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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年05月02日

関東大学2部前期第5節 東洋大×東京学芸大@東洋大朝霞G

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0501toyo.jpg1部復帰だけを明確な目標として掲げる中で、やや序盤から波に乗り切れない両者の対峙。東洋大と東京学芸大の激突は東洋大朝霞グラウンドです。
今シーズンで3年目の2部生活。昨年は関東予選を勝ち上がって総理大臣杯を経験するなど、手応えのあるシーズンを送りながらも、4位に終わって昇格には届かなかった東洋大。3度目の正直を誓って迎えた今シーズンも、神奈川大と対戦した開幕戦を0-1で落とすと、第3節まで1分け2敗とまさかの未勝利。ようやく前節の明治学院大戦で佐藤仁紀(4年・武南)のハットトリックが飛び出し、初勝利を挙げたとは言え「監督もこの試合を落とすか落とさないかで、昇格争いか残留争いかが懸かるくらい重要な試合と言っていた」と話したのは仙頭啓矢(4年・京都橘)。ホームで戦うこの一戦はシーズンを考える上でも重要度の高いキーゲームです。
一方、今シーズンで4年目の2部生活。ここ3シーズンは8位、9位、6位となかなか1部昇格という目標に辿り着けず、悔しいシーズンが続いている東京学芸大。檜山康監督体制も3年目を迎えた今シーズンは、第3節で関東学院大には勝利を収めたものの、そのゲーム以外ではまだ勝利がなく、1勝1分け2敗とここまではやや厳しい開幕スタートに。東洋同様にこのゲームをモノにできるかできないかは、今後の戦いを考えても大きな分岐点になりそうです。会場の東洋大朝霞グラウンドは真夏を思わせるような快晴。楽しみな一戦は東洋のキックオフでスタートしました。


あっという間の衝撃は開始わずかに2分。右サイドでボールを持ったSBの松居朋生(3年・鹿島学園)が、正確なフィードをラインの裏に蹴り込むと、絶妙のタイミングで飛び出した岸寛太(3年・FC東京U-18)はGKと1対1に。少し運んで左足アウトで流し込んだボールは左のポストを叩いて、ゴールネットへ転がり込みます。ストライカーの今シーズン初ゴールは貴重な先制弾。東京学芸が1点のリードを奪いました。
「学芸さんはいつも手堅い相手なので、必ず先制点を与えずに先手を取れるようにという感じで送り出したのですが、ものの1分ぐらいで先制点を献上する形になって、ゲームプランとしてはまるっきり反対になった」と古川毅監督も話した東洋は1点を追い掛ける展開に。7分にはCBの徳市寛人(4年・東福岡)がスルーパスを繰り出し、走った田中舟汰郎(4年・横浜FCユース)のシュートが右のポストを叩くなど、嫌な流れになり掛けましたが、この空気を一掃したのは頼れる10番。10分に左CKのスポットに立った仙頭は鋭いキックをファーサイドへ。ボールはそのまま綺麗な弧を描いて、何と右のサイドネットへ直接吸い込まれます。「中に入る選手を全部GKの方に置いて直接狙う形は練習からやっているので、キックもうまく行きました」と本人も納得のいわゆる"オリンピックゴール"。アイデアと技術の融合したゴラッソでたちまち両者の点差は霧散します。
一気呵成。12分も東洋。キャプテンの佐藤から中央でボールを受けた田中は「最初は自分で前に運ぼうと思ったんですけど、ちょっとタッチが後ろになってしまいましたし、啓矢が呼んでいたので速いボールを足元に付ければ通るかなと思ってとっさの判断で」右へラストパス。このボールを受けた仙頭は冷静に左スミのゴールネットへボールを送り届けます。「ファーストタッチも上手く決まりましたし、ああいうシュート練習はよくやっているから冷静にできた所もあるので、練習の成果かなと思って嬉しかったですね」と笑う10番は早くもドッピエッタ。わずか2分間で東洋がスコアを引っ繰り返しました。
ジェットコースターのような展開の中で、今度はビハインドを負った格好の東京学芸は、それでもシンプルな縦へのアタックには十分迫力が。21分には平田惇(4年・サンフレッチェ広島ユース)が左へスルーパスを通し、色摩雄貴(1年・鹿島アントラーズユース)の折り返しに、フリーで宮地裕二郎(1年・大分トリニータU-18)が走り込むもフィニッシュは枠の右へ。25分にも宮地が高い位置でボールを奪い返すと、平田が枠へ収めた30mミドルは東洋のGK伊藤俊祐(3年・柏レイソルU-18)がフィスティングで何とか回避。26分に左から南直志(3年・千葉県立八千代)が蹴ったCKは、東洋の左SBを任された白石直毅(3年・前橋育英)にクリアされましたが、ジワジワと押し返しながら狙う同点ゴール。
28分も東京学芸。左からレフティの冨澤右京(4年・桐蔭学園)が入れたFKはカベに当たり、堀大貴(2年・JFAアカデミー福島)が叩いたミドルはクロスバーの上へ。31分も東京学芸。ここも冨澤が蹴り込んだ左FKは佐藤がクリアするも、再び狙った堀のミドルは伊藤がしっかりキャッチ。34分も東京学芸。ピッチ中央右寄り、ゴールまで30m弱の位置から平田が直接狙った重いFKはクロスバーにハードヒット。押し込む東京学芸。ボルテージを上げ続ける紫の応援団。
42分の一刺しはホームチーム。坂元達裕(2年・前橋育英)からボールを引き出した高橋宏季(2年・FC東京U-18)は、ルックアップすると狭いスペースにスルーパスをグサリ。まったくのフリーで飛び出した佐藤は、ゴール左スミへ確実にボールを流し込みます。「ちょうどその時はメモしていて見逃して、僕の中ではアイツのゴールはなかったことになっています」と笑わせたのは古川監督ですが、正真正銘のゴールはキャプテンの2戦連発となる追加点。東洋が2点のリードを手にして、最初の45分間は終了しました。


前半終了間際に平田の惜しいヘディングがあったものの、2点差を付けられた東京学芸は後半スタートから選手交替を。宮地を下げて増田侑也(4年・都立国立)を最前線に送り込み、色摩を右サイドハーフにスライドさせて追撃態勢を整えるも、ハーフタイムが明けると攻勢は東洋。52分には浦上仁騎(2年・大宮アルディージャユース)とのパス交換から徳市が右のハイサイドへフィードを落とし、走ったSBの飯島樹生(4年・流通経済大柏)は最高の折り返しをマイナスに送るも、仙頭がフリーで放ったシュートはクロスバーの上へ。53分にも佐藤の左アーリーを坂元が高い打点で落とし、飛び込んだ仙頭はシュートまで持ち込めなかったものの、「最終学年で一番試合にも出させてもらってきた中で、自分が引っ張っていかないといけないのかなというのは感じている」と話す仙頭が滲ませるハットトリックへの意欲。
突如として生まれた58分のゴラッソは紫のナンバーイレブン。GKの木村真(2年・柏レイソルU-18)が蹴ったキックに南が競り合ってこぼれたボールを、DFに体を預けながら反転して前を向いた岸は右足一閃。ボレーで撃ち抜かれた軌道は、そのまま右スミギリギリの凄まじいコースに突き刺さります。岸もこれで見事にドッピエッタ。再び両者の点差は1点に縮まりました。
にわかに行方の見えなくなってきたゲーム展開。60分は東洋。坂元を起点に飯島が裏へ蹴り込んだボールを、斜めに走って受けた仙頭のシュートは右のサイドネット外側へ。61分は東京学芸。松居が好フィードを送り込み、岸が粘って繋いだ流れから南が抜け出し掛けるも、梅田智起主審はオフェンスファウルという判定。63分は東洋。仙頭の右CKは南が頭で掻き出し、こぼれに反応した高橋のミドルはディフェンスの人垣が体でブロック。直後の左CKも仙頭が巻いて蹴り入れるも、ここは木村が密集の中できっちりパンチング。一進一退。次の得点は果たしてどちらに。
煌めいたのは「結果を出していったり、1試合1試合良いパフォーマンスをすることがプロも含めた上に繋がっていくと思う」と話す7番のアタッカー。65分に右サイドで飯島が短く付けたボールを坂元はシンプルに縦へ。ここへ3列目から飛び出してきた高橋は、マイナス気味にグラウンダーで中へ。「最初は前でもらおうと思ったんですけど、ディフェンスが転んだので」少し下がって受けた田中は、ボールを左スミのゴールネットへ丁寧に蹴り入れます。「前に最初に入って行くことによって、ミスが起きた時にリアクションで反応できたので、どんどん中に入って行く所を惜しまなかったのが点に繋がったと思います」と話す田中のゴールは、「前目の4人は開幕から固定していて、今日やっと田中がゴールを取って4人揃い踏みになった」と指揮官も喜ぶ価値ある一撃。東洋が東京学芸を突き放します。
千両役者のトドメは4年生トリオによって。68分に左サイドを運んだ田中が中央へ流し、受けた仙頭はすかさずエリア内へ縦パスを。スクリーンしながら佐藤が正確に落としたボールに、パスアンドゴーで突っ込んだ仙頭は飛び出したGKも見極めつつ、正確なインサイドで射抜いた左スミのゴールネット。「崩せた得点だったので良かったですし、今までは3点目を狙っていても入らないということが多かったんですけど、今回は3点目を取れたというのは個人的にも自信になります」と語る10番は、昨シーズンに続く自身リーグ戦2度目のハットトリック。5-2。東洋のリードは3点に広がりました。
苦しくなった東京学芸は71分に2枚替えを決断。松居と堀に替えて、ルーキーの原山海里(1年・青森山田)と高橋滉也(2年・塩釜FCユース)をピッチヘ解き放ち、高橋は左SHに入りつつ、その位置にいた南がボランチヘスライド。最終ラインは右から原山、和田夏紀(4年・枚方FCカンテラ)、鈴木翔太(2年・清水エスパルスユース)、冨澤と並ぶ4バックで最後の勝負に。すると、73分にいきなり原山が高校選手権を沸かせた得意のロングスローを繰り出して場内を沸かせると、77分にも右から入れた原山の"2球目"に増田が合わせたヘディングは左ポストを直撃。「彼に限らずロングスローを投げてくる相手というのはいますが、彼の投げてくる距離感がたぶん想像を超えていたのかなと思います」と古川監督。まさに最終兵器とも言うべき原山のロングスローは、やはり大学でも観衆のどよめきを誘います。
この終盤に存在感を見せたのは、良く走ったボランチの勝野瑛(2年・浦和レッズユース)との交替で、CBへ投入された星清太(4年・関東第一)。「勝野が足を攣ってしまって、リードしているので守備力のある選手と考えた時に、去年もボランチで起用していた徳市を1個落としてCBで起用している所もあったので、ボランチの選手をボランチ同士で替えるよりは星をディフェンスラインに置いて、徳市を1つ前に出す方が安定はするかなという所」(古川監督)で起用された星は、81分に原山の右ロングスローをきっちり頭で弾き出すと、81分には平田、岸とパスを回し、高橋が打ち切ったミドルも体で果敢にブロック。「星はここ数試合のリザーブチームの試合でパフォーマンスの向上が見られた」という指揮官の期待に応える守備を披露し、取り掛かるゲームクローズ。
1点ずつ返したい東京学芸も84分には南が残し、岸がエリア外からミドルを枠へ収めるも、伊藤がファインセーブで仁王立ち。88分には東洋も坂元が浮き球を粘って収め、25mミドルをわずかに枠の右へ外すなど、最後まで追加点への意識を貪欲に。そして、90分に原山が投げ込んだロングスローを星がきっちりクリアすると、これが両者にとってのラストチャンス。リーグ戦デビューとなる小林拓夢(1年・帝京長岡)と小堀将人(3年・千葉県立八千代)も投入しつつ、3点差を保ったホームチームに凱歌。「最初に落とした勝ち点というのは結構厳しいものがあるので、ここからかなという風に思っています」と仙頭も話した東洋が、2連勝を飾って勝ち点3を積み上げる結果となりました。


開幕3戦未勝利から一転、連勝でようやくエンジンが掛かり始めた感のある東洋。特に佐藤、仙頭、田中、坂元の4人は「1部と練習試合をやった時にもある程度できたことでプレシーズンから自信が付いてきて、4人はコンビネーションでも個人でも決着が付けられるようにいつも意識しているので、こうやって得点という結果になってくるとどんどん良くなってくると思います」と田中も話したように、個で見てもユニットで見てもかなりのハイレベル。今日のパフォーマンスを維持できれば、東洋の"ファンタスティック4"がリーグを席巻する可能性も十分秘めていると思います。ただ、この日デビューを飾った小林や工藤友暉(1年・市立船橋)、岡崎仁太朗(1年・関東第一)といったルーキーを筆頭に、このポジションにはリザーブにも力のある選手がズラリ。「彼ら4人が出られない時のためにもポジション争いにプレッシャーを掛けて行って欲しいですし、チームの底上げもしていきたいです」と話す古川監督の下、チーム内での激しいポジション争いも含めて、ここから東洋がどういう進化を遂げていくのかは非常に楽しみです。       土屋

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