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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2019年10月25日

高校選手権東京B2回戦 都立南葛飾×関東第一@早大学院G

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南葛飾×関東第一.JPG

ここ最近は都大会の常連として存在感を示している都立校と、2年ぶりの全国を唯一にして最大の目標として掲げる強豪の対峙。都立南葛飾と関東第一の2回戦は、引き続き早大学院グラウンドです。

関東大会予選は初戦で都立南平を3-0で下し、続くゲームでは駒澤大学高に敗れたものの、堂々の東京ベスト16まで進出。インターハイ予選では1次予選初戦で修徳に屈しましたが、近年の各種大会の結果を見ても、さらなる上位進出への態勢が整いつつある都立南葛飾。迎えた今大会の1次予選は、高輪とのPK戦を制してきっちり2次予選進出を果たすと、先週の初戦でも日大二を1-0で退けて16強まで。チームスローガンに掲げた『挑む』を文字通り体現する一戦へ、59名の一体感で臨みます。

2年近く続けていた東京での無敗が途絶えたのは、昨年の選手権予選のこと。今シーズンも関東大会予選は代表決定戦の準決勝で國學院久我山に、インターハイ予選は2次トーナメント初戦で堀越に、それぞれ1点差で競り負け、ここまではタイトルに手の届いていない関東第一。それでも、メンバーの大半は昨年に夏の全国大会と秋の悔しい敗退をピッチで味わっている顔ぶれ。「自分たちはそんなに先を見ずに、選手権も11つ目の前の相手とやることを合言葉というか、口に発してやってきた」とは、2年前に夏の全国8強をピッチで体感した佐藤誠也(3年・VIVAIO船橋)。千里の道も一歩より。まずは目の前の相手へ全力で襲い掛かります。会場には1試合目同様に少なくない観衆の数が。楽しみな好カードは南葛飾のキックオフでスタートしました。

開始から押し気味にゲームを進めた関東第一へ、13分に早くも訪れた歓喜の瞬間。左サイドでボールを持った岡田琉空(3年・FC多摩)がアーリー気味にクロスを送り込むと、「今日は立ち上がりから目を合わせてやれたので、来るなというのはわかっていた」という佐藤がダイレクトで合わせたシュートが、見事にゴールネットを揺らします。「誠也と内に入ったり外に入ったりというのは、いつも中でコミュニケーションを取りながらやっています」と話した岡田と、「クロスからの得点というのは自分は少なくて、苦手な形だったんですけど」と笑った佐藤のイメージがシンクロしたゴールで、先制点が記録されました。

畳み掛けた新・カナリア軍団。16分には左サイドでボールを持った佐藤が、「翼としっかり目が合って、大丈夫だろうという感じで出した」パスを、エリア内まで上がって来ていた3バックの左を務める鹿股翼(2年・東急SレイエスFC)は巧みなトラップから反転シュート。ボールはGKも弾き切れず、ゴールネットへ転がり込みます。「岡田も佐藤も鹿股も、結局お互いがいるから怖がらずに前に出てきていますよね」と小野貴裕監督も言及した"左のトライアングル"がまたもや躍動。関東第一のリードは2点に広がりました。

19分にも関東第一は小柳陸(3年・FC府中)とのワンツーから、佐藤が枠の左へ外れるシュートを放つと、25分にはこの日最初のセットプレーから決定機を。右サイドでCKのスポットに立った岡田が、「アレは狙っていたので、狙い通りでした」と振り返るニアへの高精度キックを繰り出し、飛び込んだ横山慎也(3年・ブリオベッカ浦安JY)のヘディングは豪快にゴールネットへ突き刺さります。「2点目を取った後に、監督から『相手にとっては何をしたらイヤか』と言われて、そこで選手内で『もう1個圧力を掛けて、点を取りに行こう』という話が出た」と明かしたのは、ボランチの位置でチームを支える類家暁(2年・東京ベイFC U-15)。これでスコアは0-3に。

28分にも関東第一は類家が蹴った左CKから、南葛飾のGK堀井大之(3年・墨田寺島中)がパンチングで弾いたボールを、貝瀬敦(3年・田口FA)が叩いたシュートがクロスバーを越えると、南葛飾は早くも1人目の交替を決断。1年生ながらスタメン起用されていた斎藤勇太(1年・南葛SC)に替えて、青山裕樹(2年・葛飾葛美中)を同じ左サイドバックに送り込み、落ち着かせたい全体の雰囲気。30分には左CKを獲得し、10番を背負ったエースの杉浦理仁(3年・KSCウェルネスFC)が蹴り込んだボールはゴールキックに。なかなかアタックの形を創れません。

32分は関東第一。右から岡田が入れたCKは堀井がパンチングで弾き、大塚俊祐(2年・両国FC)が大きくクリア。33分も関東第一。類家のパスから、右センターバックに入ったルーキーの池田健人(1年・大豆戸FC)が縦に付け、貝瀬の折り返しは南葛飾のセンターバック鳥飼蓮太(3年・葛飾新宿中)が懸命にカット。34分も関東第一。右サイドで相手ボールをカットした貝瀬はエリア内へ潜るも、ここは素晴らしいタイミングで飛び出した堀井がキャッチ。40+1分も関東第一。類家が丁寧なスルーパスを右へ通し、貝瀬が折り返したボールは佐藤もシュートまで持ち込めず。40+2分も関東第一。類家の左CKに、ニアへ突っ込んだ横山のヘディングは枠の右へ。「相手は石部先生だし、同地区だし、怖がらないで来るだろうなというのはあった中で、むしろウチが一番やっちゃいけない『引いちゃう』とか、『弱気になる』ということだけはなかったですね」と小野監督。関東第一が3点のアドバンテージを握って、ハーフタイムに入りました。

後半は攻めるしかない南葛飾にファーストチャンス。43分にセンターバックの松宮歩(3年・葛飾新宿中)が右へ展開すると、河内尚斗(3年・葛飾高砂中)のアーリークロスは杉浦に届かなかったものの、悪くないサイドアタックを。49分には関東第一も左から佐藤が右足でクロスを上げ切り、こぼれを叩いた貝瀬のシュートはDFがブロック。51分は南葛飾のカウンター。ゴールまで40m近い距離からキーパーの位置を見極めた佐々木一吹(2年・VIVAIO船橋)のロングシュートは、しっかり戻った関東第一の守護神・出口貴也(3年・葛飾青葉中)がきっちりキャッチ。お互いにやり合う展開が繰り広げられます。

53分は関東第一。佐藤、鹿股、笠井佳祐(2年・VIVAIO船橋)と繋いだボールを岡田が打ったシュートは、DFが体でブロック。54分は南葛飾。サイドハーフの小日向椋太(3年・葛飾大道中)が左から上げたクロスは、杉浦もわずかに触れず。56分は関東第一に1人目の交替。ゴールを奪った横山に替えて、平田晟也(2年・フレンドリー)がピッチに放たれると、58分には岡田が裏へ落とし、GKの鼻先で入れ替わった笠井のループはゴール右へ。58分は南葛飾に2人目の交替。前線で気持ちを見せた掛川隼斗(2年・足立第十三中)を下げて、鈴木潤(3年・江戸川小松川第二中)をピッチに解き放って勝負へ打って出ます。

61分は南葛飾。河内と小日向を経由し、中野涼介(3年・葛飾堀切中)が右クロスを上げるも、杉浦はシュートを打ち切れず。64分には途中出場の樋口大画(1年・葛飾奥戸中)が左CKを蹴るも、出口がキャッチ。65分と67分には南葛飾に相次いで交替。佐々木と小俣佳輝(3年・江戸川篠崎第二中)を、大塚と熊田眞士(3年・KSCウェルネスFC)をそれぞれ入れ替え、まずは何とか返したいワンゴール。70分は類家が「間接視野で見えていて、貝瀬くんがいつもあそこに走ってくれるというのはお決まりのパターンなので、感覚的に出した感じでした」という絶妙なスルーパス。抜け出した貝瀬はGKを外して流し込むも、ここは懸命に戻った青山がスーパークリア。後半は集中力の高い守備を披露し続ける南葛飾。残りは10分とアディショナルタイムへ。

71分は関東第一。小柳のパスから、「自分は裏抜けが得意なので」と口にする笠井が1対1を迎えるも、堀井がファインセーブで仁王立ち。ところが、73分にはエリア内へ潜った佐藤がマーカーともつれて倒れると、笛を鳴らした主審はペナルティスポットを指差します。キッカーは佐藤自ら。「笛が鳴ってから、自分の間合いでというか、キーパーがちょっと悩むくらい時間をおいて蹴ろうかな」とたっぷりタメて蹴ったキックは、GKの逆を突いて右スミへグサリ。「4点目が意外と後半は掛かりましたね」とは小野監督ですが、その大きな4点目が関東第一に入りました。

意地を見せたい南葛飾。76分には鳥飼が好フィードを送り、走った杉浦のボレーは弱く、出口がキャッチ。77分は関東第一が小柳と貝瀬を下げて、秋山幹太(3年・VIVAIO船橋)と菅原涼太(2年・SCH)を投入する2枚替えを敢行。80分は南葛飾。杉浦が左へ流し、小日向のクロスに突っ込んだ河内のボレーはゴール右へ。80分は関東第一に4人目の交替。池田と高嶋隆太(3年・田口FA)をスイッチして、最終ラインは右から類家、菅原、キャプテンの田中大生(3年・横浜FC JY)、鹿股を並べる4バックにシフト。ゲームを締めに掛かります。

執念実る。80+4分。南葛飾のラストアタック。サイドバックの中野が右からクロスを上げると、小日向が粘って残し、鈴木は左足一閃。DFをかすめたボールはエリア内の人垣を縫って、ゴールネットへ飛び込みます。3年生の3人が絡んで奪い取った1点は、後輩たちへの置き土産。タイムアップのスコアは1-4。「勝った最後のホイッスルが鳴った後も、みんなのやり切った感はなくて、失点は引きずっていたかなと。ああいう最後の最後で止められて、完封できるのは自分たちの強みなので、そこはもっと突き詰めてやっていきたいと思います」と出口も反省を口にした関東第一が勝利を収め、駒澤大学高が待つ準々決勝へと駒を進める結果となりました。

「リーグ戦とは違って11つ勝たないといけないという空気感の中で、やっぱり観客の人も多いですし、1つのミスが大きなミスに繋がることもあって、そこは味方に中で声を掛けて修正できたので、ゲームの中でそれがやれたことは良かったと思います」と出口が話したように、独特の雰囲気を2試合味わったことで、かなり選手権の戦い方が整理されてきた印象のある関東第一。昨年に味わった悔しさはやはりチームの共通認識。岡田も「関東第一がこのステージでやられるのは違うと思っているので、自分たちの代で関東第一は強いんだぞというのを知らしめたいと思っています」と力強くハッキリと言い切りました。前述したように次の相手は駒澤大学高。「今年は駒澤と2回戦っていてまだ勝っていないので、ちょうど良い機会ということで、全員勝ってやろうという気持ちで挑めると思います」と佐藤が話せば、「次はもっと強度が高いゲームになると思いますし、相手も勢いが凄いチームなので、まずそこで負けないようにしてから、違いを出す所は最後の決定力だったり、チーム全体の統一感かなと。あと1週間でミーティングもたくさんして、勝ちたいと思っています」と類家もキッパリ。決戦は土曜日。清瀬内山グラウンドです。       土屋

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