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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2016年05月25日

『熊本地震復興支援マッチ J2第14節 熊本×水戸@日立台』ドキュメント的なレポート

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今回は5月22日に日立柏サッカー場で開催された『熊本地震復興支援マッチ』
J2第14節のロアッソ熊本対水戸ホーリーホックの一戦を
時系列に沿ったドキュメント的な雰囲気で振り返りたいと思います。
なお、写真は2枚しかないのでご了承ください(笑)


12:30
柏駅に到着。
コンコースではレイソル、フロンターレ、ロアッソ、ホーリーホックなどの
ユニフォームを着た方々が今日の日立台でのゲームを告知しています。
クラブの枠を超えた支援の広がりを到着早々に感じることができました。


12:35
柏駅から続く階段を下りるとあるボードを持ったレイソルサポーターが。
日立台へ向かう道の途中には
約100メートル間隔で4人のレイソルサポーターが
このボードを掲げていました。
DSC_0621.jpg


「今日はサポーターの有志でやっています」とのこと。
少なくない方が日立台への道のりを確認していました。
炎天下の中、頭が下がります。


12:42
キックオフまで2時間以上あるにもかかわらず
レイソルロードには多くのフットボールファンが。
ロアッソとホーリーホックのユニフォームを着ている方々に混じり
自らがサポートしているクラブのグッズを
身に付けている方々の姿も目立ちます。


12:50
日立台公園特設ブース。
DSC_0622kashiwa.jpg


『GIANT KILLING』の作者、ツジトモ先生の
募金活動&サインブースには信じられないレベルの長蛇の列が。
編集者の方にお聞きした所では
11時からのスタート予定を1時間早めたとのことで
この時点でツジトモ先生は3時間サインを書きっぱなし。
東日本大震災時にも被災した方々を励ますイラストを
地震発生直後から書き続けていたツジトモ先生の人柄がよくわかります。


12:55
報道受付には顔なじみのレイソルスタッフが。
今日のゲームはレイソルのクラブスタッフも総出でお手伝い。


13:00
開場。
赤いユニフォームを身に付けたロアッソサポーターが
KASHIWA CIVIC PRIDE GATEを弾けるように潜り抜けます。
チケットのもぎりをしているのは
"RKU"のロゴが入ったポロシャツを着ている青年たち。
この日は約80人の流通経済大サッカー部の皆さんが
ボランティアで駆け付けていました。
チケットのもぎり以外にも募金活動、
場内整理、ごみの仕分けと流経サッカー部員は大奮闘。
流経出身の鈴木翔登は試合後、
「自分たちの試合ではないですし、正直大変なこともあったと思うんですけど
こうやって精力的にやってくれるというのは非常に嬉しいことですし、
僕としてもその大学出身者として
Jリーグでプレーしているというのは誇りに思うので
後輩たちには『本当にありがとう』ということを伝えたいと思います」と
後輩たちへの感謝を口にしていました。


13:05 
アウェイゴール裏のど真ん中にダンマクが。
『ロアッソ熊本に再び逢えたことを俺達は嬉しく思う!
これからも支援し続けるぞ!がまだせくまもと』
"ロアッソ熊本"の文字は赤。"俺達"の文字は青。
個人的にホーリーホックサポーターは
いつも"キモ"を外さないイメージがあります。


13:32
ロアッソのホームゲームでスタジアムDJを務める
DJ KOVAと犬童麻美さんが登場。
あまりの暑さに「熱中症」という言葉を忘れる一幕もありながら
元選手とは思えない饒舌なDJ KOVAのトークが
日立台のスタンドを盛り上げます。
しかし風貌はもはや完全にレスラーのそれ。声量もバツグン。


13:40
時は2016年。
九州から遠く離れたこの地に時空を超えて
黒田官兵衛、小西行長、加藤清正が降臨。
彼らが結成した部隊はその名も『熊本城おもてなし武将隊』。
http://kumamoto-bushoutai.com/index.html
「よう参られた。大儀である」と来場者を労いつつ
緑の芝生のピッチの上で派手めに斬り合う着物姿の3人。
あれはなかなか見られる光景ではありません(笑)


13:45
加藤清正の呼び込みで
ピッチヘ登場したのは1人のお姉さんと
熊本城に目と足と手の付いた大きめの着ぐるみマスコット。
その生命体の名前はひごまる(熊本市イメージキャラクター)ということで
比較的唐突に始まったのは『ひごまる音頭』。
しかし、そのパフォーマンスは圧巻の一言。
大きめの着ぐるみマスコットとは思えない程の機敏な動きで
ピッチをクルクル飛び回ります。
約50センチぐらいの跳躍を見せるなど、驚異的な身体能力を見せ付けてくれました。


13:52
軽快なミュージックと共にスタートしたのはロアッソくんサンバ。
2016年ロアッソくんお姉さんの山ノ内麻由香さん、ロアッソくん、くまモン、
ひごまる、ありさお姉さん、レイくん、DJ KOVA、犬童さん、
黒田官兵衛、小西行長、加藤清正。
性別も生態も時代も異なる総勢11人が柏の地で繰り広げる陽気なサンバ。
元アスリートのDJ KOVAはやはり動きに切れ味がありましたねえ(笑)


13:58
小走りで登場したのは赤い03番(たぶん"オザ"ってことですよね・笑)の
ユニフォームを着込んだ、"セカオザ"ことスピードワゴンの小沢一敬さん!
4年前にTV番組でクラブスタッフの仕事を体験した縁もあって
日立台へ駆け付けたということでした。
実は小沢さんがこの日行っていた募金活動には
小島よしおさんとフルーツポンチの村上健志さんもお手伝いで参加。
ここにも先輩後輩を巡る確かな"絆"が存在していました。


14:06
「"観戦"ではありません。"参戦"して下さい。一緒に戦いましょう!」
DJ KOVAの名言が飛び出します!


14:16
佐藤昭大と金井大樹がアップのためにピッチヘ。
金井は千葉戦の試合後、場内一周している時に
感情を抑えきれずに涙を流す姿が印象的でした。


14:19
ロアッソのコールリーダーがメインスタンドとバックスタンドの
サポーターに応援の呼び掛け。
両スタンドから大きな拍手が巻き起こります。
その後はホーリーホックサポーターにもしっかりご挨拶。
すると、そのホーリーホックサポーターから
大音量で「ロアッソ熊本」コールが。
それに対してロアッソサポーターも「サンキュー水戸」でアンサーコール。
なんか最高でしたよ。


14:22
ロアッソのフィールドプレーヤーたちがピッチへ登場。
バックスタンド、ゴール裏の順番に挨拶をする流れの中
ゴール裏に現れたのはロアッソのレプリカを着用した水前寺清子さん!
"チータ"も選手と肩を組んで聞き入るサポーターの『HIKARI』。
まさにシャッターチャンス。熊本180万馬力の象徴!


14:25
DJ KOVAの選手紹介。
声量、体格、共にレスラー以外の何者でもありません!


14:40
気付けばバックスタンドも8割方は埋まってきています。
いつもこのスタジアムでレイソルを取材されている鈴木潤さんも
「何か不思議な感じだなあ」と首をかしげながらニコリ。
赤く染まった日立台。キックオフまであと20分。


14:46
絆宣言。
再び水前寺清子さんがピッチへ登場すると
「無口なものですから、一曲歌を歌わせて頂きます」。
当然曲は『三百六十五歩のマーチ』。
この日のためにあったかのような名曲の熱唱に
スタジアム中から巻き起こる万雷の手拍子!
ロアッソサポーターもホーリーホックサポーターも
それ以外の方もみんながみんな『チータ』コール。
「この年になってこんな格好をするとは思っても見ませんでした(笑)」
と一笑いも取って颯爽とピッチを後にしました。
この日の実況を務められたRKKの山﨑雄樹アナウンサーによれば
熊本を復興支援で訪れた際にも水前寺さんは
「今は歌うような状況ではない」と自らの歌声を封印。
震災後、熊本を支援するような公の場で歌うのは初めてだったそうです。
この時にスタジアムを包んだ一体感は
何とも言えない素晴らしいものでした。


14:51
復興支援金の贈呈。
サンクスマッチスポンサーのリーフラス株式会社
伊藤清隆代表取締役最高情報責任者より
池谷友良社長に募金が贈呈されます。
そのまま池谷社長からご挨拶が。
来場者の皆さんを筆頭に
レイソル、レイソルのクラブスタッフ、ロアッソのファン・サポーター、
Jリーグ、Jリーグクラブ、全国のサッカーファミリーへと
感謝の言葉が尽きません。


14:58
『HIKARI』の大合唱と共にタオルマフラーが掲げられる中
両チームの選手が入場します。
ロアッソのゴール裏にはビッグフラッグ。
ホーリーホックサポーターもいつも通りのチャントで
アウェイゲームに挑む選手を勇気付けます。
小沢さんの始球式も置きに行くインサイドキックでしっかり成功(笑)
いよいよゲームがスタートします。


15:03
黙祷。
再びホーリーホックサポーターから巻き起こる「ロアッソ熊本」コール。
それに「サンキュー水戸」で応えるロアッソサポーター。


15:04
水戸ボールで前半キックオフ。


15:09
熊本のファーストチャンス。
上原拓郎のフィードを片山奨典が左から折り返し、巻誠一郎がシュート。
惜しくもオフサイドとなりましたが
役者のフィニッシュシーンにスタンドから歓声が上がります。


15:17
サイドで藏川洋平がボールを持つと
メインスタンド側から一際大きな声援が。
レイソルで6シーズンプレーした藏川にとっても
この一戦は日立台への凱旋ゲーム。
「赤く染まったのは初めてなので不思議な感じはしましたが
試合中にも声を掛けてもらってありがたかった」
とホームゲームを振り返りました。


15:50
前半終了。
0-0。ほぼ互角の展開でハーフタイムを迎えます。


16:03
再び選手たちがピッチヘ。
「ダレダレダレダレダレダレダレ ロッソ
ダレダレダレダレダレダレダレ オ~」
おなじみのチャントで選手を鼓舞するロアッソサポーター。


16:06
熊本ボールで後半キックオフ。


16:25
嶋田慎太郎が1つタメて右へ出すと、岡本賢明はグラウンダーで中へ。
飛び込んだ巻はシュートまで持ち込めなかったものの
全員が熊本出身の3トップでチャンスを創り出します。


16:31
入場者数の発表。
その数、なんと8201人!
うまかな・よかなスタジアムで開催された
今シーズンの開幕戦とほぼ同じ数字に
スタンドから大きな拍手が起こります。


16:36
接触で巻がうずくまったまま動けず。
この日も精力的にピッチを走り続けた36番に
大きな激励の声と拍手が送られます。
それに突き動かされたのか、巻は立ち上がりプレー続行。
残された時間は25分あまり。


16:42
左サイドでこぼれを拾った船谷圭祐が低いボールでクロス。
ニアへ飛び込んだ三島康平がDFともつれながら
右足で合わせたボールはゴールネットへ転がり込みます。
ここ3試合白星のないホーリーホックにとっても
この一戦は勝利だけを欲する大事な90分間。
沸騰する青のアウェイゴール裏。
一方、失点にも音量を落とすことなく
赤のホームゴール裏が続けるチャント。
動いたスコア。破れた均衡。残り10分。最後の勝負へ。


16:46
ロアッソベンチが最後のカードとして切ったのはアンデルソン。
彼はロアッソが活動停止を余儀なくされていた時期に
レイソルの練習に参加していたこともあって
応援に訪れていたレイソルに所属するブラジル国籍の選手も
この登場には大喜び。
果たして"アンジー"はチームを救うことができるのか。


16:55
試合終了。
0-1。勝ったのはホーリーホック。
それでもロアッソサポーターのチャントにスタンドの手拍子は止まず。
彼らもタイムアップの笛が鳴ってから2分近く歌い続けます。
チャントが終わると、スタンドの手拍子は大きな拍手へ。
この日3度目となる「ロアッソ熊本」「サンキュー水戸」のエール交換。
メイン、バックはそのどちらのコールにも手拍子を送っていました。


16:58
『皆様のご支援ありがとうございます』
『がんばろう!九州・熊本 熊本と共に 180万馬力』
横断幕を持って両チームの選手で場内一周。
前述の山﨑アナウンサー曰く、熊本の黒木晃平は
鳥栖時代にチームメイトだった船谷を相当リスペクトしているとのことで
よく見れば横断幕もしっかり隣同士で持っていました(笑)
まずはホーリーホックのゴール裏に両チームの選手が横に並んで挨拶。
この日4度目の「ロアッソ熊本」と「サンキュー水戸」。
その後はロアッソサポーターから「サンキュー柏」コールも。
気付けば試合中にはなかった『がまだせ熊本負けんばい』の横断幕が
ロアッソゴール裏中央に掲げられています。


17:05
ロアッソのゴール裏への挨拶を経て
両チームの全選手、全スタッフがメインスタンド側に挨拶。
その後は両チームの選手がそれぞれのゴール裏へ向かい
改めてもう一度感謝の挨拶を行いました。


17:10
中継のインタビューに応じていた巻が
多くのメッセージの書かれた寄せ書きを持って子供たちと記念撮影。
その彼がスタンドからの声援に応えながらロッカールームと消えていき
特別なホームゲームとアウェイゲームは
終焉の時を迎えることになりました。


最後にスカパー!中継で
この日の解説を務められた水沼貴史さんのお話をご紹介したいと思います。


「水前寺清子さんは凄かった!あそこにいた人はあの空気感を味わえただけでも、幸せな気分になれたと思いますよね。やっぱりエンターテイナーってああいう人のことを言うんですよ。普通だったら真ん中で歌って終わりの所を、場内を回ってサポーターの前まで行って歌っていたじゃないですか。アレが凄いんですよ。


水前寺さんの歌もそうですけど、募金活動とか色々な方がされていて、募金した方は赤いビブスをもらえて、それを着ている人たちがたくさんいて、レイソルのサポーターの人たちが道すがらに交通案内をしているとか、サッカーに関わっている人、それは当事者ではない人たちも熊本のためにとか、レイソルのホームスタジアムで開催されるゲームということに意義を感じて集まってくる人たちが創った空気感だったので、今まで味わったことのない空気感が試合前から試合後までずっと充満していたというのは一番感じたことですね。あんな空気を味わったことはないです。ずっと温かい空気がそこに流れていましたよね。今までにも色々なチャリティーマッチがありましたし、仙台が東日本大震災の後に勝ったゲームもそうですけど、今回はまたそれとは違う感じはしましたね。そこにいたこと自体に特別感がありました。


サッカーのようなスポーツには、純粋に戦えるものの中に色々な想いが入っているんだなというか、色々なものを託せるものなんだとは思いましたね。そこに色々な想いを託している人がいて、元気をもらいたいとか、逆にこちらから選手に元気を与えたいとか、そういう人たちもいらっしゃいますし、それを言葉ではなくて映像で伝える人も中継スタッフの中にいますし、色々な人たちがいて、サッカーの良さやスポーツの素晴らしさを現場で体験できたのは、これから自分にとってどういう風に生かされて行くかわからないですけど、より伝える側の意味というのを再確認させられたなと思います」


がまだせ熊本!


土屋

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