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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年03月24日

T2リーグ2016第6節 駿台学園×国士舘@赤羽スポーツの森

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0322akabane.jpgここまで1勝2敗と黒星先行となった王子のレッドスターが好調を維持する世田谷の赤青と対峙する一戦。駿台学園と国士舘の90分間は赤羽スポーツの森公園競技場です。
昨シーズンはリーグ最高峰となるT1の舞台で経験を積んだものの結果は9位となり、今シーズンからまたT2に主戦場を戻すことになった駿台学園。ただ、一昨年の選手権予選ではベスト8まで勝ち上がり、昨年も関東大会予選ではベスト16まで進出。選手権予選でもやはりベスト16で敗れたとはいえ、強豪の東京朝鮮相手に接戦を演じるなど、トーナメントコンペティションを通して見てもチームとしての目線は当然上向きに。2週間後に迫った関東大会予選は出場を逃しているため、まずはリーグ戦で確実にチーム力を向上させていきたい所です。
昨シーズンは関東大会予選とインターハイ予選でまさかの初戦敗退。選手権予選はベスト8まで勝ち上がるも、國學院久我山に1-3で敗退を突き付けられるなど、チームのポテンシャルから考えればなかなか結果の出せない1年だった印象もある国士舘。迎えた今シーズンは上野晃慈監督も「本当にマジメに『こういうことをやろう』ということに関しては徹底してやれるというのが特徴」と評する中で、ここまでのリーグ戦は3勝1分け1敗と上々のスタートダッシュを切りましたが、「この間のトリプ戦で1-5で負けて、今日も気を引き締めて行こうと言っていたので、油断している感じは全然ないです」と笹野泰雅(2年・三菱養和調布JY)もきっぱり。結果に左右されることなく、目の前の90分間に1試合1試合向かって行く姿勢は変わりません。平日のデーゲームということもあって、会場の公園内にはかわいい保育園児の応援もちらほら。楽しみな激突は10時ジャストにキックオフされました。


7分のファーストチャンスは駿台学園。渡辺龍也(2年・Forza'02)のパスを岩崎友哉(2年・クリアージュFC)が左へ流し、走った瀬霜伶央(2年・駿台学園中)はわずかに届かず、国士舘のGK金山英樹(1年・三菱養和巣鴨JY)がキャッチしたものの好トライ。8分の決定機は国士舘。エリア内でルーズボールを収めた豊川広幹(1年・横浜FC鶴見JY)がボレーを枠内へ収めると、ここは駿台学園のGK中村健太郎(2年・足立第六中)がファインセーブで回避。12分は駿台学園。岩崎が残したボールを波多野和騎(2年・九曜FC)はトーキックで狙うも、金山がキャッチ。まずはお互いに手数を出し合います。
13分の主役は「10番は初めて付けたので何かわからないけど頑張っちゃいました」と笑ったナンバー10。エリア内でボールを持った豊川が右へスルーパスを通すと、受けた笹野は「シュートを意識しているのでどんどん打って行こうかなと」右足一閃。強烈な弾道はそのまま左スミのゴールネットへ綺麗に突き刺さります。「メッチャ気持ち良くて思わず手を広げちゃいました(笑)」と本人も笑って振り返るゴラッソは貴重な先制点。国士舘が1点のリードを手にしました。
以降は国士舘が引き寄せたゲームリズム。15分にレフティの根橋拓也(2年・東急SレイエスFC)が蹴った左FKは中村のパンチングに阻まれましたが、19分に再び根橋が左FKを蹴り込み、こぼれを叩いた瀧口太陽(2年・フィグラーレ狭山FC)のミドルはDFがブロック。21分にも右SBの冨土原大雅(2年・稲城第六中)がアーリークロスを放り込むと、ファーに潜った家塚将輝(2年・Tama City United FC)のボレーはゴール右へ。24分に左からCBの和田航希(1年・横浜FC鶴見JY)が蹴ったFKは、駿台学園のキャプテンを任されているCBの長岡星司(2年・Forza'02)が大きくクリア。攻め込む国士舘。耐える駿台学園。
突然生まれたスーペルゴラッソ。25分に左サイド、ハーフウェーラインを少し越えたあたりでボールを持った波多野は、ドリブルで運びながらまだゴールまで35mはある位置からシュート体勢に入り、そのまま右足ミドル。意志を込められたかのような球体は、そのまま一直線にブレることなく右スミのゴールネットへ吸い込まれます。「あの1本はしょうがないかなと思います」と国士舘の上野晃慈監督も素直に認める信じられないミドルが炸裂。波多野の衝撃的な一発で駿台学園がスコアを振り出しに引き戻しました。
このゴールをきっかけに駿台学園にも徐々にアタックの形が。29分には瀬霜が右へ展開すると、上がってきたSBの佐藤駿(1年・GRANDE FC)がクロスを蹴り込み、「前十字を切ってしまって1年ぶりの出場でしたけど、彼はこのチームの中心にならなくてはいけない選手」と大森一仁監督も期待を寄せる渡辺が、上手く収めて打ったシュートは枠の左へ。30分は国士舘。右から冨土原が入れたクロスはゴール方向に向かうも、中村がバックステップから何とかセーブ。31分も国士舘。右から根橋が入れたCKを藤森悠斗(2年・川﨑フロンターレU-15)が頭で残すも、DFが何とかクリア。33分は駿台学園。右から丸山優聖(2年・練馬石神井中)が蹴ったFKを波多野がヘディングで狙うも、金山が横っ飛びでセーブ。「1点取られた後に自分たちで直していこうという意識はあったんですけど、やっぱり1人1人の意識が合っていなかったのかなと思います」とは国士舘のボランチ千葉隆稀(2年・三菱養和調布JY)。ゲームリズムはフィフティに近い所まで。
39分は駿台学園。丸山が右から蹴り込んだCKはシュートまで持ち込めず。40分も駿台学園。渡辺の左FKは金山が懸命にパンチング。42分も駿台学園。渡辺の左FKは波多野が収め切れなかったものの、セットプレーからホームチームが相手ゴール前に迫りますが、次のゴールは意外な形から。45分にここも駿台学園は右から丸山がFKを入れると、国士舘のクリアボールにDFの2人が交錯。このこぼれを見逃さなかった豊川は独走態勢に入り、GKとの1対1も冷静にゴールネットへ流し込みます。ややラッキーもあったとはいえ、「ああいう所で冷静に決められたことは良かったですね」と上野監督も評価を口に。1年生ストライカーの勝ち越し弾が飛び出し、国士舘が再び1点のリードを奪ってハーフタイムに入りました。


後半はスタートから駿台学園が2枚替え。CBの楠原拓馬(2年・駿台学園中)とボランチの三浦樹(1年・田口FA)に替えて、高松黎(1年・FCトッカーノ)と中村蓮(2年・ヴェルディSS AJUNT)を送り込み、「攻撃が良くなると守備がバタついてしまう」(大森監督)という部分のテコ入れに着手すると、47分に国士舘も笹野、千葉、瀧口とスムーズなパスワークでエリア内へ侵入するも、最後は中村が必死にインターセプト。こちらも渡辺同様にケガ明けだという2年生ボランチが、いきなり守備で好プレーを披露します。
追い付きたい駿台学園は中村の投入で、セカンドボールへの反応が劇的に向上。パートナーに引っ張られる形で、前半からドイスボランチの一角に入っていた押田竜(1年・FC TOREROS)もセカンド回収に基点潰しに躍動し始め、チームもセットプレーを続けて獲得。53分に丸山が蹴った右CKは金山がフィスティングで回避し、直後に左から入れた渡辺のCKはゴールキックになりましたが、56分にも丸山が右CKを、57分にも佐藤が右FKをゴール前に放り込むなど、打ち出し続ける同点への意欲。
ただ、「前半はどうしてもDFラインからの長いボールが多くなってしまったので、後半は少し下のボールが入り始めた」と上野監督も話したように、少しずつボールを動かし出した国士舘にもチャンスの芽が。59分に根橋が狙ったミドルは大きくクロスバーを越えましたが、62分には瀧口が右へ流し、冨土原のクロスから豊川の反転左足シュートは中村がキャッチしたものの、サイドを使った形からフィニッシュまで。65分に岩崎と前橋壮太(2年・九曜FC)を入れ替えた駿台学園3人目の交替を経て、69分にも千葉がラインの裏へ巧みに落とし、1人かわした家塚のパスから瀧口のシュートはわずかに枠の右へ。「CBの2人がリーダーシップ取ってやってくれて、意外と大人というか上級生もうまくコントロールしている」と指揮官も言及する齋藤敦(1年・S.T.FC)と和田のCBコンビも安定感を打ち出し、国士舘が引き寄せるペース。
71分には国士舘も2枚替え。根橋と勝ち越しゴールの豊川に替えて、小川瑠伊(1年・三菱養和巣鴨JY)と近藤傑(2年・杉並大宮中)をそれぞれそのままボランチと前線に投入。74分に駿台学園も戦線復帰したばかりの渡辺と奥泉諒(2年・駿台学園中)をスイッチすると、すぐさま交替策が奏功したのは前者。75分に右から千葉が蹴ったCKがゴール前に混戦を生み出し、すぐさま反応した近藤がシュート。ボールはゴール左スミへ飛び込みます。「CKの崩れでも決め切れる所が彼らの良さだと思います」と上野監督。国士舘のリードは2点に変わりました。
ビハインドを追い掛ける駿台学園にも79分に訪れた決定機。GKのキックが小さくなり、高い位置でボールを拾った前橋が独走。GKとの1対1も入れ替わりざまに冷静なループを放ちますが、ボールはクロスバーに当たって枠を越えてしまい、追撃弾とはならず。ここから両者が続けて交替を。80分の駿台学園はゴラッソミドルを叩き込んだ波多野を下げて、西塚健(1年・Forza'02)を5枚目のカードとしてピッチヘ。81分の国士舘はGKを金山から吉川零斗(2年・三菱養和調布JY)にスイッチ。84分にも国士舘は瀧口と戸津直哉(1年・東京ベイFC U-15)を入れ替え、ゲームは残り5分とアディショナルタイムへ。
駿台学園が85分に創った決定的なシーン。「一生懸命頑張っていた子ですけど、数か月前までは一番下のチームでした」という指揮官の言葉が俄かに信じがたい高パフォーマンスを見せていた丸山が、ここもセンス溢れる浮き球パスをフワリ。抜け出した奥泉のシュートはGKを破りましたが、ここは懸命にカバーへ入った藤森がきっちり掻き出して万事休す。89分にも千葉の右FKから近藤があわや4点目という惜しいヘディングを放った国士舘が、早くもリーグ戦4勝目を手にする結果となりました。


「ここ4試合やって、戦えていない訳ではないと思うんですけど、選手たちにも自信を付けさせられていないですね。いかんせん自信がなさそうにやってしまうので」と大森監督も話した駿台学園ですが、とりわけ波多野のゴラッソが飛び出してから後半の15分前後までは、互角に近い戦いを披露。それだけに失点の形が少し悔やまれてしまうことは否めません。とはいえ、「今上位にいる国士舘さん相手にどのくらいできるのかなというのは楽しみにしていたので、そういった所で一方的なゲームにならなかったという所に関しては、彼らの成長は感じているんですけどね」と大森監督も一定の手応えを口に。渡辺や中村の戦線復帰や丸山の台頭など好材料も揃いつつある駿台学園の今シーズンはまだまだこれからです。
このゲームも含めて、ここまでかなり結果の出ている印象のある国士舘ですが、「このリーグ戦の結果は選手が全然気にしていないです。『俺らは開幕3連勝した』とか、そういうことはまったくないですね。淡々とやっているというか、後半の最後なんかは僕がちょっとイライラしちゃうくらい、『もうちょっとリズム上げてよ』みたいな(笑)」と上野監督。実際に副キャプテンの千葉が「まだ練習でやっていることが試合であまり出ていないので、自分的にはそんなに手応えは感じていないです」と話せば、「良いゲームではなかったと思います。要らない失点をなくしたいと思いますし、失点がなかったら3点差で気持ちも楽でしたから」と笹野も続けて。チームに浮かれる様子は微塵もありませんでした。少し前述したように個性の強かった昨年のチームに比べて、「走り込みとか例年より多い代で、色々な厳しいことを乗り越えてきたと思いますし、一体感もあると思います」と笹野も話す今年のチームは"マジメさ"が最大の特徴。良い空気感を纏っている国士舘は、今年も面白いチームになりそうです。        土屋


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