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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年06月12日

インターハイ東京準々決勝 駒澤大学高×都立東大和南@清瀬内山

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0612kiyose.JPG全国の舞台へと駒を進めるために必要な勝利はあと2つ。2年ぶりに夏の全国を目指す駒澤大学高と今大会の台風の目となっている都立東大和南の激突は清瀬内山グラウンドです。
全国ベスト8へと躍進したチーム力が、確実に新チームへと受け継がれている印象のある駒澤大学高。今シーズンはケガ人が続出しており、開幕当初のT1リーグでは少し結果と内容の両面で難しい時期を過ごしたものの、関東大会予選では東京実業、都立東久留米総合、実践学園、成立学園といずれもT1勢を下して堂々の優勝を飾ると、先週開催された関東大会でも「あまりチームの状況は良くなかった」と米田泰盛(3年・VIVAIO船橋)は振り返りましたが、結果は3連勝で見事に関東の頂点まで。「なんだかんだ勝っている所には何らかの要因があると思います」と話したのは佐藤瑶大(3年・FC多摩)。勝ち癖を身に付けつつある状況の中で、まずは今大会初戦となるクォーターファイナルへ挑みます。
支部予選から数えればここまで怒涛の6連勝。先週行われた1回戦では難敵の堀越相手に住谷大輝(3年・清瀬第五中)と柿崎拓真(3年・羽村第一中)がゴールを奪い、スコアは2-1ながら完勝を収めて、同校初となる東京8強まで勝ち上がってきた都立東大和南。「目の前の1試合1試合を大切に戦ってきて、先のことは考えずに次の相手だけに集中してやってきた」と語るのはキャプテンマークを巻く岸本真輝(3年・JACPA東京FC)。そのキャプテンも「1試合ごとにどんどんチームがまとまっていって、今は本当に選手、スタッフ、マネージャー、応援してくれる人、すべての人が1つになって戦えていますし、一体感がものすごく出ています」とチームのまとまりに手応えを。部員112人の全員力で"王者超え"を真剣に狙います。会場の清瀬内山には両チームの応援団も含めた大観衆が集結。注目の準々決勝は10時ちょうどにキックオフを迎えました。


スタートから比較的良い形で立ち上がったのは東大和南。駒澤のセンターバックに入った佐藤が「前半の立ち上がりからボールの奪い方がわからなくなって、入り方も悪くて守備がバタバタになってバラバラだった」と振り返ったように、平塚真史(3年・POMBA立川FC)や住谷がギャップに潜ってボールを引き出し、前を向くシーンが頻発。「人数を後ろに掛けてきて、前にそんなに残っていなくて、後ろが4バックで回すのにボランチが落ちたりしていて、間、間に行かれるのが嫌でしたね」と続けて佐藤。ボールの回りも含めて、東大和南が持ち味を発揮してゲームは動き出します。
ところが、先制点は「自分はレギュラーで出たりサブで出たりするので、出た時に全力でできるようにいつも良い準備をして、点を狙って行こうと思っています」という右サイドハーフの献身性から。7分に東大和南の最終ラインでパス回しに乱れが生じると、「たまたま自分の所に相手のクリアミスが来て、GKが前に出ていたので、ゴールが見えた時にフリーだった」という米田は奪ったボールをすかさずフィニッシュ。無人のゴールに向かったボールはゴールネットへ弾み込みます。一瞬の隙を見逃さなかった米田の狡猾な一撃で、駒澤がまずはスコアを動かしました。
「中の選手も『思ったよりプレッシャーが速かった』とは言っていたので、そこが失点という形で出てしまったのかなと思います」と大原康裕監督も口にした東大和南は、厳しい形での失点にも「そこは『やることを変えないでやりなさい』と言っている」(大原監督)スタイル自体に変化はないものの、パスワークがフィニッシュになかなか結び付かず。8分は駒澤。小池浩然(3年・大豆戸FC)が放ったミドルは枠の右へ外れましたが、13分にも右から小池がロングスローを投げ入れ、ここは金子雅弘(3年・FC.Branco八王子)が懸命にクリア。18分にも佐藤が縦にクサビを打ち込み、小池が繋いだボールを影山克明(3年・ヴェルディSSレスチ)が枠に収めたシュートは東大和南のGK山本浩也(3年・日野第四中)が何とかキャッチ。19分に左から村上哲(3年・FC府中)が蹴り込んだCKは、阿部文哉(3年・JACPA東京FC)がクリアで掻き出すも、ピッチ全体を支配していく駒澤の"強度"。
21分にはようやく東大和南にファーストシュート。センターバックの飯島彪貴(3年・青梅霞台中)が左へ展開し、住谷が繋ぐと田中大地(3年・東京久留米FC)は中央へ。平塚のミドルはクロスバーの上へ外れましたが、スムーズなパスワークからシュートまで持ち込むと、28分には決定的なチャンス。中央をドリブルでグングン運んだ平塚は、少し左寄りに進路を取りながらマイナス気味にクロス。ここに突っ込んだ住谷はわずかに届かず、思わずその住谷も天を仰いだものの、少しずつ見え始める同点への道筋。
追加点は関東大会の優秀選手に選出されたストライカーが。29分に小池が中央へ鋭いボールを入れると、菊地雄介(3年・VIVAIO船橋)はダイレクトでシンプルに右へ。このパスに抜け出した影山は、飛び出したGKを冷静に見極めながらボールをゴールネットへ送り届けます。前線に負傷者が続出している状況の中で、チームを最前線で牽引している影山の貴重な一撃。駒澤のリードは2点に広がりました。
開始5分あまりで右サイドバックの齊藤我空(1年・Forza'02)とボランチの高橋勇夢(3年・Forza'02)を入れ替えていた大野監督は、この2点目を見届けるとさらなる配置転換を。「彼はどこでもやれる」という小池をボランチへ落とし、齊藤を最前線に送り込み、とにかく前からの激しいプレスを要求しながら、さらなる強度アップに着手。34分に左から広瀬将一(3年・西東京保谷中)が蹴り込んだ東大和南のCKは、佐藤が高い打点できっちりクリア。35分には駒澤も、菊地のパスから米田が狙ったミドルはゴール右へ。「自分たちのやりたいことがちょっとはできたのかなと思います」とは大原監督ですが、勘所をしっかり押さえた駒澤が2点のリードを奪って最初の40分間は終了しました。


後半は「もう1回ハーフタイムに一からプレスに行こうとチームで話した」(米田)駒澤がスタートから攻勢に。42分には左サイドを崩し、米田が短く付けたボールを高橋が叩いたミドルは枠の上へ。43分には「関東大会は僕の中では3日間ずっと良かった。何で優秀選手に選ばれなかったのかわからないぐらい」と指揮官も評価する服部正也(3年・S.T.FC)の右CKへ、これが復帰戦となる西田直也(2年・横浜F・マリノスJY追浜)がニアへ突っ込むもシュートはゴール右へ。44分にもルーズボールにいち早く反応した村上のミドルは枠の右へ外れたものの、格段にボールへの反応速度が上がった駒澤のペースに。
48分に東大和南は2枚替えを決断。住谷と田中のアタッカーコンビに替えて、堀越戦でファーストタッチゴールを叩き込んだ柿崎と北里勇次(3年・日野第四中)のジョーカーコンビを送り込んで勝負に出ましたが、49分には影山の猛烈なプレスを受け、エリア内でボールを収めた山本は何とかキャッチ。51分にも高橋のパスを右サイドで受けた米田が、カットインしながら左足で放ったミドルはクロスバーの上へ。53分にも村上の鋭い左クロスを、エリア内で収めた影山のシュートは山本がファインセーブで必死に回避。変わらないゲームリズム。
大きな追加点は「西田がフォワードになるとは思っていなかったですけど」と米田も語る急造センターフォワードから。菊地と由川航也(3年・習志野第二中)を1人目の交替として入れ替えた2分後の56分、エリア内へ運んだボールを後半スタートから最前線で起用されていた西田が粘って潰れると、「西田が上手い感じで競ってくれて、自分はそのセカンドを狙おうと思っていて近くにいた」米田は素早くルーズボールをかっさらって右足一閃。ボールは左スミのゴールネットへ転がり込みます。「落ち着いて決められました」という米田はこれでドッピエッタ。両者の点差は3点に広がりました。
「相手のゴール前での崩しはなかなかやらせてもらえなかった」と大原監督も言及した東大和南は小さくないビハインドを追い掛ける展開の中、59分に好チャンス。根本歩夢(3年・TACサルバトーレ)が右サイドへ綺麗なスルーパスを通すと、広瀬が飛び出しましたが、ここは良く戻った由川がタックルで回避。その右CKを広瀬が蹴り込んだボールはゴールラインを割ってしまったものの、62分にも北里の仕掛けで獲得した左CKを途中出場の渡辺柊平(3年・東京久留米FC)が蹴り入れ、宮尾慧吾(3年・東村山第四中)がファーで合わせたシュートは枠の右へ。何とか返したい反撃の1点。
この日の主役は「今日は結果にこだわってやろうと思っていた」というナンバーエイト。61分に斉藤優成(3年・ C.A.ALEGRE)、64分に椿原悠人(3年・ふじみ野福岡中)を相次いで投入した駒澤のチャンスは64分。小池が中央へスルーパスを通すと、走った米田は「強引ではあったんですけど、自分の長所はスピードとドリブルなので、それを出そうと思って中央でドリブルして」マーカーを切り返しで外しながらそのままシュート。ボールは左スミのゴールネットへ吸い込まれます。「ハットトリックを狙っていたので決められて良かったです」と笑った米田は、自らの言葉通りに圧巻のハットトリック。スコアは4-0に変わりました。
苦しくなった東大和南は、67分に宮尾が左サイドからミドルを狙うも、駒澤のGK征矢楽士(3年・横河武蔵野FC JY)が丁寧にキャッチ。逆に71分は駒澤。由川がDFラインの裏へ落とし、走った斉藤のループミドルは枠の左へ外れるも、途中出場の2人でチャンスを創出。78分も駒澤。右サイドを抜け出した椿原のシュートはゴール左へ逸れましたが、大野監督も「椿原は悪くなかったと思う」と評価を口に。駒澤が武智悠人(3年・Forza'02)を、東大和南が池谷大地(2年)をそれぞれ最後のカードとして送り込み、試合は最終盤へと差し掛かります。
東大和南の執念。79分に前を向いた平塚が右へ流すと、柿崎のクロスに池谷が飛び込むも、DFがきっちりクリア。その右CKを池谷が蹴り込みましたが、ここもシュートまでは持ち込めず。80+3分のラストチャンス。平塚のリターンを受けた金子が右からクロスを送り込むも、ニアに突っ込んだ渡辺のシュートが征矢にキャッチされると、しばらくして鳴り響いたのはファイナルホイッスル。「私も選手もそこまで余裕はなくて、とりあえず今日の試合を乗り越えることだけ考えてやっていました」と大野監督も話した駒澤が終わってみれば4ゴールを奪い切り、関東第一の待つセミファイナルへと勝ち上がる結果となりました。


関東大会の3連戦を終えた直後ということもあり、「相当疲れていましたし、私自身も切り替えが難しいですよね。昨日は神奈川で日大藤沢も負けてしまいましたし、『わからないんだ』という話はしていました」と明かした大野監督は続けて、『うまくいかない時は関東大会から応援が頑張ってくれているんですよ。だから、こっちは応援のためで、応援は選手のためにと。最後はそこじゃないかなって。技術的なことをどうこう言ったってダメな時はダメなんですよね」と応援の力を強調すると、佐藤も「関東大会の1回戦も後半の逆転は応援の力がなかったらムリでした。あの応援はスゲー鳥肌が立つんですよ」と同調。270人近い部員の代表として戦うピッチのイレブンにも、赤黒の大声援は確かに届いているようです。前述したように次の相手は3月のT1リーグで完敗を喫した関東第一。「1回Tリーグで負けているので、リベンジという気持ちもありますし、インハイで全国の強豪校とやるためにも、まずは関一に勝って全国に出たいですね」と米田が話せば、「向こうはインターハイで去年ベスト4まで行っていて、間違いなく格上だと思いますし、技術もチーム力も上だと思うので、まとまってやらないと勝てないかなと。無失点に抑えて何が何でも勝ちたいです」と佐藤。全国切符を懸けた大一番はもう1週間後に迫っています。
選手権で全国ベスト8に入った強豪を相手に奮闘した東大和南。試合後に大原監督は「選手たちもここまで来るのは初めてですし、チームとしても一戦一戦成長してきていることを選手たち自身が感じていて、みんなでやっていこうという雰囲気が創られたので、そこが良かったかなと思います」とこの大会自体を総括してくれました。思えば支部予選から数えて、この日でインターハイ予選は7試合目。6度に渡って選手と応援団とマネージャーで繰り広げられた歓喜のジャンプの"7度目"は叶いませんでしたが、ここまで勝ち上がってきたことは大いに誇って良い勲章。「応援の子たちも自分たちで太鼓を借りたりとか、自分たちで昼休みに集まって応援をやったりとか、そういう所も前だったら考えられなかったと思うので、そういう部分も成長したのかなと。サッカー以外の面でも周囲に気を配れるようになってきたりとか、そういう所が目に見えて変わってきているなというのがわかるので、これからもそういう風にやっていけたらいいのかなと思っています」と大原監督。サッカーを通じて様々な成長を手にした東大和南の、とりわけ"梅雨引退組"の3年生に大きな拍手を送りたいと思います。     土屋

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