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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2016年03月29日

J2第5節 松本×山口@アルウィン

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0326matsumoto.jpg地域リーグから着実にステージを駆け上がってきた両者の7年ぶりとなる対峙。松本と山口が激突する一戦は松本平広域公園総合球技場、"アルウィン"がその舞台です。
見えない力に導かれたかのようにJ2で2位という素晴らしい結果を残し、勇躍乗り込んだJ1は茨の道。ファーストステージ、セカンドステージと共に残留ラインぎりぎりの15位でフィニッシュしたものの、年間順位では16位という結果を突き付けられ、再びJ2
での戦いを余儀なくされている松本。迎えた今シーズンも開幕戦で熊本に、前節で千葉に敗れるなど、ここまでは1勝1分け2敗と黒星先行。こういう状況だからこそ、聖地アルウィンでホーム初勝利を飾って、リスタートを切りたい90分間に挑みます。
1試合平均で3点に迫ろうというシーズン96得点を叩き出し、終盤戦こそ少しもたつきましたが、最後は鳥取の地で劇的にJ3優勝を成し遂げ、J2のステージへ殴り込みを掛けてきた山口。ただ、「球際の強さだったり、ここという所でしっかり足を出してきたりとか、そういう部分は去年までと物凄く変わったなと感じています」と福満隆貴も語った通り、ここまでは1勝1分け2敗という数字以上に、なかなか昨シーズンのような気持ち良いまでの攻撃的なマインドは打ち出し切れず。ここでJ1経験チームを撃ち落とすことで、今後へ弾みを付けたい所です。アルウィンにはこの日も決して少なくないオレンジのサポーターを含めて、1万人を超える観衆が大集結。共に勝ち点3のみを欲する90分間は松本のキックオフでスタートしました。


立ち上がりはお互いに手数は増えないものの、松本が昨シーズンより繋ぎたい意識は透けて見える中で、長いボールから相手陣地へ侵入。8分には田中隼磨が右サイドでルーズボールを拾ってクロスを放り込み、突っ込んだ山本大貴はわずかに届かず、DFにクリアされましたがサイドから惜しいシーンを。一方の山口は10分に小池龍太のインターセプトパスから岸田和人がミドルを狙うも枠の左へ。13分にも中央、ゴールまで約25mの距離で福満隆貴がFKを獲得すると、その福満が自ら狙ったキックはカベにヒット。先制点とは行きません。
15分を過ぎると「なかなかセカンドボールが拾えなくて、苦しい時間が結構続いていた」と山口のボランチに入った三幸秀稔が話したように、松本がさらに押し込む展開に。18分には武井択也のパスを工藤浩平がダイレクトで流し、山本はシュートまで持ち込めなかったものの好トライ。20分には相手のミス絡みで奪った正面、ゴールまで20m強のFKを宮阪政樹が右スミへ正確なコントロール。ここは山口のGK一森純がファインセーブで凌ぎましたが、あわやというシーンに沸き上がるホームのゴール裏。
流れそのままに松本がスコアを動かしたのは22分の3連続CK。1本目の右CKは當間建文の競り合いが再びCKとなり、2本目の左CKにニアで安藤が反応したこぼれから、喜山康平のシュートはDFに当たって枠の右へ。そして、そのすべてを蹴っていた宮阪の3本目となる右CKがニアに弧を描くと、高い打点でヘディングを打ち下ろしたのは飯田真輝。ボールはゴールネットへ綺麗に突き刺さります。「申し分なかったですね」と笑った宮阪のキックからキャプテンが圧巻の先制弾。ホームチームが1点のリードを手にしました。
以降もゲームリズムは変わらず松本。「相手のプレスが速かったので、僕たちもロングボールを多用していたんですけど、相手の高さに押し返されていた」と福満も振り返った通り、前からのプレスに苦しんだ山口は自慢のパスワークを繰り出せず、長いボールを入れては弾き返されてセカンドも回収される流れの連続。26分に福満がGKの位置を見て、50m近いロングシュートを狙うも枠の上へ。28分にも相手のCKからカウンターを発動し掛けるも、島屋八徳のパスはDFに引っ掛かってボールロスト。出て来ないアタックのテンポ。
この展開の一因は松本が講じた山口の中盤封じ。「前半ヤマ(山本大貴)が『相手の10番(庄司悦大)の所がキモになる』と散々言われていて、あそこに結構マークに付いていた」と宮阪が言及したように、山本がうまく庄司のケアに奔走したことで、山口はパスワークの起点を潰され、これがロングボール増加の伏線に。加えて三幸も「前半はなかなかバランスが取れなかった」と中盤のバランス維持に腐心したことを明かすなど、松本のハイプレスが山口の武器でもある適切な距離感を分断したことで、アウェイチームはチャンスの芽も見い出し切れません。
32分は松本。喜山が蹴った左FKに安藤淳が頭で合わせるも、一森が冷静にキャッチ。42分も松本。ピッチ左寄り、ゴールまで30mの位置からここも宮阪が直接狙ったFKは左スミを襲うも、一森ががっちりキャッチ。山口も44分には三幸が2本続けて右CKを蹴り込むも、シュートには至らず。「前半はまったく向こうに良さも出させないし、我々の良さも出せたような展開だったと思う」(反町監督)「前半はやりたいことが攻撃も守備も良くできていたと思います」(喜山)と2人が声を揃えたように、松本ペースで推移した最初の45分間は、その松本が1点のアドバンテージを握ったまま、ハーフタイムに入りました。


後半はスタートから山口に勢いが。48分に星雄次のパスを受けた三幸はエリア内からフィニッシュ。DFに当たったボールを庄司が狙ったシュートはシュミット・ダニエルにキャッチされましたが、50分にも左SBの香川勇気と星の連携から左CKを獲得すると、三幸の蹴ったボールはニアで山本にクリアされたものの、「45分間の中で修正できなかった部分を庄司君から声を掛けてもらって、ハーフタイムで話ができたのが修正できたきっかけだったと思います」と三幸、明らかに変わったゲームリズム。
51分の歓喜はアウェイチーム。星の縦パスを収めた岸田が左に振り分けると、「相手が3バックだったので、『絶対にその脇が空いてくるな」というのは思っていました』という福満はエリア内でフリーの状態からクロス。速いボールに飛び付いた喜山はクリアを掻き出し切れず、ボールはそのままゴールネットへ飛び込んでしまいます。結果はオウンゴールでしたが。山口が前半には見られなかったアグレッシブさをシビアなゾーンで打ち出し、きっちりゴールという成果まで。両者の点差は霧散しました。
反転したゲームリズム。55分には松本も宮阪が右へ展開したボールから、田中がピンポイントクロスを送り込むも、山本のヘディングは当たりが薄くなって枠の左へ。56分は山口。ユン・シンヨンのヘディングに反応した福満は、少し運びながら巻いたシュートを狙うもボールは枠の右へ。58分も山口。星、三幸とパスを繋ぎ、岸田がミドルレンジから放ったシュートは松本のGKシュミット・ダニエルがキャッチしましたが、「後半の最初は僕たちの勢いというのが物凄く出た」と福満。止まらないオレンジウェーブ。。
59分の咆哮はまたもアウェイチーム。中央へ弱く飛んだシュミット・ダニエルのキックを相手陣内で収めた三幸は、少しドリブルで前へ運びながらルックアップ。右には島屋が開いている中で「ヤツさん(島屋八徳)が一瞬開いた時に最初は『出そうかな』と思ったんですけど、相手のDFもその分だけ一歩外に寄ったので」プレー変更。「キシくん(岸田和人)も足が速いですし、『あそこに落としてあげれば』と思って、『手前のDFの足にさえ当たらなければ』と」出した三幸のスルーパスに、シュミット・ダニエルと喜山の間から足を出した岸田のコントロールは自らの元へ。交錯した相手の2人を尻目に、無人のゴールへ丁寧にボールを蹴り込みます。「最後の所でプレーの選択を変えられた所がゴールに繋がったかなと思います」と振り返る三幸のアシストにエースが満点回答。山口がスコアを堂々と引っ繰り返しました。
「オウンゴールをしてちょっとバタバタしてしまった所もありましたし、相手が人数を掛けて攻撃してくる中で、人はいるんですけど、いるだけでハッキリしていなかった部分は後半になって多少出てきたと思います」と喜山も言及した中で、1点のビハインドを追い掛ける展開となった松本。反町監督も63分に武井を下げて、高卒ルーキーの前田大然を2シャドーの一角に送り込み、その位置にいた宮阪を岩間雄大と並べるドイスボランチに下げて、整えた攻撃態勢。64分には岩間を起点に工藤がスルーパスを送るも、走った前田には届かず一森がキャッチ。70分には田中のクロスから山本がワントラップボレーで狙うも、集中を保っていた山口のCB北谷史孝が体でブロック。1-2のままで残された時間は20分間。
72分には山口に1人目の交替が。喜山との接触で倒れながら、一度は起き上がった岸田のプレー続行が難しくなり、中山仁斗をそのままの位置へ投入。74分に三幸が蹴った左CKはシュミット・ダニエルにキャッチされたものの、75分に再び三幸が入れた左CKを島屋が折り返すと、シュミット・ダニエルが懸命にパンチングで回避。76分は松本に2人目の交替。「山本もあのハイペースでやっていれば、やっぱり後半はまったく足が動かなかったですもんね」と指揮官も名指しした山本に替えて、鐡戸裕史をシャドーの位置へ解き放ち、前田がCFの位置に入って最後の勝負へ。
想いを背負った3番の執念。78分に左サイドで前を向いた當間は、ミドルレンジから強烈なシュートを枠内へ。一森も必死のセーブで弾き出したものの、こぼれ球に反応した田中へ星がタックルで食らい付くと、田中はエリア内で転倒。デリケートなジャッジではありましたが、今村義朗主審は躊躇なくペナルティスポットを指差します。キッカーは倒された田中自ら。短い助走から向かって左へ飛んだGKを尻目に、軽く浮かせたボールはゴールネット中央へ美しく吸い込まれます。田中の覚悟が引き寄せた値千金の同点弾。あっという間にスコアは振り出しに戻しました。
上野監督はすかさず80分に島屋と鳥養祐矢の交替を決断しますが、緑の勢いが生み出した抗えない激流。81分に左へ開いた宮阪が上げたアーリークロスはファーまで流れ、突っ込んだ鐡戸のボレーは一森が驚異的な反応で弾き出しましたが、アルウィンの沸騰はその直後。宮阪の右CKは一旦跳ね返されるも、拾った田中の丁寧なクロスを飯田が頭で落とすと、この位置にいたのは岩間。体を倒して左足ボレーで押し出したボールは、左スミギリギリを捉えてそのままゴールネットへ吸い込まれます。今シーズン初スタメンの岩間がねじ込んだ一撃に絶叫する緑の友。松本がわずか3分間で逆転に成功します。
87分は山口にとって最後の交替。福満を下げて、レフティの原口拓人に託した最後の反撃。88分は松本にとっても最後の交替。工藤を下げて、これがリーグ戦デビューとなる柴田隆太朗に託したゲームクローズ。アディショナルタイムは4分。ホーム初勝利を目指す松本が潰すべき時間は、あとわずかに240秒。
山口のこの日2度目となる同点劇は土壇場の90+3分。左サイドで粘ってボールを残し、香川が付けたボールを三幸は縦に持ち出しながら、「最初はホワンというクロスをイメージしていたんですけど、原口拓人くんが一歩引いたのが見えて、左利きというのもわかっていました」と低いピンポイントのクロスを中央へ。ここに走り込んだ原口が左足を振り抜くと、ボールは左ポストの内側を巻き込みながらゴールネットへ到達します。「『点を取ってこい』しか言っていません(笑)」と上野監督も笑った原口がこの局面でチームを救う大仕事。「少し偶発的な部分もある中で引っ繰り返せたので良かったんですけれども、やっぱりサッカーの神様は『偶発的な部分じゃダメだよ』ということで、最後にしっぺ返しをまた食らいました」と反町監督。ファイナルスコアは3-3。壮絶な殴り合いは両者に勝ち点1ずつが振り分けられる結果となりました。


「もう完全アウェイになるというのはわかっていたことなんですけど、その中で負けなかったというのは本当に僕たちにとってプラスになると思います」と福満が話したように、終盤で逆転を許しながらも最後は気持ちで勝ち点1をもぎ取った印象の山口。それでも上野監督も「ゲームの終わり方もそうですし、締め方もそうですし、もっと行けば追加点も取ることができましたし、そのへんはまた帰って練習したいと思います」と語った2-1からの戦い方には、この劇的な同点劇に左右されないような改善が必要であることも間違いありません。とはいえ、「『相手の1つ上を行けるように』というのは毎試合毎試合やっていますけど、本当に1試合1試合得られるものの方が多いので、一通り全チームと1試合ずつやってみて、2回目の対戦でしっかり勝って行ければ良いかなと思います」と福満も口にした、高いレベルを体感することで得られる経験値は今の彼らにとって最大の成長要因。山口のJ2という名の新たなフライトはまだ離陸したばかりです。 
ほとんどその手にホーム初勝利、すなわち勝ち点3を収めていたにもかかわらず、最後の最後でそれが勝ち点1に変わってしまった松本。「最後にああいう展開になったら『しっかり締めて終わろうよ』という意識が11人で共有できていたかと言うと、まだちょっと勝ち切れるチームの感じではなかったですね」(喜山)「結果的に若い選手が状況をきちんと押さえられていたのかと、試合の雰囲気に飲まれてしまったのかなという部分があったのかなと思います」(宮阪)と両者が言及したように、とりわけ途中出場の選手たちは役割の徹底を遂行し切れなかった様子。ケガ人も多数出ている状況ではあるものの、終盤の勝ち切り方に対するイメージと実際のプレーには小さくない差があったと言わざるを得ない試合になってしまいました。「自分たちが優位に行っているかなと思って、後半に隙を作りまくってしまったと。サッカーはメンタルスポーツだなというのはそういう所以があるんですけど、ある意味こういう試合を早くできたので、それを次に生かしていかなくてはいけないとは思いますね」と反町監督も話したように、まずは次のゲームが最重要。数多くの熱狂的な緑の友を味方に付ける松本の新シーズンは果たしていかに。      土屋

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