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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2019年05月23日

インターハイ東京一次トーナメントAブロック決勝 東京実業×東海大高輪台@駒沢補助

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東実×高輪台.JPG

一次トーナメント屈指の好カードがブロック決勝で実現。東京実業と東海大高輪台のビッグマッチは、駒沢補助競技場です。

昨年度の選手権予選では2年連続で東京の代表権を獲得していた関東第一をPK戦で破るアップセットを演じながら、続く大成戦にはPK戦で屈し、悲願の全国出場は叶わなかった東京実業。迎えた今シーズンの関東大会予選は、初戦で日大鶴ヶ丘に5-0で快勝を収めながら、2回戦でまたもや大成に1-3で返り討ちに遭いましたが、T2では2勝2敗とイーブンの成績の中でリーグトップの11得点と、破壊力抜群の攻撃力を披露しており、そのアタッキングスタイルを後ろ盾に、初夏の上位進出を虎視眈々と狙います。

好素材を揃えながらも、インターハイ予選は一次トーナメント初戦で東京成徳大学高に、選手権予選は二次予選2回戦で成立学園に、揃って1点差で敗れ、なかなか思ったような結果は残せなかった昨シーズンの東海大高輪台。新チームがスタートし、最初のトーナメントコンペティションとなった新人戦で、5試合で26得点無失点と圧倒的な数字を叩き出して地区制覇を達成したものの、関東大会予選は初戦で堀越に0-2で惜敗。雪辱を期す今大会も一次トーナメント初戦で早稲田実業に苦しみながら、何とかPK戦で難関を突破。「関東大会は自分たちの力を5割も出せずに敗北したという所で、課題として毎試合毎試合自分たちの力を出せるように、練習から雰囲気だったり、練習の激しさだったりは常に求めてきたので、それがしっかり結果として今は出ているのかなと思います」とはキャプテンの藤井一志(3年・ヴィッセル神戸伊丹U-15)。3年前にも経験した支部予選からの下克上に燃えています。強豪同士の激突とあって、バックスタンド側には観衆がギッシリ。注目のブロック決勝は高輪台のキックオフでスタートしました。

「ウチが結構押し込んでいる状態で、相手も結構クリアというか、アバウトなボールを蹴り込んでくる中、それもしっかりチャレンジアンドカバーで対処できていて、そこまで来られるという形はなかったと思います」とボランチを託された鈴木颯太(3年・Forza'02)が振り返ったように、序盤から攻勢に出たのは高輪台。センターバックの茂木成志(3年・ジェファFC)と岡田知也(2年・GRANDE FC)からビルドアップしつつ、右の名倉海登(3年・ジェファFC)、左の苗加慶太(3年・浦和レッズJY)と両サイドハーフを走らせる展開で、ゲームリズムを掌握します。

すると、先にスコアを動かしたのも高輪台。24分に後方からのボールを受けたセンターフォワードの桑山侃士(2年・GRANDE FC)は、GKの位置を確認するとロングレンジからループを選択。綺麗な弧を描いたボールはゴールネットへ弾み込みます。「打った瞬間に『ああ、入った』と思いました。僕たち側からしたら、常にシュートを彼は狙っていますし、キーパーの位置もしっかりいつも見えているので」と藤井が語れば、「超ロングループシュートでしたね。良く狙っていたと思う」とは川島純一監督。ストライカーのゴラッソで高輪台が先制点を奪いました。

以降も1点のアドバンテージを後ろ盾に、続く高輪台ペース。「ずっと課題だった球際の部分も練習通り戦うことができたので、うまく守備からゲームに入れて、自分たちの流れを創ることができたと思います」とは藤井。右から大谷昌暉(3年・FCトッカーノ)、茂木、岡田、宮田龍芽(3年・FC.PROUD)と並んだ4バックと昨年から守護神を任されているGKの豊田隼(3年・東川口FC)も含め、ディフェンス陣の安定感も高く、東実になかなか付け入るスキを与えません。

さて、早くも30分に1人目の交替として古屋光世(2年・石神井マメックスFC)と大塚航輝(3年・港区三田中)を入れ替えた東実は、2トップの初田来音(3年・FC町田ゼルビアJY)と坂原由哲(3年・TFA)にボールが届かず、手数も繰り出し切れないままに経過する時間。「前半はほぼほぼパーフェクト。最初の10分くらいはやり合って戦ったんだけど、それ以降はずっと押し込んでいる感じでしたね」とは川島監督。高輪台が1点をリードしたまま、最初の40分間は終了しました。

後半はスタートから2人目の交替。梅井勇輝(2年・インテリオールFC)を下げて、小林誠汰(3年・FC多摩)を2トップ下へ配し、中盤はアンカーに菅原陸斗(3年・町田第一中)、右に川浪歩月(3年・ヴェルディSSレスチ)、左に大塚のダイヤモンドに。最終ラインは右から長谷謙吾(3年・MK FC)、二見夏生(3年・横浜荏田南中)、須永脩馬(2年・すみだSC)、横山琳一(2年・FC ESFORCO)が並ぶ布陣で、まずは1点を返す態勢を整えます。

43分は高輪台。桑山を起点に名倉が右へ振り分け、細野空人(3年・GRANDE FC)がダイレクトで狙ったループはゴール左へ。45分は東実。右CKを初田が蹴り込むも、須永のヘディングはヒットせず。47分は高輪台。左に開いた桑山が中へ付けると、名倉のシュートは東実のGK今村翼(2年・大豆戸FC)がしっかりキャッチ。48分は高輪台。細野のミドルは枠の左へ外れましたが、「早実戦も東実戦もチャレンジャーとしてやってきている気持ち」と鈴木が表現したチャレンジャー精神は、高輪台にとって間違いなく良好な方向に。

51分の歓喜は積極的な8番によって。後半だけで2本のミドルを放っていた細野が左サイドで前を向くと、ここも思い切り良くミドルにトライ。きっちり枠を捉えたボールはGKも弾き切れず、ゴールネットへ到達します。「アイツはロングシュートを持っているので、毎試合狙っていると思います」と指揮官も話した通り、細野の折れないメンタルが呼び込んだ追加点。高輪台のリードは2点に広がりました。

53分に高輪台は1人目の交替。ゴールを決めた細野に替えて、右サイドに横山歩夢(2年・FCトッカーノ)を送り込み、名倉は中央へスライド。54分は高輪台にチャンス。右サイドを運んだ名倉が中へ送り、苗加のシュートは枠の左へ。55分は東実に3人目の交替。長谷と遊佐兼心(3年・横浜FC鶴見JY)をスイッチして、最終ラインに変化を。58分は高輪台。右サイドからカットインした名倉のシュートは今村が弾き出し、詰めた桑山はシュートを打ち切れず。決定的な3点目は奪えません。

59分に高輪台は2人目の交替。苗加に替えて、伊藤唯(3年・クリアージュFC)を投入すると、1分後に「ああいうオシャレなプレーは好きなので」と笑った藤井のループパスから、抜け出した伊藤のシュートは今村にキャッチされるも、素晴らしい手数を。62分には3人目の交替として桑山と金子京矢(3年・クリアージュFC)も入れ替え、伊藤は右サイドバックに位置し、大谷が左サイドバックにスライド。宮田は左サイドハーフに1列上がり、さらなる攻撃姿勢を。

65分は高輪台。伊藤が右サイドをドリブルで進み、宮田が打ったシュートは二見が体でブロック。67分は東実に4人目の交替。川浪と田中龍之介(3年・東京チャンプFC)をスイッチして、前線は田中と初田の2トップに。69分は高輪台に4人目の交替。名倉を下げて、佐光隼翔(3年・三菱養和調布JY)をピッチへ解き放ち、「3点目を取りに行く態勢」(川島監督)にシフトします。

70分は高輪台のカウンター。相手CKのこぼれを拾った藤井が左へ展開し、佐光のシュートはDFに当たって枠の左へ。直後の左CKを藤井が蹴り込むも、ファーに流れてゴールキックに。73分も高輪台。藤井のパスを宮田がヒールで残し、少し運んだ藤井のシュートは「最近ずっと自主練でもシュートの練習はやっているので、信じて打ったら正面でした(笑)」と苦笑したように、今村が正面でキャッチ。スコアは0-2のままで、残された時間は5分とアディショナルタイムへ。

76分の反撃弾はセットプレーから。東実が左サイドで奪ったFK。スポットに立った初田が丁寧に蹴り込んだキックがエリア内で混戦を生み出すと、飛び込んだ須永のヘディングは右スミのゴールネットへ吸い込まれます。「僕の反省点だな。3点目を狙わずに2-0で終わらせておくべきでしたね」とは川島監督。たちまち両者の点差は1点に縮まります。

東実の決定的な同点機は78分。田中が粘り強く残し、右から初田が入れたボールを、エリア外から菅原が狙ったシュートはわずかにゴール左へ逸れ、一様に頭を抱えた東実イレブンとベンチ。80分は高輪台。横山が相手のミスパスを拾うも、少し焦って狙ったシュートは今村がキャッチ。80+3分に到来した東実のラストチャンスは、左サイドで得たスローイン。遊佐が懸命に投げ込んだロングスローから、小林が上げ切った左クロスは豊田ががっちりキャッチすると、程なくして吹き鳴らされたファイナルホイッスル。「今日は終盤までずっとゼロで行けたので、チームとしても攻守のバランスが良かったと思います」と藤井も笑顔を見せた高輪台に軍配。二次トーナメント進出を勝ち獲る結果となりました。

「1回戦は守備陣とキーパーが頑張って無失点に抑えてくれて、攻撃陣はゼロ得点という課題が残ったんですけど、今回は逆に攻撃陣がしっかり2点取って、守備ができたから次は攻撃陣が頑張るという、持ちつ持たれつの良い関係ができて、今のチームの強さが出てきているのかなと。守備陣が頑張る時は本当に守備を頑張ってくれるし、キーパーも凄く頼りになりますし、逆に今日みたいに攻撃陣も点を取れる力は十分に備えているので、そこでしっかり点を取れる時は取って、持ちつ持たれつという関係が、凄く今チームに良い雰囲気や流れが来ている要因の1つかなと思います」と藤井が口にしたように、ここに来て高輪台には攻守の好サイクルができてきているようです。今年のチームを問われて「結構賢いチームになれると思いますね。去年出ていた子が78人いるから、そういう面でベースはちゃんと同じ絵は描けていますし、あとはいろいろな戦略的なものを詰めていける代になるんじゃないですかね」と楽し気に話したのは川島監督。3年ぶりの全国へ。高輪台が復権に向けてアクセルを踏み込み始めています。     土屋

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