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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
近年の東京高校サッカー界で抜きん出た結果を残してきている両雄の直接対決。駒澤大学高と國學院久我山のビッグマッチは、引き続き実践学園高尾グラウンドです。
3年前は優勝した東福岡に惜敗したものの、初の全国ベスト8まで進出すると、2年前も堂々と全国8強を経験するなど、選手権で顕著な結果を出してみせた駒澤大学高。ただ、昨年は都大会初戦でまさかの敗退を突き付けられます。それから1年。「自分たちに矢印を向けて、1つ1つこなしてきた勝負強さを見せなきゃいけないので、相手は関係ないと思います」と涌井蓮(3年・国立第一中)が言い切ったチームは、都立南葛飾を6-0、高輪を4-1で下して、このクォーターファイナルまで。並々ならぬ覚悟を携えて、難敵相手の80分間へ向かいます。
3年前の選手権では、駒澤大学高と同じく東福岡に最後は敗れましたが、初めての全国ファイナルを経験し、その名を強烈に印象付けた國學院久我山。ところが、ここ2年は共に予選敗退を喫しており、今のチームに選手権での全国経験者はゼロ。「硬くなってしまって、ちょっとうまくいかない所もあった」とキャプテンの竹浪良威(3年・FC東京U-15むさし)が振り返った今大会の初戦は、終始押し込みながらもスコア上は1-0の辛勝。この重要な一戦にさらなる攻撃陣の爆発を期待しつつ、勝利だけを求める舞台へ上がります。スタンドには両チームの応援団も含めた大観衆が。超注目カードは15時ジャストにキックオフされました。
先にスコアを動かしたのは赤黒軍団。開始早々から「本当に凄かったので、応援が自分たちの支えになった」とキャプテンの齋藤我空(3年・Forza'02)も話したように、ワンプレーごとに大歓声を挙げる応援団の勢いに乗って、シンプルなアタックでリズムを掴むと、15分にはセンターサークルからのFKがエリア内へこぼれ、ここへいち早く反応した涌井がプッシュ。ボールはゴールネットへ到達します。「昨日のベルマーレの試合をヒントにした訳じゃないですけど、自分たちのスタイルでやり切るしかないと」(大野祥司監督)腹を括った駒澤が先制点を奪いました。
「1年から3年まで全員で選手権は勝ちに行こうとなっている」(竹浪)久我山の反撃はすぐさま。17分にレフティの豊田歩(3年・横河武蔵野FC JY)が蹴ったFKはいったんクリアされたものの、拾ったボールを左へ展開すると、山下貴之(2年・ジェファFC)は丁寧にクロス。ゴール前は混戦になりましたが、逆サイドから突っ込んできた戸坂隼人(2年・FC東京U-15むさし)は押し込むような形で、ボールをゴールネットへ送り届けます。3年ぶりの全国へ懸ける執念の発露。わずか2分で駒澤のリードは霧散します。
30分は久我山。豊田の左CKにファーで合わせた加納直樹(2年・ジェファFC)のヘディングは、駒澤のGK宮崎雅崇(3年・Wings U-15)にキャッチされましたが、惜しいシーンを創出すると、32分に駒澤は早くも1人目の交替を。前線で体を張っていた池間敦也(3年・宮古島平良中)に替えて、ミスターポリバレントの羽鳥陽祐(3年・フレンドリー)を同じ位置に送り込み、前でのポイント創りに着手。34分も久我山。ルーズボールを拾った戸坂のミドルは、宮崎ががっちりキャッチ。ポゼッションで上回る久我山のアタックにも、齋藤と稲井宏樹(3年・FC駒沢)のセンターバックコンビが中央を締める駒澤の堅陣は揺るがず。
34分は駒澤。右サイドを運んだ江藤惇裕(3年・坂戸ディプロマッツ)のクロスに、3列目から飛び込んだ細川竜征(3年・Forza'02)のヘディングはゴール右へ。36分も駒澤。左から江藤が入れたCKは、久我山のGK生垣海渡(3年・横浜FC JY)がパンチングで回避。40+2分も駒澤。右サイドバックの山田英生(3年・三菱養和調布JY)のロングスローから、空中戦での攻防を経て、原田大渡(2年・FC東京U-15深川)のシュートは枠の左へ外れたものの、「ここ最近はずっと久我山対策をしてきていて、それがうまくハマったというのもあった」と齋藤も話した通り、駒澤が勢いを保った前半は、1-1のタイスコアでハーフタイムに入りました。
後半開始早々に久我山へ訪れたビッグチャンス。43分に中盤で前を向いた福井寿俊(2年・東急SレイエスFC)が強烈なミドルシュートを放つと、宮崎も弾くのが精いっぱい。ストライカーの宮本稜大(3年・東急SレイエスFC)がきっちり詰めて押し込みましたが、慎重に打ったシュートは枠の右へ外れてしまい、先制ゴールを奪えません。
すると、大仕事は「フォワードとして何も残せていない状況だったので、自分の特徴でもある守備とか、そういうのは泥臭くやりつつも点を取るというのを意識していた」ナンバー10。44分に齋藤のFKから、こぼれを細川が拾って右へ付けると、山田はピンポイントクロスを中へ。「高輪戦からあそこらへんにボールが来るってわかっていたので、あそこで合わせるようにしていました」という原田が高い打点で打ち下ろしたヘディングは、バウンドしながらゴール左スミに吸い込まれます。ディフェンダーから転向したストライカーは、「自分は点が決められないとずっと言われていて、それで結構悩んでいた」ものの、この大事なゲームできっちり成果を。駒澤が再び1点をリードしました。
狙う追加点とその先。47分も駒澤。左から島田竜汰(3年・FC川崎チャンプ)が入れたロングスローは、シュートまで持ち込めませんでしたが、48分には右寄り、ゴールまで約25mの位置から江藤が直接狙ったFKは枠を捉え、生垣はフィスティングで回避。49分も駒澤。左サイドハーフの小林蒼太(2年・Forza'02)が高い位置でボールを奪い返し、原田のクロスは中と合わずも、らしい切り替えの速さから好トライ。51分にも「いろいろなポジションができるんですけど、全部結構高いレベルでやってくれるので助かっています」と齋藤も言及する羽鳥が粘って残し、涌井のボレーミドルは生垣にキャッチされたものの、「自分もやらなきゃみたいな感じが出ていて、苦しい時は応援の方を見てやっていました」と原田も感謝した応援の勢いも後ろ盾に、流れは完全に駒澤へ。
60分に左サイドから戸坂が蹴り込んだCKも、宮崎にキャッチされた久我山は、アンカーの高橋黎(3年・ジェファFC)や大窟陽平(1年・1FC川越水上公園)がボールを引き出しつつ、井上翔太(3年・ジェファFC)と竹浪の両サイドバックもハーフスペースに潜るものの、駒澤の堅陣へは切り込み切れずに時間ばかりが経過。64分には1人目の交替として山下と山本航生(2年・東急SレイエスFC)を入れ替え、福井はインテリオールから左サイドバックへ、竹浪は左サイドバックから左ウイングへそれぞれスライドし、山本航生をインテリオールに配す勝負の一手を講じますが、それでもなかなかフィニッシュに至りません。
71分にはミドルレンジから大窟がシュートを放つも、宮崎が確実にキャッチ。逆に74分には駒澤も江藤の左CKから、こぼれを原田が押し込むも、ここは井上が間一髪でクリア。久我山も79分には荻本遥平(3年・VIVAIO船橋)、80分には金子和樹(3年・大宮アルディージャJY)を相次いでピッチへ解き放ち、何とか追い付きたいわずか1点のビハインド。
それでも、「今日は応援のためにとか、支えてくださった方々のためにとか、そういうことを想ったら一瞬も気を抜けないなというのがあったので、そこが集中できた要因かなと思います」と齋藤も話した赤黒軍団の強固な堤に穴は開かず、高尾の空に吸い込まれた試合終了のホイッスル。「最後は信じるしかなかったですけど、よくやってくれたかなと思いますね。初めて感動するようなゲームを今年見た感じがしました」と大野監督も笑った駒澤が久我山を撃破。西が丘へと勝ち進む結果となりました。
「応援も今年は全然まとまってなかったんですよ。それで小林慎治というT1にいた子に『応援リーダーをやってくれ』って言ったら、その子が素晴らしい子なので全部やってくれて。その子のおかげかなと思います。それにつられてこっちもまとまってきた感じですね」と大野監督も話したように、小林慎治(3年・FCトッカーノ)を"応援リーダー"に頂いた駒澤応援団の凄まじい勢いは、間違いなくゲームに大きな影響を与えていたように感じました。それは、「もう与えられた所でやるしかないと思っているんです」と言い切った小林も含めて、それぞれの選手がそれぞれの持ち場で、自分にできることを100パーセントやり切った成果だったのかなと。「ピッチに立っている自分たちだけじゃなくて、ベンチとか応援も含めて、今日は全員で勝った勝利かなというのはあります」と強調した齋藤は続けて、「ここで終わりじゃないので、しっかりと次も勝って、駒陸でも勝って、全国に行きたいと思います」ときっぱり。難敵に競り勝った駒澤が西が丘で対峙するのは、都内きっての"お調子者集団"、駿台学園です。 土屋
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