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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年09月02日

T2リーグ第14節 都立三鷹×堀越@駒沢第2

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0831koma2.jpg夏の終焉を実感するサマーブレイクのラストゲーム。昨年の西が丘で東京の覇権を競い合った両者の再会は、おなじみ駒沢第2球技場です。
昨シーズンの選手権では自分たちも含めて誰もが驚く快進撃で東京を制し、最後は絶対的な優勝候補の東福岡に開幕戦で屈したものの、全国大会でもその存在感を堂々と示して見せた都立三鷹。大半のレギュラーが卒業し、校名も三鷹中等教育学校に統一された今シーズンは、ここまでトーナメント、リーグ戦と共になかなか結果こそ出ていませんが、大半の3年生にとっては中等学校から数えて6年間の集大成。この春に卒業した先輩たちも見守る中、2週間後に迫った選手権予選へと弾みを付けたい一戦を迎えます。
こちらも昨シーズンの選手権では22年ぶりに都のファイナルまで進出。都立三鷹の壁は超えられずに惜しくも準優勝となりましたが、改めて都内での評価を高めることに成功した堀越。今シーズンは関東大会予選がベスト16、インターハイ予選が1次予選決勝敗退という状況の中で、「去年もこの時期はそんなに先が見えていなかったですし、本当に1つ1つやった積み重ねがああいう結果になったと思うので、今年も積み重ねをしっかりしたいなと思います」と佐藤実監督。"積み重ね"の最終局面に差し掛かったこのゲームは、非常に大切な90分間です。あれだけ聞こえていた合唱の声はもう蝉から鈴虫へ。今季2度目のリターンマッチは18時にキックオフされました。


勢い良く立ち上がったのは三鷹。3分に神原大槻(2年・三鷹F.A.)のドリブルで獲得したFKを左から多田悠太郎(3年・三鷹中等)が蹴り込むと、ファーで横田亮平(2年・三鷹中等)が折り返したボールはこぼれ、密集からCBの森下祐喜(3年・三鷹中等)がシュート。最後は堀越のGK横山洋(3年・TACサルヴァトーレ)がファインセーブで掻き出しましたが、まずは三鷹が攻勢に打って出ます。
「ちょっとフワッとした形で入りが悪かった」と佐藤監督も話した堀越は、「ファーストディフェンダーの所が決まっていなくて、結構ラインが下がってしまった」(富樫草太・3年・FC町田ゼルビアJY)こともあって、なかなか良い守備を攻撃まで繋げることができませんでしたが、15分に中盤アンカーの広瀬智也(2年・FC Consorte)が左に振り分け、齊藤一輝(3年・青梅新町中)が枠内ミドルを放つと、2本目のシュートで享受した歓喜。
16分、新井真汰(3年・TACサルヴァトーレ)がきっちり落とし、鈴木龍河(3年・あきる野FC)が左へ展開すると、受けた斎藤拓磨(3年・青梅FC)はカットインしながら思い切って右足一閃。DFに当たったボールはGKも反応し切れず、そのままゴールネットへ突き刺さります。「ちょっと不運な所もありましたね」と三鷹の佐々木雅規監督は振り返りましたが、10番の積極的な姿勢がきっちり成果に。押されていた堀越が先制ゴールを奪いました。
以降はリズムを取り戻した堀越ペース。23分には鈴木のスルーパスを三鷹のGK斎藤想平(2年・三鷹中等)が果敢な飛び出しでクリアすると、拾った広瀬は40mロングにトライ。ここは懸命に戻った斎藤想平が叩き落としたものの、2年生アンカーが視野の広さを披露。27分にも斎藤拓磨のパスから新井が抜け出して放ったシュートは、良く戻った三鷹のボランチ渡部圭(3年・三鷹F.A.)が体でブロック。その右CKを加藤悠矢(2年・アローレはちきた)が蹴り入れ、こぼれを収めた鈴木のシュートもDFのブロックに遭いましたが、連続して堀越が繰り出す手数。
三鷹も30分には渡部が蹴った長いFKが直接ゴールへ飛び込みましたが、GKへのファウルを取られてノーゴールに。41分には渡部のパスからボランチの奥村耕成(1年・三鷹中等)が左足でミドルを狙うも、横山が確実にキャッチ。「セカンドや球際の部分では向こうの方が上で、こっちが人数を掛けても向こうがボールを取って出されるという形でしたよね」と佐々木監督。CBの都築亮太(3年・三鷹F.A.)を中心に守備では粘り強さを発揮するものの、攻撃の形が出てきません。
42分に飛び出したのは堀越の完璧なサイドアタック。自陣でボールを持った右CBの東岡信幸(3年・TACサルヴァトーレ)は、狙いを定めて絶妙のスピードとコースにロングスルーパス。こちらも最高のアングルで右サイドを抜け出した鈴木が中へ折り返すと、走り込んだ新井は難なくゴールネットへボールを送り届けます。「この夏でサイド攻撃の所はちょっとできるようになってきたかなと思います」という指揮官の言葉を証明するかのような一撃。45+2分に新井との連携から掴んだ小磯雄大(2年・FCヴィラセーゴ津久井)の決定機は斎藤想平のファインセーブに阻まれるも、徐々にペースを引き寄せた堀越が2点をリードして、最初の45分間は終了しました。


「0-1で折り返せれば良いかなという中で2点目が余計でしたね」と悔しがった佐々木監督は、後半のスタートから一気に3枚替え。2トップの多田と白井織人(3年・三鷹中等)を揃って下げて、吉田凌(2年・三鷹中等)と辻良太朗(2年・三鷹中等)を最前線へ。ボランチも1年生の奥村とキャプテンの吉野秀紀(3年・三鷹中等)をスイッチして、反撃態勢を整えます。
ただ、後半も立ち上がりこそ三鷹が前へのパワーを打ち出しましたが、すぐに堀越がゲームリズムを奪還。48分には齊藤一輝の左クロスから小磯が枠の上へ外れるボレーを放ち、両ウイングバックでフィニッシュワークを完結。50分には齊藤一輝が斜めに入れたパスを加藤がスルーで流すと、上がってきていた富樫がフリーでシュート。ボールはわずかにゴール右へ外れたものの、3バックの中央を務める富樫がオーバーラップからフィニッシュに絡むなど、攻守に噛み合う堀越の両輪。
57分も堀越。鈴木、加藤と回ったボールを、1分前に投入されたばかりの須藤海斗(3年・府ロクJY)はいきなり枠内へ。斎藤想平が必死に掻き出し、こぼれを叩いた新井のシュートは味方に当たってクロスバーを越えましたが、「前半はあまり守備の所でハマっていなくて、ハーフタイムにプレスの掛け方の所を中で話していたので、うまく後半は守備がハマって前で良い形で取れて、切り替えの所で結構全体的に縦に行けた」とキャプテンの富樫。躍動する伝統の紫。
60分に三鷹が森下と近藤直輝(1年・三鷹中等)、61分に堀越が新井と丸山正悟(2年・FC Branco八王子)をそれぞれ入れ替えると、66分に生まれたゴールを祝福する選手の輪も堀越。左から加藤が蹴り込んだFKを、ニアに飛び込んだ鈴木が頭で合わせたボールは、左スミギリギリを捉えてゴールネットへ飛び込みます。ストライカーの鈴木はこれが嬉しいリーグ戦初ゴール。点差は3点に開きました。
止まらない紫の疾風。69分に齊藤一輝と田中柊(2年・TACサルヴァトーレ)を入れ替えた堀越の1分後。「気持ち的な部分でも前に行けたり、守備の部分でも頑張って戻るとかそういうことも比較的できそうな感じ」と佐藤監督も評し、富樫も「結構運動量もあって戻って来れるので、しっかり前に出て行くスピードやポジショニングも良いと思います」と話すなど、右WBとして際立つプレーを続けていた小磯はサイドからクサビをボレーでグサリ。スムーズな反転で前を向いた須藤は、GKとの1対1も冷静にゴールネットへボールを流し込みます。須藤もこれがリーグ戦初ゴール。4-0。試合の大勢は決しました。
何とか1点を返したい三鷹も72分、斎藤想平のキックに野澤颯人(3年・調布FC)が競り勝ち、神原のリターンから野澤がエリア内へ侵入しましたが、シュートまでは持ち込めず。77分には最後の交替カードとして細田健太(3年・三鷹中等)を送り込むも、80分は逆に堀越のアタック。田中、須藤と回ったボールを鈴木が枠内へ打ち込み、斎藤想平が何とかキャッチ。81分には堀越も奮闘した鈴木と大垣柊樹(3年・ESA)の交替で、取り掛かるゲームクローズ。
86分は三鷹にチャンス。芝崎鉄平(2年・三鷹中等)を起点に、右サイドをうまく抜け出した神原が中央に折り返すと、吉田はシュートを打ったものの富樫がさすがの察知力できっちりブロック。87分に東岡、富樫と不動の3バックを築く小澤颯(3年・FC GONA)を下げて、福山健介(3年・FC府中)に完封を託した堀越は、90分にも広瀬が素晴らしいサイドチェンジを右へ送り、小磯が高速クロスを蹴り入れ、ニアへ突っ込んだ大垣はわずかに届かなかったものの、最後までゴールを狙う姿勢を見せながら聞いたファイナルホイッスル。「だいぶ守備は安定してきたんですけど、1つの横パスのミスや集中力の所や、試合に入り切れていない選手とかもいるので、そこはしっかり自分中心に締めていきたいと思います」と兜の緒を緩めない富樫も話した堀越が、リーグ戦3連勝を達成する結果となりました。


リーグ戦はここまで全敗と苦戦が続いている三鷹。「リーグ戦はずっとこういう形ですよね。自滅というか去年の穴が埋め切れていない所もあるんですけどね」と話した佐々木監督も、「でも、最初の頃に比べれば進歩はありますけどね。今日はすごく勉強になったと思いますし、結構修正する力もみんなで話し合ってやるのは凄く得意なもので、まあ選手権を見て下さいという感じです」と続けて。2週間後に迫った選手権予選の初戦はT1所属の駿台学園が相手。「先輩たちのものを引き継いで、恥ずかしくないような戦い方や彼ららしさを見せてくれたら良いですよね。でも、サッカーは何が起こるかわかりませんし、厳しいと言ってもやってみないとわからないので、この2週間でどのくらい伸びていくのかなと思います」と指揮官。昨年のチームを目の当たりにしている彼らの奮起に期待したいと思います。
昨年は石上輝(順天堂大)という絶対的な支柱がいた中で、その石上からキャプテンを引き継いだ富樫は「去年のキャプテンは存在が大きかったので、最初はプレッシャーも結構ありました」と正直な気持ちを明かしましたが、「今年は自分が1人では力がないので、東岡も含めてみんなに協力してもらって何とかやっている中で、選手権が近付いてくるにつれて夏休みからチームがまとまってきた感じはあります」とここに来て手応えを口に。「僕が介入する回数が増えちゃってあまり本当は良くないんですけど、チーム自体のバランスを考えてちょっと今年は『指導者をやっています』という感じですね」と苦笑いした佐藤監督も、「みんなで一生懸命頑張るという所は去年のチームよりはちょっとあるかなと思います」とチームのまとまりには自信を持っている様子でした。「まずは1回戦の日体荏原に向けて、1つ1つ目の前の試合にぶつかっていければいいなと思います」と話しながら、「選手権は絶対に負けたくないです」と最後の大会に懸ける決意を滲ませた富樫。届かなかったあと1つへ。堀越の"秋"が今年もいよいよ幕を開けます。     土屋

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