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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
いわゆる"プレシーズンマッチ"扱いの1試合目は、石川俊輝と奧抜侃志のゴールで大宮アルディージャが2-0で勝利を収めました。その試合終了から約30分後にキックオフを迎えた"トレーニングマッチ"扱いの2試合目を、ここではレポートしたいと思います。
高木琢也新監督が率いる大宮は、1試合目同様に3-4-3のシステムを採用。ゴールキーパーは塩田仁史。3バックは右から山越康平、河本裕之、高山和真。ウイングバックは右が奥井諒で、左が酒井宣福。ドイスボランチは水戸から帰ってきた小島幹敏とルーキーの小野雅史という"ユース同期のレフティコンビ"で。前線は中央に富山貴光が入り、右は茨田陽生、左はダヴィッド・バブンスキーという11人でスタートします。
一方、反町康治監督体制が8年目を迎える松本もおなじみの3-4-3。ゴールキーパーは村山智彦。3バックは右から當間建文、飯田真輝、新加入のエドゥアルド。中盤は右に田中隼磨、左に那須川将大が構えるウイングバックと、中央は岡山から加入した塚川孝輝と熊本から加入した米原秀亮の"新加入ドイスボランチ"。前線は高崎寛之を頂点に、1試合目も共に15分間ほどプレーした永井龍と中美慶哉がその下に並ぶ11人で挑みます。
勢い良く立ち上がったのはホームチーム。4分に酒井の左クロスを奥井が残し、茨田が打ったシュートはDFにブロックされましたが、幅を使ったアタックを繰り出すと、5分には小野の右CKから、酒井の右クロスに河本がボレーを放つもヒットせず。さらに6分には中盤で前を向いた茨田が、ゴールまで約45mの位置からロングシュートを狙うと、バックステップで下がった村山が転倒。ワンバウンドしたボールはクロスバーに当たり、先制とは行きませんでしたが、まずは大宮が積極的な姿勢を打ち出します。
8分も大宮に決定機。小野が左クロスを上げ、飛び込んだ茨田のヘディングは村山のファインセーブに阻まれたものの、サイドからきっちりフィニッシュまで。11分も大宮。バブンスキーの左CKは村山がパンチングで掻き出すも、こぼれに反応した酒井のボレーは枠の左へ。13分も大宮。右サイドを駆け上がった奥井のクロスから、最後は山越が思い切ったミドルを枠の左へ外しましたが、ゲームは小野と小島のボランチでうまくボールを動かしつつ、茨田がさすがのセンスで好機に絡み続ける大宮ペース。
なかなか前の3枚にボールが入らない松本も、23分にようやくチャンス。高崎がエリア内で落とし、田中のクロスはDFに弾かれるも、拾った米原は縦パスにトライ。ここもDFにカットされたものの悪くないアタックを。24分にはミドルレンジで前を向いた中美のシュートはDFに弾かれるも、少しずつ前へのパワーが出てきます。
そんな中で先制点を奪ったのはオレンジ軍団。27分に小島が付けた縦パスを富山がきっちり返すと、小島は完璧なタイミングで中央へスルーパス。抜け出したバブンスキーは、冷静に左スミのゴールネットへボールを流し込みます。プロ5年目の26番が感じさせる飛躍の予感。ここまでも再三試みていた中央でのワンツーから、大宮が1点のアドバンテージを手にしました。
畳み掛けたのは29分。小島とは同期昇格に当たる高山が好フィードを右サイドへ送り、走った奥井は丁寧に中央へ。飛び込んだ富山がワンタッチでフリックすると、絶好のポジショニングで難なく押し込んだのは茨田。左右に揺さぶる展開から、ワンタッチを交えた綺麗な形での一撃。わずか3分間で両者の点差は2点に広がります。
さて、何とか前半の内に1点は返しておきたい松本。31分に相手のパスミスをかっさらった中美が、少し運んで狙ったミドルはクロスバーの上へ。44分には塚川が前方のスペースへフィードを流し込み、体をねじりながら合わせた永井のボレーは塩田にキャッチされましたが、永井の持ち味は良く出た一連。45分にもセットプレーの流れから、那須川のクロスに飛び込んだエドゥアルドのヘディングは、ここも塩田ががっちりキャッチ。最初の45分間は大宮が2点をリードして、ハーフタイムに入りました。
後半はスタートから両チームに交替が。大宮は河本に替えて、練習生が右センターバックに入り、山越が中央へスライド。松本は一挙に4枚替え。永井、那須川、米原、塚川が下がり、それぞれ前橋育英と四日市中央工業から加わったルーキーの榎本樹と山本龍平、帰ってきた宮阪政樹、安東輝がピッチへ。榎本はシャドーの右、山本は左ウイングバック、宮阪と安東はドイスボランチにそれぞれ組み込まれます。
47分は松本の左CK。宮阪は鋭いボールを蹴り込むも、塩田がパンチングで回避すると、続けて右からここも宮阪が蹴ったCKは大宮ディフェンスがきっちりクリア。49分は大宮にCKのチャンス。左からバブンスキーが放り込み、こぼれを叩いた高山のシュートは枠の上へ。52分も大宮。富山のパスから、茨田が左足で打ったシュートはクロスバーの上へ。53分も大宮。今度は茨田のスルーパスに富山がうまく抜け出し、ここはオフサイドを取られたものの、富山の推進力はチームに間違いなく好影響を。
55分は榎本の仕掛けで松本が獲得したCK。右から宮阪が蹴ったボールは塩田がパンチング。60分も松本。安東が右へ展開し、田中のクロスは跳ね返されるも、宮阪の強烈なミドルはDFに当たってゴール左へ。63分も松本。右サイドを駆け上がった田中のクロスから、ルーズボールを榎本がダイレクトで狙ったボレーは枠の上へ。ようやく右が活性化したことでチャンス自体は増えてきましたが、なかなかフィニッシュが枠を捉えません。
やや全体の運動量が低下しつつあった大宮も、65分にはビッグチャンス。小島が左へ流し、酒井のクロスはファーまで届くも、小野のシュートは村山にがっちりキャッチされ、帰還後初となるナクスタでのゴールには到らず。70分に高木監督は5枚替え。塩田、奥井、酒井、バブンスキー、小野に替わって、加藤有騎、ユースから昇格したルーキーの吉永昇偉、佐相壱明、1本目にも出場した奥抜、プロ18年目の金澤慎がピッチに。吉永は右ウイングバックへ、佐相は挑戦中の左ウイングバックへ、奧抜は左シャドーへ送り出され、金澤は小島と"13歳差のユース出身ドイスボランチ"を形成。松本も70分に2枚替え。當間と中美を下げ、阪南大出身のルーキー大野佑哉と練習生①を投入。大野はそのまま右センターバックに、練習生①もそのままシャドーの一角へ入ります。
すると、73分に輝いたのは新境地開拓に燃える2年目の34番。大宮は左サイドで細かくパスを繋ぐと、奥抜のパスを受けた佐相がカットインしながら思い切り良く右足を振り抜くと、軌道は豪快にゴールネットへ突き刺さります。昌平高校時代から相性が良いというナクスタでの成果に、「NACKでゴールを決めるという前みたいな良いイメージはできたかなと思います」と本人も笑顔。ホームチームに3点目が記録されました。
苦しくなった松本は75分、高い位置で榎本がボールを回収すると、練習生①のミドルは枠を越えたものの、積極性は間違いなく好印象。76分にも練習生①は右サイドでドリブルを仕掛け、シュートは力んでゴール左へ外れるも、チームにもたらす前へのパワー。79分に松本は再び2人の交替。エドゥアルドと田中を、練習生②と溝渕雄志に入れ替え、前者は左センターバック、後者は右ウイングバックとして最後の10分間へ解き放たれます。
84分は松本。右CKのスポットに立った宮阪がショートで蹴り出し、溝渕が上げたクロスはシュートまで行けず。86分も松本。右サイドの狭いスペースで巧みにターンした練習生①がクロスを上げ切り、ディフレクトしたボールを高崎がシュートに変えるも、DFにブロックされると、これがこのゲームのラストチャンス。きっちり3つのゴールを積み重ねた大宮が勝利を収める結果となりました。
大宮のドイスボランチを組んだ小島と小野には、長期的な意味での可能性を感じました。ユースでの同期という連携面でのアドバンテージを差し引いても、ボールの動かし方や引き出し方は常に一定以上のスムーズさが。1試合目の大山啓輔と石川の連携も十分良かった上に、このポジションには昨シーズンのチームを支えた三門雄大や茨田も控えているだけに、すぐに公式戦でという訳には行かないと思いますが、この段階であれぐらいのパフォーマンスを発揮できれば、シーズンが進んでいく中でポジション争いに絡んでいくだけの力は十分あるのではないかなと。これからの彼らには大いに注目していきたいと思います。 土屋
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