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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2019年04月03日

T3リーグBブロック2019第1節 駿台学園×日大豊山@赤羽スポーツの森

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T1とT2に続いて、いよいよT3リーグも迎える開幕。駿台学園と日大豊山が激突するオープニングマッチは、赤羽スポーツの森公園競技場です。
昨シーズンは大躍進の時。関東大会予選でファイナリストとなり、本大会でも存在感を発揮すると、選手権予選でもその持てる強さを存分に発揮して西が丘まで。最後は優勝した駒澤大学高にPK戦で敗れましたが、そのチームが醸し出す底抜けに明るいキャラクターも含めて、多くの人々を惹き付ける1年を過ごした駿台学園。「ちょっと今年の代は自分が自分がというか、『なんか決めてやろう』みたいな子が多くて、自己主張が強い子たちではあるんですよね」とは大森一仁監督。ほとんどの主力が入れ替わった中で、今年のチームをアピールするための初陣へ向かいます。
関東予選では2回戦で成立学園に、インターハイ予選では1次トーナメント決勝で早稲田実業に、1次予選を勝ち抜いた選手権予選では2次予選初戦で東京実業に、それぞれいずれも惜敗を突き付けられ、トーナメントコンペティションでの上位進出は果たせませんでしたが、T4リーグでは無敗の上に得失点差も圧倒的な成績で、T3昇格を引き寄せた昨シーズンの日大豊山。迎えた新チームは「ある程度ボールを動かすというのはテーマでやっている」と海老根航監督も口にしたように、丁寧なポゼッションスタイルを標榜中。「T3に上がってきて初戦で、凄く大事な試合」と上原涼(3年・FCトレーロス)も言い切った、期待と不安の入り混じる90分間へ挑みます。赤羽のスタンドは真冬を思わせるような寒風の吹くコンディション。注目の第1節は日大豊山のキックオフでスタートしました。

ファーストシュートは駿台学園。1分経たないうちに、ミドルレンジでルーズボールを収めた三瓶航太(3年・駿台学園中)がシュートにトライ。ボールは枠の右へ外れたものの、早くも積極的な姿勢を打ち出すと、5分には日大豊山も左サイドで獲得したCKを上原が蹴り込み、ファーでセンターバックの小野修平(3年・VIVAIO船橋)が折り返すも、ここはDFがクリア。逆に9分は再び駿台学園。センターバックの延山光聖(3年・クリアージュFC)が利き足の左で右CKを蹴り入れ、同じくセンターバックの鮫島貴士朗(3年・足立第十一中)のリターンから、三澤崚太(3年・駿台学園中)がゴールネットを揺らしたヘディングはオフサイドで取り消されるも、まずは駿台学園が勢いを持って立ち上がります。
ただ、11分に3トップ中央を務める恒川俊輔(3年・練馬中村中)が左に流れて右足でクロスを放り込み、飛び込んだ小岩井駿太(2年・クリアージュFC)がわずかに届かなかったシーンを経ると、「後ろでは回していたんですけど、なかなか前に入っていけなかった」(海老根監督)日大豊山は少しずつ前への推進力が。20分には上原、小岩井と中距離のパスをダイレクトで繋ぎ、抜け出した伊藤和輝(2年・三鷹F.A.)のシュートは駿台学園のGK安井祐貴(3年・ヴェルディSSレスチ)がファインセーブで回避するも、スムーズなアタックが。25分にも「自分はスピードがあると思っているので、縦への突破が得意です」と話す上原の突破で手にした左CKは、シュートまで結び付かなかったものの確かな圧力を。少しずつ傾き出したゲームリズム。
駿台の決定機は28分。相手陣内でチェイスした中村海知(3年・駿台学園中)のパスカットは、そのまま横内翔(3年・クリアージュFC)の足元へ入ると、少しタメて丁寧にラストパス。追い越した高橋秀斗(3年)のシュートはDFをかすめ、ボール1個分だけゴール右へ逸れましたが、「ネガティブトランジションの部分が全然まだまだなんです」と大森監督も口にした"ネガトラ"から、逆にビッグチャンスを。直後の中村、31分の延山と続いたCKはシュートまで至らなかったものの、漂い始めた反撃の香り。
ところが、先に歓喜の瞬間を引き寄せたのはアウェイチーム。36分はこの日4本目のCK。左から上原が入れたキックはエリア内で混戦を生み出すと、「自分的にはボールを待って、『来い来い』みたいな感じでいたら本当に来たので」恒川は左足でプッシュ。ボールはゴールネットへ飛び込みます。「初戦で緊張していたんですけど、『とりあえず1点取ろう』と思っていたのでメッチャ嬉しかったですね」と笑ったストライカーの見事な先制弾。日大豊山が1点のリードを手にしました。
畳み掛けたグレーの桜。43分にはGKの白石裕也(3年・練馬三原台中)が飛距離の出るキックを飛ばし、相手GKのミスに乗じてフリーで飛び出した上原のシュートはヒットせず。45+1分にも左から恒川がスルーパスを通し、突っ込んだ小岩井より一瞬早く、飛び出した安井が間一髪でクリア。45+3分にもまたもや恒川がスルーパスを流し込み、完全に1対1となった小岩井のシュートは、安井がここもファインセーブで仁王立ち。とはいえ、「試合中でも結構みんな声を出していた」(上原)日大豊山の好リズムは継続。0-1で最初の45分間は終了しました。

後半のファーストシュートは日大豊山。47分に恒川、上原と細かく繋ぎ、インサイドハーフの永澤恵斗(3年・FC駒沢)が放ったミドルはゴール右へ外れましたが、48分にも恒川が左へ振り分け、上原がシュート気味に入れたクロスはそのままファーへ流れるも好トライ。49分には決定機。右サイドをドリブルで抜け出した恒川は1対1になり、ここは安井がファインセーブで立ちはだかるも、直後の右CKを永澤が蹴ると、高井照義(3年・Forza'02)のヘディングは枠の左へ逸れたものの、「ゴリゴリ行くしかないですね。それができなくなったら終わりって感じです(笑)」と笑う恒川の際立つ"前進力"。
「前半の途中に自分たちで気付いて、ハーフタイムにどうするかって話したら、『1個上げて3バックにしましょう』みたいな感じだった」と大森監督も明かした駿台学園でしたが、後半もなかなか攻撃に出ていけない状況を受けて、ベンチも決断。50分に杉浦慶太(2年・駿台学園中)と村雲礼惟(3年・駿台学園中)を、54分に高橋と岡崎大貴(3年・足立第四中)を相次いで入れ替え、何とか反転させたいペース。一方の日大豊山も56分に1人目の交替。「2月ぐらいにAチームに上がったばかりですけど、ここ最近で凄く結果も出したので」(海老根監督)初スタメンに抜擢され、奮闘した小岩井を下げて、キャプテンの佐藤匠(3年・FCトレーロス)を右サイドバックに投入し、その位置にいた橘川隼人(3年・Forza'02)を右サイドハーフに1列上げると、いきなり奏功した采配。
58分に右サイドで恒川のボールを受けた橘川は、思い切り良く縦に勝負。鋭くエリア内へ入った所で、たまらずマーカーが倒してしまい、日大豊山にPKが与えられます。キッカーは左サイドバックを務めるレフティの中北輝(3年・Wings U-15)。短い助走から左スミを狙ったキックは、読んでいた安井もわずかに届かず、ゴールネットへ飛び込みます。「『スピードとフィジカルで前で基点になってくれればいいね』なんて言いながら前に出したらPKを取ったので、アレは良い意味で期待を超えるプレーをしてくれました(笑)」と海老根監督も言及する橘川の積極性が呼び込んだ追加点。両者の得点差は2点に広がりました。
さて、この前後から赤羽は嵐といっていい風と雨に襲われ、スタンドの観客も総避難状態に陥る中で、当然ピッチ上でもなかなかノーマルな攻守ができない状況に。60分に駿台学園は左から岡崎がCKを蹴り込むも、DFが懸命にクリア。63分に日大豊山は永澤がミドルを狙うも、安井が慎重にキャッチ。ここから双方に相次いで交替が。69分は駿台学園。3人目の交替として、右サイドハーフの星合崇汰(3年・帝京中)と西澤大貴(3年・FCトリプレッタJY)をスイッチ。70分は日大豊山。2人目の交替として、恒川と高柳康太(2年・ジェファFC)を入れ替え、上原が最前線へスライド。71分は駿台学園。三瓶に替えて、大池吏生(3年・駿台学園中)が入る4人目の交替で大森監督も図る「ちょっと見たことのない姿」の改善。
76分は駿台学園にビッグチャンス。延山の左FKから、右サイドで枠へ収めた西澤のシュートは白石がファインセーブで阻止。直後の右CKも延山が蹴ると、村雲のヘディングはクロスバーを越えてしまい、思わずのけぞるピッチとベンチ。80分にもボランチの中島倫太(3年・草加ジュニアFC)が短く付け、大池のミドルは枠の上へ外れるも、少しずつ弱まりつつある雨脚と歩調を合わせるように、駿台学園がようやく踏み込んだアクセル。
とどめの追加点は意外な形から。82分は日大豊山の右CK。アークに立った永澤が右足で入れたキックは、滑るボールも相まってGKが掴み切れず、ファンブルしたこぼれ球を上原がゴールネットへ押し込みます。「ちょうどボールが来たので、とりあえず競っておこうと思って。自分のゴールということなら、そうしておきたいと思います...」とは本人ですが、それでもゴールはゴール。スコアは3-0へ変わりました。
83分には日大豊山にさらなる得点機。上原、高柳とボールが回り、永澤が狙ったシュートはわずかに枠の左へ逸れましたが、衰えない攻撃姿勢。「難しい中で粘り強くやってくれたかなと思いますし、良く集中を切らさずにみんな戦っていましたね」と指揮官も評価した日大豊山が取り掛かるゲームクローズ。84分に永澤と福田楓(2年・SP-FUTE U-15)を、87分に橘川と猪田莉矩(2年・越谷FC)を続けざまにスイッチし、整える全体のバランス。小野と高井のセンターバックコンビに、中盤アンカーの難波優雅(3年・横浜FC鶴見JY)で構成する守備のトライアングルも安定感十分。時計の針も着実に進めていきます。
駿台学園のラストチャンスは89分。三澤が左から投げ入れたロングスローもDFに跳ね返されると、アディショナルタイムの4分が消化された後、吹き鳴らされたファイナルホイッスル。「駿台も力のあるチームで、自分たちのグループの中でも一番強いと思っていたので、難しい試合になると思っていたんですけど、その相手に無失点かつ3点も得点できたので、率直に嬉しいです」と上原も笑顔を見せた日大豊山が、快勝でリーグ開幕戦を制する結果となりました。

シンプルに日大豊山が強かったと思います。「今年は攻撃力が結構あって、そこは自信を持ってできるので、前の3人にどうやってボールを運んでいくかという所で、今日は選手たちが自分たちで変えながらうまくできたんじゃないかなと思いますね」と海老根監督も語った通り、この日の小岩井、恒川、上原で組んだ3トップの圧力は強烈で、そこに絡んでいく伊藤や永澤も確かな技術を発揮。「後ろがしっかり守ってくれる分、前の3人でしっかり点を取っていかないと、今後強いチームとやっても勝てないと思うので、もっと点を取れるチームになっていきたいと思います」という上原の言葉にも素直に頷ける期待感に充ちた90分間だったのではないでしょうか。チームの目標を問われ、「リーグ戦は今年T4から上がってきたので、また今年もT2に昇格できるというのが一番高みの目標で、関東予選は前回が2回戦負けで、もっと上に行きたいと思っていますし、一番は選手権で西が丘でプレーして、もっと上のレベルでやれたらなというのが素直な気持ちです」と澱みなく答えた上原。今シーズンの日大豊山。やりそうです。

土屋

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