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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2019年05月01日

関東大会予選東京準決勝 大成×都立東久留米総合@駒沢第2

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大成×久留総.JPG

関東大会へと乗り込むために必要な、もう1枚の切符を懸けて争われるセミファイナル第2試合。大成と都立東久留米総合の一戦は、引き続き駒沢第2球技場です。
昨年度の選手権予選は躍進の時。暁星や成立学園といった全国経験校を相次いで破り、ファイナルでは国士舘に惜敗して初戴冠こそ逃したものの、その名を大きく轟かせた大成。その時の主力を多く残した今シーズンも、チームはリーグ戦で開幕2連勝と好スタートを切ると、今大会も初戦で多摩大目黒を延長戦の末に4-3と振り切り、東京実業にも3-1と勝利。さらに、クォーターファイナルも日大豊山に2点を先行されながら、延長での逆転勝利を収めており、ここ半年近いチームが纏っている確かな勢いを後ろ盾に、関東大会進出を真剣に狙います。
長年チームの指揮を執ってきた齋藤登監督の退任を受け、加藤悠監督体制でスタートを切った昨年度は、なかなかトーナメントコンペティションで上位に食い込むまでには至らず、悔しいシーズンを過ごした都立東久留米総合。昨年末の新人戦を勝ち上がって登場した今大会は、初戦で強豪の修徳を2-1で退けると、ラウンド16では駿台学園を3-3という打ち合いの末にPK戦で撃破。先週の準々決勝でも、昨年度の選手権王者となった国士舘に1-0で競り勝ってセミファイナルまで。「最後に体を張る部分とか、負けない部分とかは、凄く付いてきましたし、自信はみんな付いてきたと思います」と話すのはボランチの柳田晃陽(3年・FC.GROLIA)。さらなる自信を手にするための80分間へ臨みます。駒沢の上空は今にも雨が零れ落ちそうな曇天模様。注目の準決勝は大成のキックオフで幕が上がりました。

「立ち上がりは凄く流れが悪くて、この関東大会は結構浮き足立っちゃう部分もありました」と東久留米総合のキャプテンを任された下田将太郎(3年・東京久留米FC U-15)が話したように、スタートから勢い良く飛び出したのは大成。昨年からドイスボランチを組んでいるレフティの宮脇茂夫(3年・練馬三原台中)と内田康平(3年・FC多摩)の配球力と、1トップ下に入ったキャプテンの杉田健(3年・三菱養和調布JY)が有する推進力をベースに、少しずつ攻撃のリズムを掴んでいきます。
すると、16分に飛び出した先制点。大成は右サイドで獲得したCKを宮脇が得意の左足で蹴り込むと、最後はこちらも昨年から主力を張ってきた大石勇冴(3年・FC多摩)がきっちりゴールネットへ流し込みます。流れそのままに生まれたゴール。早くも大成が1点のリードを奪いました。
「ああならないことがもちろんいいんですけど、今の力だとああいう不安定な所がまだまだあって。でも、コレはもう我慢だなと思ってました」と加藤監督も口にした東久留米総合は、ビハインドを追い掛ける展開の中で、18分には大石のドリブルシュートが枠を襲い、東久留米総合のGK酒井真(3年・三菱養和調布JY)がファインセーブで阻んだものの、あわや追加点献上というシーンが。21分にはボランチの坂井廉太朗(3年・FC.PROUD)が縦に入れたパスを、前線の山中真紘(3年・GOODLY SPORTS CLUB)が収めて左へ流すも、走った佐藤海翔(3年・ジェフェFC)はわずかに届かず。32分にも右サイドで得たFKを柳田が蹴り入れるも、飛び込んだ下田の前で大成のセンターバックを務める佐藤イライジャ(3年・FC.GROLIA)がきっちりクリア。直後にも柳田が狙ったシュートは、DFに当たって大成のGK小山飛来(1年)が丁寧にキャッチ。なかなかゴールに迫れません。
33分は大成。右サイドバックの今西奏真(3年・府ロクJY)が絡んだアタックでロングスローを得ると、阪口駿(3年・あきる野東中)の"投球"を杉田が繋ぐも、下田が懸命にクリア。34分も大成。左サイドで前を向いた内田のミドルは枠の右へ。37分も大成。センターバックの金井渉(3年・FC多摩)が後方からFKを蹴り込み、阪口が繋いだボールを内田が叩いたシュートはDFが弾き出し、さらに大石が打ち切ったシュートは酒井がキャッチ。38分は東久留米総合。柳田の右FKから、こぼれを拾った加藤隼吾(3年・Forza'02)のシュートはDFがブロック。39分も東久留米総合。ピッチ中央右寄り、ゴールまで約30mの位置から柳田が直接狙ったFKはカベにヒット。大成の左サイドバックを務める加藤竜吾(3年・Forza'02)と東久留米総合の右サイドバックに入った加藤隼吾の"双子マッチアップ"を筆頭に、やり合い出した両者。動き始めた流れ。
東久留米総合の咆哮は40分。左サイドで手にしたCK。キッカーの柳田が「直接狙って、ごちゃごちゃした中で入ればいいかなみたいな」ニュアンスで蹴ったキックに、ニアで合わせた松山翔哉(3年・府ロクJY)のヘディングはクロスバーを叩きましたが、こぼれを再び松山がシュート。枠へ向かったボールはDFも掻き出し切れず、ゴールラインを割ったと主審も副審もジャッジします。「いつもはプレースキッカーの足立真(3年・FC杉野)が出場停止でいなかったんですけど、柳田も前から蹴っていて、結構イヤらしい所に蹴るので、セットプレーはチャンスができるかなと思っていたので、アレは大きかったですね」とは加藤監督。前半の40分間は1-1で終了しました。

後半最初の決定機は東久留米総合。43分に原圭佑(3年・フレンドリー)の左クロスから、松山が枠へ収めたシュートは小山がファインセーブで応酬し、上がっていた左サイドバックの亀井啓汰(3年・FC府中)が打ったミドルはゴール左へ外れたものの、いきなり見せた勝ち越しへの意欲。50分は大成。大石を起点に内田が左へスルーパスを通し、運んだ杉田のシュートは枠の左へ。52分も大成。内田が右へ振り分け、阪口を経由して平川優大(3年・調布第八中)が放ったシュートは枠の右へ。お互いに次の1点を探り合います。
完璧な一撃は53分の大成。佐藤イライジャが縦にボールを打ち込むと、平川がダイレクトで丁寧に落としたパスを受け、中央を抜け出したのは内田。そのままフルスピードで運びつつ、GKとの1対1も冷静に右スミを狙ったシュートは、鮮やかにゴールネットを揺らします。流れるようなアタックが、きっちりもぎ取ったゴールという果実。大成が再び1点のアドバンテージを手にしました。
またもビハインドを背負った東久留米総合は、59分に1人目の交替を決断。右サイドハーフで奮闘した原を下げて、「本来であればこの代の中心でなければいけない選手」と加藤監督も表現した10番の野口大陽(3年・練馬FC U-15)をそのまま右サイドハーフに送り込むと、「自分の武器は仕掛けていくことだし、相手も疲れていたので、自分がどんどん仕掛けてチャンスを創ろうと思っていました」という野口がファーストプレーのドリブルで1人を抜き去った時に、ピッチへ漂ったゲームリズムの潮目。
63分の執念は「チームが沈んだ時に自分の声で鼓舞できるようにというのは考えてやっています」という熱血系キャプテンによって。左CKのスポットに向かったのは柳田。「大成の守備が片方の側に寄っていて、マイナスが結構空いていたので」そのマイナスを狙ったボールは下田にドンピシャ。「ここで決めてやろうと思っていた」ヘディングは、GKの股下をすり抜けてゴールネットへ転がり込みます。「キーパーの前で落ちて、伸びてみた時には股を抜けて入ったので、『ああ、良かったあ』みたいな(笑) 超嬉しかったです」と笑った下田の、まさに執念の一撃。東久留米総合がまたもスコアを振り出しに引き戻します。
65分の狂喜は「決める気しかなかった」と言い切った7番によって。相手のパスをカットした松山が左サイドからクロスを上げると、「転がってくるのを準備していて、打とうと思ったんですけど、目の端の方に柳田がいるのが見えたので、蹴るふりをして落としました」という野口はダイレクトで極上の落とし。「ずっと『出せ、出せ』って呼んでいて、大陽が出してくれたので、あとは決めるだけでした」という柳田が右足を振り切ると、ボールは豪快にゴールネットへ突き刺さります。「メッチャ気持ち良かったです。アレは最高ですね。何も考えずにベンチが見えたので、ベンチに行きました」というスコアラーを中心に広がった笑顔の輪。とうとう東久留米総合が逆転に成功しました。
流れを変えた10番はさらなる躍動を。67分に右サイドからカットインした野口は見事なスルーパス。抜け出した山中のシュートは小山がファインセーブで回避しましたが、「関東大会が始まって、自分が10番を付けているのに何もチームの役に立てていなかった」と言及する野口の存在感にざわめくスタンド。68分は大成に1人目の交替。1トップの平川に替えて、服部寛大(3年・FC府中)を投入し、アタッカー陣の顔ぶれに新たな変化を。69分に宮脇が蹴った右CKは、酒井がパンチングで回避。下田、五賀駿也(2年・JACPA東京FC)のセンターバックコンビと、酒井のトライアングルも確実に安定感を打ち出す東久留米総合。残された時間は10分間とアディショナルタイムのみ。
72分は大成。宮脇の右CKから、佐藤イライジャが競り勝ったヘディングはゴール左へ。74分も大成。阪口の右ロングスローから手にした右CKを宮脇が蹴り込むも、酒井が大きくパンチング。76分も大成。再三に渡ってチャンスメイクに奔走した杉田が粘って残し、大石が放ったシュートは酒井が丁寧にキャッチ。77分は東久留米総合。右から柳田が蹴ったCKは、奮闘の続く1年生守護神の小山がキャッチ。78分は大成。阪口の右ロングスローに服部が競り勝ち、金井が頭で繋いだボールは酒井がキャッチ。東久留米総合は80分に2人目の交替。2点に絡んだ松山と岡田圭太(3年・レッドスターJY)をスイッチして、取り掛かるゲームクローズ。アディショナルタイムは4分。いよいよゲームも正真正銘の最終盤。
80+4分は大成のセットプレー。左サイドでFKのボールをセットした宮脇は自信のある左足でボールを蹴り入れると、ここも服部が高い打点で競り勝ち、金井の前にこぼれるもシュートには至らず、この流れが切れた直後に吹き鳴らされたファイナルホイッスル。「なんか『ああ、勝っちゃった。これで関東大会出場かあ』みたいな。でも、素直にメチャクチャ嬉しかったですね」と満面の笑みは下田。東久留米総合が粘り強く接戦を制して、関東大会進出権を獲得する結果となりました。

「僕、国士舘戦が終わった後にロッカーで泣いちゃって。というのは、斎藤先生の最後の年と僕の最初の年と、"都立東久留米総合"という名が、東京の上位から消えていた2年間があって、その2年間の選手たちって凄く良い選手たちで、その子たちを立たせることができなかったステージに、その子たちを見ていた1年生だったこの子たちが立って、かつベスト4に公立高校の我々の名前を残してくれたのは純粋に嬉しかったし、ありがとうという気持ちでしたね。去年ことを考えるとちょっとキツイなと思っていたので、本当に選手たちに救われました」と嬉しそうに語ったのは加藤監督。しかも、今年の代は決して強いと言われてきた代ではなかったとのこと。「入学当初は自分たちの代は弱い弱いと言われ続けてきて、悔しくてみんな頑張っていたので、『自分たちの代になったらどんなに苦しい試合になっても勝つぞ』みたいな気持ちは持っていましたね」と柳田が語れば、「強い代とは言われてこなかったので、それで結果を1個残せたというのはみんな気持ち的には乗ると思います」と下田。そういう意味でも彼らにとっては価値のある関東大会出場なのではないでしょうか。「関東大会は自分たちより格上が揃っているので、チャレンジ精神を持ってどんどんチャレンジしていきたいと思います」と言い切ったのは柳田。東久留米総合が見せる春の進撃はまだまだ続きます。        土屋

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