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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2018年10月20日

高校選手権東京B2回戦 日本学園×國學院久我山@駒沢第2

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1020koma2-1.JPG3年ぶりの全国を目指す優勝候補とアップセットを狙う"松原"の異彩軍団の対峙。日本学園と國學院久我山の好カードはおなじみ駒沢第2球技場です。
近年は都内のコンペティションでも一定の結果を残しており、そのテクニックに優れたスタイルが存在感を放っている日本学園。迎えた今シーズンは、新人戦こそ日大三に壮絶なPK戦の末に敗れて関東大会予選出場を逃し、インターハイ1次予選でも都立立川にまたもPK戦で屈するなど、悔しい結果が続きましたが、今大会は1次予選を3試合17得点という圧倒的な攻撃力で勝ち上がると、先週の都大会初戦も駒込を3-1で退けて、このステージまで。大物食いを実現すべく、目の前の80分間へ挑みます。
インターハイ予選を勝ち抜き、3年ぶりに全国へ打って出ると、難敵の神戸弘陵学園と星稜を揃って3-0という完璧なスコアで撃破。ベスト16では大津に競り負けたとはいえ、三重の地でその確かな実力の一端を披露してきた、この夏の國學院久我山。ただ、一昨年は初戦で、昨年は決勝で敗れた選手権予選は、2年続けて晴れ舞台まで辿り着けず。「まず東京の王者を奪還して、そこから日本一を獲っていきたいです」と言い切るのは久我山伝統の"14番"を背負う高橋黎(3年・ジェファFC)。そのためにも確実に勝利を手にしたい初戦に向かいます。スタンドには朝10時にもかかわらず、サッカー好きが集結。注目の2回戦は久我山のキックオフでスタートしました。


最初の決定機は11分の久我山。センターバックの豊田歩(3年・横河武蔵野FC JY)が左へ流し、ウイングの山下貴之(2年・ジェファFC)がクロスを上げると、トラップで収めた宮本稜大(3年・東急SレイエスFC)が放ったシュートは、日学のGK戸崎翔望(3年・FC多摩)がファインセーブでストップするも、まずはサイドアタックからチャンスを創ると、12分には逆の右サイドを運んだ戸坂隼人(2年・FC東京U-15むさし)のクロスから、山下のシュートはDFに当たり、こぼれを叩いた竹浪良威(3年・FC東京U-15深川)のミドルは枠を越えたものの、「みんな硬かったですね、『リラックスしてるかな』と試合前は思っていたんですけど」と竹浪も話した立ち上がりを過ぎると、久我山が攻勢に打って出ます。
18分も久我山にビッグチャンス。右に開いた大窟陽平(1年・1FC川越水上公園)がグラウンダーで中へ送り込み、ニアへ飛び込んだ宮本のシュートは、ここも戸崎がファインセーブ。さらに24分にも右サイドで獲得したFKを、レフティの豊田がインスイングで蹴り込むと、ここも宮本がヘディングで枠を狙うも、三たび戸崎がビッグセーブで仁王立ち。「キーパーもビッグセーブをいっぱいしたことで、乗せちゃったというのもあるでしょうね」とは久我山を率いる清水恭孝監督。戸崎の牙城を打ち破れません。
日学は最後尾の戸崎に加え、右から橘龍斗(3年・FC多摩)、高木颯斗(1年・練馬開進第四中)、キャプテンの長谷川耕太(3年・FC多摩)、吉岡瑠己(1年・調布FC)と1年生プラス3年生で組んだ4バックを中心に、守備時の集中力はかなり高いレベルで持続。相手のパスワークにも、前田航太(3年・FC多摩)と出雲路大輝(3年・AZ'86東京青梅)のドイスボランチがプレスバックからバイタルのケアに奔走するなど、ディフェンス面では着実に相手のチャンスの芽を潰していきます。
32分は久我山。中盤で前を向いた福井寿俊(2年・東急SレイエスFC)が縦に付け、こぼれを拾った高橋のシュートはゴール左へ。34分も久我山。サイドバックの井上翔太(3年・ジェファFC)と戸坂の"右翼"で奪ったCKを豊田が蹴るも、シュートには至らず。36分も久我山。左サイドで竹浪、山下と繋ぎ、福井が枠へ収めたシュートは戸崎がキャッチ。「ボールは結構動いていたと思うんですけど、サイドの所で思い切りのなさというか、そういう所が出てしまったと思います」と竹浪。保たれるゼロゼロの均衡。
破調の時は36分。高橋が右へ展開したボールを、受けた戸坂は積極的なドリブルでサイドをえぐってエリアへ侵入。マーカーと接触して倒れると、主審はホイッスルを吹き鳴らし、ペナルティスポットを指し示します。キッカーはここまでなかなかチャンスを生かせなかった宮本。「アイツは決めると思ったので信頼していますよ」とキャプテンの竹浪も笑顔を見せた通り、宮本はGKの逆を突いてきっちりゴールネットを揺らします。10番を託されたストライカーがようやくの先制弾をPKで。久我山が1点のリードを手にして、最初の40分間は終了しました。


後半のファーストシュートも久我山。42分に戸坂のパスから、福井のミドルはクロスバーを越えましたが、このタイミングで日学は1人目の交替を。前線で守備に奮闘していた赤祖父英和(3年・調布FC)に替えて、松本剣一(3年・FC.GIUSTI世田谷)を投入し、攻撃のパワーアップに着手するも、47分も久我山。豊田のパスから山下が短く付け、福井のヒールリターンに山下が打ったシュートは枠の上に外れ、追加点とは行きませんでしたが、らしいワンツーから好機を創出します。
51分は日学にチャンスが。右サイドでボールを持った橘がフィードを送ると、カットインしながら関口蓮(3年・FC.VIDA)が打ち切ったシュートは松本に当たり、オフサイドになってしまいましたが、ようやくフィニッシュの形まで。試合途中から一気に人数も勢いも増した応援席も、このシュートでさらに一段階上がったボルテージ。
54分は久我山。高橋のパスから、大窟が打ち込んだミドルは枠の上へ。55分も久我山。山下の外を回った竹浪のクロスに、飛び込んだ戸坂のシュートは戸崎がキャッチ。58分も久我山。左で竹浪のパスを引き出した山下の折り返しを、宮本が丁寧に落とすも、高橋のミドルは枠の上へ。60分も久我山。福井、山下とパスが回り、竹浪のクロスにバックヒールで合わせた宮本のシュートはゴール右へ。「サイドからは攻められるように意識させているんですけどね」と清水監督も認めた通り、サイドもきっちり崩しているものの、引き寄せ切れない次の1点。
62分はここも久我山の決定的なチャンス。センターバックの加納直樹(2年・ジェファFC)を起点に井上、大窟と右サイドでボールを回し、戸坂のカットインシュートは右スミを襲うも、戸崎は左足1本できっちりセーブ。63分にも山下が粘って裏へ落とし、走った宮本はGKの位置を見極めてループを選択するも、ボールはクロスバーの上へ。直後には双方に交替が。64分の久我山は山下と山本献(2年・横浜F・マリノスJY追浜)を入れ替え、少し選手の並びにも変化を。65分は日学。左サイドハーフで攻守に走った石田栞太(3年・FC多摩)と河崎颯(1年・FCトリプレッタJY)をスイッチして、加速させたいサイドの推進力。70分は日学。右サイドを高梨憲誠(2年・調布FC)が抜け出してクロスを上げ切るも、「前は前の選手に任せて、後ろは自分たちのやることをやっていれば点は取られないと思っていたので、しっかり準備はしていました」と語る久我山のGK生垣海渡(3年・横浜FC JY)ががっちりキャッチ。シュートは打たせません。
追加点を奪っておきたい久我山は、71分に戸坂のパスから竹浪がファーへシュートを流すも、戸崎が懸命に触り、カバーに入った橘が決死のクリア。76分にも戸坂の右クロスから、山本献が狙ったボレーはゴール右へ。78分はカウンター。宮本が縦へと運ぶと、戸坂が打ったシュートは河崎が体でブロックし、戸崎がキャッチ。79分には2枚目の交替として宮本を下げ、山本航生(2年・東急SレイエスFC)をピッチへ送り込み、ゲームを締めに掛かります。
80分のチャンスも久我山。大窟を起点に山本航生のラストパスを受け、1対1になった山本献のシュートは、絶妙の飛び出しで間合いを詰めた戸崎が、この日6度目のファインセーブで最終盤の反撃に望みを繋ぎましたが、結果的にこれがこのゲームのファイナルシュート。「1-0だと接戦みたいに見えるかもしれないですけど、"1"か"0"かの違いは大きいと思います」と守護神の生垣が話したように、スコア以上に危なげのない"ウノゼロ"で、久我山が準々決勝へと進出する結果となりました。


この日の久我山で目を引いたのは、ペナルティエリアを飛び出し、かなり高い位置まで上がりながらビルドアップに参加するゴールキーパーの生垣。左サイドバックの竹浪も「アレはウチの強みだと思います。海渡が前で触れるから、センターバックが1個押し出されて自分も前に行けますし、海渡が信頼できるからこそ、そこを任せている部分があるので」と言及したように、右の加納、左の豊田、両センターバックと3枚でボールを動かすことで、サイドバックが高い位置を取れることが、チームの攻撃性をより後押ししていることは間違いありません。ビルドアップに加わることについて、「このチームは攻撃で点を取りたいチームなので、攻撃で点を取るために自分が優位性を創って、という感じです」と話しながら、「センターバックもサイドバックも自分が出ることで押し出せますし、そこを武器にこの1年間やってきて、最後の集大成なので、選手権ではそういう所を見せて行きたいです」と意気込む守護神には、清水監督も「彼の特徴が今年のチームにはマッチしていますし、久我山的ではあるかなと思います」と確かな手応えを。久我山のゲームでは、チームのビルドアップを司るゴールキーパーのスタイルにも是非注目してみて下さい。           土屋

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