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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年10月27日

関西学生1部後期第7節 関西大×大阪産業大@ヤンマーフィールド長居

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1025nagai.jpg今シーズンも残されたリーグ戦の試合数はわずかに5試合。23ポイントで6位に付ける関西大と12ポイントで11位に沈む大阪産業大の対峙はヤンマーフィールド長居です。
昨年はまさかのリーグ8位。3年ぶりにインカレ出場を逃すなど、苦しいシーズンとなった関西大。迎えた今シーズンも前期は開幕7試合でわずかに1勝と厳しいスタートを強いられましたが、徐々に調子を持ち直すと、後期だけで見ればここまで3勝1分け2敗と白星先行に。実質のインカレストレートイン枠となる5位の大阪体育大と4ポイント差で臨むこのゲームは、絶対に落とせない重要な90分間です。
ここ6年で5度目となったシビアな入れ替え戦をきっちり制し、復帰後は7シーズン目となる1部での戦いを確保した昨シーズンの大阪産業大。今シーズンも前期の開幕2試合は関西学院大、大阪体育大と強豪相手にどちらも0-5で敗れるという散々な立ち上がりとなったものの、後期はその大阪体育大にきっちりリベンジを果たして勝ち点3をもぎ取ると、前節はびわこ成蹊スポーツ大と引き分けるなど、何とか自動残留圏までの4ポイント差を堅持。「総力戦だとは思っているし、まだ僕らとしては諦めていない」と話したのは原美彦監督。目指すはもちろん3ポイントの獲得です。会場となったヤンマーフィールド長居のスタンドはなかなかの賑わい。楽しみな一戦は関大のキックオフでスタートしました。


関大が創ったいきなりの決定機は開始14秒。後方からのフィードに鈴木拳士郎(2年・ジュビロ磐田U-18)が競り勝つと、飛び出したGKの鼻先で竹下玲王(2年・ジュビロ磐田U-18)がシュート。ゴール方向に飛んだボールはクロスバーに阻まれましたが、いきなりのビッグチャンスにどよめくスタンド。関大がファーストチャンスで鋭い刃を突き付けます。
3分も関大。鈴木が絶妙なスルーパスを通し、篠原宏仁(4年・柏レイソルU-18)の1対1は大産大のGK上田誠(3年・大阪桐蔭)がファインセーブで回避。4分も関大。右サイドから深尾将玄(4年・金光大阪)が枠へ収めた30mミドルも上田がキャッチ。6分も関大の決定機。都竹俊優(4年・名古屋グランパスU18)が左から折り返すと、深尾のゴールに背を向けながら放ったシュートはGKを破るも、大産大の左SB國領美勇(4年・興国)がライン上で決死のクリア。スコアこそ動かないものの、明らかに漂う先制の予感。
7分の主役は関大の"キング"。左から篠原が丁寧に蹴ったCKはファーまで届くと、CBの荒木隼人(1年・サンフレッチェ広島ユース)は枠内ヘッド。上田も懸命に反応したものの、こぼれを竹下がきっちりプッシュ。ボールはゴールネットへ収まります。7分間で4つの決定機を生み出した末に記録した先制弾。関大が1点のリードを手にしました。
なかなか攻撃の形が出て来ない大産大も、9分には渡部大樹(2年・興国)が右からFKを蹴り込むも、DFがあっさりクリア。ただ、関大も13分に都竹がミドルを、17分には深尾の右CKを河野貴志(1年・鵬翔)が残した所に飛び込んだ鈴木がヘディングを、共に枠の左へ外すと、20分には突如として大産大に決定的なシーン。関大の最終ラインでビルドアップが乱れ、かっさらった高橋俊樹(3年・福知山成美)が独走しましたが、フィニッシュは関大のGK前川黛也(3年・広島皆実)がファインセーブで仁王立ち。同点とはいきません。
すると、次の得点も紫紺軍団に。31分は右サイドで獲得したCK。アークに立った深尾は「練習もしていたんですけど、荒木と河野が高いということで、どちらかに合わせれば入るかなと思って蹴りました」と絶妙のキックを中央へ。ここに突っ込んだのは深尾のイメージ通りに荒木。豪快なダイビングヘッドが鮮やかにゴールネットへ突き刺さります。1年生CBが殊勲の一撃。点差が広がりました。
「練習中でもああいうサッカーをしている」(深尾)素晴らしい崩しで奪った追加点。34分、左サイドでボールを持った都竹はピンポイントのクロスを逆サイドで送り届け、深尾が頭で丁寧に落としたダイレクトパスを、全速力で上がってきた右SBの塩谷仁(1年・ジュビロ磐田U-18)はそのまま左足ボレーでゴール左スミへ流し込みます。「塩谷とはいつも連携を取っている」という深尾の連続アシスト。スコアは3-0に変わりました。
小さくないビハインドを追い掛ける大産大も35分に決定的なチャンス。渡部の左CKに「ずっと調子が良かったんですよね」と原監督も評価する1トップの山内達朗(4年・読谷)がドンピシャヘッド。枠に飛んだボールは、しかし前川が驚異的な反応でファインセーブ。「『ああ、入ったやろ』という所でさすが大学ナンバーワンキーパー。普通だったら入っていてもおかしくなかったと思いますけどね」と敵将も脱帽のビッグセーブは関大の"ダイヤ"。42分に右から松木政也(3年・大阪桐蔭)が低いクロスを入れるも、山内のボレーはヒットせず。関大が3点のリードを奪って、最初の45分間は終了しました。


「もう点を取らないといけないという所」(原監督)で大産大ベンチの決断は2枚替え。國領と江本を下げて、山本和也(3年・滝川第二)と蔭西優作(4年・大阪産業大附属)をピッチヘ送り込み、前線を山内と蔭西の2トップ気味にして攻撃へのパワーを上げに掛かると、開始早々の46分にはいきなりエリア内までボールを運び、高橋の突破には前川が飛び出してクリアしましたが、まずは大産大が後半への意欲をファーストアタックに滲ませます。
すると、続けて掴んだ決定機は大産大。51分にバイタルでルーズボールを収めた山内は、思い切って左足ボレーにトライ。ワンバウンドしたボールは前川を破りましたが、惜しくも右のポストを直撃。52分にも左から「セットプレーもクロスも質の高いボールを蹴れる」と指揮官も評価する山本がCKを蹴り込むと、渡部大樹のヘディングはきっちり枠内へ。ここも前川がファインセーブで立ちはだかったものの、「運動量が少なくなって簡単にできる所をしていない所もあった」(深尾)という関大を尻目に、キャプテンの岡山和輝(4年・福知山成美)と渡部のドイスボランチもセカンドを拾い始めた大産大が踏み込むアクセル。
54分には関大も角度のない位置から深尾がFKを直接狙いましたが、今度は上田がファインセーブで応酬。56分は大産大。相手のミスパスを高い位置でかっさらった高橋が、少し運んで自らシュート。DFに当たった跳ね返りを、再び高橋が叩くもボールはクロスバーの上へ。58分は関大。永保尭(2年・ガンバ大阪ユース)との連携から左サイドを股抜きで切り裂いた都竹のクロスに、走り込んだ篠原が合わせるも、上田が必死のファインセーブでストップ。お互いに手数を出し合う中で、「タッチの柔らかさやスピードというのは非常に素材感がありますね」と原監督も話す蔭西をアクセントに、大産大がやや好リズムでゲームを進めていきます。
それでも、「後半の立ち上がりを持ち堪えた時に、自分たちの攻撃もだんだん増えてきた」とは深尾。60分に左から秋山が入れたCKに、鈴木が競ったボールはフィニッシュまで繋がらなかったものの、66分にも秋山が際どい左FKをゴール前へ。さらに71分にもピッチ左、ゴールまで約25mの距離から秋山が直接狙ったFKはクロスバーを越えましたが、流れは再びセットプレーを相次いで獲得した関大へ。
やや勢いを失いつつあった大産大は75分に最後の交替としてCBの戸田航平(2年・センアーノ神戸ユース)と磯江冬馬(3年・金光大阪)を入れ替えるも、77分には関大に決定的なシーン。深尾の丁寧なスルーパスに竹下が抜け出し、GKと1対1になると、飛び出した上田のタックルで竹下は転倒。一発退場でもおかしくないようなファウルでしたが、ここはイエローカードが提示され、深尾が直接狙ったFKもカベにヒット。スコアは3-0のままで、ゲームは残り10分とアディショナルタイムへ。
魅せたのは「この中断期の2ヶ月間で非常に成長しましたね」と原監督も認めるストライカー。85分、山内を起点に松木が右へ展開すると、受けた高橋は左足でクロス。このボールに高い打点で合わせた蔭西のヘディングは、左スミの絶妙なコースを突いてゴールネットへ吸い込まれます。「この夏を通じて成長した子なので、今まではBチームでCBでしたし、高校でもサブだったんですよ」と指揮官も話す蔭西が潜在能力を示す見事な一撃。ようやく大産大が1点を返して見せました。
失点を許した関大は、終盤に吉井佑将(2年・大社)、森主麗司(1年・清水エスパルスユース)と続けざまに2人を投入。87分には深尾のクサビを秋山が丁寧に落とすも、深尾のシュートはクロスバーの上へ。諦めない大産大も90分には山本が左CKを蹴り入れますが、DFがきっちりクリア。90+1分にも山本のFKを、CBの本屋敷衛(3年・ガンバ大阪ユース)が頭に当てるも前川が確実にキャッチ。進んでいく時計の針。
90+2分に関大も3人目の交替で先制弾の竹下と加賀山泰樹(1年・JFAアカデミー福島)をスイッチすると、90+3分は大産大のラストチャンス。山本が右へサイドチェンジを送り、松木が懸命に上げたクロスは、しかし飛び出した前川がキャッチして万事休す。インカレ出場を考えるともう勝ち点を落とせない関大が、後半に1点こそ返されたものの、きっちり勝ち点3を上積みする結果となりました。


関西学院大に0-1で競り負けた前節の"関関戦"から、実に5人のスタメンを入れ替えた関大は、前半と後半でそれぞれ違う顔を見せた90分間だったと思います。特に立ち上がりの10分間は勝利への気迫がそのままチャンスの連続に現れ、実際に泥臭い先制弾にも繋がったことで、以降もセカンド奪取やボールアプローチの速さで主導権を握って3ゴールを奪い切りましたが、後半は一転して大量リードもあってか「行くのか行かないのかという部分で、自分たちは『行こう、行こう』となっていたんですけど、やっぱり攻撃が止まってしまった」と深尾も振り返ったように、少し停滞感が漂ってしまい、結果として終盤に失点を許す展開に。ゲームクローズという部分に課題を残しました。それでも、この時期を考えれば、まずは勝ち点3を確実に取り切るというのが最優先事項。「後半のような展開で点を取れれば、まだまだ上のチームとも戦っていけるかなと思います」と話したのは深尾。次節は同じヤンマーフィールド長居で、1つ上の順位に付ける大体大との決戦が待っています。     土屋

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