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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年01月23日

東京都クラブユースU-17サッカー選手権大会決勝リーグ 東京Vユース×町田ユース@ヴェルディG

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0123verdy.jpg今シーズンもいよいよ幕を開けた東京都クラブユースU-17サッカー選手権大会決勝リーグ。東京ヴェルディユースとFC町田ゼルビアユースの激突は、おなじみヴェルディグラウンドです。
藤吉信次監督にとって就任1年目となった2015年シーズンは、プリンス関東で堂々3位に。参入戦では初戦で静岡学園の前に0‐2で屈し、プレミア復帰とはならなかったものの、名門復権へ大きな礎を築く1年となった東京ヴェルディユース。その指揮官は「自分としては『このチームを指導できて幸せだな』と感じた1年でしたし、指導者を楽しませてくれるサッカーをしてくれるから『こんなチームはないんだろうな』と思った」と昨年を振り返りながら、「逆に言ったらそんなに素晴らしい才能を持っている良いチームだったので、タイトルを獲れなかったりプレミアに上がれなかったりというのは『俺の力不足だな』と思うし、そこはその反省も踏まえて結果も出せるように、俺も頑張らなくてはいけないなと思います」と決意を新たに。まずはこの恒例とも言うべきシーズン初の公式戦で連覇を明確に目指します。
関東1次予選から参加した昨年のクラブユース選手権は大躍進。2次予選では結果的にプレミアリーグEASTと高円宮杯チャンピオンシップを制する鹿島ユースに競り勝ち、浦和ユースや甲府U-18も同居したグループを堂々の2位通過。本大会でも山形ユース相手に全国初勝利を収め、その存在を大きくアピールすることに成功したFC町田ゼルビアユース。それでも、「攻撃陣はほとんど変わらずに残っているんですけど、やっぱりサッカーは守備の時間もあるし、それをどうグループで埋めるかと。彼らには『去年とはもう違うので、去年と比べることなく自分たちが前進する方法をみんなで模索しようね』と言っています」と話す竹中穣監督が見据えるのはさらにその先。プレミアやプリンス所属のチームと兵刃を交えることのできるこの大会を今シーズンの指標とするべく、先週の杉並FC戦に続く連勝を狙います。雪の予報が出ていたにもかかわらず、グラウンドの周囲には少なくないサッカージャンキーが集結。冷え込みの厳しくなりつつある17時30分、町田のキックオフでゲームはスタートしました。


ファーストシュートは3分の東京V。左SBを務める松本幹太(2年・東京ヴェルディJY)のドリブルで獲得したCK。大久保智明(2年・東京ヴェルディJY)が蹴ったボールを深澤大輝(2年・東京ヴェルディJY)が当てたシュートは枠の左へ逸れましたが、12分にも大久保が右CKを蹴り込み、流れたボールを再び右から放り込むと、CBの谷口栄斗(1年・東京ヴェルディJY)が頭ですらしたボールをまたも深澤がボレー。ボールはゴール右へ外れたものの、まずはキャプテンの深澤がセットプレーから積極的に先制点を狙います。
それでも「10分か15分我慢できたことで、守備の所では選手たちがかなり自発的に整理できた」と竹中監督も認めたように、徐々に守備が安定し始めた町田は、16分にファーストシュート。右SBの須藤友介(1年・FCトッカーノ)を起点に青木義孝(2年・FC町田ゼルビアJY)がドリブルで仕掛け、こぼれを拾ったボランチの金山竜己(1年・FC町田ゼルビアJY)が思い切ったミドル。軌道は枠の右へ外れましたが、悪くないチャレンジからようやく記録したフィニッシュ。
18分は東京V。左から平田竜士(2年・東京ヴェルディJY)が枠へ飛ばしたミドルは、町田のGK石野太一(2年・FC町田ゼルビアJY)がキャッチ。20分も東京V。右SBの小幡裕稀(2年・東京ヴェルディJY)が駆け上がり、大久保が得意の左足で放ったミドルはクロスバーの上へ。22分は町田。左から佐々木そら(2年・ヴェルディSS AJUNT)が蹴り込んだFKは東京VのGK村田怜穏(2年・東京ヴェルディJY)がしっかりキャッチ。25分は再び東京V。大久保が右から中央へ流し、羽生識(1年・東京ヴェルディJY)が打ったミドルは石野がキャッチ。「そんなに練習できていない中でも積極的に行けている感じがあった」と話したのは藤吉監督。ミドルの意識で上回った東京Vに増える手数。
西前一輝(2年・FC町田ゼルビアJY)と舟橋碧人(1年・緑山SC)のCBコンビを中心に、守備陣の奮闘が続いていた町田にも29分にビッグチャンス。中盤できっちり繋いだ流れから、青木は右サイドへスルーパス。このボールへ後方からラインを破った重山拓弥(2年・FC町田ゼルビアJY)はフリーで抜け出しましたが、ここは深澤がきっちり戻ってさすがのボールカット。ただ、町田は32分にもパスワークから最後は金子誠幸(2年・ランサメントFC)がフリーでラインの裏へ飛び出し、間一髪でオフサイドという判定を下されたものの、少しずつゴールへの道筋へ光が灯り始めます。
41分は東京Vにセットプレーの好機。左サイド、ゴールまで約25mの距離から大久保が直接枠へ飛ばしたFKは、難しいバウンドになったものの石野がファインセーブで回避。42分は町田に決定機。青木のスルーパスに抜け出したのは、またしても重山。GKとの1対1から打ち切ったシュートは、わずかにゴール左へ逸れましたが、「彼は今年グループの中では少し出てきているのもある。最終学年になって少しやる気になっているんじゃないですか(笑)」と竹中監督も笑って評した重山の際立つ推進力。45+2分も町田は佐々木の仕掛けで奪ったFKのチャンス。中央やや右、ゴールまで30m弱の位置から金山が無回転気味に狙ったキックはクロスバーの上へ。終盤にやや町田が盛り返した格好の前半は、スコアレスでハーフタイムに入りました。


先に動いたのは藤吉監督。後半スタートからボランチの羽生を下げて、信太玲哉(2年・東京ヴェルディJY)を平田と並ぶ2トップの位置へ投入。最前線の河田稜太(1年・東京ヴェルディJY)をボランチの位置へスライドさせますが、「結構複数のポジションをできる選手がいるんです。今の所は誰が出るというのも確定しているのは1人もいないので、みんなで競争する時期ですし、それを1年間できたらいいなと思っている」という自らの言葉を証明するかのような采配を振るって、残りの45分間へ向かいます。
すると、セカンドハーフも勢いを持って入ったのはホームチーム。49分には大久保が粘り強いドリブルからシュートまで持ち込むも、ここは前半から的確なカバーリングを見せていた舟橋がきっちりブロック。50分には大久保のパスを受け、上がってきた小幡が好クロスを上げるも中央と合わず。52分にも杉澤亮悟(1年・東京ヴェルディJY)の左クロスに、ファーで合わせた大久保のボレーは枠の上へ。さらに54分にも深澤が左へサイドチェンジを送り、受けた松本のクロスに平田が飛び込んだヘディングは、石野がファインキャッチで応酬するも、「小幡と松本は1人で切り崩せるというか、そこはもう本当にチームのストロングポイントになるんじゃないかなと思いますね」と藤吉監督も言及する両SBから、決定機に近いチャンスの連続。
さて、やや劣勢を強いられた町田も、55分に青木が思い切って放ったミドルがDFをかずめて枠の右へ外れると、そのCKの前に1人目の交替を決断。左SHに入った鮫島健太(1年・FC町田ゼルビアJY)に替えて、谷口幸太(1年・FC町田ゼルビアJY)を最前線へ送り込み、青木が左SHへスライド。直後のCKを佐々木が右から蹴り込み、ニアへ突っ込んだ青木のヘディングはクロスバーを越えましたが、この後半1本目のシュート前後から少しずつ噛み合い出した町田の歯車。
とはいえ、ペースは変わらず東京V。59分には大久保のスルーパスに何と深澤が飛び出し、GKの鼻先でボールを収めて後方へ。大久保のシュートはDFに当たり、信太のシュートもDFのブロックに遭いましたが、果敢なCBの攻撃参加で惜しいシーンを。直後の右CKを大久保が蹴り入れ、こぼれを叩いた杉澤のミドルは枠の左へ。62分と63分に町田も佐々木が左右からFKを蹴り込むも、揃ってDFが大きくクリア。逆に66分と72分には東京Vも大久保が右から続けてCKを蹴ったものの、前者は青木が、後者は須藤が確実にクリア。スコアは動かないまま、いよいよ残されたゲームの時間は15分とアディショナルタイムに。
76分の決定機は町田。左から佐々木が蹴ったCKはファーまで届き、フリーで走り込んだ舟橋のヘディングはDFが何とか体に当てて、最後は村田がキャッチ。78分は東京V。河田のパスから大久保が左へ振り分け、松本のグラウンダークロスは石野が懸命にキャッチ。78分は町田。左から青木がスルーパスを送り、走った金子のリターンを青木が狙ったミドルは村田がキャッチ。79分は東京V。前を向いた信太がスルーパスを通し、大久保がドリブルで収め掛けるも、素晴らしいタイミングで飛び出した石野が体でブロック。ここに来て目まぐるしく入れ替わる攻守。スリリングな殴り合い。
藤吉監督は81分に2枚目の交替を。河田を下げて大森渚生(1年・東京ヴェルディJY)を左SHへ投入し、杉澤は右SHへ、大久保は中央の1.5列目へ、信太は抜群のポジショニングでバランスを取り続ける東山直樹(1年・東京ヴェルディJY)と並ぶドイスボランチの一角へそれぞれスライド。85分に大久保が入れた右CKは石野が絶妙の飛び出しからパンチングで弾き出し、86分に佐々木が蹴った右CKは中央でオフェンスファウルを取られると、竹中監督も86分に2枚目の交替を。重山と高木崇平(2年・FC町田ゼルビアJY)を入れ替え、サイドの推進力向上へ着手しながら最後の勝負に打って出ます。
87分は東京V。左サイドへの展開から、開いた大久保のクロスにファーへ杉澤が飛び込むも、果敢に体を投げ出した町田の左SB石田和成(1年・FC町田ゼルビアJY)へのオフェンスファウルに。88分も東京V。小幡が左へピンポイントのサイドチェンジを繰り出し、巧みなトラップで縦へ持ち出した大森のシュートが枠の右へ外れると、これがこのゲームのラストシュート。「先週の試合も含めてオープニングの2試合としては前向きに進んでいると思っています」(竹中監督)「シュートだったりクロスの入り方とか、そういう精度を上げていけばもっと良いゲームができるんじゃないかなと思うので、内容的には結構良かったんじゃないかなと思います」(藤吉監督)と両指揮官も一定の手応えを口にしたゲームはスコアレスドロー。双方に勝ち点1ずつが振り分けられる結果となりました。


「去年ヴェルディさんに勝たせてもらったことや、全国大会に出させてもらったことで周りの方たちがたぶん少し見方を変えていただいていると思うんですけど」と前置きしながら、「ヴェルディさんとの『埋まっているんだろうな』という差が全く埋まっていなかったことは非常にゲームを通じて感じさせられているので、本当に地味な作業をちゃんとやろうと思っています」と続けた竹中監督。「組織としてどう進むかというのは凄くポジティブに捉えていますけど、やっぱり個のスキルであるとか、何をしなくてはいけないという判断の所がまだまだ埋まらないなあという感じですね」と、このゲームは改めて強豪との埋めるべき差を再認識する機会になったようです。ただ、1-6で大敗した2011年から5年連続で東京Vと対戦する中で、昨年は勝利を収め、今回も勝ち点1を獲得するなど、この対戦だけを取ってみても町田の着実な成長は間違いない所。「中にいる僕でも経験を積んできたと感じていますし、最終的に監督やコーチが非常に大事な役割であるとは思っていますけど、それよりもやっぱり選手が良い時も悪い時も主役でいられるような環境になっているのは凄く感じています」と就任してから3年間での手応えを感じている竹中監督は、「選手がより自発的にグループのために発言ができたり、ゲームの中でも外でも仲間のために本気で物事を言えたり怒れたり、最終的に『ああ、スタッフほとんど話していないね』みたいな所に到達できたらいいなと思っています」と今シーズンのチームに対する期待を口に。新生町田ユースが2016年も何かをやってくれそうな予感は、チーム全体から十分過ぎる程に漂っています。
「スーパーリーグは1試合やっていますけど、公式戦は初の試合だったので、アグレッシブに、攻撃的にということを今年のテーマにやってきている中ではゲーム的に満足しています」と90分間を振り返った藤吉監督。渡辺皓太(2年・東京ヴェルディJY)と藤本寛也(1年・東京ヴェルディJY)という2人の世代別代表選手が欠場する中でも、「彼らも帰ってきたら違いを見せると思いますけど、彼らなしで戦えるかどうかが一番大事かなと。去年は個人の能力が高いヤツが多かった中で、逆に今年はチームで色々なことをできるのかなというのがあるので、そこは楽しみですね」と語るなど、とりわけ現時点ではチーム力の部分に期待を寄せている様子が窺えます。そんな藤吉監督に今シーズンの目標を尋ねると、返ってきたのは「選手に言ったのは『"日本一"のチームになる』ということ」という答え。その心は「大会を優勝しても結果は"日本一"ですけど、周りが認める"日本一"ということではないと思うんですね。誰もが認める"日本一"のチームになるために何をしたら良いかという時に、サッカーだけじゃなくて振る舞いもそうですし、何でも良いから"日本一"を目指そうと。『片付け日本一』でも良いし、『あいさつ日本一』でも良いから、それを打ち立ててやっているので、そこは本当にみんなでできたらいいなと思っているんですけどね」とのこと。「志の高いヤツが多いので、素直に受け入れていると思いますし、前向きにみんなやってくれているのでメチャクチャ助かっていますね。生き生きと仕事ができています。苦にならないというかね(笑) 幸せを感じていますよ」と笑顔で言葉を紡ぐ指揮官の下、東京Vユースが掲げる"日本一"への新たな挑戦がスタートします。        土屋

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