垣から大きなクリアが。直後の森田が投げた右ロングスローも、一旦こぼれたボールを出口が必死にキャッチ。76分は関東第一に1人目の交替。最前線の平田に替えて、貝瀬敦(3年・田口FA)を右ウイングに解き放ち、横山がセンターフォワードへ。80分は駒澤。カウンターから単騎で運んだ橋本がスルーパスを送るも、走った内田へ素早く寄せた鹿股が的確にクリア。その左スローインを手島がロングで投げ込み、再びこぼれを手島がクロスに変えると、松本のヘディングは枠を捉えましたが、出口がファインセーブで仁王立ち。その右CKも松本のキックをDFが跳ね返し、ここで80分間の終了を告げるホイッスル。「押し込まれるのはわかっていましたし、それでもしのぎ切れば絶対自分たちのチャンスが来ると信じて、ひたすら11個プレーが切れるたびに、声を掛け合って集中していました」とは関東第一のボランチを託された類家暁(2年・東京ベイFC U-15)。両者譲らず。試合の行方は前後半10分ずつの延長戦へと委ねられます。

駒澤のキックオフでスタートした延長戦も勢いは明らか。85分は駒澤。手島の右ロングスローは鹿股が懸命に掻き出し、ルーズボールを拾った橋本のシュートはゴール右へ。86分も駒澤。ここも手島の右ロングスローから、内田のヘディングは枠へ向かうも、カバーに入った池田がライン上でスーパークリア。90分も駒澤。今度は左から投げた内田のロングスローを、小林泰晟(3年・FCクラッキス松戸)が高い打点で落とすも、小林蒼太のシュートはヒットせず。

延長後半も赤黒のラッシュ。92分には松本が蹴り込んだ左CKに、小林泰晟が競り勝ったヘディングは出口が大切に大切にキャッチ。93分は駒澤に3人目の交替。最前線で体を張り続けた佐藤を下げて、青木優音(2年・クラブ与野)で最後の勝負に。100分も駒澤。右から手島が入れたロングスローは、DFが執念でクリア。100+1分も駒澤。松本の右CKも、関東第一のディフェンス陣は複数人がボールに鋭く反応し、大きくクリア。「やられそうな空気はあったかもしれないけど、なんか落ち着いて戦っていた感はあるんですよね」とは小野監督。100分間でも決着付かず。西が丘への切符はPK戦で争われることになりました。

先攻は関東第一。1人目の岡田は得意の左足で右スミを狙い、三浦も触ったもののボールはゴールネットへ。後攻は駒澤。1人目の小林蒼太はGKに読まれながらも、右スミに沈めて果たしたキャプテンの重責。関東第一2人目の横山は、三浦の読みと逆の右スミへ成功。駒澤2人目の松本は出口の飛んだ方向と同じ左スミへ、勢い良く成功。関東第一3人目は類家。1年前に敗れた選手権予選で、最後のキッカーとなった因縁のPK戦に再登場した14番は、「動いても動かなくても絶対右に蹴ると決めていて、強い意志で、強気で行きました」と右スミのゴールネットへ突き刺し、1年越しのリベンジを。すると、駒澤3人目のキックは無情にも右のポストにヒット。3-2。両者にこの日初めて点差が付きます。

関東第一4人目は佐藤。右スミへ蹴り込んだキックは、三浦が再び触ったものの、勢いが勝ってゴールネットへ。駒澤4人目はセンターバックの原田大渡(3年・FC東京U-15深川)。外せば終わりのキックにも、昨年の全国をフォワードで経験している4番は、きっちりGKの逆を突いて左スミへ。そして関東第一5人目のキッカーは、1年前のPK戦でもキックを成功させている田中。「去年を思い出しましたし、メッチャ緊張しました」という5番が中央に蹴り込むと、力強く揺れたゴールネット。「佐藤と田中になった時には『もう絶対勝った』と思いました。1,2年で外すんだったら、3年生で外す方がまだいいかなというのもあって、最後にPK戦に出す時は『3年生お願いします』と言って出したんですけどね」と明かした小野監督。昨年の雪辱を果たす格好でPK戦を制した関東第一が、2年ぶりの西が丘へと勝ち進む結果となりました。

「この子たちの性格が、この選手権に向けて落ち着いてきているなっていうのは言動からも凄く受け取れて、やるべきこととできないことの処理の仕方が凄く上手くなってきたなと。そこは今、彼らの時間で動かしていっていいのかなというか。だから、もう戦術はなし。何もなし。今日はオレの立場が誰でも大丈夫だった気がします。オレも今日はこの空気を、自分が変にしたらダメだなと思って。今日はただひたすら頑張れよって、それしか思ってなかったんです」と小野監督。昨年まで当たり前のようにタイトルを獲り続けていたチームが、なかなかその栄冠に到達できなくなった時期を経て、辿り着いた境地に指揮官は手応えを掴んでいるようでした。次はいよいよセミファイナル。「西が丘もどんな世界かわからないですけど、先輩たちに食らい付いていって、楽しんで、笑顔を忘れずに、絶対あきらめないで、気持ちで全国を掴みに行きたいと思います」と笑ったのは類家。駒澤を、PK戦を乗り越えた関東第一の進撃は果たしてどこまで。       土屋

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