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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年09月11日

高校選手権東京B1回戦 修徳×暁星@駒沢補助

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0910komaho1.JPG共に幾度となく東京制覇を経験している強豪同士がいきなり激突する1回戦屈指の好カード。岩本軍団の修徳と林軍団の暁星が対峙する一戦は駒沢補助競技場です。
4年前と3年前の選手権では連続で全国大会の切符を勝ち獲り、とりわけ後者では同校史上最高成績となるベスト8まで躍進。最後はPK戦で星稜に屈したものの、日本中にその"やり切れる強さ"を大きくアピールした修徳。ただ、ここ2年は夏冬共に全国には届いておらず、今シーズンは関東大会予選こそ東海大高輪台に3-0で快勝を収めるなど、一定の存在感を示しましたが、インターハイ予選は一次トーナメントの初戦で東京実業に苦杯を嘗めており、最後の大会に懸ける想いは並々ならぬものがあるはず。夏を越えてからの成長に定評のあるチーム力を発揮するには絶好の舞台です。
最後に秋の東京を勝ち抜いたのは10年前。以降は西が丘までは勝ち上がって来るものの、なかなかファイナルの壁を打ち破れていない暁星。こちらも今シーズンは、新チーム最初の公式戦となる新人戦で地区予選敗退を強いられ、インターハイ予選でも修徳同様に一次トーナメント初戦で工学院に1-4で完敗を喫していますが、やはり選手権に臨むチームの完成度はそこまでと比べ物にならないのが例年の常。名将・林義規監督がどれだけチームを鍛え上げてきているのかに注目が集まります。会場の駒沢補助に溢れ返るほどの大観衆が。激戦必至のビッグマッチは修徳のキックオフで幕が上がりました。


「立ち上がりは相手も前から来ていました」と修徳の松岡侑輝(3年・ジェファFC)も話したように、スタートからトップギアで入ったのは暁星。5分には大杉卓巳(3年・暁星中)が右へ振り分け、稲葉保(3年・暁星中)が中央へ戻したパスを1トップの利田健斗(2年・暁星中)がシュート。ボールは左ポストを叩いたものの、まずは暁星の勢いが上回った中で、しかし先制ゴールは修徳。6分に右サイドバックの浅田元貴(3年・三郷JY)がパスカットからボールを繋ぎ、薄井亮祐(3年・S-P.FUTE)が右から上げたクロスにDFが反応すると、ボールはそのままニアサイドを破り、ゴールネットへ吸い込まれてしまいます。オウンゴールという意外な形で劣勢の修徳に1点が記録されました。
9分も修徳。松岡が高い位置で潰れ、佐藤颯(3年・江東東深沢中)が左へ流れながら枠へ飛ばしたシュートは、暁星のGK竹内瑠架(3年・暁星中)がキャッチするも好トライ。13分も修徳。左サイドバックの深澤侑大(2年・クラブ・ドラゴンズ柏)が大きく蹴り込んだボールはエリア内へこぼれ、拾った薄井のシュートは枠の左へ外れたものの、修徳が引き寄せ始めるゲームリズム。暁星も14分には田嶋翔(3年・三菱養和巣鴨JY)が約35mクラスのFKをクロスバーへぶつけたものの、林監督は18分に早くも1人目の交替。北本達拓(1年・暁星中)を左サイドハーフへ送り込み、その位置にいた中尾豊(3年・暁星中)を前線に上げて整える反撃態勢。
ところが、次の得点を記録したのも修徳。22分に前線で望月翔(3年・草加松江中)が粘り強く残すと、受けた松岡はそのまま右へドリブルで運びながら右足一閃。DFをかすめたボールは右スミのゴールネットへ豪快に突き刺さります。「望月に当てて、その裏に走り込むというのは練習からやっているパターンなので狙っていました」と話した松岡の一撃に、ベンチのスタッフ陣も「おお、松岡が仕事したよ」と大喜び。修徳のリードは2点に広がりました。
何とか1点ずつ返していきたい暁星。25分には稲葉のパスから中尾が放ったシュートは、DFに当たってゴール左へ。その右CKを稲葉が蹴り込むと、原田英明(3年・暁星中)が飛び付いたヘディングはクロスバーの上へ。29分には修徳も佐藤が裏へ落とし、望月が右から上げたクロスに牧野純己(3年・フレンドリー)が飛び込むも、ここは原田が間一髪でクリア。32分は再び暁星。中尾とのワンツーでセンターバックの原田が駆け上がり、左足で狙ったシュートは枠の左へ。林監督も37分には2枚目のカードとして窪田大輝(1年・暁星中)を最前線に投入し、踏み込む勝負のアクセル。
40+1分の歓喜はそれでも修徳。「アイツにみんな来てくれるんだから、アイツがはたいてくれさえすればああいう形になりますよね」と指揮官も言及した望月が、巧みなキープで相手を引き付けながら右へ丁寧なラストパス。走り込んだ薄井のシュートはGKの股下を抜ける格好で、ゴールネットへ飛び込みます。確実にチャンスをモノにする修徳は驚異の決定力を披露。3-0という意外なスコアで最初の40分間は終了しました。


後半はスタートから暁星に3人目の交替が。アンカーで奮闘していたルーキーの中塚剛佑(1年・暁星中)に替えて、村井翔(3年・暁星中)を送り込み、中盤のバランス向上に着手した林監督。42分には田嶋のFKから、こぼれを狙った井出匠一郎(2年・暁星中)のミドルは、修徳伝統のボランチナンバーでもある6番を背負った千代田和樹(2年・ヴェルディSSレスチ)が体でブロック。逆に43分は修徳。右から薄井が投げたロングスローへ、ニアに飛び込んだ吉田龍生(3年・柏レイソルTOR'82)のシュートは枠の右へ。出し合う手数。
45分のゴールはまたしても修徳。右サイドに開いてボールを引き出した望月は、丁寧なピンポイントクロスを中央へフワリ。全力で走り込んできた牧野のダイビングヘッドは豪快にゴールネットを揺らします。「アイツがいると相手が嫌なことは確かだから。何が基準かと言ったら『誰が嫌か』ということを考えているからね」と岩本監督も言及した望月は、これで圧巻の3アシスト。4-0。大勢は決してしまいました。
畳み掛ける岩本軍団。48分には右から薄井がロングスローを投げ込み、望月がヘディングですらすと、佐藤が反転しながら打ち切ったシュートは枠の左へ。50分に暁星は伊藤誠悟(1年・暁星中)を4人目のカードとして左サイドバックへ送り出し、その位置にいた植木朝也(3年・暁星中)がサイドハーフへ一列上がり、原田は利田と並んで最前線へスライド。53分は修徳のFK。中央やや右より、ゴールまで約25mの位置から浅田が直接狙ったキックはクロスバー直撃。59分には修徳も1人目の交替として望月と刑部泰生(1年・アミーゴFC)をスイッチ。直後の59分は暁星。左サイドから伊藤が右足で上げたクロスに、原田が合わせたヘディングは枠の右へ。レッドスターにも漂うゴールの可能性。
66分は修徳。牧野の右クロスに佐藤がGKと競り合うと、こぼれを松岡が押し込んだシュートは、カバーに入った植木がスーパークリア。直後の左CKを浅田が蹴り込むと、吉田のヘディングはクロスバーにハードヒット。2つの決定機を経て、68分に陥れた5点目のゴール。右から牧野が上げたクロスを1年生の刑部が粘って残し、最後は松岡がへディングでゴールネットへグサリ。「対戦相手が暁星で名門同士だったし、1回戦は大事なので家で自分で6ミリにしました」という11番が"ボウズ"になりたての頭でドッピエッタ。スコアは5-0に変わりました。
一矢報いたい暁星の意地は69分。諦めずにチェイスした稲葉は、GKとDFの連係ミスを突いて1対1を迎えると、これを冷静に制してボールをゴールネットへ送り届けます。以降もチャンスは創り出し、73分にはロングスローから中村凌輔(3年・暁星中)がヘディングで狙うも、修徳のGK鈴木晟一(2年・FC ESFOCO)がファインセーブ。直後の左CKも北本が蹴り込み、ファーで原田が合わせるも鈴木がキャッチ。75分にも右から利田がカットインしながら、枠へ収めた左足ミドルが鈴木にキャッチされると、これがこのゲームのラストチャンス。「最初のポストに当たったのを入れられていたらわからなかったですよ」とは岩本監督ですが、センターバックの古場幹朗(2年・KZヴェルメリオ)と吉田のセンターバックコンビにも大きな破綻はなく、終わってみれば5-1という快勝を収める格好で、修徳が2回戦へと駒を進める結果となりました。


思わぬ大差で名門対決を堂々と制した修徳。「先制点がすぐ入って流れに乗ったと思います」と松岡も話したように、暁星のファーストチャンスはポストに阻まれ、修徳のファーストチャンスが決まったという所がすべてだったのかなと。「相手も前に出ざるを得なくなっちゃったから、後ろにスペースが空いてというそういう形だと思います」とは岩本監督。とはいえ、それを生かして5ゴールを奪い切った攻撃力には、大いに称賛されて良い迫力がありました。前述した通り、毎年夏を過ぎてからの急速なレベルアップをどのチームも警戒しているのがこのチームですが、「夏の走り合宿を越えてみんなまとまってきました。かなり力は上がってきましたし、夏を越えたらスタミナがメッチャ付いて、走り勝てるようになってきました」とは松岡。今年も選手権に修徳が力強く帰ってきました。     土屋

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