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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年01月24日

東京都クラブユースU-17サッカー選手権大会決勝リーグ 横河武蔵野FCユース×FCトリプレッタユース@小平G

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0124kodaira.jpg両者にとって今シーズン初の公式戦は、文字通りの"好敵手"対決。横河武蔵野FCユースとFCトリプレッタユースの対峙は昨年同様に小平グランドです。
T1リーグでは関東第一や國學院久我山といった攻撃力に特徴を持つ強豪を抑え、54得点というリーグ最多得点を記録しての3位。この大会でも3年連続で西が丘まで駒を進めるなど、都内有数の実力を有することは誰もが認める位置まで到達している横河武蔵野FCユース。それでも、昨年はクラブユース選手権で関東2次予選敗退を喫し、Jユースカップではやはり関東予選でトリプレッタに2-3で競り負けるなど、全国には手の届かなかった1年に。クラブ名も新たに生まれ変わる今シーズンは、ある意味で勝負の1年。まずはトリプレッタ相手に4か月前のリベンジをきっちり達成して、好スタートを切りたい一戦です。
T2リーグでは2位のFC東京U-18(B)と同じ勝ち点ながら、得失点差で惜しくも3位。Jユースカップでも前述したように関東予選の準決勝で横河武蔵野ユースを3-2で振り切り、最後は決勝で三菱養和ユースに0-1と惜敗したものの、確実にチーム自体の実力は右肩上がりにあるFCトリプレッタユース。ただ、この大会ではここ2年に渡って西が丘から遠ざかっており、"全国"という明確な目標を手にするためにも、西が丘行きはマストのノルマであることを考えれば、ここでライバルを叩いておくことも間違いなくマストのノルマ。返り討ちの準備は整いました。とんでもない寒波の中でも、ゴール裏のスタンドにはかなりの観衆が。注目のライバル対決は12時ジャストにキックオフされました。


立ち上がりは「自分たちの望んでいる入り方ができた」とキャプテンを任された宮澤亮太朗(2年・FCトリプレッタJY)も話したトリプレッタが圧倒。2分に高野路万(2年・FCトリプレッタJY)がミドルレンジから枠の左へ外れるオープニングシュートを放つと、8分にも右サイドを高野が運んでグラウンダーのクロスを送り、ニアで山口ツンデローレンス(2年・ヴェルディSS AJUNT)が合わせたシュートはゴール右へ逸れるも迫力のあるアタックを。11分には石川吉輝(2年・VIVAIO船橋)を起点に宮澤が左へ流し、上がってきた左SBの内山健(2年・ジェファFC)が放ったシュートは右のポストを直撃したものの、続けて手数を繰り出したトリプレッタがペースを掴みます。
14分もトリプレッタ。「縦パスも結構得意なので、スイッチが入るボールを自分から出していきたいと思います」と語るCBの船越和樹(2年・蒲田高校)がその縦パスを打ち込み、ギャップで受けた宮澤はすかさず右へスルーパス。石川が粘って繋ぎ、田村和己(2年・FC.GONA)が狙ったミドルは横河のGK西村大樹(2年・レッドスターJY)にキャッチされましたが好トライ。15分には横河も初田優真(2年・横河武蔵野FC JY)からのパスを佐々木克矢(1年・横河武蔵野FC JY)が右へ回し、カットインした草宏禎(1年・横河武蔵野FC JY)の左足シュートは枠の上に消えるも、チームファーストシュートを記録。ただ、18分もトリプレッタ。ボランチの谷本竜一(1年・GIUSTI.世田谷)を起点にした流れから、右SBの安達健生(2年・FCトッカーノ)が中へ戻し、宮澤は左へ丁寧なスルーパスを繰り出すと、走った高野のシュートはクロスバーを越えましたが、ケガ明けながら「チームの中心としてもっと責任を持ってプレーしたいと思います」と意気込む宮澤の際立つチャンスメイク。
守備面でも「前線からプレスに行かせて良い所で取れて、良い感じで行けた」と振り返る船越和樹とディサロ峻ヴァレンティノ(2年・FCトリプレッタJY)のCBコンビが、抜群の安定感で最後方から支えるトリプレッタの続く攻勢。22分には田村のパスを何とか収めた高野がシュートまで持ち込むも、ここは果敢に飛び出した西村大樹がファインセーブ。23分にも石川が打ち切ったシュートはゴール右へ。さらに30分にも右サイドを切り裂いた高野はシュート気味にクロスを蹴り込み、ゴールネットを揺らした山口のシュートはオフサイドというジャッジを下されますが、得点まであと一歩という所へ迫ります。
さて、「堅さもあったし気持ち的な部分もあったとは思いますけど、あまりにも戦えない入りだった」と増本浩平監督も評した立ち上がりからなかなか本来の持ち味を出せず、押し込まれる時間の長い横河。31分には左SBの和田朋也(1年・Forza'02)が中央へ付け、角井拓哉(1年・三菱養和調布JY)のリターンを受けた中川海(1年・横河武蔵野FC JY)のミドルは枠の右へ外れましたが、ようやくパスワークからフィニッシュまで。37分にも左サイドで粘った角井のクロスに、突っ込んだ西村悠(2年・ヴェルディSSレスチ)はオフェンスファウルを取られたものの、少しずつ見え始めた攻撃の道筋。
先制点は突然に。39分に左サイドでボールを引き出した角井は、少し巻き気味にラインの裏へスルーパス。ここへ走り込んでいた西村悠は左へ持ち出し、体勢を崩しながらシュートを放つと、GKもわずかに触ったボールはそのままゆっくりとゴールネットへ転がり込みます。「時間帯的にウチも攻め込んでいた分の落とし穴というか、その疲れが出た瞬間に1本抜けちゃった感じ」とトリプレッタの大貫雅之監督も振り返った通り、ワンチャンスを9番のストライカーがきっちり結果へ。最初の決定機を見事にゴールへ結び付けた横河が1点のリードを手にして、最初の45分間は終了しました。


後半はスタートから双方にセットプレーのチャンス。47分はトリプレッタ。右から船越和樹が蹴ったFKは中央と合わず、そのままゴールキックへ。48分もトリプレッタ。ここも右から石川が入れたCKは、ニアでDFがきっちりクリア。50分は横河。佐々木が倒されて獲得したFKは右サイド、ゴールまで20m強という絶好の位置。レフティの和田が利き足で左スミを狙ったボールは、トリプレッタのGK片岡竜雅(2年・調布FC)が横っ飛びでファインセーブ。追加点とは行きません。
それでも、「アイツの所にボールが収まって何かというのがないと」と増本監督も言及する初田にボールが集まり出し、守備面でもボールアプローチを含めて出足が良くなった横河が徐々にゲームリズムを奪還。54分には佐々木との連携から、草がエリア内へ侵入して放ったシュートは安達が懸命にブロック。55分には石川、内山と繋いだボールを、宮澤が浮き球でGKの頭上を抜いたトリプレッタのビッグチャンスも、しっかりゴールカバーへ入っていた和田が確実にクリア。「横河は結構ゲームの中で馴染んでいくタイプだと思うので、そういう部分でしっかり繋がれるとかコントロールされる所で、ウチも行くに行けない所が後半は出たんじゃないかな」と大貫監督。CBを組む長田真之祐(2年・ヴェルディSSレスチ)と森田幸紀(2年・三菱養和調布JY)を中心に守備もすっかり落ち着きを取り戻し、流れは緩やかに横河サイドへ。
増本監督も59分に1人目の交替を決断。角井に替えて猪股直希(1年・私立武蔵中)を送り込むと、65分にも2人目の交替として中川と角口広空(1年・FC府中)をスイッチさせ、「最初は4-4-2だったんですけど、少し変えて距離感を近くして、動きを出そうかなと思って」角口を最前線に、初田をアンカーに置いて、その前に右から草、佐々木、西村悠、猪股を並べる4-1-4-1にシフト。一方の大貫監督も65分に2枚替え。田村と安達を下げて、高橋翔太郎(2年・FCトリプレッタJY)と船越毅郎(1年・FCトリプレッタJY)を投入し、高橋はそのまま田村のいたボランチに入りますが、船越毅郎は「シュートのパンチがあって決定力がちょっと欲しかったので」右のウイングに配し、「そこの脇で出た所を路万が横からという狙いで」高野を右SBへ落とす采配を振るいます。
ただ、68分に左から船越和樹が大きく蹴ったFKを、山口がヘディングで枠の右へ外したシーン以外にほとんどチャンスらしいチャンスを創れない展開を見て、75分に大貫監督は再び交替を。負傷の影響もあって「シュートも打てないし、ロングボールも蹴れないのでストレスはありました」という宮澤に替えて、関彪雅(2年・ジェファFC)を右SBへ送り込み、高野を再び右のウイングへ。宮澤のいた1トップ下には石川を移して最後の勝負に。一方の増本監督も77分に佐々木と渡辺基希(2年・横河武蔵野FC JY)を入れ替え、中盤の強度アップに着手。双方のベンチも手を尽くしていく中で、ゲームはいよいよラスト10分の攻防へ。
85分にトリプレッタへ訪れたのはFKのチャンス。中央やや右、ゴールまで約25mの距離でスポットに立ったのは船越和樹。「最初は左上を狙おうとしたんですけど」とは本人ですが、「何本も浮かしていたので『浮かさなければ入るよ』と。"巻き"のボールが上手いし、イメージは多分できたと思うので抑えることだけ伝えた」という大貫監督の指示を受けて、船越和樹は左上ではなく右下へ巻いたキックを選択。ボールはカベの右側をすり抜け、ポストの内側ギリギリもすり抜けると、そのままゴールネットへ飛び込みます。「完全に自分のイメージと同じコースに蹴れたと思います」と大貫監督が笑えば、「強く蹴って風の力をもらって狙い通りでした。もう最高でした」と殊勲のFKを叩き込んだ2番のCBも笑顔。土壇場でトリプレッタがスコアを振り出しに引き戻しました。
追い付かれた横河は失点直後の87分に交替を。先制ゴールの西村悠を下げて、中村亜門(1年・三菱養和調布JY)を4枚目のカードとしてピッチヘ解き放ち、狙いたい土壇場での得点返し。逆にゴール直後に1人退場者を出してしまったトリプレッタは、ピッチ内で素早く選手が話し合って対処法を確認。ライバル同士の激闘も残された時間はアディショナルタイムのみ。
90+4分のラストチャンスはトリプレッタ。とにかく1試合を通して走り続けた高野が、ここも左サイドからカットインしながら強引にフィニッシュまで持ち込みましたが、粘り強く対応したDFに当たったボールが西村大樹にキャッチされると、しばらくして吹き鳴らされたタイムアップのホイッスル。意地と意地のぶつかり合いはドロー決着。「総合的に考えると内容は低調でしたけど、まあまあな内容という感じですね。納得はしてないけど(笑)」(増本監督)「ウチは1点取られると連続失点しちゃうケースもあるんですけど、そこは踏ん張って最後にFKで取れたので、先にやられてからの合格点は出せるかなと思います」(大貫監督)と両指揮官もある程度の評価を口にしたゲームは、お互いに勝ち点1ずつを分け合う結果となりました。


横河は現在グラウンドの改修中ということで、練習が満足にできない中でこの日は4連戦の最終戦とのこと。「12月の2週目から使えなくなって、ずっとジプシーでフットサルコートを借りてやったりとかしています」と苦笑する増本監督は「それは言い訳にはならないですけど」と前置きしながらも、「フットサルコートとか狭い所でやっていることが多いので、止まっちゃいますよね。動きがないゲームになっちゃって、出して止まる、出して止まるで、出して動き出すこともないし、『自分が3人目になろうね』という話をして今日もゲームに入れましたけど、なれないですよね」とこの日の課題を口に。2月上旬の改修終了予定も雪の影響で延期が見込まれているそうで、もう少し我慢の時が続くことになりそうです。今年はクラブにとって本格的にJリーグ参入を目指し、『東京武蔵野シティFC』として生まれ変わる大事な1年。「トップチーム次第ではありますけど、ジュニアユースから上がる選手が増えたりとか、ユースからトップに上がりたいという子が増えてくるとか、そう言う風に変わってきてくれればいいなと思いますし、そこを意識して選手たちが取り組んでくれればもっといいなと。トップに上がりたいとか、2種登録で練習参加したいという想いが出てくると思うので、トップも絡めてクラブがどう創られていくかという所になってくると思います」と増本監督。変革の時期を迎えている彼らの取り組みには要注目です。
トリプレッタを率いる大貫監督は昨年途中での就任ということもあって、シーズン開始から指揮官としてチームを動かすのは初めての試み。「前任の米原(隆幸・現総監督)が20年やった後ですからね。初めて譲られちゃいましたけど僕も生え抜きですし、長く続いていく上では必要なことだと思うので、喜んで受け入れました」とポジティブな就任の経緯を語りつつも、「練習試合も含めて年明け前もどう過ごさせるかとか、『ちょっと締めなきゃいけない所があるな』とか感じますよね。ある程度去年で創り上がっているモノを引き継いでいる感じですけど、今回のチームは"キャラ"がいっぱいいて、自分がこうやりたいからというよりは、システムとかもその"キャラ"の良い部分をいっぱい出せるようにと、いつもそういう風に考えています」とチーム創りを任される責任を感じてらっしゃる様子。そんな中でも今日の前半のようなパフォーマンスをアベレージにできれば、かなり面白いチームになるのは間違いなさそうです。「去年の最後は2年が多く出ていたというのもあって、あと一歩で全国を逃したメンバーもその悔しさを知っていると思いますし、みんな全国に行きたいという気持ちは強いと思うので、ちゃんと全国を目標としてやっていけたらなと思います」と宮澤が語り、「勢いに乗れば結構個人技も自分たちはあると思うので、全国も行けると思いますし、狙っていきたいですね」と船越和樹も強気に言及したように、当然今シーズンの目標は全国大会での躍進。大貫トリプの2016年シーズンにも大いに期待したいと思います。         土屋

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