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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2017年11月16日

高校選手権埼玉準決勝 昌平×武南@NACK5

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1112NACK.JPG3年ぶりの全国を目指すインターハイの県王者と11年ぶりの王座奪還を狙う名門の対峙。昌平と武南のセミファイナルはNACK5スタジアム大宮です。
インターハイでは2年連続で全国出場。昨年度は針谷岳晃(磐田)と松本泰志(広島)を擁し、全国ベスト4まで駆け上がった昌平でしたが、優勝候補にも挙げられた今年のインターハイは初戦で日大藤沢に悔しい逆転負けを。ただ、「練習に取り組む姿勢はインターハイが終わってから良くなったと思います」と話すのは1年時から守護神を務める緑川光希(3年・FC古河)。今大会も初戦で国際学院を2-1で退けると、準々決勝では埼玉栄に3-0と快勝して、このステージへ。ここ2年は敗退を突き付けられているセミファイナルを突破し、埼玉制覇に王手を懸けたい所です。
過去には日本一も経験しているものの、選手権に関しては10年以上も全国の舞台から遠ざかっている武南。迎えた今シーズンは新人戦こそベスト4まで駆け上がりましたが、関東大会予選はベスト16で、インターハイ予選はベスト8でそれぞれ敗退。2回戦から登場した今大会の初戦は杉戸を4-0で下すも、3回戦は慶応志木を延長戦の末に振り切り、準々決勝の西武台戦もPK戦でモノにするなど、粘り強い戦いぶりでセミファイナルまで。久々の晴れ舞台を視界の先に見据え、大事な80分間へ向かいます。会場のNACKには5,589人のサッカージャンキーが。楽しみな一戦は武南のキックオフでスタートしました。


3分のファーストチャンスは武南。センターバックの羽田蓮央(2年・柏レイソルU-15)が左へ流し、永野駿(2年・GRANDE FC)のパスから桜井潤人(3年・FC Consorte)は巻き気味にミドル。ボールはわずかに枠の右へ外れましたが、流れの中からきっちりシュートまで。8分は昌平。こちらもセンターバックの関根浩平(2年・栃木SC JY)がフィードを送り、収めた佐相壱成(3年・緑山SC)のドリブルシュートは武南のGK深澤颯人(2年・武南JY)がキャッチしたものの、まずはお互いに1本ずつフィニッシュを取り合います。
すると、スコアが動いたのは11分。昌平のボランチに入った古川勇輝(2年・大宮アルディージャJY)が右へ振り分け、サイドバックの塩野碧斗(3年・1FC川越水上公園)は「味方というよりは良い所に上げようと思っていつも蹴っています」というクロスをピンポイントで中へ。「1回ニアにダッシュして行くふりをして、そうしたらマークが完全に外れた」佐相のボレーは深澤もファインセーブで弾いたものの、再び詰めた佐相のシュートはゴールネットに到達します。「一発で決めたかったですけど、入って良かったです」という佐相に対し、塩野は「僕にアシストが付いていなかったら佐相を叱っておきます」とニコリ。昌平が1点のアドバンテージを手にしました。
以降のペースは完全に昌平。15分には塩野、佐相、塩野、森田翔(2年・栃木SC JY)、山下勇希(3年・浦和レッズJY)とスムーズにパスが繋がり、佐相のシュートはヒットしなかったものの、「昌平らしいパスワーク」(佐相)の一端を華麗に披露。20分にも古川が右へ展開したボールを、森田はグラウンダークロス。ファーに飛び込んだ渋屋航平(2年・FC.LAVIDA)のシュートは枠を越えるも、その正確な技術を生かしたチャンスメイクにどよめくスタンド。「今年は速い攻撃や、シンプルにボールを動かしながら前に出ていくという部分は点に繋がる状況でもある」と藤島崇之監督も話したように、インターハイ王者が繰り出し続けるアタックは迫力十分。
24分にも昌平に決定機。古川を起点に、キャプテンを務めるセンターバックの石井優輝(3年・C.A.ALEGRE)は「最近は自信を持って付けられるようになった」という左足でのクサビを縦にグサリ。これを完璧なトラップで反転した佐相のシュートはクロスバーに激しく当たってしまい、「パスも完璧で、トラップもうまく行って、フリーになり過ぎて焦った部分もありました」とはその佐相ですが、高校トップクラスの一連を。26分にも渋屋が短く付けたパスから、左サイドを駆け上がったサイドバックの堀江貴大(2年・大宮アルディージャJY)はマイナスに折り返し、古川のシュートはGKを破るも、ここは懸命に戻った永野が必死にクリア。昌平に漂う追加点の雰囲気。
さて、山下には塩崎正巳(2年・C.A.ALEGRE)、佐相には基本的に井上竜太(2年・伊奈小針中)をマンマーク気味に付け、守備から入りつつも、なかなかインサイドハーフの桜井と青野翔太(1年・GRANDE FC)、1トップの金子海斗(3年・GRANDE FC)までボールの入らない武南。31分には右サイドでFKを獲得しましたが、桜井のキックは塩野が気合のクリア。フィニッシュを取り切れません。
そんな中で次の得点を記録したのも昌平。33分に渋屋のパスから、佐相が粘って残したボールを森田は右足一閃。綺麗な軌道を描いたボールは右スミのゴールネットへ吸い込まれます。「山下がタイトに付かれていくという所も想定しながら、森田には『お前が勝負だぞ』ということも試合直前に伝えてはいた」と指揮官も明かした森田が2点目を奪うと、37分にも原田虹輝(2年・クラブ与野)が左から蹴り入れたFKを、高い打点のドンピシャヘッドでゴールへ突き刺したのはこちらも2年生の関根。「前半通して良い時間帯に点を取れましたね」とは藤島監督。昌平が3点のリードを手にして、最初の40分間は終了しました。


後半はスタートから武南に1人目の交替。中盤アンカーの塩崎に替えて、鶴田雄大(3年・FC ASAS上尾)を投入し、中盤の強度アップに着手。42分には桜井が左へ流し、永野のクロスに金子が突っ込むも、この一連は石井がきっちりクリア。44分にも桜井の左CKに左サイドバックの岡野颯(3年・大宮アルディージャJY)がヘディングで合わせ、ボールは枠の右へ逸れていったものの、武南もようやく攻撃のギアが上がります。
その勢いを打ち消したのは7番のゴラッソ。49分に佐相が体を張って獲得した右FKは、ゴールまで約20mの位置。スポットに立った山下が短い助走から右足を振り抜くと、素晴らしい軌道を描いたボールはクロスバーに当たりつつ、ゴールネットへ飛び込みます。司令塔の強烈な直接FK弾。昌平のリードは4点に広がりました。
手を緩める気配のない昌平は51分にも決定的なチャンス。山下のパスを受けた古川は左へ丁寧なスルーパス。佐相のシュートは深澤にファインセーブで掻き出されるも、「運動量も増えてきた」と藤島監督も認める古川は、ボール奪取力も向上しつつ、攻撃でも違いを生み出すパフォーマンスを。武南も54分には永野がループミドルを放ちましたが、緑川は「ちょっとボールの勢いは弱かったんですけど、タイミングがずれていたので、キャッチに行って落とすよりは安パイに」バーの上に弾き出す冷静なセーブ。桜井が蹴った直後の右CKも関根が確実にクリア。昌平守備陣が誇る抜群の安定感。
56分は武南。高い位置でボールを奪った桜井がドリブルで運び、金子が粘って打ち切ったシュートは塩野が体でブロック。57分も武南。小野寺佑太(3年・三菱養和巣鴨JY)の仕掛けから、エリアのすぐ外でマーカーを振り切った桜井が左足シュートを枠へ収めるも、緑川は冷静にキャッチ。60分は昌平に1人目の交替。素晴らしいFKを叩き込んだ山下に替えて、高見勇太(3年・成立ゼブラFC)が右サイドハーフに入り、右サイドハーフの森田が左サイドハーフへ、左サイドハーフの渋屋が1トップ下にそれぞれスライドして、さらなるゴールを狙います。
61分は昌平にFKのチャンス。中央やや右寄り、ゴールまで約25mのポイントから原田が左スミギリギリへ打ち込んだキックは、GKを破るも永野がライン上で何とかクリア。64分は昌平に2人目の交替が。堀江を下げて、吉田航(2年・C.A.ALEGRE)がそのまま左サイドバックの位置へ。65分も昌平。高見の仕掛けをスタートに渋屋が繋ぎ、古川のシュートは深澤がキャッチしましたが、流れは大きく変わらず。続く昌平の攻勢。
66分は武南に2人目の交替。センターバックの羽田と渡辺瑠太(2年・和光第三中)をスイッチして、攻撃態勢を整えるも、67分には昌平の華麗なアタック。森田、原田、高見と細かく回したパスワークから、佐相がヒールで残し、原田のシュートはゴール左へ外れたものの、美しい展開に高まる応援席のボルテージ。さらに昌平は69分に佐相と伊藤雄教(2年・フレンドリー)を、71分にも渋屋と木下海斗(2年・浦和レッズJY)を相次いで入れ替え、取り掛かるゲームクローズ。71分には原田の右CKに、入ったばかりの木下がボレーを枠内へ飛ばし、深澤のファインセーブに遭うも、2年生アタッカーがファーストタッチでいきなり決定的なシーンに絡みます。
そして74分に放ったトドメの一撃は「スキルは高く、決定力も持ち合わせる選手で、今後が楽しみな選手だと思っています」と藤島監督も評価を口にする17番。カウンターから原田が中央をグングン運び、左へ正確なラストパス。寄せたマーカーをいなした森田は、左スミのゴールネットへボールを送り届けます。「今日は選手権の中で一番うまく行って、やっていて楽しかったですね」と佐相も話した昌平はこれで5点目。披露し続ける圧倒的な攻撃力。
何とか1点を返したい武南も最後の反撃。75分には渡辺の縦パスを金子が落とし、桜井が左へ流したボールを鶴田がシュートまで持ち込むも、緑川は確実にセーブ。77分にも長谷川魁哉(3年・浦和レッズJY)を起点に、右サイドから渡辺が中へ戻し、走り込んだ金子のシュートは吉田がきっちりブロック。80+3分にも渡辺が右から上げたクロスに、永野が合わせたボレーは枠の左へ外れると、これがこのゲームのファイナルシュート。「準決勝で毎年負けて悔しい想いをしていたので、ここに懸けていた」と緑川も言及したように、"鬼門"になりつつあった準決勝を突破した昌平が、ファイナルへと勝ち上がる結果となりました。


「あのインターハイの悔しさは誰も忘れていないと思いますし、練習に取り組む姿勢はインターハイが終わってから良くなって、緊張感という部分でもきっちり締めて練習に取り組めていると思います」と緑川も話した昌平は、インターハイの初戦敗退をポジティブな要素に昇華している様子。「インターハイで『パス回しだけじゃ通用しない』というのを痛感させられて、そこから『全員で何かを変えていこう』と。『まず言葉からでもいいから変えていこう』という話をチーム全体でして、そこから佐相を起点にした攻撃だったり、ドリブルで崩していくというのも取り組んできたので、その結果が今日の5-0というスコアに結び付いたと思います」とは石井。悔しさをパワーに変えて、きっちり全国で勝てるチームとしての力を積み上げてきたようです。決勝に向けての意気込みを問われた藤島監督は「チャレンジャー精神というのは間違いなく持っていますし、ここ3年間は決勝まで行っていないので、楽しみですし、ここでチームとしての力を発揮するために、1週間で最高の準備をしたいです。選手もそうですし、スタッフもそうですし、部員全体を含めて良い雰囲気を作りながらやっていきたいと思います」ときっぱり。日曜日。誰もが憧れる埼玉スタジアムのピッチが彼らを待っています。      土屋

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