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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2019年11月09日

高校選手権東京A準決勝 國學院久我山×成立学園@西が丘

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久我山×成立.JPG

東京の選手権予選もいよいよセミファイナル。4年ぶりの全国を狙う國學院久我山と、14年ぶりの全国を渇望する成立学園の激突は、東京高校サッカーの聖地・西が丘サッカー場です。

春先から各方面の評価も非常に高く、チーム自体も手応えを感じていた中で、明確に日本一を目指して臨んだインターハイでは1回戦で神村学園に2-3で敗れ、改めて様々なディテールを見つめ直すきっかけを得る形となった國學院久我山。「都大会の相手も強豪揃いですし、11個勝つというのが目標ですけど、西が丘とか駒沢に行きたいとか、そういう気持ちで戦っている訳ではなくて、全国のあの舞台でリベンジするためにやっていますから」と言い切るのはゲームキャプテンの山本航生(3年・東急SレイエスFC)。今大会は初戦こそ早稲田実業に1-0と辛勝したものの、準々決勝では難敵の実践学園を7-1と粉砕して、この西が丘まで。見据えるのは2年ぶりのファイナル進出と、さらにその先に広がっている景色です。

最後に冬の全国へ勝ち上がったのは14年前。そこから4度ファイナルへと進出しているものの、なかなか"あと1つ"を超えられていない成立学園。迎えた今シーズンは、関東大会予選で関東第一に延長戦で、インターハイでは日大豊山にPK戦で、共に2回戦敗退を突き付けられるなど、なかなかトーナメントでの結果を得られていない中で、今大会は駿台学園に7-1、都立豊多摩に3-0ときっちり勝ち上がり、準々決勝では日大豊山に4-1とリベンジを果たしてセミファイナルへ。「今年は成立が全国に出て、全国の人たちに成立のサッカーを見て欲しいというのはあります」とはキャプテンの宇津木優人(3年・柏レイソルU-15)。相手にとって不足なし。100パーセントを出し切るのみです。西が丘に詰めかけた観衆は3,306人。楽しみな準決勝は成立のキックオフでスタートしました。

5分に久我山が創ったファーストチャンスはいきなりの決定機。10番の戸坂隼人(3年・FC東京U-15むさし)が大窟陽平(2年・1FC川越水上公園)とのワンツーで右サイドを抜け出して中央へ。田中琢人(2年・ジェファFC)が枠へ収めたシュートは、成立のGK大野来生(3年・ソシエタ伊勢SC)がファインセーブで凌いだものの、開始早々に「昨日とかもメチャクチャ緊張したんですけどね」と笑った戸坂が、久我山感の漂うシーンを演出します。

14分も久我山。大窟を起点に田中が左へ流し、山下貴之(3年・ジェファFC)のグラウンダークロスはファーへ流れるも好トライ。17分も久我山。カウンターから田中が右へ送り、山本航生のシュートはDFに弾かれ、山下のシュートも大野がキャッチしたものの、取り切ったフィニッシュ。19分は成立。ジュビロ磐田への加入が内定している10番の吉長真優(3年・FC府中)が少し運んでスルーパス。走った宇津木はわずかに届かず、飛び出した久我山のGK村上健(2年・FC東京U-15深川)がキャッチしましたが、ようやく創り出したチャンスらしいチャンス。

20分は久我山に決定機。成立守備陣の連携が乱れ、エリア内で山本航生に絶好のボールがこぼれるも、無人のゴールを狙ったシュートは左サイドネットの外側に逸れ、思わずスタンドからもため息が。23分は成立のファーストシュート。右サイドからボランチの戸田岳滉(2年・アイリス住吉SC)がアーリークロスを放り込むと、こぼれを叩いた吉長の左足シュートは村上が丁寧にキャッチ。24分は久我山。山下のパスを山本航生が捌き、左サイドバックのルーキー森次結哉(1年・FC東京U-15深川)が思い切って放ったミドルはクロスバーの上へ。やり合う両者。既に流れる好ゲームの予感。

28分は成立のサイドアタック。右サイドバックの豊田優磨(3年・成立ゼブラFC)が宇津木とのワンツーからクロスを入れるも、ここは久我山のセンターバックを託された保野友裕(3年・東京武蔵野シティFC U-15)が冷静にカット。30分は成立のセットプレー。吉長の左FKは保野が跳ね返すも、エリア内で粘った吉長のシュートは枠の上へ。32分は久我山。エリア右でボールを持った戸坂が「ちょっとボールを置く位置が詰まり過ぎた」もののシュートまで持ち込むと、ここは大野がファインセーブで応酬。押し込み始めた久我山。

すると、先制のチャンスはやはり久我山に。35分に中盤アンカーの福井寿俊(3年・東急SレイエスFC)のパスを引き出した田中は、反転しながらすかさずスルーパス。走った山下がエリア内へ侵入しながらマーカーともつれて転倒すると、主審はペナルティスポットを指し示します。キッカーは戸坂。「緊張しましたね」という10番が左へ打ち込んだキックは大野も手に当てましたが、ボールはそのままゴールネットへ。それまでもキレのある動きを披露し、清水恭孝監督も「今のアイツはちょっとヤバいですね」と認める戸坂がPKでの先制弾。久我山が1点のリードを奪って、最初の40分間は終了しました。

後半もまずは久我山に勢い。43分に福井が中へ入れたボールを山本航生が頭で残し、田中が叩いたボレーは枠の上へ。直後にも山本航生が右へ送り、マーカーを1人外した戸坂のシュートは枠の左へ。48分は成立。中盤アンカーの木村将汰(3年・1FC川越水上公園)が左へ展開し、宇津木の右足クロスは枠の右へ。52分は久我山。戸坂の右CKから、保野が競り勝ったヘディングは大野がキャッチ。直後にも山下のパスから森次が左アーリーを蹴り込み、山本航生が超絶トラップで収めるも、シュートはヒットせずに枠の左へ。54分も久我山。高い位置で奪った山本航生がミドルを放つもゴール右へ。フィニッシュの数を積み重ねます。

56分は成立に2枚替え。木村と宇津木を下げて、中田開人(2年・成立ゼブラFC)と飯島大貴(2年・FC LAVIDA)を同時投入。58分は久我山に2枚替え。山下と田中に替えて、小松譲治(1年・ジェファFC)と吉田圭佑(2年・東急SレイエスFC)をピッチへ送り込み、そのまま左ウイングとインサイドハーフに配置。62分は成立に決定的なチャンス。エリア左を運んだ吉長が、完全に抜け出して打ち込んだシュートは、飛び出した村上がファインセーブで仁王立ち。直後の左CKを岡澤韻生(2年・ソシエタ伊勢SC)が蹴ると、こぼれに食らい付いたセンターバック横田文洋(3年・クラブ与野)の左足シュートは枠の上へ。スコアは変わらず。1-0。続く緊迫感。

63分は久我山。大窟が右へ展開し、上がってきたサイドバックの山本献(3年・横浜F・マリノスJY追浜)がアーリークロスを送り込み、小松がニアで合わせるも、大野が丁寧にキャッチ。65分は成立。豊田が奪った右FKを吉長が蹴り込むも、「"無双モード"が入るとアレくらいやってくれる」と清水監督も認める保野がここもきっちりクリア。66分は成立に3人目の交替。右ウイングの中村大輝(3年・東松山ペレーニア)と水野友雅(3年・東京武蔵野シティFC U-15)を入れ替え、着手したサイドの推進力アップ。68分は久我山にビッグチャンス。前を向いた小松がスルーパスを通し、山本航生が枠へ飛ばしたシュートは大野がファインセーブで掻き出し、詰めた小松にも果敢に大野が飛び出してオフェンスファウルに。成立の横田と大田礼玖(2年・ソシエタ伊勢SC)、久我山の保野と加納直樹(3年・ジェファFC)、両センターバックコンビを中心にした両守備陣の高い集中力は依然継続。1点差のままで突入する残り10分の攻防。

75分は成立。岡澤の右CKはシュートまで至らずゴールキックに。78分は成立が4人目の交替として、戸田と金沢歩夢(3年・神栖第一中)をスイッチ。直後は再び久我山に決定機。吉田のパスから大窟が右へ流すと、戸坂はDF2人の間を絶妙の浮き球ラストパス。大窟のダイレクトシュートは枠の上へ消えたものの、「こういう言い方をしていいかわからないですけど、この舞台を楽しめました」と笑顔を見せた戸坂が魅せたファンタジー。80分は久我山3人目の交替として、その戸坂が下がり、清井大輔(3年・FC東京U-15むさし)が登場。掲示されたアディショナルタイムは5分。熱戦もラスト300秒の勝負に。

80+2分は成立に5人目の交替。中盤で奮闘した藤原進士郎(3年・FCトリプレッタJY)を下げて、森田純(3年・エクサス松戸SC)をピッチに解き放つ最後の一手を。80+3分は久我山に4人目の交替。山本航生と河原大輔(3年・横浜FC JY)を入れ替えて、取り掛かったゲームクローズ。80+4分は成立。右サイドで前を向いた水野がアーリークロスを放り込むと、エリア内で中田が倒れるも主審はノーホイッスルのジャッジ。80+5分も成立。中央を運んだ中田のシュートも、DFの人垣がブロックで跳ね返すと、程なくして聞こえたのはタイムアップのホイッスル。「ゲーム自体は死闘になるのはわかっていたので、そういう意味ではよく集中したゲームをやってくれたと思います」と清水監督も口にした久我山が、2年ぶりのファイナルへと勝ち上がる結果となりました。    

「チーム自体は前期がかなりうまく行っていましたけど、ここに関してはもうそんなのは関係ないと。この選手権だけ獲れないチームがいたり、この選手権だけを必ず勝ち上がってくるチームもいるじゃないですか。そこの難しさを常に彼らには伝えてきたので、大舞台に立ってもその力を発揮してくれると思います」と来週の決戦に向けて話した清水監督。4年ぶりの全国へ王手を懸けた試合後でも、指揮官には良い意味での余裕が窺えました。「2年前はメンバー外だったので、僕は駒沢のスタンドからビデオを撮っていて、ロスタイムに点を取られて負けるという姿を見ていましたし、去年はインターハイに連れて行ってもらって、最後に選手権に3年生を連れていかなきゃという中で、2回戦で負けてしまって悔しい想いをしてきたので、今年は自分の代で10番も付けさせてもらっていますし、次の決勝でもしっかり得点に絡む形で、勝利に貢献できたらと思います」と戸坂が話せば、「2年前は目の前でヘディングされて、それがバーに当たって、ゴールを決められて... あのシーンは今でも夢に見るので、そういう意味でも選手権でまずは実践を倒すという借りは返せたんですけど、一番やりたいのは最後に決勝で勝つという、あの時にできなかったことなんです。選手権に出るために高校サッカーに来たようなものですし、久我山に来て3年間で1回も全国に出れないのは悔しいので、ラストチャンスに全てを出して、全てを懸けて、次の試合も頑張りたいです」とは保野。11月16日。土曜日。駒沢陸上競技場。11時に決勝の舞台は幕が上がります。      土屋

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