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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
第2試合は昨年のインターハイでも準々決勝で対峙した両雄のリターンマッチ。12年ぶりの全国を狙う国士舘と3連覇を目指す國學院久我山の一戦は引き続き実践学園高尾グラウンドです。
関東大会予選は帝京に、インターハイ予選は日大三に相次いで初戦敗退を強いられ、3年生にとっては最後の大会となる選手権予選へ全てを懸ける国士舘。迎えた今大会も初戦こそ調布南を3-1で振り切ったものの、成蹊と激突した2回戦は大苦戦。後半に追い付かれ、最後は延長後半の2ゴールで辛くも逃げ切ってクォーターファイナルへ。ただ、T2リーグでは最終盤に4連勝を飾るなど、チームの調子は間違いなく上向きに。強豪相手にも臆することなく挑みます。
こちらは関東大会予選、インターハイ予選と共に東京代表の切符を掴んでから、ファイナルで揃って関東第一に惜敗しているため、この選手権予選に今シーズン初の東京制覇を期している國學院久我山。「このチームは自信を持つというのが課題となっているんですけど、自分に自信を持って自分たちらしいサッカーをやっていければ絶対に強いと思う」と力強く言い切ったのはディフェンスリーダーの野村京平(3年・横河武蔵野FC JY)。今大会は初戦で難敵の暁星を1-0と最少得点差でかわして準々決勝まで。結果と確かな自信の2つを手に入れるべく、大事な80分間に臨みます。前述した昨年のインターハイ予選では国士舘が1-0で久我山を破る金星を。返り討ちか、リベンジか。楽しみなゲームは久我山のキックオフで幕が上がりました。
「選手権ということもあってみんな緊張していて、立ち上がりもあまりいい入りができなかった」と3トップ下の名倉巧(2年・FC東京U-15深川)が話したように、ボールこそキープしているものの、なかなか手数の出て来なかった序盤の久我山。11分にミドルレンジから鈴木遥太郎(3年・東急SレイエスFC)が枠へ収めた強烈なシュートは、国士舘のGK菊地大輝(3年・府ロクJY)が片手でのファインセーブで回避。15分に左からカットインした小林和樹(3年・ジェファFC)のシュートも、菊地が丁寧にキャッチ。2本のシュートを放ちましたが、テンポを打ち出すまでには至りません。
21分も久我山。左からカットインした名倉は、そのまま枠内へシュートを収めるも菊地がキャッチ。23分は逆に国士舘がファーストシュートを。キャプテンマークを巻く長谷川未来(3年・三菱養和巣鴨JY)がミドルを狙うも、ボールは枠の左へ。25分も国士舘。レフティの廣瀬寛治(3年・横河武蔵野FC JY)が左へ流し、根橋拓也(2年・東急SレイエスFC)が打ち切ったシュートは久我山のGK平田周(1年・FC東京U-15むさし)にキャッチされましたが、国士舘も繰り出すフィニッシュへの意欲。
そんな中で31分にスコアを動かしたのは「久我山らしい攻撃」(名倉)。しっかり回したボールの流れを引き継ぎ、名倉は鋭いドリブルで左から中央へ侵入しながらショートパス。これを澁谷雅也(2年・ジェファFC)がダイレクトで繋ぐと、エリア内へ潜っていた小林はマーカー2人に挟まれながらも、冷静にボールをゴールネットへ送り届けます。完璧な流れからの一撃に「久しぶりにああいうのが出ましたね」と笑った清水恭孝監督も、「今年の子たちは足元にボールを欲しがって寄っちゃう傾向があったので、ああいう風にボールから逃げていく形で、そこに連動していくという形が出てきたのは秋に入ってから。最近そういう形が増えてきた」と手応えを口に。久我山チックな連動性のある崩しで、まずは1点のリードを手にしました。
畳み掛けたディフェンディングチャンピオン。35分にエリア内から名倉が放ったシュートは、菊地のファインセーブに阻まれましたが、36分には澁谷のパスを引き出した名倉が再びエリア内へ侵入。DFとの接触で倒れると、主審はホイッスルを吹きながらペナルティスポットを指差します。「自分も攻撃の選手なのでゴールにこだわっていて、最初は『決められなくてヤバイな』と思いながら、続ければ何か起きるかなと思っていた」という2年生が殊勲のPKゲット。キッカーの山本研(3年・横浜F・マリノスJY)は確実にGKの逆を突いて、ゴールネットを揺らします。「今年のチームは1点入ると乗ってくるチーム」とは宮原。あっという間に点差は2点に開きます。
ビハインドを追い掛ける展開となった国士舘も、前半終了間際には決定機を。39分に相手ディフェンス陣の連係ミスを突いて、長谷川が高い位置でボールをかっさらうとそのままシュート。この1対1は1年生守護神の平田が懸命のファインセーブで凌ぎましたが、あわやというシーンに思わず大きな声を上げる国士舘応援団。「ディフェンスラインでボールを持っている時の安定感がちょっと危ういなという感じがしました」とは清水監督。とはいえ、最初の40分間は久我山が2点のアドバンテージを握ってハーフタイムへ入りました。
後半はスタートから国士舘に1人目の交替が。右SBの藤森悠斗(2年・川崎フロンターレU-15)に替えて、長身ストライカーの藤原孟海(2年・クリアージュFC)を最前線に送り込み、全体のパワー向上に着手すると、41分にCBの細田晃輝(3年・三菱養和調布JY)が蹴り込んだFKはオフェンスファウルを取られましたが、49分にも長谷川が左へ振り分け、根橋の際どいクロスは平田が何とかキャッチ。漂い出した追撃の予感。
そんな空気を振り払ったのは「ウチの中で最もサッカーのビジョンを持てる選手」と清水監督も評価する14番。51分、相手の縦パスに「『これは来た』と思いました」という宮原は抜群のインターセプトから少し運ぶと、「自分からシュートを打つタイプではないので」左へこれまた絶妙のラストパス。完全にGKと1対1になった名倉は、「前半は普通に打って外しちゃっていて、そのまま打っても入りそうになかったので、抜いた方が確実かなと思って」右方向へうまくGKをかわすと、目の前には無人のゴールのみ。「後半も0-0のつもりで行くぞという感じで入って、後半の1点目もみんなで大事にしていたので良かったです」と笑った名倉は3得点に絡む大活躍。大きな3点目が久我山に記録されました。
53分に動いた両ベンチ。国士舘は根橋と千葉隆稀(2年・三菱養和調布JY)を、久我山は小林と藤田智裕(3年・三菱養和調布JY)をそれぞれスイッチすると、次の得点は世田谷の赤青に。54分にセンターライン付近から細田が鋭いFKを蹴り込み、ゴール前で混戦に。そのこぼれにいち早く反応した尾田航士(3年・府ロクJY)が押し込んだボールは、ゴールネットへゆっくりと転がり込みます。久我山を倒した昨年の歓喜をピッチで経験しているCBの追撃弾。再び点差は2点に縮まりました。
スイッチの入った国士舘。58分には須惠皓太(3年・稲城第一中)が入れた右からのクロスを藤原が粘って落とし、礒川拓夢(3年・八王子木曽中)がダイレクトで叩いたミドルはわずかにゴール右へ。60分には久我山も宮原のパスから澁谷がフリーで抜け出すも、必死に戻ったDFと菊地で挟み込んできっちりストップ。俄かに活気付いた赤青の応援席。
「失点の後とかに慌ててしまう面が今日も出てしまった」と宮原も話した久我山。64分に動いたのは清水監督。ボランチの知久航介(2年・浦和レッズJY)に替えて、比留間公祐(3年・横河武蔵野FC JY)をピッチに送り込み、もう一度中盤に取り戻したい安定感。69分には内桶峻(3年・GRANDE FC)が絡んで奪った右CKを山本が蹴ると、野村が高い打点のヘディングで合わせるもボールはわずかに枠の右へ。上野晃慈監督も3人目の交替として篠生健人(3年・東京ベイFC U-15)と吉田祐介(3年・杉並向陽中)をスイッチして、いよいよゲームは最後の10分間とアディショナルタイムへ。
苦しい時間を締めるのは「セットプレーだと何があるかわからないのでそこは怖かったですけど、普通の崩しとかだったら守り切れる自信はありました」と語る野村。1年生CBの上加世田達也(1年・Forza'02)を牽引しながら、前方のチームメイトに大きな声を。77分には国士舘も藤原が競り勝ったボールを、左から吉田が好クロス。DFに挟まれながら長谷川が枠へ飛ばしたワントラップボレーも、平田ががっちりキャッチ。これ以上の失点は許しません。
78分には久我山が三橋智哉(2年・大宮アルディージャJY)を、国士舘が山田恭弥(3年・世田谷松沢中)をほとんど同時に投入して、迎えた80分のセットプレーは国士舘。1点目を生み出した細田のFKが右から入るも、最後はオフェンスファウルを取られると、これが国士舘にとってのラストチャンス。最後はルーキーの川野裕大(1年・横浜F・マリノスJY追浜)も投入してゲームクローズを図った久我山が、「ここはトーナメントの戦いなので勝てたことが大きいです」と宮原も語ったように、きっちり勝ち切る力強さを見せて、3連覇へまた一歩近付く結果となりました。
「関東大会も夏のインターハイも自分たちの力が出し切れずに終わったので、選手権は緊張とかして終わったらもったいないとみんなで言っていた」と名倉も話した久我山は、決して簡単な試合ではなかったものの終わってみれば2点差での快勝劇。しかも「良いサッカーをしていれば負けてもいいのかと言えば違うと思います」とハッキリ言い切る清水監督も称賛した1点目のような形が、この大事なゲームで出てきたのは非常に大きな成果かなと。その指揮官も「少しずつですけどゲームへのビジョンがみんなで明確化されて形になってきたのかなと思います」と一定の評価も語ってくれました。「清水さんも初めて監督をやる年なので、清水さんを全国に連れて行きたいという想いは強い」と野村が話せば、「監督1年目の清水さんのためにも全員で全国に連れて行きたいという想いがある」と宮原も言及するなど、指揮官と選手の信頼関係もバッチリ。209人という大所帯をまとめるキャプテンの宮原は「残り時間も本当に少ないので
全てを本当に楽しんでやりたいですね。今の時間を大切にして、少しでも長くやりたいですし、もう1回あの全国のピッチに立ちたいので、一戦一戦戦って先を見ずに目の前の試合に集中して、3週間でしっかりチームの一体感を大事にしてやっていきたいと思います」と次戦への覚悟を鮮明に。3連覇を狙う久我山の進撃はまだまだ止まりそうにありません。 土屋
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