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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2018年11月11日

高校選手権東京A準決勝 都立国分寺×国士舘@西が丘

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1110nishigaoka2.JPG17年ぶりのファイナルを引き寄せたい都立の伝統校と、10年ぶりのファイナルを狙う私立の雄が激突する一戦。都立国分寺と国士舘の準決勝は、引き続き味の素フィールド西が丘です。
第78回と第80回では都の準優勝を経験しているものの、以降はなかなか上位進出を果たせていない都立国分寺。昨年度の選手権予選では、2年ぶりに1次予選を勝ち抜きましたが、2次予選は東京実業に1-3で敗れ、無念の初戦敗退。迎えた新チームも関東大会予選、インターハイ予選と揃って早期敗退を強いられ、「インハイ、夏、マジでどん底でした」と話したのは左サイドバックの石原大地(3年・レッドスターJY)。ただ、今大会は1次予選を勝ち上がってきた勢いが止まらず、2次予選も都立立川を延長戦で振り切ると、都立東久留米総合、都立駒場と優勝経験を有する難敵も撃破。「"西が丘へ"という目標」を達成したチームは、その先へと視界を向けているようです。
3年連続で全国へと乗り込んでいったのは15年前。以降は西が丘まで辿り着いても、頂点には立てていない国士舘。昨年度の選手権予選では、やはりセミファイナルまで勝ち上がりましたが、國學院久我山に0-1で惜敗。今シーズンは関東大会予選で駿台学園にベスト16で敗れ、インターハイ予選でも1次トーナメントで実践学園に屈するなど、成果に恵まれない時間が続いていたものの、今大会は1次予選を圧倒的なスコアで勝ち上がり、2次予選も初戦で東工大附属をPK戦で振り切ると、多摩大目黒とかえつ有明を続けて退け、2年連続で西が丘まで。「先輩たちにも『来年絶対帰ってこいよ』って言われていた」と唐澤大地(3年・FC町田ゼルビアJY)も口にした"約束の地"で、昨年超えを狙います。バックスタンドを埋め尽くした双方の応援団の影響もあってか、観衆はなんと4000人超え。注目のセミファイナルは、国士舘のキックオフで幕が上がりました。


いきなりのファーストチャンスは国士舘の決定機。5分に佐藤慶哉(3年・AZ'86東京青梅)のパスから、柳陽哉(3年・GA FC)が右クロスを上げると、丸山龍基(3年・AZ'86東京青梅)のヘディングは枠を捉えるも、国分寺のGK高口啓太(3年・アローレ八王子)がスーパーな反応で弾き出したボールは左のポストを直撃してピッチ内へ。10分にも柳が左へ振り分け、都内屈指のドリブラー唐澤のシュートはゴール右へ外れたものの、まずは「最初は良い感じだった」とキャプテンの長谷川翔(3年・FCトレーロス)も振り返った国士舘が攻勢に打って出ます。
さて、「正直緊張していました」とキャプテンの栗原龍信郎(3年・府中第八中)も素直に明かした国分寺は、14分に「もともと自分は攻撃的なサイドバック」と評する石原がミドルを打ち切り、国士舘のGK小松直登(3年・東京久留米FC U-15)にキャッチされましたが、1つフィニッシュを繰り出すと、22分には右サイドから斉藤一真(3年・国立第一中)のクロスを、最前線に入った小林尚史(2年・FCトレーロス)はボレーで枠内へ。ここは小松がファインセーブで掻き出しましたが、あわや先制というシーンを創出したことで、少しずつ流れは都立のグリーンへ。
25分も国分寺。左からセンターバックの山中知葉(3年・AZ'86東京青梅)が蹴ったCKに、小林が合わせたヘディングは枠の右へ外れるも、セットプレーから惜しいシーンを生み出すと、33分には決定的なチャンス。ここも右から山中がFKを蹴り込み、DFのクリアボールをダイレクトで叩いた村木岳琉(2年・三鷹F.A.)のボレーは、わずかにクロスバーを越えるも、際どいシュートにざわめくスタンド。
40+1分も国分寺。石原が左サイドからロングスローを投げ込み、村木が思い切りよく左足で放ったミドルはクロスバーにハードヒット。「何とかラッキーで0-0で終われたので、運があったなという所ですよね」と国士舘の上野晃慈監督が話せば、「とにかく前半はゼロで終われて良かったです」とは長谷川。国分寺がゴールの香りを漂わせた最初の40分間は、スコアレスでハーフタイムに入りました。


後半はまず国士舘に手数。開始早々の41分に唐澤が左へ流し、開いた柳のクロスに長谷川が当てたボレーはDFのブロックに遭いましたが、サイドアタックから1つチャンスを。46分には国分寺も左サイドで村木が粘り、こちらも粘った栗原のシュートは飛び出した小松がキャッチしたものの、お互いに先制への意欲を隠しません。
ただ、少しずつゲームリズムは国士舘へ。50分には右から柳がCKを蹴り入れ、こぼれを拾った濱部響乃介(3年・FCトリプレッタJY)の右クロスに長谷川が頭で残したボールは、国分寺の右サイドバックに入った中島大誠(3年・FC Branco八王子)が何とかクリア。55分にも唐澤と濱部の連係で左CKを獲得すると、菊地駿斗(3年・三鷹F.A.)のキックから長谷川のクロスは高口がキャッチ。59分にも菊地の左CKから、長谷川のヘディングはゴール右へ流れましたが、セットプレーを中心に国士舘が圧力を掛け続ければ、国分寺も玉井海都(3年・FC.VIDA)と山中のセンターバックコンビを軸に、1つずつ凌いでいく覚悟を鮮明に。
61分は国士舘に1人目の交替。濱部に替えて、井上優太(3年・インテリオールFC)を中盤へ投入しつつ、62分に石原の左ロングスローが伊藤楓馬(3年・三鷹F.A.)に当たり、わずかにゴール右へ外れた国分寺のチャンスを経て、63分にもすぐさま2人目の交替として、柳と福田竜之介(3年・FCトッカーノ)を入れ替え、前線の顔ぶれに変化を加えると、歓喜の瞬間を迎えたのはその直後。
64分に左サイドで国士舘が手にしたFK。キッカーの菊地が丁寧に蹴り込んだ軌道へ、全力で走り込んだ長谷川は「良いボールが来たのでミートだけ心掛けて」ダイレクトボレー。ボールはゴールネットへ鮮やかに飛び込みます。「今日はあまり良くないかなと思って、替えようかなと思ったんですけどね」とは上野監督ですが、「応援してくれるみんなのために、自分がキャプテンとして決めて盛り上げたかったので、もう本当に気持ち良くて、みんなの所にすぐに飛び込んでいきました」と笑う長谷川の貴重な先制弾。国士舘が1点のアドバンテージをもぎ取りました。
「授業はあったんですけど、まあ自己責任でこっちに来た子とか(笑)、授業が終わって2時ぐらいに駆けつけてくれた子とか、OBが全部で200人くらい来てくれたんですかね」と元木明監督も言及した大応援団に何とか応えたい国分寺は1点を追い掛ける展開に。66分には1人目の交替として、最前線で体を張り続けた小林に替えて、佐田将太(3年・三鷹F.A.)をピッチへ送り込み、狙う同点ゴールとその先。
72分の主役は「もう出たら仕事するしかないと思っていた」国士舘の"新ジョーカー"。左サイドで井上が丁寧なスルーパスを通し、「井上は持った瞬間に良いパスが来るので、そこはもう狙って本気で裏に走って呼び込みました」という福田はエリア内へ侵入すると、マーカーと接触して転倒。主審はペナルティスポットを指し示します。キッカーは福田自ら。「決める自信しかない感じが最近ある」18番が、中央に力強く蹴り込んだキックで揺らしたゴールネット。「ただ好きなことをやるだけじゃなくて、チームに対して凄く献身的な部分が出てきたので、頼りにしていますね」と指揮官も言及した福田のPKが決まり、国士舘のリードは2点に変わりました。
「僕がいつも言っていることは『楽しもう』って。それが一番大事だと思っているんです」と栗原も語った国分寺の意地。75分には1.5列目で奮闘した橋本峻(3年・FC府中)を阿部純(3年・POMBA立川FC)へ、80分には村木を平野大地(3年・FC.VIDA)へそれぞれスイッチして、これでピッチ上は全員が3年生となり、フルパワーで目指す国士舘ゴール。
それでも、右から村崎海斗(3年・世田谷砧中)、長島佑仁(3年・FCトリプレッタJY)、永吉風太(3年・FC多摩)、菊地で構成する4バックも強固に鍵を掛け続け、「この大会は本当に全員で繋いでいるという感じです。16人毎回全員使い切っているので」と上野監督も口にした国士舘は田中壮太(3年・VERDY S.S.AJUNT)、下田晃大(2年・調布神代中)、莊原聡(3年・川崎白鳥中)と終盤に3枚をピッチへ解き放ち、ゲームクローズを完遂すると、聞こえたのはファイナル進出を告げる勝利のホイッスル。国士舘が15年ぶりの全国へ王手を懸ける結果となりました。


「負けた悔しさはあるんですけれども、去年の選手権で上の代が負けて、彼らが『西が丘に行こうと』いう目標を作って、それをやり遂げたことに凄く満足していますし、感謝をしています。やっぱり勝ち上がるのがこの大会ですので、そういう意味ではそれじゃいけないのかもしれないですけど、このメンバーでここまでやれたというのは本当に評価して良いんじゃないかと思います」と元木監督も語った国分寺の"選手権"が終わりました。「正直試合が終わった瞬間は何もなくて、『とりあえず高校サッカー終わった』という感じしかなくて、泣き崩れたチームメイトに声を掛けていました」とタイムアップの時を振り返った栗原でしたが、「みんなで頑張ってここまで来れたというのは、悔しさもあるんですけど、ここまで3年間みんなとやれて嬉しいという方が強いですね」と仲間への感謝を口に。石原も「悔しいのもあるけど、本当にいろいろな人に支えられてここがあるので、本当に感謝を伝えられたらなというのはありますね」とやはり仲間に思いを馳せていました。全体のミーティングが終わり、3年生だけのミーティングでは、コーチの熱いメッセージに涙を浮かべていた選手たちも、最後に保護者やスタッフも交えての記念写真では満面の笑みに。「『本当にカッコいいし、誇りに思うな』って。『本当にこの代のマネージャーで良かったな』って思いました」とは3年間マネージャーを務め上げた小松明日香。『本当にカッコいい』国分寺高校サッカー部48期の3年生に大きな拍手を。        土屋

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