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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年04月19日

T2リーグ2016第7節 駿台学園×東海大高輪台@大井第二

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0419ooi.jpgチューズデーナイトのお楽しみはT2リーグの好カード。中支部同士の駿台学園と東海大高輪台が対峙する一戦は大井ふ頭中央海浜公園スポーツの森第二球技場です。
開幕戦は暁星相手に藤沼健一(2年・駿台学園中)が挙げた1点を守り切り、幸先良いスタートを切りながら、そこからはほとんどの試合が僅差ではあるものの、現在5連敗中となかなか結果が付いてこない駿台学園。それでもキャプテンの高橋実紀(3年・板橋志村第一中)や昨シーズンも出場機会を得ていた小池唯人(3年・駿台学園中)を筆頭に、続々と主力が戦線復帰しているのは好材料。週末に迫ったインターハイの支部予選へ向けて、良いイメージを構築したい90分間に臨みます。
2勝1分け1敗と決して悪くないリーグ戦の成績を携えつつ、挑んだ関東大会予選は初戦で修徳に川島純一監督も「完璧にやられましたね」と口にする0-3の完敗を喫し、その4日後のT2でもFCトリプレッタユースに0-2で敗れ、公式戦は連敗中の東海大高輪台。こちらもインターハイは支部予選からの登場となりますが、1回戦はシードのために初戦まではまだ少し時間の余裕も。「今日は練習で見て良かったメンバー、チームのためにやってくれている子を先発で使いました」と川島監督。真剣に狙う東京制覇を考えても、自信を回復させておきたい一戦へ向かいます。大井はやはり海沿いということもあって、薄着で訪れた来場者は寒さに震えるレベルの寒風が。楽しみなナイトゲームは高輪台のキックオフでスタートしました。


ファーストシュートは3分の高輪台。左SBの木次悠(3年・インテリオールFC)の出したパスを臼井研(3年・AZ'86東京青梅)が繋ぐと、武井成豪(3年・GRANDE FC)のボレーは駿台学園のGK松田裕介(3年・FC.PROUD)にキャッチされましたが、最初の歓喜はそのわずかに3分後。左から木次が蹴ったFKは、バウンドしながらファーサイドまで流れ、「『抜けてきたらいいな』と思って走ったらボールが来た」という武井が頭で押し込んだボールはゴールネットへ飛び込みます。あっという間の先制劇。高輪台が1点のリードを奪いました。
以降もゲームリズムは高輪台。8分に武井のパスを水野団(3年・ESA)が枠へ収めたミドルは松田にキャッチされるも、11分にはカウンターから水野がタイミングを計って絶妙のスルーパス。抜け出した本藤悟(3年・横浜FC JY)と松田の1対1は、果敢に飛び出した後者に軍配が上がりますが、高輪台らしい形から決定機を創出。13分にも左右から続けて永野颯人(3年・横浜F・マリノスJY追浜)が蹴ったCKの2本目に飛び付いた本藤のヘディングは枠の左へ外れたものの、高輪台が続けて繰り出す手数。
一方、右SHに入った中村蓮(3年・ヴェルディSS AJUNT)がサイドで基点を創りつつ、高橋と渡辺龍也(3年・Forza'02)のドイスボランチを中心にボールこそある程度動かすものの、なかなか縦へのテンポアップが出て来ない駿台学園を尻目に、高輪台は15分にも相手ボールをかっさらった木次がミドルを枠の左へ。18分には「今日が初出場なんですけど落ち着いていましたね」と川島監督も評価を口にしたCBの今井創一朗(2年・C.A.アレグレ)がピンポイントフィードを右のハイサイドへ送り、永野の横パスに走り込んだ本多翔太郎(2年・GRANDE FC)のミドルも枠の左へ逸れましたが、最初の20分はセカンドユニフォームの"ホワイト軍団"がゲームを支配してみせます。
ところが、23分に小池がゴールまで35m近い距離で得たFKを無回転で枠の左へ外したあたりから、少しずつ駿台学園にも攻撃のテンポが。高松黎(2年・FCトッカーノ)と長岡星司(3年・Forza'02)のビルドアップに周囲が連動し、相手陣内で時間を創れる回数が明らかに増加。33分には左から大林道信(3年・両国FC)が中央へ戻し、片岡良介(3年・フレンドリー)を経由したボールを渡辺は右へ流れながら左スミギリギリへコントロール。ここは高輪台のGK角田篤生(3年・FC.PROUD)が横っ飛びでキャッチしましたが、ようやく記録された枠内シュート。
34分も駿台学園。高橋が左へ展開すると、SBの丸山優聖(3年・練馬石神井中)は面白いタイミングでラインの裏へ。走り込んだ小池のクロスはサイドネットへ引っ掛かったものの、左足の特徴を持つ丸山が1つチャンスを演出。38分も駿台学園。相手の横パスを奪った渡辺は、そのまま縦に運んで枠の左へ外れるミドル。42分も駿台学園。高橋のパスから中村が思い切り叩いた30mミドルは枠の上へ外れましたが、格段に上がった駿台学園のシュート意識。45+1分には高輪台が右CKを獲得するも、永野が蹴り込んだボールはファーで中村がきっちりクリア。「前半は1-0でラッキー」(川島監督)「たまたま1点取れて良かったですけど、ちょっと厳しかったなという感じでした」(武井)と2人が声を揃えた通り、駿台学園の良さも十分に発揮された前半は高輪台が1点のアドバンテージを握って、45分間が終了しました。


ハーフタイムに高輪台は2枚替え。「守備もやれてないし、攻撃も怖がっているし、アイツらも『1-0で良かった』みたいな顔をしているから、『こんな試合内容で勝つんじゃねえ』って言いました」と話した川島監督は臼井と本多に替えて、武川剣真(3年・AZ'86東京青梅)と高野颯翔(3年・ジェファFC)を送り込み、中盤の並びにも変化を加えて後半へ向かうと、46分には武井のスルーパスに本藤がダッシュ。ここは飛び出した松田がクリアしましたが、まずは追加点への意欲を打ち出します。
ただ、駿台学園の勢いも継続。48分には絶好の同点機。右SBの中西航大(3年・武南JY)がエリア内まで駆け上がり、中央へ送ったボールを小池が粘って残すと、突っ込んだ大林は右足シュート。DFが懸命に体でブロックしたボールは枠の右へ外れ、片岡が蹴った右CKも角田にキャッチされましたが、この一連には大森一仁監督も拍手で呼応。オリジナルチャントを複数繰り出すなど、ノリノリの応援団もボルテージを引き上げ、見えてきた同点への道筋。
煌めいたのは途中出場のナンバーエイト。50分に得意のドリブルから高野が縦に付け、本藤が丁寧に落としたボールを水野が枠の左へ外したシュートを経て、その2分後にもビッグチャンス。水野が右へ振り分けたボールを、永野は斜め前方に角度を付けて入れると、スムーズなターンで反転した高野は少し運んで右足一閃。鋭い軌道を描いたボールは左のサイドネットへ一直線に突き刺さります。この日はベンチスタートだったものの、「もっとやって欲しいんですけどね。去年からメッセージは送っているんですけど」と苦笑した指揮官も「徐々にだけど変化してきている」と認める高野のゴラッソ。次の得点は高輪台に記録されました。
2点を追い掛ける展開になった駿台学園は54分に1人目の交替。大林と佐藤駿(2年・GRANDE FC)を入れ替え、右サイドの攻守にテコ入れを。少し膠着した流れの中、63分には高輪台に3人目の交替。木次と吉田泰侃(3年・調布FC)をスイッチすると、65分にはその吉田がいきなり精度の高い右CKを蹴り込み、直後に今度は左から吉田が蹴ったCKにファーで合わせた小林陸玖(2年・ヴェルディSS AJUNT)のヘディングはクロスバーを越えましたが、「キックはピカイチですよ」と川島監督も言及する吉田がセットプレーで持ち味を発揮。67分には「今日のゲームは応援団の雰囲気も良かった」と語る袖山が、松田にキャッチを強いるボレーミドルを枠内へ。ノッてきた高輪の虎。
68分に2人目の交替として中村と前橋壮太(3年・九曜FC)を入れ替えた駿台学園。69分には左サイド、ゴールまで35m強の位置からここも小池が無回転気味に直接狙ったFKは大きく枠外へ。70分に左サイドで獲得したCKを渡辺が蹴り込むも、シュートには持ち込めず。決して攻撃の時間を創れない訳ではないものの、流れの中からチャンスを生み出すまでには至りません。
「シュートを決めるのはあまり得意ではなくて、それを課題にしてずっとやっている」という男のドッピエッタ。73分に右サイドでボールを持った高野は、ルックアップしながら最高のタイミングでスルーパス。「パスが出てくればいいし、スペースが空いて誰かが行ってもいいし、まずは動くことが大事だと思った」という武井は左から斜めに走り込みながら、右スミのゴールネットへボールを丁寧に流し込みます。「2人目や3人目が連動して動くということをやっていて、裏に抜け出すことを意識していた」という言葉通りにゴールを奪った武井には「練習中の姿勢なんかも一番良いですよ」と指揮官も高評価。点差は3点に広がりました。
高輪台は74分に殊勲の武井と小林慶伍(3年・目黒第四中)を、駿台学園も74分に小池と西塚健(2年・Forza'02)をそれぞれ入れ替えると、75分は駿台学園のチャンス。前橋の突破で得た左CKから渡辺のキックはゴール前の混戦を生み出すも、フィニッシュは取れず。82分は高輪台。吉田を起点に高野が繋ぎ、本藤のシュートは松田ががっちりキャッチ。83分は高輪台に決定機。キレキレの高野が右からカットインしながらラストパスを通し、本藤がダイレクトで叩いたシュートは、しかしわずかに枠の右へ。さらに高輪台は83分に飯塚宙雪(3年・FC東京U-15深川)を、駿台学園は86分に三浦樹(2年・田口FA)を共に最後の交替カードとしてピッチヘ解き放ち、いよいよゲームは最終盤へ。
88分は駿台学園の決定的なチャンス。渡辺が右へ振り分けたボールを中西が中央へ折り返すと、駆け上がってきた佐藤は枠内へシュートを飛ばしましたが、角田が冷静にキャッチ。90+2分は高輪台に決定機。左サイドを単騎で切り裂いた小林がエリア内まで侵入し、ニアを狙ったシュートは松田が意地のファインセーブ。90+4分のラストチャンスは駿台学園の決定機。片岡が丁寧に蹴った右FKがエリア内でこぼれ、いち早く反応した西塚のヘディングは枠を襲うも、ボールはクロスバーを直撃してしまい、追撃弾とはならず。「後半は良かったですね」と川島監督も笑顔を見せた高輪台が公式戦の連敗を2でストップ。勝ち点3を積み重ねる結果となりました。


なかなか勝利を得られない時期が続いている駿台学園ですが、このゲームも前半の中盤以降から後半に2失点目を喫するまでは、どちらかと言えばペースを握っていた時間帯。"たられば"ではありますが、こういうタイミングでゴールが生まれていれば、試合の流れが変わっていた可能性も十分あったと思います。中村や渡辺などのボールの収まり所や、独特の感覚を持った左SBを務める丸山のオーバーラップなど、明確な武器も有しているだけに、あとは1つの結果を自信に繋げていきたい所。まずは今週末に迫ったインターハイの支部予選で目に見える結果を手にすることが、今後の復調を考える上で何よりの特効薬であることは間違いありません。
修徳ショックから2週間強。「前半はもう守備重視で選手も守備的な感じで先発メンバーを選んで、後半勝負という感じのプラン」(川島監督)がハマった格好で3試合ぶりの勝利を掴んだ高輪台。間にT2の試合をもう1つ挟むとはいえ、29日から始まるインターハイの支部予選に向けて再び上昇気流に乗るためのキッカケは手にしたかもしれません。そんな彼らは試合後に川島監督へ1つのサプライズを。4月12日生まれの指揮官に、「12日には自分たちの大事な試験があって、なかなかできなかったので1週間後にやろうと話していた」(袖山)バースデーセレモニーを企画し、「今日勝ったらやろうということになっていたので、みんなで『今日は勝とう』という話をしていた」(袖山)と勝利後のセレモニーもモチベーションに含んだゲームで見事勝利。バースデーソングと共に川島監督へ花束とプレゼントを渡すことに成功しました。「いやあ、嬉しいですよね」と笑った川島監督も、部員全員のサプライズに渾身のガッツポーズで呼応。より一体感の増した"川島軍団"がインターハイ予選で企てる快進撃にも要注目です。       土屋

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