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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
ここ数年における都内のタイトルを分け合ってきたと言っても差し支えない強豪対決。関東第一と駒澤大学高のクォーターファイナルは駒沢第2球技場です。
一昨年のインターハイ予選を皮切りに、現在都内のトーナメントコンペティションは5大会連続制覇中。その勝負強さに一層磨きが掛かってきている関東第一。迎えた今大会も初戦で都立江北を5-1で退けると、先週の2回戦も都立東大和南に1-0で競り勝って、このステージまで。「去年は東京三冠を獲ったんですけど、リーグ戦は獲れなかったので、今年は"四冠"を獲りたいです」とはストライカーの池田健太(3年・VIVAIO船橋)。関東大会の出場権獲得に王手を懸けるべく、難敵相手の90分間へ向かいます。
「去年1年間で『優勝するというのは簡単じゃないな』というのは思いました」と大野祥司監督が話したように、なかなか思うような結果が付いてこなかった昨シーズンの駒澤大学高。今シーズンはT1リーグで成立学園に勝利し、國學院久我山と引き分ける上々のスタートを切ると、今大会も都立調布南を3-0、東京朝鮮を1-0で下してクォーターファイナルへ。「関東予選で結果を出せばインハイも選手権も少し楽になってくるので、まずは目の前の関東大会をみんなで意識してやっていきたいと思います」とはキャプテンマークを巻く齋藤我空(3年・Forza'02)。ディフェンディングチャンピオン相手に臆するつもりは毛頭ありません。注目の好カードに駒沢第2のスタンドには少なくない観衆が。ビッグマッチは駒澤のキックオフでスタートしました。
スタートから勢いを持ってゲームに入ったのは駒澤。開始早々に左からサイドバックの島田竜汰(3年・川崎チャンプ)がロングスローを投げ込み、これはDFのクリアに遭ったものの、2分にも保科一生(3年・東京久留米FC U-15)がミドルレンジから枠内シュートを打ち込むと、関東第一の絶対的守護神・北村海チディ(3年・GRANDE FC)がファインセーブで応酬するも、あわやというシーンを。直後の3分にも左から小林蒼太(2年・Forza'02)がCKを蹴り入れ、北村がパンチングで掻き出したボールを、保科が合わせたシュートは枠の左へ外れましたが、「2分30秒で相手のペースになったので、『早過ぎるだろ!』と思いました」とは関東第一の小野貴裕監督。駒澤が攻勢に打って出ます。
12分も駒澤。島田の左ロングスローを長身フォワードの池間敦也(3年・宮古島平良中)がすらすも、北村がしっかりキャッチ。19分はようやく関東第一にチャンス。ボランチの大井航太(2年・VIVAIO船橋)が獲得した左FKを小関陽星(3年・町田JFC)が蹴るも、駒澤のGK宮崎雅崇(3年・Wings U-15)がキャッチ。21分は駒澤に決定機。江藤惇裕(3年・坂戸ディプロマッツ)の右CKを稲井宏樹(3年・FC駒沢)が残すと、涌井蓮(3年・国立第一中)のシュートはクロスバーに跳ね返り、こぼれを拾った保科のシュートは北村がファインセーブ。直後に江藤が蹴った右CKから、ここも保科が枠へ収めたシュートは再び北村がビッグセーブ。北村の強烈な存在感でスコアこそ動かなかったものの、「昨日調子が良かったので使ったんですけどね」と大野監督も言及した保科が漂わせる先制点の香り。
27分も駒澤。右サイドバックの山田英夫(3年・三菱養和調布JY)を起点に江藤が上げたクロスへ、ニアに突っ込んだ保科のシュートはゴール右へ外れると、30分は関東第一にアクシデント。右サイドバックに入った田中大生(2年・横浜FC JY)のプレー続行が難しくなり、早くも田中颯(3年・横浜F・マリノスJY追浜)と交替。36分も駒澤。小林蒼太の左クロスから、ルーズボールに飛び付いた池間のヘディングは北村がキャッチ。関東第一も37分、39分と続けてCKを手にするも、フィニッシュには繋がらず。「さすがに駒高相手に1年が2人ディフェンスラインにいて大変だよなと。勝負は後半だと思っていたので、前半はちょっと我慢させておいた」とは小野監督。駒澤がゲームリズムを掌握した前半は、右から田中颯、菅原涼太(1年・SCH FC)、山脇樺織(3年・東急SレイエスFC)、弓氣田葵(1年・ジェフユナイテッド千葉U-15)で組んだ関東第一のディフェンスラインが粘りを見せ、スコアレスでハーフタイムに入りました。
後半のファーストチャンスは関東第一。44分に前を向いた加藤陽介(3年・VIVAIO船橋)はスルーパス。抜け出し掛けた池田のシュートはDFにブロックされたものの、前半からキープにプレスに獅子奮迅の活躍を見せていた池田が、一瞬で駒澤ディフェンス突き付けた鋭い刃。直後に岡田琉空(2年・FC多摩)が入れた右CKは池間にクリアされましたが、悪くない格好で関東第一の後半は立ち上がります。
46分は駒澤に1人目の交替。前半の攻撃を牽引した池間に替えて、羽鳥陽祐(3年・フレンドリー)をそのまま最前線へ。51分は関東第一に2人目の交替。右サイドハーフの貝瀬敦(2年・田口FA)を下げて、「プレー以外でもチームの盛り上げ役として引っ張っていきたい」と意気込む古宇田旭(3年・横浜F・マリノスJY追浜)がピッチへ。52分は駒澤。保科が右のハイサイドへ落とし、江藤のクロスから羽鳥が叩いたシュートはDFがブロック。56分も駒澤。島田の左ロングスローに羽鳥が競り勝つも、北村が丁寧にキャッチ。駒澤が取り戻す前への圧力。
小野監督が57分に切った3枚目のカードは、都立江北戦で2ゴールを決めているルーキーの笠井佳祐(1年・VIVAIO船橋)。58分は駒澤。山田の右ロングスローから、島田の左クロスに羽鳥が合わせたヘディングはゴール右へ。60分も駒澤。保科を起点に山田が右へ振り分け、江藤のクロスは関東第一のディフェンスリーダー山脇が懸命にクリア。保科と小林泰晟(2年・FCクラッキス松戸)をスイッチした交替を挟み、61分にも小林蒼太の右CKから齋藤はドンピシャヘッドも、北村ががっちりキャッチ。やや駒澤ペースで推移していくゲームが、ようやく動いたのはその2分後。
63分にここも池田が収めて前を向き、左に開いた笠井が縦へ流したボールを、一気に加速した加藤はサイドをえぐり切ってマイナス気味に中へ。「加藤が良い感じにえぐって、『クロスを上げ切るだろうな』と思っていたし、池田がニアに走って潰れてくれたので、『かぶらないようにファーでしっかり残って待っていようかな』というイメージで」パスを受けた古宇田は、冷静にボールをゴールネットへ流し込みます。「最初ベンチスタートだったので、ベンチのヤツらの気持ちもわかっていたし、チームで盛り上げたかったので、ベンチに走って行きました」という古宇田を中心にできた歓喜の輪。関東第一が1点のリードを手にしました。
65分は関東第一に4人目の交替。大井と類家暁(1年・東京ベイFC U-15)を入れ替え、中盤の強度アップに着手すると、67分には笠井、古宇田と回ったボールを小関は枠の上に消えるミドルまで。71分は駒澤。小林蒼太の右CKから、DFのクリアを拾った稲井のシュートはゴール右へ。74分に大野監督は2枚替え。小林蒼太とボランチで奮闘した細川竜征(3年・Forza'02)を下げて、中村廉(3年・FCクラッキス松戸)と本宿雄太(3年・VERDY S.S.AJUNT)を同時投入し、最後の勝負へ。残された時間は5分間とアディショナルタイムのみ。
75分は駒澤。エリア内へ侵入した小林泰晟がGKを巧みにかわすも、中に入れたボールはDFが決死のカバー。その左CKを本宿が蹴り込むも、シュートまでは至らず。78分も駒澤。中村の右CKを羽鳥が頭で残し、生まれた混戦から類家が大きくクリア。80+2分も駒澤。山田の右ロングスローはシュートまで持ち込めず。80+3分も駒澤。本宿の左CKに飛び込んだ齋藤のヘディングは枠を襲うも、ライン上でDFがクリアすると、これがこのゲームのラストチャンス。「今日は本当に選手はよくやったと思います」と小野監督も認めた関東第一が、セミファイナルへと勝ち進む結果となりました。
「駒高は最後に一歩ボールに寄って来るのが嫌なので、今日はウォーミングアップもいつもと違って、最後のゴール前の所はセンタリングシュートを省いて、クリアの練習をしたので、それが生きたんです!」と小野監督が笑った通り、菅原と山脇のセンターバックコンビを中心に、関東第一のディフェンスが築いたエリア内での堅陣は驚異的で、これには駒澤の大野監督も「向こうの守備は相当良いですね。11人で守っていたし、こじ開けるのは本当に大変ですね」と舌を巻く程。こういうゲームで確実に勝ちを拾えるあたりに、今の彼らが都内で発揮する勝負強さの一端が垣間見える気がします。途中出場で決勝ゴールを挙げた古宇田に、勝利の瞬間の感想を聞いても「これがこの大会のゴールではないので、次に切り替えないといけないと思ったし、喜びは整列するぐらいまでで一瞬でした」ときっぱり。「結局ゲームになった時に、子供が迷うような指示を出したらダメなので、今日は『もう大丈夫』って。そうやってタフにするしかないですからね」と話す小野監督の下、関東第一はさらなる常勝軍団への道を確実に歩み始めているようです。 土屋
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