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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2018年10月15日

高校選手権東京A1回戦 都立東大和南×中大杉並@駒沢第2

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1013koma2-1.JPG憧れ続けた冬の全国へと繋がるスタートライン。選手権予選の1回戦。都立東大和南と中大杉並の対峙はおなじみ駒沢第2球技場です。
一昨年の選手権予選は創部以来初のベスト4進出を果たし、西が丘のピッチへ。昨年もベスト8まで勝ち上がるなど、確実に都内でも存在感を高めつつある都立東大和南。今シーズンも関東大会予選で東海大高輪台を、インターハイ予選で都立東久留米総合を破るなど、好チームを創り上げてきたものの、3年生は渡辺拓実(3年・緑山SC)を除いた全員が夏で引退。「最近Tリーグでも勝てていなかったので、そこで1個勝てればと思っている」とは、こちらも夏過ぎから指揮官に就いた石川勝利監督。「まず第一の目標の西が丘」(四条雄介・2年・AZ'86東京青梅)に向けて、大事な初戦へ挑みます。
昨年の選手権予選では、2年続けて勝ち上がっていた1次予選での敗退を強いられ、悔しいシーズンラストとなった中大杉並。迎えた今シーズンは新人戦で難敵の早大学院にPK勝ちを収めたものの、結果的にはベスト8で、インターハイ予選も支部予選2回戦でそれぞれ敗れ、なかなか思うような結果が付いてこなかった中で、この選手権予選は2次予選からの登場ということもあって、ここがいきなり初戦という形に。夏に積み上げてきたものを披露するための80分間へ向かいます。スタンドには選手権予選だけあって少なくない観衆が。楽しみな一戦は中大杉並のキックオフでスタートしました。


ファーストチャンスは東大和南。4分に松沢充輝(2年・POMBA立川FC)の仕掛けで得たFK。右寄り、ゴールまで約25mの位置から高橋直哉(2年・POMBA立川FC)が直接狙ったキックはカベに阻まれ、直後にここも高橋が蹴り込んだ右CKから、松沢のヘディングは枠の左へ外れましたが、まずは東大和南がセットプレーで先制機を窺います。
ただ、「やっぱり『選手権というのは違うな』って、最初は緊張した感じがあります」とキャプテンの四条が話した通り、スタメン全員が1,2年生だった東大和南とは対照的に、スタメン全員が3年生だった中大杉並もセットプレーで応酬。6分に右からセンターバックの栗原快(3年・中野北中野中)が蹴ったFKは高橋にクリアされ、10分に石田惇真(3年・Forza'02)が入れた左CKは、東大和南のGK安田郁也(2年・AZ'86東京青梅)にパンチングで回避されたものの、右に林達郎(3年・練馬東中)、左にキャプテンマークを巻く石田を配した両ウイングバックに、東俊太朗(3年・文京第三中)と福本大雅(3年・川崎中原中)の2シャドーの機動力も生かしつつ、徐々に引き寄せたゲームリズム。
12分も中大杉並。レフティの縣駿介(3年・川崎西高津中)が右CKを蹴ると、石田が収め掛けるも、ここは東大和南の左サイドバック岡野暖生(2年・あきる野FC)が何とかクリア。直後の12分にも石田が外に付け、3バックの左から上がってきた一法師温士(3年・練馬石神井西中)がクロスを上げ切り、東のヘディングはヒットしなかったものの好アタックを。14分と17分にも左右のCKで相手ゴール前を脅かしつつ、18分には東のパスから縣がクロスバーを越えるミドルまで。オレンジ軍団がピッチで躍動します。
「もう少し下で転がせるかなというのはあったんですけど、緊張と弱気でビビっちゃってる部分があったかなという感じですね」と石川監督も苦笑した東大和南は22分に反撃。横川巽(2年・AZ'86東京青梅)の縦パスから、松沢のミドルはゴール左に逸れるも、久々にチャンスを創出すると、迎えた歓喜は26分。レフティの可児功志郎(2年・緑山SC)が左へ流したパスを受け、岩瀬優太(2年・AZ'86東京青梅)は爆発的な加速力で抜け出しながら、そのままGKとの1対1も冷静に制し、ボールを右スミのゴールネットへ送り届けます。14番のスピードスターが大仕事。東大和南がスコアを動かしました。
一気呵成。畳み掛けた緑のサザンクロス。30分。うまくボールを引き出した横川が左へ展開すると、完全にノッた岩瀬は縦にぶち抜きながら丁寧に中央へ。ここに3列目から走り込んだ四条がダイレクトで放ったシュートは、ゴール右スミへ鮮やかに吸い込まれます。「クロスが上がる時に中の枚数が少ないというのがチームの課題だったので、入れる所は入ろうかなと思っていました」というボランチのキャプテンが貴重な追加点。点差は2点に広がります。
決して悪い流れではない中で、立て続けに失点を喫した中大杉並の櫻井公博監督は、早くも37分に2枚替えを決断。ボランチの狩野廉(3年・アミーゴFC)と福本に替えて、亀井昇輝(3年・杉並松ノ木中)と斎藤優宇(3年・VERDY S.S.AJUNT)をピッチへ送り込み、3バックの右を務める森谷建太(3年・練馬石神井中)をボランチへスライドさせ、亀井が森谷のいた位置へ、斎藤がシャドーの位置へ入ると、いきなりの成果はその直後。右から栗原が蹴り入れたFKを、エリア内で1トップの吉田遼平(3年・さいたま与野南中)が粘って残し、東が左足を一振り。ボールはゴールネットへ到達します。沸き上がる中大杉並応援席。東大和南のリードは1点に変わり、最初の40分間は終了しました。


後半最初のビッグチャンスは中大杉並。44分に東の突破で得た左FK。栗原が蹴り込んだキックから、斎藤がヘディングで枠へ収めるも、カバーに入ったDFがゴールライン上で決死のクリア。逆に51分には東大和南に連続決定機。岩瀬の左CKはエリア内へこぼれ、岡野と可児が残したボールを松沢が狙ったシュートは、中大杉並のGK岩橋紀和(3年・市川第二中)がファインセーブで触ってクロスバーに跳ね返り、岩瀬が押し込んだボールも岩橋が驚異的な反応で必死にキャッチ。お互いにゴールの香りを漂わせながら、セカンドハーフは立ち上がります。
ヒートアップした展開を受け、双方のベンチが切り合うカード。56分は中大杉並。吉田を下げて、嵜原涼成(1年)を右ウイングバックへ投入し、林が最前線へ。58分は東大和南。可児と沖倉亮太(2年・西多摩SSS1993)を入れ替え、右サイドの推進力向上に着手。61分には横川の岩橋にキャッチを強いるミドルを挟み、62分には中大杉並が一法師と海老名涼(3年・練馬石神井南中)もスイッチ。やや握りつつあるペースを後押しすべく、交替カードに期待を託す中大杉並。山口雅空(2年)と山崎翔大(1年・FC.VIDA)のセンターバックコンビを中心に、きっちり凌いでいく東大和南。
66分に左、67分は右に左と3連続でCKを獲得しつつ、68分には左サイドを運んだ石田のクロスへ、ニアへ飛び込んだ林はわずかに届かず、同点とは行かなかったものの、中大杉並の落ちない勢いを見て、石川監督も2人目の交替を。横川に替えて、木瀬瑛(2年・八王子椚田中)を2列目に送り込み、攻撃のギアチェンジを図ると、70分には右サイドバックの田中朝陽(2年・東京久留米FC U-15)が果敢な枠越えミドルを放ち。72分にはゴールまで約30mの位置から、松沢が直接狙ったFKはカベの縣が体でブロック。73分にも松沢が右へ振り分け、田中の好クロスに沖倉のボレーはヒットしませんでしたが、狙うトドメの3点目。
残り5分を切って、激しく動く両ベンチ。76分は双方に交替。東大和南は可児と石井優輝(2年・AZ'86東京青梅)を、中大杉並は森谷と中村勇輝(3年・練馬石神井西中)をそれぞれスイッチし、さらに77分には東大和南が高橋と小松雄太(2年・FC.GONA)も入れ替え、取り掛かるゲームクローズ。アディショナルタイムは3分。180秒のファイナルバトル。
80分は東大和南。沖倉のパスから、左サイドを縦に持ち出した岩瀬の左足シュートはゴール左へ。80+1分は中大杉並に決定的なシーン。東が懸命に粘って残し、嵜原が左に持ち出しながら枠へ収めたシュートは、しかし安田がビッグセーブで仁王立ち。直後の左CKを石田が蹴った流れから、右に流れたボールを縣がクロスに変え、ファーで打った石田のシュートはゴール左へ。どうしても追い付くことができません。
80+3分の主役は「上手じゃないんですけど、喋れて走れる」(石川監督)6番のキャプテン。相手陣内に転がったこぼれ球へ誰よりも早く駆け出した四条が、飛び出したGKより先にボールに触ると、ゆっくりと回転したボールはゴールネットへ転がり込みます。「前にこぼれて、スライディングすれば取れるかなと思ったので、まあ気持ちでした」と笑った四条のドッピエッタで勝負アリ。「ちょっとバタバタしましたけど、何とか次に進めたかなという感じですね」と石川監督も話した東大和南が、来週の2回戦へ駒を進める結果となりました。


前述したように東大和南は3年生の大半が引退。実質の新チームで挑んだゲームということもあって、この勝利は1,2年生にとっても非常に大きな成果だったことは言うまでもありませんが、「ちょっと3点目が遅くて、ギリギリの所で3年生も出てというのを考えていた中で、その3年生を出せなかったのがちょっと残念だったかなと思います」と石川監督も、唯一の3年生に当たる渡辺に出場機会が訪れなかったことに言及していました。「1人1人はいいんですけど、チームとしてまだバラバラな部分もあるので、今後はそこをうまく融合させていきながらできたらいいかなと思います」とキャプテンの四条も語るチームのラストピースとして、渡辺の出番を作るのは、次のゲームへの持ち越し課題になったものの、まずは若き緑のサザンクロスが好発進を見せています。         土屋

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