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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年11月22日

関東大学サッカー大会昇格決定戦 中央学院大×東京農業大@味スタ西

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1121ajifi2.jpg関東の舞台に立つための招待状はあとわずかに1枚。初昇格を目指す中央学院大と2年ぶりの復帰を掲げる東京農業大の一戦は、引き続き味の素スタジアム西競技場です。
現行の方式になってからは2度の千葉王者に輝きながら、いずれも高く聳えるこの大会の壁。3年前は予選リーグ3連敗を喫するなど、関東には手の届いていない中央学院大。迎えた今シーズンは城西国際大と明海大の三つ巴を制して、3年ぶりに県リーグ制覇を達成、勢いそのままに挑んだ今大会も予選リーグ初戦で明治学院大と引き分けると、2戦目の防衛大戦はストライカーの関口直人(4年・関東第一)が衝撃の5ゴールを叩き込んで、7-1という圧勝を収め、3戦目の立正大戦もスコアレスドローで切り抜け、得失点差で堂々の首位通過。未知なるステージへの扉に間違いなく手を掛けています。
前年の6位という結果を受け、1部昇格という明確な目標を掲げて臨んだ昨シーズンは茨の道。最終的には最下位という現実を突き付けられ、東京都リーグへの降格を経験した東京農業大。1年での関東復帰だけを目指して挑んだ今シーズンも、前期は5位となかなか結果が付いてきませんでしたが、後期は7勝1分け1敗と怒涛のラッシュで2位に入り、きっちり今大会へ。上武大に4-0と快勝して挑んだ2戦目は、城西大に2-0から引っ繰り返されるショッキングな逆転負けを経験するも、3戦目は横浜市立大を2-0で退け、予選リーグ2位通過でこの決定戦に。「チームとして戦うことを一番に考えてきた」というキャプテンの佐々木翼(4年・都立東久留米総合)を中心に、最後の1試合へ向かいます。1試合目同様にぎっしり埋まったメインスタンドと、部員が陣取るバックスタンドは既に熱気十分。勝負の90分間は東京農業大のキックオフでスタートしました。


3分の歓喜は中央学院大。3分にエリア内へ潜った古橋広樹(3年・鹿島学園)がGKと接触して倒れると、ホイッスルを吹いた鶴岡泰樹主審が指差したのはペナルティスポット。いきなりPKが与えられます。キッカーは木村健佑(2年・市立習志野)。短い助走からレフティは中央左へ転がすと、GKが飛んだのは逆サイド。ボールはゆっくりとゴールネットへ。まさに電光石火。中央学院大が早くもスコアを動かしました。
4分の歓喜は東京農業大。ほとんどキックオフそのままの流れから、相手のボールを奪った牧寛史(1年・川崎フロンターレU-18)がパスを付けると、ミドルレンジから金裕志(2年・三菱養和SCユース)が思い切って狙ったシュートは、こちらも勢い良くゴールネットへ突き刺さります。「金は意外とシュート意識が高い選手。今までで一番良いシュートを見せてくれたなと思います」と笑ったのは秋吉保浩監督。衝撃の2分間。あっという間に東京農業大がスコアを振り出しに戻しました。
以降は「意外と前期がああいう試合ばっかりでしたし、関東の時もいつも5分以内に取られるとか、僕は結構そういうのにも慣れちゃっていましたし、1点取られたことが選手たちの『やらなきゃいけない』という気持ちを引き出してくれたんじゃないかと思っています」と秋吉監督も話した東京農業大の圧倒的攻勢。17分に村山翔(3年・FCトリプレッタJY)のパスから、またも金が放った強烈なミドルは枠の左へ。21分に左寄り、ゴールまで約30mの位置から中盤アンカーの柿沼拓海(2年・遊学館)が直接狙ったFKはクロスバーの上へ。25分に徳田康明(3年・FC東京U-18)とのワンツーから、牧が叩いた左足ミドルは枠の右へ外れたものの、「落ちずにすぐ取り返せたのは『行けるな』という自信にはなりました」と佐々木翼も振り返った東京農業大の続くラッシュ。
26分も東京農業大。牧が右へ振り分け、徳田のクロスに佐々木翼が合わせたヘディングは中央学院大のGK田畑里央(4年・関東第一)がキャッチ。33分も東京農業大。岡庭裕貴(3年・横河武蔵野FC JY)、牧、金と繋ぎ、こぼれに反応した牧の左足ミドルはわずかに枠の上へ。36分も東京農業大。徳田のパスを受けた神沼が、果敢にトライしたミドルはクロスバーの上へ。37分も東京農業大。神沼、岡庭、村山とボールが回り、佐々木翼が放ったシュートは体を投げ出した中央学院大のCB辻夏希(4年・関東第一)が必死にブロック。押し込み続ける世田谷の緑。
久山健太(3年・ジェフユナイテッド千葉U-18)と辻のCBコンビを中心に、とにかく耐える時間が続く中央学院大。40分には左SBの早矢仕久志(3年・市立船橋)が左FKを獲得したものの、斉藤匠平(2年・日本航空)が放り込んだボールはニアで東京農業大の左SB割田大遥(2年・FCトリプレッタJY)がきっちりクリア。44分は再び東京農業大。割田のパスを起点に、岡庭が打ったミドルはクロスバーの上へ。45+2分も東京農業大。岡庭のCKをニアで合わせた寺門宥斗(1年・鹿島アントラーズユース)のヘデイングは、枠内へ飛びましたが久山が懸命にクリア。スコアこそ1-1ですが、東京農業大のアタックが目立った格好で、最初の45分間は終了しました。


後半はまず中央学院大に手数。50分にボランチの小山大賀(3年・鹿島学園)が左へ流し、上がってきた早矢仕のミドルが枠の右へ飛ぶと、全力で突っ込んだ木村はわずかに届かず。56分にも高い位置で巧みなプレスから相手を追い込み、ボールを奪った関口の左クロスは東京農業大のGK佐々木藍(2年・ベガルタ仙台ユース)が何とかキャッチ。56分には東京農業大も、徳田のパスから牧が狙ったミドルは枠の上へ。57分はまたも中央学院大。右から斉藤がクサビを打ち込み、バイタルで受けた木村の反転ミドルはクロスバーを越えたものの、完全に目覚めた我孫子のカナリア軍団。
59分は東京農業大。岡庭がFKを短く始めた流れから、神沼のアーリークロスはこぼれ、拾った金のミドルは枠の右へ。60分は中央学院大。10番を背負った古橋を起点に、神沼がスルーパスを繰り出すと、中央を走った古橋はあと一歩という所でシュートまで持ち込めず。少し東京農業大のラインが全体的に下がったこともあって、中央学院大は木村や古橋の2列目に加え、関口も含めた3人がうまくバイタルに潜ってクサビを収め、そこからの展開でアタックを連続。ここへ来て確かなゴールの可能性を漂わせます。
「リーグ戦でもああやって押し込まれる時間帯が多かったので、慣れていた訳じゃないですけどわかってはいました」と佐々木翼が言及した東京農業大は、62分に1人目の交替を決断。良く攻撃に顔を出していた牧を下げて、糸川颯(2年・前橋育英)を投入すると、3分後にはその18番が決定機を演出。65分に神沼のパスを上手く捌いた糸川は、右サイドへ丁寧なラストパス。佐々木翼のシュートは少し力が入り、枠の右へ逸れて行きましたが、途中出場の糸川が早速絡んで生まれた"あわや"。
70分には中央学院大にも1人目の交替が。ドイスボランチの一角を務める小山に替えて、越後凌(3年・ジェフユナイテッド千葉U-18)をそのままの位置に投入。71分には右サイドで獲得したCKを木村がショートで蹴り出し、古橋のリターンを木村が上げ切ったクロスはDFがきっちりクリア。お互いにカードを1枚ずつ切り合い、奪いたい次の1点。
生まれた"次の1点"は73分の逆転弾。徳田、糸川と回したボールを金が枠内へミドルで打ち込み、田畑がファインセーブで凌いだ後の左CK。岡庭が蹴り込んだキックを、ニアに飛び込んだ割田が頭で逸らすと、「ニアで合わせたボールがマイナスに自分の方に来たので、『あまりないことだな』と思ってビックリした」という佐々木翼はそれでもすかさず右足一閃。ボレーで叩いたボールは、エリア内の密集をまるで強い意志を持ったかのようにすり抜け、そのままゴールネットへ到達します。「人が多くて全然見えなかったんですけど『アレ、入った?』みたいな感じでした」と笑う佐々木は、ゴールを確認すると一目散にベンチへダッシュ。広がったのはベンチメンバーが付けていたビブスのピンクと緑の輪。スタメン唯一の4年生であり、「アイツは1人でずっと頑張っていたので、サッカーに懸ける想いがゴールに繋がったのかなと思いますね」と思わず目頭を熱くした秋吉監督も認めるキャプテンが大舞台で圧巻の一撃。東京農業大がスコアを引っ繰り返しました。
逆に1点を追い掛ける格好となった中央学院大は75分に2人目の交替を。左SBの斎藤を下げて、瀧澤隆平(3年・東京学館浦安)を右SHへ送り込み、木村が左SBへ、早矢仕が右SBへそれぞれスライド。東京農業大も77分に前線で体を張り続けた村山と宮森信吾(1年・立正大淞南)を入れ替え、前線のパワーを増強。直後の78分にはルーズボールを収めた糸川が左クロスを送り込み、飛び込んだ佐々木翼のシュートは枠の左へ。白熱の昇格決定戦はいよいよラスト10分間とアディショナルタイムへ。
82分は中央学院大。木村が右へサイドを変え、キャプテンマークを巻いた野中健太(4年・中央学院)のアーリークロスに関口がヘディングで合わせるも、佐々木藍が確実にキャッチ。84分も中央学院大。古橋、石渡憲人(4年・市川南)と細かく繋ぎ、越後が巻いた軌道で右スミを狙ったシュートも佐々木藍がキャッチ。86分も中央学院大。神沼が右からCKを蹴り入れると、上がってきていたGKの田畑が懸命に頭で触り、枠の左方向へ飛んだボールに関口が反応するも、シュートは打ち切れず。必死に反撃を繰り返すものの、寺門と中島拓真(2年・作新学院)の1,2年生CBコンビを中心に集中の続く東京農業大ディフェンスを前に、同点弾までは至りません。
89分も中央学院大。野中が右へ丁寧に振り分け、これまた早矢仕が丁寧に上げたクロスは中央でオフェンスファウルに。第4の審判が掲げたボードに示された数字は"3"。既定の90分間に付け加えられたのは180秒。90+1分に中央学院大は最後の交替カードを。古橋に替わって、本来のキャプテンである大塚裕貴(4年・ジェフユナイテッド千葉U-18)に託された奇跡。90+3分は東京農業大に最後の交替。岡庭と加藤聖哉(3年・アルビレックス新潟ユース)をスイッチして、取り掛かる万全のゲームクローズ。
90+5分は中央学院大のCK。左から越後が渾身の力を込めて蹴り入れたキックをDFが大きくクリアすると、程なくして調布の空に吸い込まれたファイナルホイッスル。「この1年間ずっと関東に昇格するというのを目標にやってきたので、決まった瞬間は凄く嬉しかったです」と笑顔を見せたのは佐々木翼。東京農業大が逆転勝利で大一番を制し、1年での関東復帰を勝ち獲る結果となりました。


総理大臣杯、インカレ共にファイナルを経験するなど、創部92年の歴史の中で数々の輝かしい実績を残してきた東京農業大にとって、「去年の終わりぐらいからなかなかチームも同じ方向を向いていないような状況もあって、1節残した上で関東から落ちることが決まって、正直まとまり切れなかったというのはこちらの責任もあったと思います」と秋吉監督も振り返った昨年の東京都リーグ降格は本当に悔しい経験。ただ、「ある意味選手たちと腹を割ってチームを創っていこうと。彼らの想いも含めて、しっかり話をしてお互いがちゃんと理解をしてという所からスタートした」という今シーズンも、決して順風満帆とは行かなかったものの、「チームのためにということを思ってやったことが、必然的に献身的なプレーに繋がったということもあると思います」と自身の変化を口にした佐々木翼を軸に、「夏には7泊8日というウチとしてはあまりやったことのない合宿で和倉に行って、30人がまとまったのが凄く大きかったです。そこで1つになれた感じがありました」と指揮官も振り返る夏合宿も経て、チームにも大きな変化の波が。「4年生が就活で抜けて、ずっと僕ともう1人しかいなかった中で、下級生は凄く生意気なヤツとかも多いんですけど(笑)、その中でもミーティングしたり、みんなで同じ目標を立てて、それに向かってやれたので良かったかなと思います」と佐々木翼も認めたように、下級生たちにも自覚が芽生えたチームはいつしか同じ方向を向いて、自然と一致団結していたようです。今大会でも前述したように予選リーグでは、城西大に2点差を引っ繰り返されて逆転負けを喫しましたが、「本当に甘くないということを思い知らされた結果、『もう1回自分たちのサッカーをしよう』と明確に言えた」(秋吉監督)チームの方向性にもはやブレはなし。その一体感は試合後にマネージャーも含めた全部員が創った、大きな歓喜の円陣が物語っていたように感じました。数々の経験を積んだ新生・東京農業大が来シーズン、2年ぶりに関東の舞台へ帰ってきます。      土屋

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