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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2019年11月04日

高校選手権東京B準々決勝 東海大高輪台×日本学園@清瀬内山G

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高輪台×日学.JPG

初の全国を目指す両雄が激突する好カード。東海大高輪台と日本学園の準々決勝は、引き続き清瀬内山グラウンドです。

インターハイで全国へ出場したのは3年前。そのチームを見て入学してきた世代が、今年になって3年生を迎えている東海大高輪台。毎年好チームを創ってきている中で、選手権予選に限って言えば、既に西が丘へと駒を進めたのは6年前のこと。ただ、「去年出ていた子が78人いるから、そういう面でベースはちゃんと同じ絵は描けているからね」と川島純一監督も、今年のチームに確かな手応えを。「夏にいろいろな強豪とやって、自分たちの力を出せば勝てるゲームも多くありましたし、勝てる力というのはしっかり付いてきていると思います」とはキャプテンの藤井一志(3年・ヴィッセル神戸伊丹U-15)。明確に頂点を見据えつつ、このクォーターファイナルに臨みます。

昨年の選手権予選では2回戦で難敵の國學院久我山と激突し、粘り強い戦いから最後は0-1で敗れたものの、存在感を見せた日本学園。そのゲームに出場していた選手も数人残っている今シーズンは、関東大会予選出場を逃した中で、インターハイ予選では支部予選を勝ち上がり、一次トーナメント初戦で保善に1-2と惜敗。今大会も都立葛西南と明星を複数得点の無失点で下すと、決勝では都立野津田に3-2で競り勝って1次予選突破。さらに、2次予選では私立武蔵に2-0、東京に2-1ときっちり勝ち切って、このクォーターファイナルまで。25年ぶりの決勝、そしてそのもう1つ先まで見据えつつ、大事な80分間へ向かいます。清瀬内山グラウンドのピッチ脇には、12時キックオフということもあって、より多くの観衆がズラリ。

「個人それぞれがいいプレーをしよう、いいプレーをしようという感じでバラバラで、前半は上手く入れなかった」と藤井が話したように、立ち上がりはボールこそ握っていた高輪台も、なかなか明確なフィニッシュの形は創れず。12分には右から横山歩夢(2年・FCトッカーノ)がクロスを放り込み、鈴木颯太(3年・Forza'02)が残したボールを、塚原智也(3年・FC PROUD)が狙うもゴール右へ。15分にも「国体でもスピードという自分の武器は通用しました」という横山が、左に流れながら放ったシュートは枠の右へ外れたものの、まずは右の横山という"槍"を生かして、相手ゴール前を窺います。

一方、守備から入る格好となった日本学園も、右から保戸塚泰元(2年・九曜FC)、キャプテンの山本孝太(3年・FC.VIDA)、吉岡瑠己(2年・調布FC)、高野嘉輝(2年・FC.GIUSTI世田谷)で組んだ4バックの安定感も高く、吉田拳也(2年・練馬開進第四中)と河崎颯(2年・FCトリプレッタJY)を配したドイスボランチも、セカンド回収に奔走。23分には高輪台も細野空人(3年・GRANDE FC)がミドルを狙ったものの、日本学園のGK清水谷友哉(3年・緑山SC)がしっかりキャッチ。逆に33分は日本学園にファーストシュート。河崎がドリブルで力強く運び、中谷地涼平(3年・FC多摩)の巻いたシュートは枠の右へ逸れましたが、ワンチャンスに滲ませる"食ってやろう感"。

39分は高輪台にビッグチャンス。左から細野が中央へ流したボールを、藤井はシュートまで持ち込みましたが、清水谷が好セーブで弾き出すと、宮田龍芽(3年・FC PROUD)のシュートはゴール右へ。「早く先制点を取って、楽に運べたらという感じだったんですけど、なかなかそういう訳にもいかなかったですね」とは藤井。前半の40分間はスコアレスで終了しました。

後半はスタートから高輪台に交替が。1トップ下に入っていた桑山侃士(2年・GRANDE FC)に替えて、苗加慶太(3年・浦和レッズJY)をそのままの位置に送り込み、図りたいリズムチェンジ。42分は高輪台。右から藤井が蹴ったCKに、名倉海登(3年・ジェファFC)が合わせたヘディングは枠の上へ。45分も高輪台。エリア内で塚原が打ったシュートは、日本学園の右サイドハーフを務める木村海周(2年・町田鶴川第二中)が懸命にクリア。さらに細野が狙ったシュートは、高野が体でブロック。崩れない日本学園のディフェンスウォール。

47分も高輪台。藤井の右CKは、守備にも奔走していた日本学園のフォワード矢口嵩人(2年・調布FC)が大きくクリア。52分も高輪台。横山の右クロスは清水谷がパンチングで掻き出し、こぼれを拾った藤井のシュートは山本が果敢にブロック。53分は高輪台に2人目の交替。細野を下げて、伊藤唯(3年・クリアージュFC)を右サイドバックに投入し、その位置にいた名倉はボランチの一角へスライド。55分も高輪台。苗加の右FKは河崎がクリアで掻き出し、宮田のシュートは吉田がブロック。依然としてスコアは動きません。

56分に動いたのは日本学園ベンチ。1人目の交替として2トップの一角で奮闘した小柴諒太(2年・FC.GIUSTI世田谷)に替えて、10番を背負った高梨憲誠(3年・調布FC)がピッチへ飛び出すと、57分には中谷地のパスから高梨が抜け出し、最後は高輪台のGK豊田隼(3年・東川口FC)が絶妙のタイミングで飛び出したために、フィニッシュには至りませんでしたが、悪くないトライを。59分にも右から矢口が蹴ったFKは名倉にクリアされたものの、少しずつ整い始めた反撃態勢。

試合を動かしたのは「あのスピードはズルいでしょ(笑)」と川島監督も認める快速王。64分は高輪台のカウンター。少し運んだ塚原が右へ流すと、走っていたのは横山。「キーパーが見えていて、ファーが空いていたので、ちょっと浮かせて流し込む感じでした」という20番がドリブルから放ったシュートは、飛び出したGKの頭上をふわりと破り、ゴールネットへ弾み込みます。「自主練の時にいつもあの形はやっているので、それが上手く出たかなと思います」と本人が話せば、「いつも練習終わりとか、横山と11の練習に付き合ってあげたりとかしていて、そのまさに自主練でやっている形でした」とは藤井。2年生アタッカーの貴重な先制弾。高輪台が1点のリードを手にしました。

「簡単なシュートは外すの、アイツ。でも、凄いのをぶち込むんだよね」と独特のフレーズで横山を称した川島監督は、得点直後の65分に3人目の交替。左サイドハーフで動き回った小林亮翔(2年・AZ'86東京青梅)を下げて、小島渉(2年・AZ'86東京青梅)を投入すると、67分には藤井が右へ振り分け、伊藤の鋭いクロスは清水谷が弾き出し、横山のシュートはクロスバーの上へ。70分は日本学園も右FKを獲得するも、矢口のキックはDFがきっちりクリア。スコアは1-0の最少得点差で、残された時間は10分間とアディショナルタイムへ。

74分は高輪台。小島を起点に少し溜めた藤井が左へ流すと、塚原のシュートはゴール左へ。直後は高輪台にとって4人目の交替。塚原と山田喬介(3年・GRANDE FC)を入れ替え、前からのプレス強度を保ちつつ、着手するゲームクローズ。75分は高輪台。左からカットインした横山のシュートは枠の左へ。「今までは少し来られると『どうしよう、どうしよう』って余計バラバラになってきちゃったけど、ちょっとワンランク精神的に上がったのかなって。それはちょっと先週のゲームよりも感じたかな」とは川島監督。茂木成志(3年・ジェファFC)と鈴木のセンターバックコンビを軸にした守備陣に破綻なし。1点差のままで突入する最終盤。

76分は日本学園に2枚替え。木村と保戸塚に替えて、平木来琉(2年・両国FC)と原田遥希(2年・FC府中)を同時にピッチへ解き放ち、最後の勝負へ。80分は高輪台にセットプレーのチャンス。ピッチ中央やや左、ゴールまで約25mの位置から苗加が直接狙ったFKはゴール左へ。3分のアディショナルタイムが掲示され、80+1分は日本学園のチャンス。左サイドから吉岡が渾身の力を振り絞って投げ入れたロングスローは、しかし豊田が大事に大事にキャッチすると、しばらくして聞こえたのは黄色と黒の縦縞の勝利を告げるタイムアップのホイッスル。「ゼロで行けたということは何よりも自信になりますけど、修正点の方が多い部分はあるので、しっかり1週間空くのでもっと良い準備をして、チームとして戦っていきたいと思います」と藤井も兜の緒を締めた高輪台が、6年ぶりの西が丘へと駒を進める結果となりました。

「大会入る前から準備してるの。『1点は必ず取られるからな。でも、2点は取れるか何が起きても慌てるな』って。『2点取られちゃったら、2-2まで行けるから大丈夫だ。3点取られちゃったらヤバいけど』って言って(笑) この間のラグビーじゃないけど、『オマエら、ちゃんとスクラム組んで、本当にパワー出さないと引っ繰り返らないよ』って。だから、結構やられたけどあまり慌てなかったでしょ。それは感じました」と川島監督も話した高輪台は、確かにチーム全体から良い意味での余裕を感じるようなゲーム運びでした。次は久々に立つ聖地でのセミファイナル。「次は全校応援なので楽しみというか、やっぱりサッカー部だけじゃなくて、自分としては東海大高輪台という学校が1つになって盛り上がれるものが見つかればと思っているので、自分たちのプレーで学校を盛り上げていけたらと思いますし、自分たちのプレーを見て、サッカーを知らない人でも、何か1つでも多く感じ取ってもらえれば、自分たちの試合に応援しに来ていただく意味があると思うので、しっかりそういう期待に応えられるようなプレーをみんなでしていきたいなと思います」と藤井。相手は東京朝鮮。11月10日、11時キックオフです。       土屋

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