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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年02月12日

東京都クラブユースU-17サッカー選手権大会決勝 三菱養和SCユース×FC東京U-18@西が丘

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0211nishigaoka.jpg2年前と同じファイナルのカードは東京頂上決戦。日本屈指の街クラブとして名を馳せる三菱養和SCユースと、2年ぶりの大会制覇を狙うFC東京U-18の激突は引き続き味の素フィールド西が丘です。
激戦のプリンスリーグ関東は8位での残留。厳しい予選を勝ち抜いて挑んだJユースカップでは、初戦で当たった水戸ホーリーホックユース相手に1点ビハインドの後半アディショナルタイムに追い付いたものの、最後は延長戦で屈するなど、昨季は悔しさの残るシーズンとなった三菱養和SCユース。「昨年もリーグ戦には今の2年生が主力で出ていたので、それが経験としてはあると思う」と山本信夫監督も話したように、今シーズンは新たな躍進を狙う1年。手始めのこの大会も杉並FCを12-1、FC町田ゼルビアユースを6-2で退けると、先行を許した東京ヴェルディユース戦も終盤に追い付いてファイナルへの切符を獲得。2年前の同じ舞台で敗れたFC東京U-18にリベンジを果たし、幸先良くタイトル獲得と行きたい所です。
今シーズンからU-23がJ3に参戦。加えてプレミアリーグEASTにT1リーグという競争力の高い2つのコンペティションを並行して戦うなど、新たなチャレンジの年となるFC東京U-18。「僕自身もそういうチームのプロジェクトの一員として今回携われていることは幸せですし、やっぱりポジティブに捉えて競争を生んでいくことが大事だと思います」と話す佐藤一樹監督の下、この大会の決勝リーグでは全試合で交替枠最大の9人を使いながら、C.A.SeisRayos Tokyoに4-0、FCトリプレッタユースに4-0、横河武蔵野FCユースに2-0と、10得点無失点という盤石の結果を残し、3年連続となるファイナル進出。チームの掲げる全国三冠に向けて、「三冠は難しいと思いますけど、1つずつ新人戦から取って行けたらいいなと思います」と話したのは鈴木喜丈(2年・FC東京U-15むさし)。2年前の同じ舞台で蹴散らした三菱養和SCユースに返り討ちを果たすべく、まずは東京制覇を全力で目指します。スタンドには祝日ということもあって、サッカー少年も含めた少なくない観衆が。楽しみな一戦は13時30分にキックオフされました。


5分の衝撃は東京が誇るレフティ。バイタルに潜った生地慶充(2年・FC東京U-15むさし)はボールを受けると、ゴールまで約25mの距離から左足一閃。ボールは鋭い軌道を描き、GKを避けるように右スミのゴールネットへ突き刺さります。いきなりのゴラッソにどよめく西が丘のスタンド。青赤期待の20番がいきなり結果を。東京があっという間に1点のリードを手にしました。
以降もボールを握った東京はミドルへの高い意識を。13分には生地のパスを受け、「今年は基本的にみんな攻撃が好きなので、その中でどうやったら中心になれるかと言ったらやっぱりゴール。得点に絡めるボランチになりたい」と話す鈴木喜丈のミドルは養和のGK塚田匡壮(2年・三菱養和巣鴨JY)がキャッチ。直後の13分にも左SBの坂口祥尉(1年・FC東京U-15むさし)が積極的にミドルを狙い、DFに当たったボールは塚田がキャッチしたものの、果敢なトライに滲ませるゴールへの高い意欲。15分には養和も左へ流れた齋藤一(2年・三菱養和巣鴨JY)がミドルを放つも、ボールはクロスバーの上へ。ゲームリズムは東京サイドに。
すると、20分に生まれたのは追加点。左サイドに開いた半谷陽介(2年・FC東京U-15深川)は、ハイサイドまでボールを運ぶとゴールエリアと平行にスルスルとえぐってマイナスへ。ここで待っていたのは「フォワードなので点を取らないといけないですし、シュートの大事さというのは監督に常に言われてきた」と話す松岡瑠夢(2年・FC東京U-15むさし)。得意の左足で流し込んだボールはきっちりゴールネットを揺らします。「ファンタスティックなだけが売りだったんですけど(笑)、球際のハードワークが付いてきちゃったので、『走れ』ってあまり言えなくなっちゃったんですけどね」と笑った佐藤監督も、「やっぱり上手いヤツがチームのために献身的に走るということがどれだけ大事かということを表現してくれていると思います」と高い評価を。松岡はこれで4戦連発。両者の点差は2点に広がりました。
「ある程度堅く進めて、相手が焦れるのを待つというイメージではいた」と山本監督も言及した養和は、早くも2点のビハインドを追い掛ける展開に。21分には左から小畑慶太郎(2年・三菱養和巣鴨JY)がFKを蹴り込むも、DFが大きくクリア。時折「駆け上がっていくタイプではないんですけど、ボールを落ち着かせられるという所ではちょっと違ったタイプ」と指揮官も評する左サイドの高橋ラシード(2年・横浜F・マリノスJY)にボールが入った時には少しリズムの変化が見え掛けるものの、最前線の森田大喜(2年・三菱養和調布JY)とシャドーに入った平山駿(2年・三菱養和巣鴨JY)と長岡龍之介(1年・三菱養和巣鴨JY)のアタッカー3枚に良い形でボールが入らず、なかなか手数を繰り出せません。
30分は東京。右SBの岡庭愁人(1年・FC東京U-15深川)が縦へ付けると、半谷はワンタッチで巧みにフリック。走った松岡が鮮やかに2人をかわしながら打ち切ったシュートは塚田がキャッチしましたが、33分にも東京にチャンス。鈴木喜丈のパスを引き出した松岡は、内田宅哉(2年・深川)とのワンツーからエリア内へ侵入すると、少し浮いたボールをそのままボレー。ここは養和の右CBを務める杉山耕二(2年・三菱養和巣鴨JY)が体を投げ出してブロックしたものの、「最終的に勝つチームは点を取る選手がいるチームだと思うので、今年になってそういう選手になるというのは目標にしていた」という19番が続けてチャンスに絡みます。
39分も東京。生地が左から蹴り入れたCKに、ニアへ飛び込んだ岡崎慎(2年・FC東京U-15深川)のヘディングは塚田がキャッチ。45分は養和。右サイドから齋藤が放り込んだクロスに、走った高橋ラシードが叩いたシュートは岡庭が体でしっかりブロック。45+2分も養和。長岡の右CKを拾った高橋ラシードが右へ戻し、長岡が再度蹴り込んだクロスをファーで高橋泉伎(1年・WINGS U-15)が折り返すも、中央で構える東京のキャプテンを託された蓮川壮大(2年・FC東京U-15深川)が確実にクリア。「目の前の1対1に絶対攻守で負けなければ、やっぱりゲームに勝つ確率というのは凄く高いと思う」という指揮官の言葉を体現するような45分間を披露した東京が2点のアドバンテージを手にして、ゲームはハーフタイムへ入りました。


後半が開始されても大きな流れは変わらず。50分は東京。松岡の右クロスをファーで合わせた内田のシュートはゴール左へ外れるも、左右の揺さぶりからチャンスを創出。57分には佐藤監督も1人目の交替を。ボランチでゲームを創っていた伊藤純也(2年・FC東京U-15むさし)に替えて、小林真鷹(1年・FC東京U-15むさし)をそのままの位置へ投入すると、59分にも松岡の左CKへ、ニアで岡崎が枠の左へ外れるボレー。佐藤監督は62分にも共に得点へ絡んだ半谷と生地を下げて、鈴木郁也(2年・FC東京U-15深川)と小林幹(1年・FC東京U-15むさし)を送り込む2枚替えを決断し、「しっかり底上げをしていかないといけない」という勝利同様に大事なミッションにも着々と取り掛かります。
66分には養和にも大きなチャンスが。中央をドリブルで力強く運んだ長岡は、自ら右足でミドルにチャレンジ。ゴール左スミを襲ったボールは東京のGK波多野豪(2年・FC東京U-15むさし)がファインセーブで掻き出すも、ようやく2本目のシュートが。さらに、このタイミングで小畑と森田に替えて、八木原匠(2年・東京ベイFC U-15)と石田明(2年・三菱養和調布JY)を送り込む2枚替えを敢行すると、その左CKを長岡が蹴り込み、石田が頭で折り返したボールはDFが大きくクリアしましたが、ここに来てわずかに見え始めた養和の活路。
それでも、東京はゲームリズムを譲らず。68分には相手の連係ミスを突いた鈴木郁也が右へ流し、松岡が打ったシュートは良く飛び出した塚田がファインセーブで立ちはだかりましたが、69分にその松岡と杉山伶央(1年・FC東京U-15むさし)をスイッチさせると、72分にも小林真鷹のパスから左へ持ち出した鈴木郁也のシュートはゴール左へ。73分にも杉山が右へ展開したボールを岡庭がピンポイントでクロスを合わせ、飛び込んだ小林幹のヘディングはわずかにクロスバーを越えましたが、1年生トリオで創った美しさすら伴う決定的な形に、ゴール裏のボルテージも一段階上がります。
74分に輝いたのは「彼もスタートでも良いようなパフォーマンスをずっと続けている」と佐藤監督も評価する途中出場のナンバー18。右サイドを内田がゴリゴリと持ち運び、そのままエリア内まで侵入しながらラストパスを送ると、左足を思い切り良く振り抜いた鈴木郁也のシュートはゴールネットへ突き刺さります。「彼も去年までちょっとツラい想いをずっとしていた選手なので、本当に学年が変わって最終学年の自覚というのが今年は顕著というか、ここまで意識が変わるとプレーも変わるんだなというのは僕自身もちょっと勉強になった」と佐藤監督も驚く成長を遂げつつある鈴木郁也の追加点。スコアは0-3に変わりました。
終盤に向けてお互いに切り合うカード。74分の養和は2枚替え。右WBの久保井俊喜(2年・三菱養和巣鴨JY)と高橋泉伎に替えて、戸張颯太(2年・三菱養和巣鴨JY)と長谷川佳輝(1年・三菱養和調布JY)を送り込み、最終ラインは右から高橋ラシード、杉山、伴武宏(2年・三菱養和巣鴨JY)という3枚に変わり、右WBに長谷川佳輝、左WBに戸張をそれぞれ配置。東京も75分に荒川滉貴(1年・FC東京U-15深川)、76分に品田愛斗(1年・FC東京U-15深川)を相次いでピッチヘ。77分は養和に5人目の交替。小菅歩夢(2年・三菱養和巣鴨JY)がシャドーの位置に入り、整える反撃態勢。77分に品田のフィードから、抜け出した鈴木郁也のシュートが塚田にキャッチされたシーンを挟み、80分は東京7人目の交替として、鈴木喜丈と吹野竜司(1年・FC東京U-15深川)をスイッチ。ゲームは残り10分間とアディショナルタイムへ。
84分は養和にセットプレーのチャンス。平山の突破で獲得したFKを、ゴールまで約25mの位置から齋藤が直接狙うも、東京のカベがきっちりブロック。86分は東京。小林幹と吹野でCKを奪い、右から品田が蹴ったキックはシュートまで繋がらず。86分の東京は8人目の交替として篠原新汰(1年・FC東京U-15深川)を投入し、88分に養和も平山が枠越えミドルを放つと、直後の88分に東京は9人目の交替として長谷川光基(1年・FC東京U-15深川)が送り込まれ、これでキャプテンを務める蓮川以外のスタメンを張ったフィールドプレーヤーは全員がベンチへ。「最初からスタメンの選手は全力を出して、最後にバテてきたら良い交替メンバーに替わるというのが今回は4試合ともできた」と松岡。全4試合で交替枠を使い切り、底上げも図りつつ結果も求めた東京の"一冠目"へ向けて始まるカウントダウン。
最終盤は養和が意地を。89分に左サイドへ飛び出した八木原が、鋭い切り返しから送ったクロスは小菅が飛び込むもわずかに合わず。90分にも齋藤が左へボールを送り、受けた戸張はカットインミドルまで持ち込むも、ボールはクロスバーの上へ外れると、これがこのゲームのファイナルシュート。「そんなにタイトルって獲れないですし、みんなで掴み取ったカップなので、本当に嬉しかったです」と松岡も話した東京が完勝と言って良い内容でファイナルを制し、2年ぶりに冬の東京王者を手繰り寄せる結果となりました。


2年前のリベンジを果たすことは叶わず、悔しいファイナルの結果を突き付けられた養和。「どちらかと言ったら良い守備をして良い攻撃というのが僕らの考えていたことなので、守備がうまく行かないと攻撃もちょっと良い形ができなかったかなと思います。今日は良い勉強になりました」と山本監督も言及した通り、現時点では少し力の差を感じるような90分間になってしまったかもしれません。それでも奇しくも「一昨年はここで養和に勝って、クラブユースの決勝で負けているので、ここからの養和の巻き返しも怖いですよね」と佐藤監督が話し、「2年前も冬はここで2-3で負けたけど、夏はああいう一番最高の舞台で先輩たちがやってくれたので、是非そうなることを期待していますけどね」と山本監督も全く同じことを口にしたように、ここでの経験を生かすも殺すもすべてはここからの自分たち次第。「3戦やった結果で決勝まで来られた訳ですし、ヴェルディの時も先に取られてそのまま終わっていたら今日は3位決定戦だった訳ですし、やれることはみんなやっていると思います。ただ、やっぱり上には上がいるので、そういう所を目標にしないといけないと思います」と大会を振り返ったのは山本監督。この日もゴール裏で必死に声援を送り続けた下部組織の小学生たちが見つめるユースの選手に「プレーもそうですし、戦っている感じや立ち振る舞いも含めて良いお手本であれば良いなとは思いますし、憧れの存在にであって欲しいと思います」とメッセージを送った指揮官の期待に応えるべく、色々な意味で勝負のシーズンを迎える養和の今シーズンにも是非注目したいと思います。
「優勝という形で終われてみんなで喜べましたし、今は良い気分ですけどまたプレミアやJユースも始まるので、厳しい戦いになるのは間違いないですけど、『今年はできる』とみんな思っているので絶対にタイトルを獲って終わりたいです」とパーフェクトと言って良い内容の優勝にも、まさに兜の緒を締め直したような松岡の発言をおそらくはチーム全体が共有している東京。全試合で交替枠をフルに使ったことを問われた佐藤監督は「プレミアもT1も交替枠を9人にしてくれるとありがたいんですけど(笑)」と相変わらずのユーモアで切り出しながら、「この大会のレギュレーションを目いっぱい生かさせてもらって、新人戦を使って底上げという部分で、長い時間でなくてもピッチに出て、張りのあるゲームを感じるということが成長のきっかけになるということは往々にしてあると思うので、そういう意味では色々な選手を出してあげることができたのは、凄く我々にとってはありがたかったなと思います」とその狙いと成果に改めて言及。それでも「いつチャンスが来るかわからないよという話は選手にしていましたけど、9人使うとなるといきなり『ああ、ホントに出るんだ』みたいな選手もいましたね(笑)」としっかりオチを付けるあたりからは、いつも通りの"カズキスタイル"とはいえ、チームへの確かな手応えを掴んだ様子も垣間見えました。取材の最後には今大会全体についても佐藤監督は「養和さんもヴェルディもそうですけど東京のクラブが切磋琢磨して、今回はトリプレッタの躍進もありましたし、スタッフ間でも色々コミュニケーションを取らせてもらっている仲間で東京のクラブを盛り上げて行ければと思いますし、彼らは切磋琢磨する仲間だと思っているので、そこは爽やかな気持ちで僕個人的には西が丘を迎えました」と言及。各クラブにとっても非常に実りの多い大会であったことを改めて実感するような優勝監督の言葉を聞くことができたことも、私個人的には非常に嬉しい出来事でした。      土屋

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