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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2019年10月23日

高校選手権東京A2回戦 國學院久我山×早稲田実業@駒沢第2

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久我山×早実.JPG

4年ぶりの全国を狙う國學院久我山がいよいよ選手権予選に登場。いきなり確かな実力を有する曲者の早稲田実業と対峙する注目の80分間は、おなじみの駒沢第2球技場です。

一気に埼玉スタジアム2002のファイナルまで駆け上がったのは2015年度のこと。それからの3年はことごとく予選の壁を破れず、悔しい時間を過ごしてきた國學院久我山。今年のチームは春先から明確に"日本一"を目指してきた中で、全国へと打って出たインターハイでは1回戦で神村学園に2-3と敗退。「もうあの時の悔しさは忘れられないので、僕たちの目標は日本一を獲ることですけど、まずは一戦一戦、目の前の試合を勝っていきたいと思っています」と話すのは10番を背負う戸坂隼人(3年・FC東京U-15むさし)。慢心を排除しつつ、勝利だけが求められる初戦に向かいます。

コンスタントに好チームを創ってくる中で、毎年のように強豪相手の惜敗が続くなど、さらなる上位を目指すだけの下地は十分に整っている印象のある早稲田実業。今シーズンも関東大会予選では初戦で関東第一に0-1で、インターハイ予選でも一次トーナメント初戦で東海大高輪台にPK戦で敗れるなど、優勝候補相手にあと一歩というゲームを演じてきているだけに、夏の東京王者を迎え撃つこのゲームで確かな結果を手にしたい所です。駒沢第2のスタンドには、午前中にもかかわらずサッカー好きが集結。楽しみな2回戦は早実のキックオフでスタートしました。

ファーストシュートは1分の早実。右サイドから1トップを務める木原爽汰(2年・浦和レッズJY)が枠へ飛ばしたミドルは、久我山のGK村上健(2年・FC東京U-15深川)にキャッチされたものの、積極的なトライを見せると、6分にも右FKをレフティの横井創(3年・FCトッカーノ)が蹴り込み、ここはDFにクリアされましたが、まずは早実が勝利への意欲を前面に押し出します。

一方、「独特の初戦の難しさは感じました」とゲームキャプテンの山本航生(3年・東急SレイエスFC)も話した久我山は、6分に保野友裕(3年・東京武蔵野シティFC U-15)の縦パスを田中琢人(2年・ジェファFC)が捌き、山本航生が狙ったシュートは、早実3バックの左に入った清水遥人(2年・Forza'02)がきっちりブロック。7分に山本献(3年・横浜F・マリノスJY追浜)が蹴った左CKに、ファーで保野は合わせ切れず。なかなかテンポが出てきません。

11分は早実。右からここも横井が蹴ったFKは、村上がパンチングで回避。16分も早実に決定機。右からウイングバックの佐井康人(2年・Forza'02)が上げたクロスを、左で拾った蔵田旺祐(3年・早稲田実業中)が再び中へ。飛び込んだ木原のシュートはクロスバーに当たり、期せずしてどよめくスタンド。17分に大橋優貴(3年・VITESSE福岡)が入れた左CKも村上がパンチングで防いだものの、早実に漂い始めた"やれる感"。

「持たされている感が出てしまうと停滞すると思っていたので、自分たちからアクションを起こすことが大事でしたけど、前半はアクションが少なかったかなと思います」と清水恭孝監督も口にした久我山。20分には左サイドを運んだ山下貴之(3年・ジェファFC)がシュートまで持ち込むも、早実のGK山崎泰斗(3年・浦和レッズJY)が丁寧にセーブ。21分にも「自分は守備より攻撃メインで入れてもらっていると思う」と語るルーキーの左サイドバック森次結哉(1年・FC東京U-15むさし)がギャップに打ち込み、スムーズなターンで前を向いた田中のシュートは山崎がキャッチ。29分にも森次を起点に田中が繋ぎ、山本航生がエリア外から打ったシュートは、こちらも早実のルーキー宮寺政茂(1年・三菱養和巣鴨JY)が体を張ってブロック。動かないスコア。

31分は早実にチャンス。右サイドをえぐった木原が中央に折り返すと、大橋のシュートは村上が何とか弾き出し、横井が叩いたミドルは枠を大きく外れるも、その一連に沸き立つ早実応援席。34分は久我山。森次の横パスを受けた保野が、ミドルレンジから打ち切ったミドルも大きく枠外へ。「前半はなかなか集中力もあまり入っていなくて、全然うまく行かなかったんです」とは戸坂隼人。最初の40分間はスコアレスで終了しました。

後半はスタートから久我山がラッシュ。42分に戸坂隼人が蹴った右CKを森次が残し、山下が打ったシュートはDFにブロックされたものの、46分にも山本献の左CKから決定的なチャンス。保野が頭で折り返したボールを、センターバックの加納直樹(3年・ジェファFC)はボレーで狙うもヒットせず、思わず抱えた頭。48分には早実も蔵田の展開から、清水遥人の左クロスに大橋が飛び込むも、田中が間一髪でクリア。49分は再び久我山。山本献が右CKをマイナスに蹴り込むと、フリーで入った戸坂隼人のシュートは枠を越えましたが、「後半は球際を意識したらうまく入れた」とその戸坂隼人も認めたように、久我山の続く攻勢。

51分も久我山。保野の縦パスから大窟陽平(2年・1FC川越水上公園)がスルーパスを通し、戸坂隼人が右から放ったシュートはクロスバーにヒット。同じく51分には早実も1人目の交替として、蔵田と樋爪悠人(3年・江東深川第四中)を入れ替えると、52分も久我山は森次が果敢なパスカットから縦へ付け、ターンした山本航生のシュートは山崎がキャッチしたものの、完全に踏み込まれたアクセルそのままにスコアが動いたのはその直後。

53分。左サイドを山下が鋭いフェイントで深くえぐって優しく中央へ。ポケットに潜った田中の折り返しを、戸坂隼人は「地面が濡れていたので、軽くバウンドさせようかなみたいな感じで」ミドルへ持ち込むと、山崎がファインセーブで応酬したこぼれ球は山本航生の元へ。9番は難なくボールをゴールネットへ押し込みます。「ああいうゴールはチームが始まってからずっと取ってきたゴールですし、ああいう所に一番早く反応して点を取るというのは自分の持ち味の1つだと思う」というエースストライカーの一撃。久我山がとうとう1点のリードを強奪しました。

よく耐えていたものの、ビハインドを負った早実。62分には樋爪が獲得した左FKを大橋が蹴り込むも、久我山ディフェンスがクリア。その右CKをレフティの清水遥人が蹴ったボールへ、突っ込んだ横井はわずかに届かず。63分には森泉武信監督も2人目の交替を決断。サイドでスルスル抜けていくドリブルが目立っていた新井田裕介(3年・東急SレイエスFC)を下げて、戸坂修人(1年・FC東京U-15むさし)を投入すると、システムも3-4-2-1から4-4-1-1気味にシフト。ボランチの永瀬祐(3年・エスペランサSC)と大橋はそのままに、右サイドハーフに木原、左サイドハーフに樋爪、最前線にアイクソエ怜生オーエンス(2年・大宮アルディージャJY)、その少し下に戸坂修人を配す、思い切った采配を振るいます。

64分は久我山のセットプレー。戸坂隼人の右CKを保野が頭で残すと、森次のヘディングは枠の右へ。66分も久我山の決定機。大窟とのワンツーで右サイドを抜け出した戸坂隼人のクロスに、フリーで走り込んだ田中のシュートはヒットせず。68分は早実。アイクソエが粘り、樋爪のパスから清水が上げたクロスは村上がキャッチ。69分は久我山に1人目の交替。田中に替えて清井大輔(3年・FC東京U-15むさし)を右ウイングに送り込み、戸坂隼人がインサイドハーフにスライド。スコアはわずかに1点差。残された時間は10分間とアディショナルタイムのみ。

70分は久我山。アンカーの福井寿俊(3年・東急SレイエスFC)が縦に入れ、大窟の反転シュートは枠の左へ。71分は早実。縦に持ち出した木原が右へ流すも、アイクソエのクロスはバーの上へ。73分は久我山。戸坂隼人の右CKから、保野のヘディングに反応した清井のシュートは山崎がキャッチ。74分も久我山。大窟のパスから山本献が放ったシュートはゴール左へ。1-0。痺れる最終盤。

早実が相次いで切る手札。74分は佐井と清水友浩(3年・ジラソーレSC)を、75分は清水遥人と阿蘇谷大智(2年・横浜F・マリノスJY追浜)をスイッチして最後の勝負へ。76分に左から大橋の蹴ったFKは、保野が懸命にクリア。79分は双方に交替が。久我山は殊勲の山本航生を下げて、小松譲治(1年・ジェファFC)をピッチへ。早実は永瀬に替えて、奥野開(3年・東京SAISON)をそのままボランチへ送り込む最後の交替を。アディショナルタイムの掲示は3分。180秒間のファイナルバトル。

80分は久我山。山下のラストパスを引き出し、清井が枠へ収めたシュートは山崎がファインセーブで掻き出し、奥野が必死にクリア。80+3分は久我山に3人目の交替。山下と野田祐成(3年・東京武蔵野シティFC U-15)を入れ替え、取り掛かるゲームクローズ。80+3分は久我山。戸坂隼人の左クロスに、清井が合わせたシュートがゴール右へ外れると、これがこのゲーム最後のチャンス。「1点取って勝てばいいというのがトーナメントなので、それを焦れないで攻め続けられたのが良かったと思います」と山本航生も口にした久我山が、苦しみながらも準々決勝へ駒を進める結果となりました。

久我山で先制点に絡んだ戸坂隼人と、早実で1年生ながら途中出場を果たした戸坂修人は、その名字や名前からもわかるように兄弟。今回は兄に軍配が上がりましたが、その隼人は「早実の応援団もずっと『修人、修人』って言っていて、まあ、ちょっと集中力が切れることはないんですけど、負けられないですよね」と苦笑いを浮かべつつ、「1年からこういう舞台でサッカーができるのはうらやましいですね。僕が1年の時は登録メンバーだったんですけど、ベンチ外でスタンドから見ていたので、そういった意味でもこういう経験を兄としては来年、再来年に生かして欲しいです」と弟へエールを送っていました。都内屈指のドリブラーとして名を馳せる兄と同じピッチに立ち、その偉大さを改めて弟が体感したであろうことは疑う余地のない所。修人の来年以降にも、大いに注目したいと思います。     土屋

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