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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2017年11月20日

関東大学サッカー大会昇格決定戦 国際武道大×立教大@保土ヶ谷

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1119hodogaya.JPG待っているのは『上がれるか』『上がれないか』の2つのみ。関東リーグ昇格を懸けた国際武道大と立教大の昇格決定戦は県立保土ヶ谷公園サッカー場です。
昨年度のリーグ戦は最終戦の残り数分で失点を喫し、優勝には手が届かなかった国際武道大。今シーズンは『Remember 10.16』を掲げ、リーグ戦でも確実に勝ち点を積み上げると、13年ぶりの千葉制覇を達成。勢いそのままに突入した今大会も明治学院大には敗れましたが、初戦の作新学院大戦と3戦目の東京経済大戦にきっちり勝ち切って、10年ぶりの関東リーグへあと1勝という所まで。保土ヶ谷は同校が初めて関東昇格を達成することになる、2002年の昇格決定戦が行われた思い出の地。縁起の良いスタジアムで唯一の目標達成を狙います。
昨年もこの大会に駒を進めながら、残り1分という所で昇格決定戦行きを逃した立教大。悔しい経験を経て、「関根キャプテンを中心に、"1分"や"勝ち点1"の重みを感じてやってくれた」と倉又寿雄監督も言及した今シーズンは、東京都1部リーグを2位で駆け抜けると、今大会も初戦こそ関東学院大に敗れたものの、「負けたら決定戦に進むことができないという、凄い緊張感の中の試合」とキャプテンの関根陸(4年・桐光学園)も表現した大東文化大戦に5-1で快勝を収め、平成国際大戦はPK戦で敗れながら、1年前は届かなかった昇格決定戦へ。41年ぶりに歴史を塗り替えるための重要なゲームに挑みます。スタンドは空席もほとんど見当たらない大入り状態。まさに最後の1試合は10時にキックオフを迎えました。


開始早々に動いたスコア。2分に立教が掴んだ左CKのチャンス。キッカーの黒田佳吾(4年・正智深谷)が丁寧に蹴り込んだキックへ、突っ込んだ井浦智史(2年・都立東久留米総合)のヘディングは鮮やかにゴールネットを揺らします。センターバックの井浦はこれで今大会に入って3戦連発。「セットプレーからは点が入ると言って練習してきた」と倉又監督も話した練習通りの形で、まずは立教が1点のリードを奪いました。
さて、いきなり追い掛ける展開となった国際武道。5分に左FKを田崎蒼(3年・長崎日大)が蹴り入れるも、ルーズボールはDFが大きくクリア。10分にも右サイドバックの小林飛大(3年・習志野)の仕掛けからCKを得ると、大野隆斗(3年・鹿島)のキックに川崎達也(4年・上尾鷹の台)が合わせたヘディングはゴール右へ。前線の中山陽介(3年・矢板中央)と金子友也(2年・東京学館)へ早めにボールを当てつつ、左の大野をアクセントに窺う立教ゴール。
17分は立教。ボランチの戸澤千空(3年・正智深谷)が短く付け、佐藤大雅(2年・光陵)のシュートは国際武道のセンターバックを務める川崎が体でブロック。19分は国際武道。金子、中山と繋いだボールを佐野慎太郎(4年・富岡)は左へ回し、大野のシュートはDFをかすめて枠の右へ。22分も国際武道。エリア外で収めた田崎がミドルを狙い、コース上にいた中山は足を伸ばすも、わずかに届かず立教のGK瀬尾光宏(1年・三田学園)がキャッチ。双方が出し合う手数。
29分は立教に決定機。戸澤のパスから吉澤泰成(3年・都立駒場)がフリーで抜け出すも、1対1は国際武道のGK矢野大樹(3年・鹿児島実業)がファインセーブで回避。直後も立教。黒田のパスから戸澤が打ち切ったミドルは枠の上へ。30分も立教。その圧倒的なスピードでスタンドを沸かせていた佐藤誠司(2年・前橋育英)が、粘って右サイドへ残し、吉澤のシュートは枠の左へ。ゲームリズムは徐々に立教へ。
ところが、次の決定機は国際武道。30分に左サイドでこぼれを拾った大野はピンポイントクロスを中へ。飛び込んだ中山のヘディングは瀬尾も弾き切れず、ゆっくりとゴールへ向かいますが、ここは確実にカバーへ入った黒田が冷静にクリア。34分も国際武道に決定的なシーン。左から田崎が蹴ったFKをファーで樋口雄介(4年・東海大福岡)が折り返すと、入江佳紀(3年・千葉敬愛)はフリーでヘディングを敢行するも、ボールは枠の左へ。2つの続けて掴んだチャンスも同点とは行きません。
41分は立教。佐藤誠司の右クロスから、中央で収めた齊木優斗(4年・横浜FC JY )のシュートはDFがブロック。直後の右CKを黒田が蹴ると、ファーに入った井上瑠寧(3年・桐光学園)のヘディングはゴール左へ。43分も立教。中央をドリブルで運んだ小椋健史(4年・浦和西)のシュートは矢野がキャッチ。45分も立教。こちらは左サイドを切り裂いた佐藤誠司のシュートも、矢野が丁寧にキャッチ。「前半は良い流れで行きましたね」と倉又監督。立教がリードとペースを手にした格好で、最初の40分間は終了しました。


後半のファーストシュートは国際武道。47分にストライカーの中山が狙ったミドルは、枠を越えるも好トライ。52分も国際武道。左サイドから金子が上げたクロスに、高い打点で合わせた中山のヘディングはゴール右へ。54分は立教。右サイドからカットインした吉澤が、左足で放ったシュートは矢野がキャッチ。58分は国際武道。田崎と佐野のドイスボランチで右へ展開し、大野のシュートは瀬尾がキャッチしたものの、「前半やってきたことをそのまま継続してできるように」と指揮官に送り出された立教は、やや受ける展開に。
先に動いたのは国際武道ベンチ。59分に右サイドハーフの三浦勇介(4年・帝京)に替えて、佐々木北斗(3年・北海道大谷室蘭)を前線に中山と並べ、金子が左サイドハーフへ、大野が右サイドハーフへそれぞれスライド。65分には立教も1人目の交替を決断。スピードスターの佐藤誠司を下げて、吉田直矢(2年・JFAアカデミー福島)をピッチへ。68分は国際武道に絶好の同点機。田崎が左へ流したボールから、金子のシュートは枠を捉えるも、瀬尾はファインセーブで阻止。残りは20分。差し掛かっていく最終盤。
70分は立教に決定的なシーン。吉澤が左へラストパスを送ると、吉田は1対1を迎えましたが、矢野がファインセーブで応酬。直後の左CKを黒田が蹴り込み、井上のヘディングでの折り返しに吉澤が頭で合わせるも、矢野ががっちりキャッチ。1分後にも訪れた立教のビッグチャンス。今度は吉田のパスから、反転して1人かわした吉澤の左足シュートは、ここも矢野がファインセーブで仁王立ち。続く最少得点差。1点差は変わりません。
72分に2人目の交替として佐野と井上海希(1年・東京ヴェルディユース)を入れ替えた国際武道は、77分に田崎が放り込んだ長いFKへ中山が当てたヘディングが枠の左へ外れると、79分にはセンターバックの入江を下げ、河島雪大(1年・帝京長岡)を中盤に投入し、最終ラインは小林、川崎、樋口の3バックにして最後の勝負へ。84分には大野の右CKが混戦を生み出し、GKが飛び出したゴールへ川崎がヘディングで流し込むも、ライン上でDFが決死のクリア。「『絶対に引くな』と、『引いたらやられるぞ』と言っていた」と関根。倉又監督も88分に浅見貫太(3年・JFAアカデミー福島)、90分に宮城良壽(4年・那覇西)を相次いでピッチへ解き放ち、着手したゲームクローズ。所定の90分間は経過。残されたのはアディショナルタイムの攻防のみ。
国際武道に舞い降りた信じられない奇跡。90+2分は左サイドで獲得したFK。スポットに立った大野は、矢野がゴールマウスからエリア内まで上がってくるのを確認してから、丁寧に丁寧に左足で蹴り込むと、ニアサイドに突っ込んだ矢野が頭で合わせたボールは、綺麗な軌道を描いて右スミのゴールネットへ吸い込まれます。ベンチメンバーの方へ駆け出した青いユニフォームの選手たちの中、主役は1人だけ赤いユニフォームを纏ったゴールキーパー。各カテゴリーで指導経験の長い倉又監督も「もちろん決められたのは初めて」というゴールキーパーの劇的な同点弾。1-1。誰もが想像すらできなかった展開で、関東昇格の行方は前後半15分ずつの延長戦へともつれ込むことになりました。


「『こういうふうになっちゃったから、入れられたのはしょうがない。でも、このメンバーでやるしかないから、とにかく楽しんでやれ』という話だけした」と倉又監督。ただ、延長の流れは完全に国際武道。97分は田崎の左FKに、中山が合わせたヘディングは瀬尾がキャッチしましたが、98分にも大野のスルーパスに斜めへ入り込んだ金子がフィニッシュ。ここは関根が必死にブロックしたものの、漂い続ける逆転の気配。
99分の狂喜は国際武道。中央でボールを受けた中山は右へ振り分け、サイドに流れた佐々木はグラウンダーで中へ。ここにきっちり走り込んでいた中山がスライディングで流し込んだボールは、ゴールネットへ到達します。9番のストライカーが重要な局面で大仕事。土壇場での同点劇から、一気に逆転弾まで。とうとう国際武道がスコアを引っ繰り返しました。
「延長前半の失点には折れ掛けました」(関根)「流れは完全に持っていかれちゃいました」(佐藤大雅)。ただ、立教は死なず。失点から2分後の101分。左サイドで得たFKを黒田が蹴り入れると、エリア内での混戦から右へ流れたボールを、井上は蹴った瞬間に足を攣らせながらも気持ちで中へ。「井上選手が絶妙の当てるだけで良いボールを上げてくれたので、もう枠に入れようという気持ちで」突っ込んだ小椋のヘディングはゴールネットへ飛び込みます。「ヘディングは個人的に結構得意で、セットプレーでも中に入る機会は多いんですけど、足も結構キテましたし、アレは緊張しましたね」という4年生ボランチが殊勲の同点弾。再びスコアは振り出しに引き戻されます。
105分は立教。佐藤大雅が右へ振ったボールを佐々木が中へ返すも、宮城のシュートはクロスバーの上へ。105+1分も立教。右サイドで1人外した吉田のシュートは、DFが体できっちりブロック。エンドが入れ替わり、泣いても笑っても勝負はあと15分間のみ。110分は国際武道。河島のパスを受け、左から佐々木が狙ったシュートはDFをかすめて枠の左へ。その左CKを田崎が蹴るも、シュートには至らず。113分は立教。黒田の左CKは川崎が大きくクリア。容赦なく進んでいく時計の針。残りは5分。正真正銘のラストバトル。
絶叫の主役は「ずっと都リーグの時はベンチで、スタメンで出たことはなかった」という2年生ストライカー。115分。左サイドをドリブルで運んだ宮城が中央へ折り返すと、ニアをすり抜けたボールは「そこにこぼれてくるかなと思って走りました」という佐藤大雅の足元へ。「コースとかは全然考えていなかったですけど、ただ枠に入れようと」蹴り込んだボールは、ゴールネットへ突き刺さります。その瞬間。立教の応援席、沸騰。「誰が来ているのかわからなかったですけど、本当になんか昂っちゃいました」という殊勲のスコアラーへ駆け寄ったのは、スタンドで応援していた控えのメンバー。「延長に入ってからみんなの声援も聞こえて、『4年生とやれるのもあと30分だけなんだ』というのを考えたら、余計に『勝ちたい』と感じましたね」と話す佐藤大雅の再逆転弾。立教がまたも1点のリードを強奪しました。
粘る国際武道。117分。左から田崎がCKを蹴り込み、こぼれを田崎が再度クロスとして蹴り込むと、中山のヘディングは枠を襲ったものの、瀬尾が驚異的な反応でワンハンドのビッグセーブ。118分は立教。宮城のパスから吉田が枠の上へシュートを外すも、時間帯を考えれば好判断。120分間は終了。アディショナルタイムの掲示は1分。着々と近付いてくる41年ぶりの歓喜。
120+1分は国際武道。1試合を通じて最前線で奮闘し続けた中山が粘って残し、走り込んだ河島のシュートがクロスバーを越えると、しばらくあって保土ヶ谷の上空に吸い込まれた試合終了のホイッスル。「みんな10何年と長い間サッカーをやってきて、その集大成として『残り何分できるか』と考えた時の気持ちの部分が、今日の試合の4年生にはあったはずなので、その4年生中心に最後はうまく引っ張れたのかなとは思います」とは小椋。大願成就。立教が41年ぶりとなる関東リーグ復帰を手繰り寄せる結果となりました。


「選手は本当によくやってくれたし、この年代で、この150人で上がるという気持ちでこの1年間やってきたので、夢が叶って本当に良かったかなと思います。立教大学の歴史にコイツらの名前が刻めたので、それも良かったよね」と笑顔を見せたのは倉又監督。「優しい"おじいちゃん"です(笑) だからこそ、たまに厳しいことを言われると響くというか、メリハリを持った方だと思います」と指揮官を評したのはキャプテンの関根ですが、就任3年目で立教にとって悲願とも言うべき関東リーグ復帰を達成した手腕はさすがの一言。涙する選手やマネージャーを見て、「スゲーかわいいなと思う。孫って言うほど年は離れてないけどさ」と笑いながら、「去年どうしても上げたいって気持ちがあって、今年はそういう面でプレッシャーを感じながらやってきたので、こうやって結果を出せて本当にホッとしてる。『嬉しい!』っていうんじゃなくて、ホッとしてる」とつぶやくように語った姿が印象的でした。「総監督にも『歴史を変えられるのは人生でそうそうないからチャンスだぞ』というのは言われていて、その一部になれたのは凄く光栄なことですし、点も決められたので、まだあまり実感はないですけど、来年後輩が関東2部で戦っているのを見て、少し噛みしめたいと思います」と小椋が話せば、「自分たちの代の中では『絶対に関東に行こう』というのは1年生の時から言っていて、本当に意識の高いヤツらがいっぱいいて、自分たち4年生の『関東でプレーしたい』という目標は叶わなかったんですけど、その夢はしっかり後輩たちに託したいと思います」と関根も笑顔。立教大学体育会サッカー部が関東リーグに帰ってきます。       土屋

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