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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年04月28日

T1リーグ2016第2節 駒澤大学高×國學院久我山@駒沢第2

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0428komazawa.jpg昨年度の選手権ではベスト8に準優勝と全国の舞台で躍進を遂げた両者の対峙。駒澤大学高と國學院久我山の好カードはおなじみ駒沢第2球技場です。
主力選手の相次ぐ離脱というアクシデントに見舞われながらも、東京実業、都立東久留米総合とT1勢を相次いで撃破し、準決勝ではやはりT1所属の実践学園を2-0で下して、しっかり関東大会の出場権を獲得した駒澤大学高。現在も全国を経験したメンバーを複数欠く状態ではあるものの、3日前に行われたリーグ戦の東京実業戦も、岩田光一朗(3年・大田東調布中)と高橋勇夢(3年・Forza'02)のダブルドッピエッタを含む8ゴールを奪う快勝劇を。今度は5日後に迫った関東大会予選ファイナルを、良い形で迎えるための90分間に挑みます。
サニックス杯、船橋招待とフェスティバルへの参加が続き、迎えた関東大会予選は初戦こそ明大中野を1-0で退けたものの、昨年のファイナルと同カードとなった2回戦の関東第一戦は0-2と苦杯を喫し、久々に都内のコンペティションでの黒星を突き付けられた國學院久我山。ただ、「顧問の先生が『関東予選を負けたことによって区切りが付いたね』とおっしゃって下さって、正直僕も悔しかったですけど、これで1回チームを整理した上で『もう1回やってやろう』と思える所もあった」とは清水恭孝監督。選手権後も絶え間なく実戦が続いていた中で、その黒星をどう生かすかという意味でも大事な一戦に臨みます。駒沢はあいにくの小雨模様もゲームへの期待感は十分。注目の一戦は18時ジャストにキックオフされました。


出足の良さで上回ったのは駒澤。4分に左から菊地雄介(3年・VIVAIO船橋)が蹴り込んだFKはDFにクリアされましたが、5分には相手の横パスを奪った菊地がそのままミドルレンジからシュートチャレンジ。ボールはクロスバーの上へ外れたものの、駒澤らしいショートカウンターを披露すると、7分にも村上哲(3年・FC府中)が左から中へ付けたボールを影山克明(3年・ヴェルディSSレスチ)が落とし、武智悠人(3年・Forza'02)のミドルは枠を越えるも、まずは駒澤が勢い良くゲームに入ります。
すると、やはり先にスコアを動かしたのも攻勢の赤黒軍団。8分に好調を維持している菊地がエリア内でシュートを放つと、DFに当たったリバウンドに誰よりも早く反応した三浦岳文(3年・川崎フロンターレU-15)は、GKとの1対1も冷静にボールをゴール右スミへ流し込みます。東京実業戦でも得点を記録していた三浦はこれで2戦連発。アグレッシブな姿勢が実り、早くも駒澤が1点のリードを奪いました。
追い掛ける展開となった久我山のファーストシュートは10分。右SBの川野裕大(2年・横浜F・マリノスJY追浜)を起点に、西條颯(3年・FC東京U-15むさし)がサイドをドリブルで運び、中央にこぼれたボールを安藤謙生(3年・横浜F・マリノスJY)はすかさずボレーを放つも、ボールは枠の左へ。12分は駒澤。中央左寄り、ゴールまで約30mの距離から村上がきっちり枠へ収めたFKは、久我山のGK平田周(2年・FC東京U-15むさし)がファインセーブで応酬。15分は再び久我山。「今年の試合は練習試合も含めて彼にはマンマークなんですよ」と清水監督も話す名倉巧(3年・FC東京U-15深川)が右へ付けたボールを安藤が中央へ戻すと、戸田佳佑(3年・FC多摩)が飛び込むも高橋勇夢がきっちりシュートブロック。直後にエリア内から安藤が放ったシュートも、駒澤のGK鈴木怜(3年・S.T.FC)ががっちりキャッチ。スコアは変わりません。
15分過ぎからは徐々に久我山がボールを動かす時間が増えて行くものの、「相手が上手いのはわかっているので、あまり前から行かずに少しブロックを作って対応しようと言っていた」と大野監督も言及した駒澤は、全体的に少しラインを下げて対応する中で、シビアなエリアでは小池浩然(3年・大豆戸FC)と服部正也(3年・S.T.FC)で組んだドイスボランチを筆頭に、ボールにも人にも抜群のアプローチで堅牢を構築。局面でやられるシーンはあっても、許さない決定的なフィニッシュワーク。
25分は久我山。中央から知久航介(3年・浦和レッズJY)が蹴ったFKを、名倉が叩いたボレーは枠の左へ。29分も久我山。ルーキーながらスタメンを勝ち取っている高橋黎(1年・ジェファFC)が左へ振り分け、巧みなターンで前を向いた戸田のシュートは鈴木怜が確実にキャッチ。39分は駒澤。菊地の左CKに村上が高い打点で合わせたヘディングは、ライン上で久我山ディフェンスが何とかクリア。43分は久我山。左SBの山口隼介(2年・東急SレイエスFC)がスタートさせたビルドアップの流れから、中央で前を向いた知久はとっさの閃きでループパスをラインの裏へ落とすも、3列目から走り込んだ高橋黎はわずかに届かず。「完全に緩慢な前半でちょっとビックリしました」とは清水監督。攻守に狙い通りの展開を生み出した駒澤が1点のリードを手にして、最初の45分間は終了しました。


後半はスタートから久我山に交替が。澤田雄大(2年・FC多摩)と竹浪良威(1年・FC東京U-15むさし)というCB同士を入れ替えるも、48分に右から西條が蹴ったCKはファーに流れてチャンスが潰えると、次に生まれたゴールも赤黒。49分に果敢なインターセプトを見せた菊地が左サイドを単騎で運び、そのまま自らフィニッシュ。平田も懸命に弾き出しましたが、混戦に突っ込んだ三浦のシュートはゴールネットへ転がり込みます。これで14番は圧巻のドッピエッタ。「ゴールの部分は良くやってくれましたね」と大野監督もきっちり評価を。駒澤のリードは2点に広がりました。
「イージーな所からの2失点でしたけど、ああいう失点をしてしまう雰囲気は初めからあったと思うんですね。そういう意味ではなるべくしてなった2失点だと思います」と清水監督も言及した久我山は、それでもギアが上がり切らず。51分は駒澤。左サイドで獲得したFKはゴールまで35m弱の距離。ここも直接狙った村上のキックはクロスバーの上へ。久我山も55分に右から西條が、56分には左から知久がそれぞれCKとFKを蹴り入れるも、共にシュートには至らず。59分は再び駒澤。左サイドを突進した村上は、1人外すと思い切ったミドルを打ち込むも平田が何とかキャッチ。漂う追加点の香り。
60分に知久がゴールの右へ外した久我山の直接FKと、61分に菊地のクロスを服部がボレーで叩き、平田にキャッチされた駒澤のチャンスを経て、62分は久我山に2人目の交替が。西條に替えて鵜生川治臣(3年・前橋JY)を送り込み、サイドの推進力に変化を加えると、65分には最終ラインから竹浪が好フィードを送り、安藤はタイミングを見計らって抜け出しましたが、ここは鈴木が飛び出してクリア。逆に68分は駒澤。右サイドでボールを持った三浦のグラウンダークロスに、3列目からスルスルと飛び込んだのは小池。シュートは打ち切れなかったものの、「アイツはああいう感覚を持っているんですよ」と大野監督。変わらないゲームリズム。
69分に清水監督は3人目の交替を決断。戸田を下げて、ルーキーの宮本稜大(1年・東急SレイエスFC)を最前線に投入し、安藤を左ウイングにスライドさせて追撃態勢を整えますが、佐藤瑶大(3年・FC多摩)と齋藤我空(1年・Forza'02)の新CBコンビを中心にした駒澤守備陣に破綻なし。72分には右から高橋勇夢が入れたロングスローがこぼれ、影山が打ち切ったシュートは平田がキャッチ。73分にも佐藤の好フィードを影山が丁寧に落とし、武智のシュートは枠の左へ外れたものの、FW起用の続く影山も存在感を発揮しつつ、ゲームはいよいよ最後の10分間へ。
85分の煌めきは3年生と1年生。中央でボールを持った知久は、スペースを見つけると最高のタイミングでスルーパス。これまた絶妙の抜け出しを見せた宮本はGKと1対1になりましたが、落ち着き払ったシュートで左スミのゴールネットを射抜きます。チームのテンポが上がらない中でも懸命にボールを動かし続けていた知久のセンスに、「久我山感はないですけど点数は取るんですよ」と指揮官も笑った宮本がしっかり呼応。たちまち1点差に縮まった両者の距離。
畳み掛けた全国ファイナリストの意地。90分に細かいパスワークからここも知久が左へ付けると、ポジションを移していた安藤は少し中へ潜ってから右足を強振。細かい雨粒を切り裂いたボールは、豪快に右スミのゴールネットへ突き刺さります。清水監督も「良い性格をしていて、凄く一生懸命やるので期待しています」と語る10番が、その期待に応える魂の同点弾。土壇場で久我山がスコアを振り出しに引き戻しました。
「逆転できた可能性もあったと思っています」と清水監督が振り返ったのは、駒澤が1枚目の交替カードとして米田泰盛(3年・VIVAIO船橋)を投入した直後に当たる90+2分のシーン。1点目の前後から明らかに圧倒的なオーラを放っていた知久は、中央を運びながらグラウンダーのミドルをワンバウンドで枠内へ。強烈な弾道を鈴木も懸命に弾き出すと、宮本はリバウンドを拾いましたが、駒澤ディフェンスも懸命に寄せてシュートは放てず、ここでタイムアップのホイッスル。最終盤にスコアが揺れ動いたゲームはドロー決着。両者に勝ち点1ずつが振り分けられる結果となりました。


「ウチはこういう追い付かれ方はしないんですけどね」と少し首をかしげながら、終盤の2失点を振り返った大野監督。続けて「最後は続々と足が攣っていましたね」と指揮官が話したように、6日間で3試合目という過密スケジュールが最後の最後で影響した部分は否めないかなと感じました。それでも残り5分までに関しては、まさに上々と言えるパフォーマンス。前述したように負傷者が続出している状況で、ドッピエッタの活躍を見せた三浦や、1年生ながら確実にプレーレベルを引き上げている齋藤、あとはゴールだけというプレーを披露した影山など、ここに来てスタートから起用されている選手たちの奮闘は間違いなく好材料。関東大会での躍進にも是非期待したいと思います。
「今はチームとして『ああだよ、こうだよ』ということを一切やっていないんですよ。本当に原理原則と、ベースとして自分ができることを増やすことを今やっておかないと、選手権が近くなった時にチームとして成熟していかないですし、今目の前のゲームに勝つためにごまかしてやっても"ウチ"は"ウチ"にならないので、それよりも今は1人1人ができることを増やそうと。そういう意味ではちょっとしたバラバラ感はあまり気にしていないです」と現状を話してくれた清水監督。外野から見れば多少バラつきのある距離感なども、指揮官は当然想定内。それよりも今の時点で必要なものを見極めた上で、選手個々にどうアプローチしていくかに重きを置いている中でも、結果としてこういう追い付き方ができたということは1つのチームとしての自信に繋がっていくかもしれません。選手権の"準優勝VSベスト8"という構図を問われても、「僕は関東大会出場のチームと2回戦負けのチームの対戦だと思いたいですし、彼らに思わせたいと思っています。基本的に今は彼らよりも自分たちの方が下にいるんだよという位置付けを作りたいと思っているので、今日は準優勝とベスト8というよりはそっちの方がありました。今年は今年のチームですから。まったく別のチームなので」と清水監督はキッパリ。久我山が春先に喫した悔しい黒星へどういう意味を持たせていくかは、これからも注意して見ていく必要がありそうです。       土屋

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