mas o menos

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2016/03

S M T W T F S
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2016年03月22日

J2第4節 水戸×岡山@Ksスタ

mas o menos
  • Line

0320ks.jpgここまで勝利のない青龍が逆にここまで負けのない赤雉をホームで迎え撃つ一戦。水戸ホーリーホックとファジアーノ岡山の激突はケーズデンキスタジアム水戸です。
昨シーズンは5年に渡ってチームを率いてきた柱谷哲二監督の解任を受け、6月から西ヶ谷隆之コーチが監督に昇格。終盤戦まで苦しみながらも、最後は19位で何とかJ2残留を果たすこととなった水戸。迎えた今シーズンは昨年の主力クラスが相当数抜けた中、西ヶ谷監督の元でまた新たなスタートを。開幕戦と第3節はそれぞれ京都と金沢に引き分け、第2節ではC大阪に敗れているだけに、このホームで戦う90分間に今シーズン初勝利を懸けて全力でぶつかります。
長澤徹監督の就任初年度となった昨シーズンはリーグ最多の18引き分けと、なかなか勝ち切れないゲームが続き、終盤戦には安定感のある戦いを繰り広げたものの、最終的には11位という結果となった岡山。今シーズンは赤嶺真吾に豊川雄太と2人の実力派アタッカーを加え、懸案の得点力不足解消に着手すると、ここまでの3試合では既に5得点を奪うなど一定以上の効果も。ただ、前節は後半終了間際で10人の京都に追い付かれ、悔しいドローも経験。昇格という第一目標を見据える上では、ゲーム運びのバランスも求められる所です。気温14.7度というコンディションの割には、風が強くやや肌寒い感覚も。注目の90分間は水戸のキックオフでスタートしました。


「水戸さんの状況を考えると、物凄い立ち合いで来るだろう、気迫で来るだろう」という長澤監督の予想通り、まず勢い良く立ち上がったのは水戸。開始わずか7秒でキャプテンマークを巻いた船谷圭祐がミドルシュートを枠内に収めると、2分にも兵働昭弘が右FKを中央へ。飛び込んだ伊藤槙人のヘディングは枠の左へ外れましたが、4分には佐藤和弘が左CKをエリア外目掛けてマイナスに蹴り込み、フリーの兵働が叩いたボレーは枠の右へ逸れたものの、水戸がセットプレーから続けて岡山ゴール前を脅かします。
一方の岡山も8分に伊藤が左からCKを2本続けて蹴り入れ、2本目の相手クリアを拾った矢島慎也が右アーリーを放り込むも、ボールはそのままゴールキックへ。逆に12分は水戸。本間幸司の負傷欠場を受け、今シーズン初スタメンとなったGKの笠原昂史がゴールキックを飛ばすと、三島康平が競り勝ったボールをロメロ・フランクはダイレクトで左へ。佐藤和弘のボレーはクロスバーを越えたものの、三島の高さを生かしたシンプルなアタックからフィニッシュまで。「今までの3試合で対戦したどのチームよりも手数を掛けず、長いボールを蹴ってきた所にちょっと戸惑った所はありました」と話したのは岡山のボランチに入った渡邊一仁。水戸の続くゲームリズム。
26分も水戸。内田航平が裏へのフィードを通し、走った佐藤和弘はわずかに届かず岡山のGK中林洋次がキャッチ。27分も水戸。三島が左へ流し、上がってきたSBの佐藤祥は右足でクロスを放り込むと、三島のヘディングはヒットせずに大きく枠の左へ。30分も水戸。細かいパスワークから獲得した左CKを佐藤和弘が蹴り込み、こぼれを再び佐藤和弘が入れたクロスはDFに跳ね返されるも、「前に放り込まれるボールのセカンドボールを全部中盤で拾われてしまっていて、流れを掴めなかった」とはベテランの加地亮。ゲームの大枠は変わりません。
「三島選手を中心にセカンドのラフボールから基点を創られてという部分で、前半から少し先手を取られた形があった」と見ていた長澤監督は33分過ぎに決断。中盤の中央に伊藤大介、矢島、渡邊をトレスボランチ気味に並べ、前線に赤嶺と押谷祐樹を置いた3-5-2へシフトして、「そこのラフボールに対して先に触れる準備と、マイボールにするように少し戦い方を途中で変えて」全体のバランス向上を図ると、直後にはこのゲーム初めてエリア内でのチャンスが。1列下がった伊藤大介のスルーパスに、走った押谷はマーカーと入れ替わって中へ潜り、赤嶺へと出した勝負のパスは笠原に阻まれたものの、ようやくチャンスらしいチャンスが生まれます。
それでも「中央の人数が増えたというのはありましたけど、逆にサイドバックには行けなかったですし、正直難しい部分はありました」と渡邊も認めた通り、岡山のシステム変更も劇的な変化をもたらすまでには至らず。34分は水戸。兵働が右へ流し、田向泰輝のクロスへニアに突っ込んだ佐藤和弘のヘディングは枠の左へ。39分と45分にはそれぞれ左右から伊藤大介が蹴り込んだCKは、いずれもシュートには結び付かず。45+1分も水戸。田向の右アーリーに合わせた佐藤和弘のボレーはオフサイドも好トライ。「風もあったので前半はゼロで乗り切れて良かった」という渡邊の言葉はおそらく岡山の共通認識。水戸優勢の前半は0-0のままで45分間が終了しました。


後半はスタートからやや岡山にリズム。50分には片山瑛一、渡邊とボールを回し、押谷のボレーはDFに当たって笠原にキャッチされましたが、セカンドチャンスがいきなり結果に直結。52分に左サイドで獲得したスローインのポイントへ向かったのは片山。「ハーフタイムで(岩政)大樹さんに『ロングスローの場面に関してはこういうボールが欲しい』ということを言われていた」中で、投げたロングスローは「中のストーンの選手の頭を越えた所」。後ろからスルスルと上がってきていた岩政は、ソン・ジュフンの裏に潜り込んで満点ヘッド。ボールはゴールネットへ吸い込まれます。劣勢だった岡山の先制劇は1本のロングスローから。アウェイチームが先にスコアを動かしました。
「前半は(岩政選手が)上がってきた時に必ず三島が付くという所で駆け引きしていたんですけど、ちょっとこちらの伝え方の問題で、(ソン・)ジュフンが基本的に少し余っていたので、『もし三島が余っていない状態だったらジュフンが付く』という所で、最初にもうそっちの判断をしてしまって、逆にあそこに対する駆け引きがなくなってしまって、ああいう形に持って行かれたので、たぶんこちらの伝え方で選手が逆にハッキリし過ぎてしまった」と失点シーンを悔やんだ西ヶ谷監督。さらに59分にもやはり片山の左ロングスローから、ここも後ろから上がってきた岩政にニアで触られ、ファーで赤嶺が折り返したボールは味方と合わずに事なきを得ましたが、伊藤のミドルは笠原が何とかキャッチ。ロングスローから2つのバタついたシーンを創られてしまいます。
そんな西ヶ谷監督は61分に1人目の交替を決断。船谷に替えて湯澤洋介を投入すると、直後の失点はその湯澤が遠因に。投入直後に左サイドでボールを受けた湯澤は、得意のドリブルとワンツーで中央に切れ込むも、右へ出したパスが短く片山にカットされると、ここから岡山のカウンターが発動。押谷が左へ振り分け、縦に運んだ片山は中央へグラウンダーを送り、走り込んできた押谷が丁寧なトラップから左足シュートで流し込んだボールは、そのまま右スミのゴールネットへ転がり込みます。「正直あそこを狙ったわけじゃないんですけどね(笑)」とアシストシーンを振り返った片山も、「カウンターのチャンスというのはみんなで共通の意識を持ってやっている所」と話す狙い通りの一撃。岡山のリードは2点に広がりました。
小さくないビハインドを追い掛ける展開となった水戸の反発力はわずか2分後。64分に伊藤が右サイドで縦に付けたボールを、ボランチからサイドハーフにスライドしていた内田はワンタッチでフリック。佐藤和弘がグラウンダーで入れたパスはDFが何とかカットしましたが、このボールを素早く拾った内田がマイナスに折り返すと、三島が体を残しながら懸命に右足で引っ掛けてシュート。ボールはゆっくりとゴールネットへ到達します。水戸のエースが反撃の狼煙を。たちまち両者の点差は1点に縮まりました。
同点機もすぐその直後。64分に右サイドへ展開したボールを内田はアーリーでファーサイドまで。湯澤が頭で折り返したボールを、走り込んできた佐藤和弘はダイレクトで枠内へ収めるも、ここは中林が素晴らしい反応でファインセーブ。俄かに動き出したゲーム展開を受けて、長澤監督も66分には1人目の交替を。2点目を挙げた押谷に替えて、豊川雄太をそのまま2シャドーの一角に送り込むと、73分にも2人目の交替として伊藤と島田譲を入れ替え、中盤のテコ入れにも着手。西ヶ谷監督も75分に2枚目の交替。再三チャンスに絡んでいた佐藤和弘を下げて、これがJリーグデビューとなる宮本拓弥を最前線へ。「とりあえずビハインドの状況で僕が出るということは『もう得点を取ってこい』ということ」と語るルーキーにゴールという果実の収穫を託します。
76分は岡山。豊川が左へ展開したボールから、片山が送ったクロスに豊川が自ら頭で合わせるも、笠原が正面で何とかキャッチ。81分は岡山のカウンター。ここも豊川が左へ送り、島田が丁寧に上げたクロスを「思った以上に良いボールが来た」と振り返った渡邊がダイレクトボレーで狙うも、ボールはゴール左へ。83分も岡山。片山が左サイドで粘ってボールを奪い返し、そのパスを受けた赤嶺は股抜きからミドルを枠へ飛ばすも、笠原が懸命にキャッチ。岡山も突き放すことができません。
85分は水戸に絶好の同点機。兵働が自ら蹴った右CKのこぼれを再び蹴り込むと、中央で宮本が岩政に競り勝ちましたが、ボールはわずかにクロスバーの上へ外れ、頭を抱えたピッチのイレブンとスタンドのサポーター。岡山にとって最後の交替は85分。矢島と関戸健二をスイッチして、取り掛かるのは前節で失敗したゲームクローズ。水戸が最後の交替カードを切ったのは87分。佐藤祥と山村を入れ替え、最終ラインは内田、伊藤槙人、ソン・ジュフンの3枚に変更して、3-4-3の形で最後の勝負に打って出ます。
90+2分の絶叫は水戸。中央右寄りで手にしたFKを兵働はクイックで右サイドへ。これに反応した田向がクロスを上げ切ると、ここに飛び込んだのは「その前に1本同じ形で外してしまったんですけど、あのシーンで『もう1本来るな』というのは僕自身フォワードの勘として思っていた」という宮本。完璧に頭でミートしたボールは、ゴールネットを力強く揺さぶります。土壇場での同点弾に青いサポーターは沸騰。「あのヘディングシュートも僕の持ち味だと思うので、良い意味でチームメイトが生かしてくれたなと思います」と振り返ったルーキーが値千金の一発。水戸がスコアを振り出しに揺り戻しました。
90+3分の悲鳴は岡山。右サイドのスローインを片山がロングで投げ入れ、一旦はクリアされたボールを加地が粘って2度も残し、関戸も粘って右へ流すと、「練習からああいう風に逆サイドへのフワリとしたボールというのは狙っている部分だったので、『あそこにいてくれ!』という感じで蹴りました」という片山の左足クロスはファーサイドへ。待っていた岩政の冷静なヘディングは、そのまま緩やかな軌道を描いてゴールネットへ吸い込まれます。「サポーターの声援で最後に押し込ませてもらったようなゲーム」と長澤監督も言及した、その赤いサポーターは狂喜乱舞。ジェットコースターのようなアディショナルタイムの乱気流。驚異的な粘りを見せた岡山が執念で勝ち越しゴールを叩き込み、勝ち点3を強奪する結果となりました。         土屋


  • Line