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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
全国経験を有する強豪同士が、お互いに1位と2位でブロック制覇を掛けて激突する一戦。暁星と修徳の対峙は私学事業団グラウンドです。
リーグ戦は怒涛の開幕5連勝。三菱養和SCユース(B)にこそ敗れたものの、月曜日の東京成徳戦はストライカーを任されている渡辺創允(3年・暁星中)のドッピエッタで4-1と快勝を収め、ブロック制覇がかなり近付いてきている暁星。「T3ではウチが1位で修徳が2位で、ここを勝ったらほとんど1位になれるというような状況だったので、選手権を見据えながらもまずはTリーグで結果を残したいというようなゲーム」とこの一戦を位置付けたのはキャプテンの及川大翔(3年・FC東京U-15深川)。きっちり勝って13日の選手権初戦へと弾みを付けたい90分間であることは間違いありません。
一方、6節で実践学園(B)に敗れるまでは3勝2分けと負けなし。27日には昨年の選手権予選でベスト4に食い込んだ保善を1-0で下し、暁星を勝ち点4差で追走している修徳。抽選のいたずらで13日の選手権予選初戦で激闘するのは、2年前のファイナルでも相対した成立学園。T3の覇権ももちろんのこと、もう1週間後に迫った決戦を視野に入れながら、スタイル的にはやりにくい方にカテゴライズされるであろう暁星とのデーゲームに挑みます。新小岩は盛夏が再び戻ってきたかのような灼熱のピッチとスタンド。注目の首位攻防戦は暁星のキックオフでスタートしました。
先にセットプレーでチャンスを掴んだのは暁星。7分に左から及川が蹴ったCKは谷中瑞基(3年・松戸第三中)のクリアに遭い、直後にここも及川が蹴った右CKはわずかに原田英明(2年・暁星中)と合わなかったものの、続けてCKから際どいシーンを。10分に中央、ゴールまで約30mの距離から沼崎和弥(3年・暁星中)が直接狙ったFKはクロスバーを越えましたが、「今日は選手権を想定して今までよりは蹴らしたんだよ」と林義規監督も話した暁星が手数を出して立ち上がります。
一方の修徳はファーストシュートがいきなりのビッグチャンス。16分に小澤翔(3年・荒川南千住第二中)が左へ振り分け、カットインから久野蓮太(3年・田口FA)が右スミを狙ったシュートは、暁星のGK竹内瑠架(2年・暁星中)がファインセーブで回避したものの、19分にも相手のパスミスをかっさらった佐藤颯(2年・世田谷東深沢中)が、左から中へ切れ込んでシュート。ボールは味方に当たって枠へは届きませんでしたが、序盤からやや活性化していた左サイドを中心に連続で披露したフィニッシュ。
展開は一進一退。20分には早くも暁星1枚目のカードとして磯村佳吾(3年・暁星中)が送り込まれると、直後のチャンスは暁星。右から西村奏(3年・暁星中)が入れたボールを渡辺が落とし、及川が叩いたシュートは寄せたDFが何とかブロック。23分も暁星。及川の右FKを原田が合わせたヘディングは枠の左へ外れますが、「球際の強さで負けなかったりとかセカンドを拾うことだったりというのを意識しながら」(及川)プレーした暁星がわずかに掴んだペース。
31分は修徳。佐藤颯とのワンツーから久野が放ったミドルは弱く、竹内が確実にキャッチ。37分も修徳。根岸航(2年・ジェファFC)がスルーパスを狙い、小澤がエリア内へ入り掛けるも暁星の斎藤薫(3年・暁星中)が的確なカット。42分も修徳。中村大志(3年・ジェファFC)の左FKに根岸が合わせたヘディングは枠の右へ。45+1分は暁星に良い形。及川を起点に佐藤優輝(3年・暁星中)が右足で左アーリーを送り込み、渡辺の落としを岩本将尭(3年・暁星中)が叩いたミドルはクロスバーの上に消えるも、サイドアタックからフィニッシュまで。双方がアタックを繰り出し合った前半は、スコアレスで45分間が終了しました。
後半はスタートから修徳に交替が。石川知稔(2年・柏光ヶ丘中)と和田裕太(3年・三郷JY)を入れ替え、選手の配置を入れ替えながら残り45分間を戦い抜く態勢を整えると、50分には左から大畑雄亮(3年・ジェファFC)がショートコーナーを敢行し、根岸のリターンを大畑が受けるも、好カバーを見せた西村がきっちりクリア。54分は暁星。佐藤優輝との連携から、及川が枠へ飛ばしたシュートは修徳のGK久保井寿(3年・クリアージュ)がしっかりキャッチ。まだまだゲームリズムの行方も読めない時間が続きます。
ただ、57分にアクシデント。競り合いの中で修徳の選手がピッチに昏倒。一時的に意識を失ってしまい、場内は騒然とした雰囲気に。主審の判断で試合は中断となり、一旦選手たちもベンチに下がって事の成り行きを見守ります。ピッチレベルからの呼び掛けで、暁星の応援スタンドにいらっしゃった医師の方が倒れている選手の元ヘ向かい、応急処置をしてから担架に乗せて退場ということに。救急車で運ばれた選手の無事を祈りたいと思います。
約12分間の中断を経て再開したゲーム。60分は修徳。久野の右クロスを大畑が落とし、中根弘樹(3年・SK-ONZE-FC)が狙った左足ミドルはクロスバーの上へ。63分は暁星。左サイドを佐藤優輝がドリブルで抜け出し、上げたクロスは久保井がキャッチ。66分は修徳。大畑の右CKがこぼれると、中村が左からグラウンダーで折り返したボールは良く戻った及川がクリア。そんなお互いにやり合う中で輝いたのは「前までは『俺にボールを当てて任せろ』みたいな感じだったんですけど、最近はやっぱりみんな伸びてきているので、サイドを使って中で自分は待っていようという感じだったり、最近は仲間をかなり信頼してやっています」と話すキャプテン。
70分に佐藤優輝のリターンを受けた及川は左サイドを運ぶと、「最近スピードが付いてきているような感じが自分でしていたので、あそこで並走した時に中をえぐっちゃえば置いていけるなと思って」そのまま相手の前にコースを取りながら、サイドをえぐり切って中へ。ニアへ突っ込んだ渡辺がダイレクトで打ち切ったシュートはゴール左スミへ突き刺さります。「うまい具合に繋がった所で及川の個人技で取れたね」とは林監督。暁星がスコアを動かしました。
ストライカーの咆哮。先制から4分後の74分、右サイドで粘ってボールを収めた渡辺は、エリア内へ侵入すると右足一閃。軌道は左スミへ向かうと、ポストを激しく叩きながらゴールネットへ吸い込まれます。「CFがああやって決めれば大きいよね。今まで決めねえんだから」と笑った林監督も「右でも左でも蹴れるし、型にハマった時のモノはあるんだよ」と評価を口に。及川も「結構調子の良い時と悪い時があるストライカー」と評した、今日はおそらく前者の渡辺。9番の2試合連続となるドッピエッタで点差が広がりました。
「中断があるまでは後半も良い所でやっていたけど、動揺しちゃったというのもあるかな」と岩本監督も振り返った修徳は、78分に久々のチャンスを創出。谷中のフィードを根岸が繋ぎ、久野のリターンに根岸が飛び込むも、シュートまでは至らず。直後の78分には高橋奨平(3年・修徳中)、86分には笈川勇斗(3年・ヴェルディSSレスチ)を相次いで送り込みましたが、90分に中村のパスから中根が高く上げたクロスを、佐藤颯が高い打点で叩いたヘディングも竹内がキャッチして万事休す。「13日を想定したような戦い方で戦わせたし、これから選手権が始まる時の勢いを付けるためには、今日どんな形でも勝つということは大きいと思うよ」と林監督も語った暁星が勝ち点3を獲得して、ブロック優勝を大きく手繰り寄せる結果となりました。
「暁星はやっぱり強いですよ。暁星みたいなチームには潰されちゃうと攻め手がなくなっちゃうよね」と苦笑いした岩本監督。良い形を創る時間もありましたが、「たぶん修徳だから最後までギリギリプレッシャーに来ると思ったけど、最後の15分は向こうも落ちたよね」と敵将の林監督も話したように、終盤は暑さもあってかやや運動量が低下してしまったようにも見えました。ただ、もう来週に迫っている選手権予選に関しては「全然楽しみじゃないよ。あんなに厳しいのは久々でしょ。成立は繋ぐ、早実と実践は戦うと。で、久我山もいるけど、暁星が上がってくる可能性は十分あるし、一筋縄ではいかないよ」と指揮官は話しながらも、「選手はそれなりにやると思うからね」と一定の手応えも感じている様子。ここ数年は選手権予選に無類の強さを発揮してきた修徳と成立学園のビッグマッチが今から非常に楽しみです。
「1年間やってきたことよりは勝ちにこだわった感じ」(林監督)のゲームで、きっちりその最大の目的の"勝ち"をもぎ取った暁星。「相手の動きが落ちたら、こっちの方が若干1つ2つ繋ぐ力はあったからね」と指揮官も話したように、終盤はきっちりボールを動かしながら2点を取り切ったあたりに、このチームのフレキシブルさと底力を感じました。「ビルドアップからもそうですし、セカンドボールを取ってという所と、相手によってサッカーを変えるのではなくて、自分たちのやるべきサッカーはこの夏で見つかりました」と力強く話した及川は、選手権予選に向けて「Bブロック代表で全国に行ってというのはみんな意識しているんですけど、その前に一戦一戦相手とか関係なく集中して、勝ち進んでいくしかないと思っています。キャプテンとしても先輩方からも『お前ならやれる』とか『全国に連れて行け』と言われているので、プレッシャーはなく今の仲間を信じて楽しみたいというのがあります」ときっぱり。「10月にリーグ最終戦の石神井戦が残っているので、『このメンバーでやるぞ』と叱咤激励しながら、できれば良い状況でやりたいと思っている」と林監督。10月のリーグ最終戦が終わった時に、3年生たちがその歓喜を味わうためにも、この9月の選手権予選が絶対に負けられない2試合であることは間違いありません。 土屋
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