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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2019年10月06日

S1リーグ2019第16節 昌平×正智深谷@昌平高校G

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昌平×正智深谷.JPG

新人戦にインターハイ予選と、今シーズンは大事なステージで何度も対戦してきた両者の激突。昌平と正智深谷の今季4度目の対峙は昌平高校グラウンドです。

新人戦こそ圧倒的な成績で埼玉制覇を達成したものの、関東大会予選、インターハイ予選と県大会での敗退を突き付けられ、代表権獲得に手の届かなかった昌平。ただ、リーグ戦ではここまで15試合を消化していまだに無敗と首位を快走中。選手権予選を来週に控えつつ、勝ち点を挙げれば4連覇が決まるというシチュエーションの試合に臨む中で、「今日のゲームに関しては試合前のミーティングでも『リーグ戦はリーグ戦で、選手権は選手権。今日の試合に勝ち切ろう』という話だった」とはセンターバックの柳澤直成(3年・クラブ・ドラゴンズ柏)。まずは目の前の90分間へ全力で挑みます。

新人戦は決勝で昌平に押し込む時間も作りながら、結果は0-3での敗戦。関東大会予選は準々決勝で浦和東にPK戦で屈し、全国の懸かったインターハイ予選では、やはり準々決勝で結果的に優勝した西武台にPK戦で敗れるなど、なかなか実力に見合った結果を引き寄せきれていない、今シーズンの正智深谷。それでも、当然狙うのは3年ぶりの選手権県代表。順当に勝ち上がれば準々決勝で対戦する可能性のある昌平を相手にして、この前哨戦で良いイメージを携えたい所です。会場の昌平高校グラウンドには少なくない観衆の姿が。注目の好カードは昌平のキックオフでスタートしました。

ファーストチャンスは3分の昌平。「関根くんとかそういう先輩たちを見ているので、自分もそれに恥じないように、キャプテンシーを発揮しないといけない」と語る、2年生ながらキャプテンマークを託された須藤直輝(2年・大宮アルディージャJY)のドリブルで得た右CK。鎌田大夢(3年・JFAアカデミー福島U-15)のキックはシュートには至らなかったものの、まずはセットプレーで相手ゴール前を窺うと、8分にも左CKを鎌田が蹴り込み、柳澤のヘディングはゴール右へ外れましたが、「優勝が懸かった試合で、みんなのモチベーションも高かった」(須藤)ホームチームが勢い良く立ち上がります。

一方、決して引くことなくゲームに入った正智深谷も11分にチャンス。ボランチに入った津川勇作(3年・愛知FC)を起点に、左サイドを運んだ波多野晟愛(3年・GRANDE FC)の右足クロスは、エリア内の金田奎人(3年・高崎FC)へ。トラップしたボールに柳澤が寄せ切り、金田はシュートまで持ち込めなかったものの、流れの中からの惜しいシーンを。以降もキャプテンの山田裕翔(3年・大宮アルディージャJY)と大塚天翔(2年・坂戸ディプロマッツ)のセンターバックコンビからも縦にボールを付けつつ、波多野のキープ力を生かした流れを軸に漂わせるチャンスの芽。

14分は昌平に決定機。左サイドハーフの渡邉建太(3年・FCクラッキス松戸)が高橋孝太(3年・浦和レッズJY)とのワンツーでサイドを抜け出し、中央へ入れたボールを粘り強く収めた小見洋太(2年・FC LAVIDA)のシュートは正智深谷のGK平塚柊真(2年・ACアスミ)が丁寧にキャッチ。17分は正智深谷に決定機。佐々木達也(3年・高崎エヴォリスタFC)のスルーパスから、抜け出した金田のシュートは昌平のGK牧之瀬皓太(3年・GRANDE FC)がファインセーブで掻き出し、こぼれを拾った佐々木のシュートも牧之瀬はきっちりセーブ。「自分が止めてしっかりと流れを引き寄せるというのは重要だと思う」と語る昌平の守護神の連続セーブが飛び出し、スコアは動きません。

18分は昌平。右サイドからカットインしながら、須藤が左足で狙ったシュートは枠の右へ。31分は正智深谷。ボランチの松山碧(2年・ACアスミ)が左へ付けると、波多野は縦に運びながらマイナスに折り返し、走り込んだ津川のシュートは、鎌田が体でブロック。36分は昌平。右サイドに開いた鎌田が中央へクロスを放り込み、小見はトラップからシュートまで持ち込むも、平塚がキャッチ。39分は正智深谷。津川のスルーパスに金田が走るも、ここは飛び出した牧之瀬ががっちりキャッチ。「正智に関してはセットプレーもインプレーもセカンドの反応が凄く速いチームなので、そこは試合前に意識を統一してやっていました」と柳澤が口にした昌平も、正智深谷も守備の安定感は十分。最初の45分間はスコアレスのまま、ハーフタイムに入りました。

勝負の後半に入ると、圧巻のゴラッソが飛び出したのは49分。中央やや右寄り、ゴールまで約20mの位置で昌平が獲得したFK。スポットに立ったのは「いつもは大竹(琉生・3年・FCクラッキス松戸)が蹴っているんですけど、今日は出ていなかったので初めてキッカーを任されたんです」と明かす鎌田。短い助走から右足でこすり上げたボールは、そのまま美しい軌道を描いて左スミのゴールネットへ吸い込まれます。「隠れて練習していた部分があったので、完璧なコースに思い通り行って良かったです。気持ち良かったです!」と笑った鎌田のパーフェクトな直接FK。昌平が1点のリードを手にしました。

追い掛ける展開となった正智深谷。55分には左サイドバックの市川侑吾(2年・東松山ペレーニアFC)のパスから、右へ流れた山本滉(2年・1FC川越水上公園)のシュートはゴール左へ。58分は昌平にビッグチャンス。それまでも"効いていた"ボランチの柴圭汰(2年・伊奈小針中)が起点を作り、須藤のスルーパスに反応した鎌田は、飛び出したGKを外して中へ。ここへ走り込んだ須藤のシュートはヒットせず、ボールは枠の左へ逸れていきましたが、「最初はとても緊張したんですけど、点を決めてからは自分の中でもリズムを掴めました」という鎌田のチャンスメイクからフィニッシュまで。打ち出す追加点への意欲。

すると、先にベンチが動いたのは正智深谷。58分に山本を下げて、浅見竜輝(2年)を1枚目の交替カードとしてピッチへ送り出すと、61分には山田のパスを受けた金田がマーカーを外しながら左足で枠内へ収めるも、牧之瀬が冷静にキャッチ。「サッカーの中で失点することはありますけど、それを最小限にしていくことが自分とディフェンス陣の仕事でもあると思います」と言い切る牧之瀬と、右から柳田亘輝(3年・三郷JY)、西澤寧晟(3年・リベロ津軽SC U-15)、柳澤、高橋で組んだ4バックを中心に昌平ディフェンスの続く集中力。

72分は正智深谷。左サイドで奪ったFKを津川が蹴り込むも、昌平ディフェンスが大きくクリア。75分も正智深谷。ピッチ左寄り、ゴールまで25m弱の距離で得たFKを金田が直接枠へ飛ばすも、牧之瀬が的確にキャッチすると、次の歓喜もホームチーム。76分。左サイドで前を向いた須藤は、一旦コーナー付近に追い込まれながらも、「あそこまで行くとディフェンスも『コーナーを取りに来たりするだろうな』と思うはずなので、発想を違うモノにして『相手が考えていないことをしよう』と思って」、狭いスペースで3人を剥がしながら中央へ。ここで待っていたのは「ボールがこぼれてきそうだなと思って、こぼれてきたら絶対打とうと決めていた」鎌田。右足から繰り出されたシュートは、左スミのゴールネットへ突き刺さります。「大夢は点を取る感じがあったので、サイドに置きたかったんです」と藤島崇之監督が話したように、後半からは小川とポジションを入れ替えていた8番は、これでドッピエッタ。両者の点差は2点に広がりました。

畳み掛けるホームチーム。77分には須藤とのワンツーから右サイドを飛び出した小川が中央へ戻すと、最後は小見がゴールへ流し込むシュートを放つも、懸命に戻った正智深谷の右サイドバック松野響(2年)がライン上でスーパークリア。79分は正智深谷に2人目の交替。奮闘した波多野に替えて、亀山飛来(2年・1FC川越水上公園)を送り出すも、83分は再び昌平。ピッチ左寄り、直接狙えるレンジで得たFK。ここも鎌田が蹴ったボールは、わずかに枠の左へ外れましたが、「落とすボールを蹴りたいので、少し軸足を遠くするのと、ボールをこすり上げるのは意識しています」と言う8番のプレースキックは、間違いなくチームの大きなオプションに。

何とか1点を返したい正智深谷も、84分に金田と本多希光(3年・坂戸ディプロマッツ)を入れ替える3人目の交替を敢行するも、87分はまたも昌平のセットプレー。蹴るたびにキック精度が高まる雰囲気すらあった鎌田の左FKに、ファーへ突っ込んだ柳澤のヘディングはヒットせず、本人は頭を抱えたもののあわやという場面も。掲示されたアディショナルタイムは3分。「ここ3週間でも良い部分も悪い部分もありましたけど、良く成長しているので、『このチームで成長できる時間を長くするためには今日勝つぞ』という話もしていました」とは藤島監督。刻々と近付く戴冠の瞬間。

90+1分は昌平。小川のパスを左サイドで引き出したのは渡邉。「1回S2に落ちて、そこから這い上がってきてトップに入ってという所で、サッカーが大好きなヤツなので、今日も一生懸命やりましたよね」と指揮官も評した17番のシュートはゴール左へ外れ、3点目とは行かなかったものの、程なくして聞こえたのは、雨の降り続く曇天に吸い込まれていくタイムアップのホイッスル。「ウチは前の上手さが評価されていますけど、後ろの選手の3年生も良く頑張っていますから」と藤島監督も胸を張ったように、「しっかりと失点ゼロで抑えて勝つことができたので、それは良かったと思います」(牧之瀬)「しっかり無失点で勝てたのは良かったと思います」(柳澤)と声を揃えた守備陣の奮闘も光った完封勝利。昌平がきっちり勝ち点3を積み上げ、リーグ4連覇を達成する結果となりました。

インターハイでの予選敗退がチームを改めて見直すきっかけになった昌平。ただ、「ショートパスの距離を近くして繋いでいく"昌平らしさ"というのを意識して、夏にはしっかり個人が筋力アップや体力アップに取り組んできました。練習で自分たちでの要求が増えたというか、もっとこうしようとか、監督に言われなくてもできてきているので、そこは今日の試合でも意識してできた所でもあって、こういうのを続けることによって、試合に勝ててくるのではないかなと思います」と須藤が話したように、あくまでも"昌平らしさ"をブラッシュアップしていくのが基本線。鎌田が「この3年間でボールの持ち方が"昌平っぽくなった"というか、相手を引き付けてパスを出したり、自分でボールをタメてパスを出したり、キープの仕方とかも、ずっと先輩を見てきたのでそうなりました」と笑った言葉も非常に興味深い所です。

リーグ4連覇ということは、すなわちここ3年に渡ってプリンス参入戦で敗退しているという事実とイコール。「プリンスリーグ参入戦に関して、自分は去年も経験していますし、まずは来週から始まる選手権もあるんですけど、来年しっかりと後輩たちに高いレベルのステージでプレーさせてあげられることができるように、しっかりと勝ち抜いていきたいと考えています」と牧之瀬は強い決意を。「今日勝ったことで12月末まではサッカーができるので、そういう意味で選手権に繋げられれば凄く良いのかなと。僕らは選手権に出た年に参入戦にも勝っているので、それをチャンスにしながらやれればいいなと思います」とは藤島監督。全力で"二兎"を追う昌平のラストスパートは、もうその幕が上がっています。        土屋

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