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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年04月24日

関東大会東京予選準決勝 実践学園×駒澤大学高@駒沢第2

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0423koma22.jpg関東大会出場を巡るセミファイナルのセカンドラウンドは都内屈指のメンタルタフネス対決。実践学園と駒澤大学高の激突は引き続き駒沢第2球技場です。
4年前にはインターハイ、選手権と共に全国を経験。さらに一昨年はT1リーグを制するなど、近年は都内各コンペティションにおける上位進出の常連校でもある実践学園。リーグ戦では國學院久我山とのドローも含め、5試合で3引き分けとやや勝ち切れないゲームが続いているものの、今大会は初戦で保善相手に延長までもつれ込みながら1-0で何とか勝利をおさめると、以降も都立府中東に2-1、都立駒場に1-0と、3試合すべて1点差ゲームをモノにしてこのステージまで。ここで強豪を叩くことで、今後への自信と関東大会への出場権をどちらも手に入れるべく、目の前の80分間へ向かいます。
乗り込んだ冬の全国でベスト8進出。そのレギュラーメンバーの大半が残っており、当然周囲からの注目も例年以上に集まっている駒澤大学高。ただ、春先からチームを悩ませているのはケガ人の多さ。選手権で全国のピッチに立った6人の主力を欠く中で迎えた関東大会予選は、城北と東京実業を共に2-0というスコアで退けると、難敵の都立東久留米総合戦も2-1で潜り抜けて、この準決勝へ進出。「T1でなかなか結果が出ないですけど、『関東大会には絶対出よう』という気持ちでみんなでやってきた」とは菊地雄介(3年・VIVAIO船橋)。ようやく最終ラインに佐藤瑶大(3年・FC多摩)と村上哲(3年・FC府中)も復帰したこの一戦に、2年ぶりの関東大会を懸けて挑みます。駒沢は相変わらず上着のいらない好コンディション。楽しみなビッグマッチは正午ジャストにキックオフされました。


「実践が立ち上がりから勝負を仕掛けてくるというのは前回の都立駒場戦を見てわかっていた」と駒澤のゲームキャプテンを務める高橋勇夢(3年・Forza'02)が話したように、序盤は実践に縦への勢いが。とりわけ前線の荒川耀士(3年・FC.GONA)と川村彰良(3年・ARTE八王子FC)を早めに使いながら、中盤から藤尾圭吾(3年・VIVAIO船橋)も飛び出していく形で相手を押し込む展開に。まずは実践がゲームリズムを掴みます。
さて、「実践は立ち上がりに毎回勢いがあるので、『駒澤相手にやれる』と思わせてしまうと勝負アリだと言っていた。とにかく今日はハイサイドにまずは徹底して入れていった」と大野祥司監督も話した駒澤は、その指示通りにシンプルなロングボールからセットプレーに活路を。9分に右から村上が蹴ったCKは実践のGK中村寛之(3年・立川第四中)がパンチングで回避し、ルーキーながらCBを任されている斉藤我空(1年・Forza'02)が粘って残すもシュートには繋がらず。10分に今度は左から菊地が蹴ったCKも中村がパンチングで回避。なかなか良い形を創り出せません。
12分は実践に決定機。中央でボールを受けた川村は、左へ流れながら左足で強烈なシュートを枠へ収めると。ここは駒澤のGK鈴木怜(3年・S.T.FC)が横っ飛びでわずかに触るファインセーブで応酬し、ボールは右ポストを叩いて枠外へ。19分にも実践にビッグチャンス。1本のフィードで抜け出した荒川のシュートは、飛び出したGKの足下を抜けてゴールへ向かうも、良く戻った佐藤が大きくクリア。「最初は実践の勢いが凄くて流れが悪かった」と菊地。上回る実践のスピードと推進力。
まさにワンチャンスの煌めきは22分の赤黒。佐藤が左のハイサイドへ送ったボールを由川航也(3年・習志野第二中)が繋ぐと、「良い形でボールが入って、右足で打とうとしたんですけど相手が来ていた」のが見えていた菊地は「左足には自信があったので、良い形で振り抜けた」とその左足一閃。ボールはそのまま右のサイドネットへ突き刺さります。実はゴールの直前に大野監督は、左SHの由川と前線にいた菊地にポジションチェンジを施しており、まさにそれが当たった格好の先制点。「関東大会の前はベンチだったり、紅白戦でもBチームだったりしていたので、危機感はありましたし、スタメンに定着したからこそ結果を出さないとなとは思っていました」という7番の一撃で駒澤が先にスコアを動かしました。
以降は実践も石井惇平(3年・FC多摩)や前原龍磨(2年・三菱養和調布JY)も流れに顔を出しつつ、セカンド奪取からボールを前に付ける意識は高いものの、フィニッシュにはなかなか繋がらず、むしろ手数は駒澤に。38分に今日はボランチに入った服部正也(3年・S.T.FC)が、左からカットインしながら放ったミドルは中村が何とかキャッチ。40+1分にも栗原信一郎(3年・FC多摩)、由川とボールを繋ぎ、「自分の武器」と言い切るオーバーラップから高橋がクロスを入れると、粘った影山克明(3年・ヴェルディSSレスチ)はシュートまで取り切れずも、サイドアタックからチャンスを創出。「前半もどっちかと言うとやられていたと思います」とは大野監督ですが、その前半は駒澤が1点をリードしてハーフタイムに入りました。


後半のファーストシュートは駒澤。42分に右から高橋が投げ入れたロングスローのこぼれを武智悠人(3年・Forza'02)が残し、由川が狙ったシュートは中村がキャッチ。43分は実践のサイドアタック。石井が左へ振り分け、少し運んだ藤尾が中央へ折り返すと、替わったばかりの窪園流星(3年・町田成瀬台中)がニアへ突っ込むも、鈴木が果敢に飛び出してキャッチ。お互いにチャンスを創り合って、セカンドハーフはスタートします。
47分は駒澤に決定的なチャンス。左サイドからのボールをエリア内で収めた影山は、そのままシュートまで持ち込みましたが中村が冷静にキャッチ。52分は実践に絶好の同点機。バイタルで前を向いた藤尾は短くはたき、川村が丁寧に返したワンツーから抜け出すも、シュートは抜群の飛び出しでコースを狭めていた鈴木がファインセーブで仁王立ち。ゴールの可能性を漂わせるプレーを双方が創り合うと、次に生まれたゴールは赤黒の追加点。
54分に影山が左へ展開したボールを受け、「クロスからというのは練習から意識してやっていたので、練習で何本かはああいう良い形ができていた」と語る菊地は右足でピンポイントクロス。マーカーの裏へうまく潜った由川のヘディングは、ゴールネットを確実に揺らします。後半も決してゲームリズムは引き寄せ切れていなかった中で、両SHが揃って大仕事。駒澤のアドバンテージは2点に広がりました。
失点直後に実践ベンチは2人目の交替を決断。川村を下げて坂井啓希(3年・FC府中)を最前線に送り込み、その下に右から窪園、石井、前原を並べる4-2-3-1気味の布陣で整える追撃態勢。58分は実践。藤尾は右FKを中央へ入れずにサイドへ出し、窪園がクロスを放り込むも、1年生CBの斉藤が大きくクリア。62分も実践。右から藤尾が入れたFKを、ニアで合わせた清水喜一(3年・フレンドリー)のヘディングはゴール右へ。後ろは浦寛人(2年・GA FC)と清水のCBコンビを中心に、失点シーン以外はほとんどエリア内への侵入も許さない中、なかなか奪えない追撃の1点。
63分に内藤和也(3年・ARTE八王子FC)とキャプテンの齋藤翔(3年・フレンドリー)を入れ替える右SB同士の交替を経て、65分も実践。藤尾の左ショートコーナーを石井がクロスに変えると、こぼれを狙った窪園のシュートは栗原が体を投げ出してブロック。「どんなに回されてもどんなに局面で1対1で負けても、最後はやられないということをずっとやってきたつもり」と大野監督。「後半に苦しい時間帯が来ることはわかっていた」と話す高橋をはじめ、佐藤、斉藤、村上の4バックも強固さを堅持しつつ、駒澤が着々と進めていく時計の針。
70分に実践は4枚目のカードとして前原と石井達大(2年・FC多摩)をスイッチすると、72分には齋藤を起点に佐々木良和(3年・稲城第六中)が裏へ巻いて落とし、走った坂井のグラウンダークロスに石井が飛び込むも、鈴木ががっちりキャッチ。73分にも藤尾が粘って粘ってスルーパスを繰り出しましたが、斜めに走りながら抜け出した石井のシュートは強く叩けず、鈴木が難なくキャッチ。スコアは0-2のままで、いよいよゲームはラスト5分とアディショナルタイムのみ。
78分も実践。左SBの浅貝崇裕(3年・VIVAIO船橋)が外へ流し、サイドを鋭くえぐった坂井のクロスは鈴木が落ち着いてキャッチ。80分も実践。左サイドで獲得したFKを坂井が丁寧に蹴り込むも、果敢に飛び出した鈴木がしっかりキャッチした一連がこのゲームのラストチャンス。「どんなにやられてもゼロで抑えようというのは自分たちで決めていたので、それが最終的に実現できて良かったです」と高橋も話した通り、終わってみれば見事な完封勝利を収めた駒澤が、関東大会の出場権を手に入れる結果となりました。


「主力がいなくて他のメンバーで春休みからずっとやっていたので、そういう選手たちがトップの選手と一緒にやってもある程度やれるようになったというのは大きいと思います。去年出ていたから今年も出られるという訳ではないですから」と大野監督も話したように、なかなか主力クラスが揃わない中でも、代役として起用された選手たちの好パフォーマンスもあって、2年ぶりの関東大会進出を決めた駒澤。その好パフォーマンスへ確実に影響を与えているのは赤黒の大応援団。「どれだけメンバーが変わっても、駒澤のあれだけの大人数の応援の中でやるには、自覚を持って戦わなくては勝てないと思っていますし、今日は応援も試合前からかなり気合いを入れてやってくれて、その応援の後押しがあってピッチの中の11人が生きている感じがしたので、それはピッチに出ているメンバー全員が自覚してできたと思います」という高橋の言葉にも頷ける、圧巻の応援は80分間止むことはありませんでした。選手権効果によるチームの注目度の高さに関して、「みなさんに注目していただくことで、選手自身がちょっと浮付いている所はあるんですけど、実際そことの勝負で、それをいかに自分たちで抑えて、自分たちに矢印を向けてできるかだと思うので、ここ最近は完璧ではないですけど少しずつできていると思います」と高橋。4連勝でもぎ取った関東大会出場権という自信を、これからの駒澤がどう生かしていくかにも注目していきたいと思います。      土屋

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