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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年09月10日

T1リーグ第15節 都立東久留米総合×関東第一@東久留米総合G

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0906kuruso.jpg勝ち点差4で迎えたトップディビジョンの首位攻防戦。共に今シーズンの都内でも屈指の実力を有する都立東久留米総合と関東第一の対峙は東久留米総合グラウンドです。
トーナメントコンペティションでは関東大会予選、インターハイ予選と揃って國學院久我山に惜敗したものの、リーグ戦ではその國學院久我山にシーズンダブルを達成するなど、ここまで10勝4敗で2位という好位置に付けている都立東久留米総合。「最初に3-4-3から始まったというのも自分たちも驚きで、本当に最初は手探り状態だった」と話すのは川村涼太(3年・FC府中U-15)ですが、そのキャプテンも「それから練習も積み重ねていく内に勝てるようになったりして、そういうのも自分たちの自信に繋がっています」と力強く。ここで全国ベスト4の難敵を叩き、リーグ戦の首位追走と選手権への弾みという"二兎"を手にしたい90分間に臨みます。
清水桜が丘、大津、広島皆実という全国ファイナルを経験している強豪を相次いで退け、最後は市立船橋が有する老獪さの前に進撃を止められたものの、全国4強という素晴らしい経験値をこの夏で手に入れた関東第一。当然どのチームも彼らを選手権予選のターゲットにする中で、今シーズンは小野貴裕監督も含め、貫き続けてきた謙虚さはここに来ても微塵も変わらず。まずは目の前の強豪と対峙する90分間に全力を注ぐのみです。会場には「リーグ戦でこんな多かったのは初めて」と久留米の齋藤登監督も目を丸くするほどの観衆が。注目の一戦は関一のキックオフでスタートしました。


先にチャンスを掴んだのは久留米。3分に左からレフティの山川涼(3年・レッドスターJY)がクロスを放り込むと、武田海青(3年・JACPA東京FC)が競ったこぼれを野々村大輝(3年・杉並FC)が素早く拾ってそのままフィニッシュ。ボールはクロスバーの上に外れ、思わずベンチからも溜息が漏れましたが、ホームチームが決定的なシーンを創出します。
一方の関一は8分にセットプレーのチャンス。冨山大輔(2年・FC習志野)の左CKに、うまく回り込んだ鈴木友也(2年・VIVAIO船橋)のシュートはヒットしませんでしたが、デザインされたプレーに滲んだ練習量。ただ、パスワークからスイッチの入るタイミングをなかなか見い出せず、流れの中からは良い形を創り出せません。
基本的には3バックで動かしながら、縦へのテンポアップを狙う久留米に対して、関一は無理にプレスを掛けずにブロックを敷きながら待ち受ける展開が続く中、チャンスの芽はやはりセットプレー。13分は久留米。宮崎紘也(3年・府ロクJY)の仕掛けで獲得した左CKを山川が蹴るも、ボールはラインを割ってしまいゴールキックへ。14分も久留米。左からここも山川が入れたFKは、関一のGK円谷亮介(3年・FC東京U-15深川)が丁寧にキャッチ。17分は関一。冨山の左CKがこぼれると、拾った高橋快斗(3年・PBJ)の仕掛けには久留米の白瀧良太(3年・ジェファFC)がきっちり対応してオフェンスファウル。19分も関一。ピッチ中央、ゴールまで約25mの距離から冨山が直接狙ったFKはクロスバーの上へ。続く双方の探り合い。
28分は久留米。井浦智史(3年・Forza'02)のフィードを上手いトラップで収めた宮崎が左サイドを運び、折り返した低いクロスは懸命に戻った関一の野村司(3年・レッドスターJY)がスライディングでカット。30分は関一。相手のビルドアップで生じたミスを高橋はすかさず中へ。岡崎仁太朗(3年・杉並ソシオ)のシュートはDFに弾かれ、再び岡崎が狙ったシュートは枠の右へ。久留米に致命的なミスが出ましたが、関一も決め切れません。
逆に35分には久留米に決定機。左から山川がクロスを入れると、野々村が大庭諒介(3年・東京ベイFC U-15)との連携で右に持ち出しながらシュート。右スミを襲ったボールは円谷が抜群の反応で掻き出したものの、ビッグチャンスを創出すると、37分に山川が左CKを蹴り込み、こぼれを叩いた白瀧のシュートはDFが体でブロック。その後も38分と41分に続けてCKを獲得するなど、「自分たちが押しているなというのはあったし、そんなに攻め負けていないなというのがあった」と川村も振り返ったように、ハイサイドを取り始めた久留米が引き寄せるゲームリズム。
43分に関一はCKの流れで、キャプテンを務める鈴木隼平(3年・Forza'02)の右クロスから岡﨑がヘディングを枠の左へ外すと、先に歓喜の輪を創ったのはスカイブルーのイレブン。前半終了間際の45+1分、左から山川が蹴った6本目のCKがファーまで届き、飛んだ白瀧は頭でジャストミート。右スミギリギリへ飛んだボールは、ポストの内側に潜ってゴールネットへ飛び込みます。「セットプレーというのがウチの武器」と川村も語った"ウチの武器"が見事結果に。久留米が1点をリードして、最初の45分間は終了しました。


後半はスタートから関一のラッシュ。47分に道願翼(3年・VIVAIO船橋)のショートコーナーを高橋が戻し、道願が上げたクロスはDFがクリアしましたが、直後の48分には決定機。右から鈴木隼平が中へ入れたボールを、岡崎は巧みにスルー。冨山がダイレクトで右へ流すと、抜け出した岡崎がシュートを放ちましたが、ここは久留米のGK井上大地(3年・杉並西宮中)がワンハンドでビッグセーブ。同点弾を許しません。
49分は関一。右から道願が蹴ったCKは井上がパンチングで回避。52分も関一。鈴木隼平が粘って獲得したFKを右から道願が放り込むも、エリア内でオフェンスファウルという判定。54分は久留米。山川の左FKに先制ゴールの白瀧が突っ込むも、わずかに届かず円谷がキャッチ。お互いにセットプレーから窺う相手ゴール前。
以降は前半より関一がボールを握る時間が増えていくものの、「攻撃的に中央の狭いスペースに来るのはわかっているから中を固めて、サイドのスペースも運動量で何とか防いで」(齋藤監督)久留米がきっちり対応。ただ、久留米のサイドアタックにも関一ディフェンスが的確な対応を見せたことで、膠着した展開が続きます。
追い付きたいビハインドの関一。65分、左で溜めた冨山のパスから道願が狙ったミドルは、DFに当たって枠の右へ。66分に久留米も1人目の交替カードとして岩田航平(3年・FCエクセル)を送り込みますが、71分にも冨山のリターンを岡崎が強引にシュートへ持ち込むと、ここもDFが体でブロック。72分にショートコーナーから道願が蹴った右クロスは、ニアで岩田が大きくクリア。吉田恭平(3年・三鷹F.A.)、飯塚小次郎(3年・東京久留米FC U-15)、井浦の3バックを中心に途切れない久留米の集中力。
73分に関一は道願と新翼(3年・Forza'02)を、77分に久留米は武田と内村翼(3年・FC.VIGORE)をそれぞれ入れ替えると、78分は交替直前にファウルをもらった武田が置き土産として残した久留米のFK。左から岩田が蹴り込んだキックが中央にこぼれると、「コースは狙っていないですけど、思い切り打とうと思っていたので打ち切りました」という川村の左足ボレーは豪快にゴールネットを揺さぶります。「アレはもう気持ち良かったです。スカッとしました」という10番のキャプテンは渾身のガッツポーズ。後半のファーストシュートで久留米が追加点をもぎ取りました。
一気に試合を決めたい久留米は1分後にもビッグチャンス。79分、右サイドの裏へ川村が蹴り入れ、一旦は抜け出した大庭のシュートは懸命に体を寄せた鈴木友也に当たって枠へは飛びませんでしたが、目の前の攻防に沸き立つ会場。83分は関一。野村、岡崎、高橋と細かく繋ぎ、岡崎が打ち切ったミドルはクロスバーの上へ。85分も関一。野村が右へ正確なサイドチェンジを通し、鈴木隼平のアーリークロスに高橋が頭から飛び込むも、枠に飛んだボールは井上がキャッチ。進む時計の針。残された時間は5分とアディショナルタイム。
飛び出した9番のゴラッソ。86分、野々村が右サイドへパスを振り分け、受けた大庭は中央にカットインしながら思い切り良く左足一閃。一直線にゴール左スミへ向かったボールは、そのままサイドネットへ突き刺さります。リーグ戦2試合連発となる大庭の一撃は、試合を決定付けるパーフェクトな3点目。最後は88分に投入された細田柊志(3年・FC Consorte)と小林慎志(3年・クリアージュFC)もしっかりゲームクローズに貢献した久留米が快勝を収めて、首位を走る関一とのポイント差を2まで縮める結果となりました。


スコアほどの差はなかったとは言え、関一にとって難しい試合になったのは否めません。元々今シーズンのチームは決定機の数を量産するスタイルではないこともあって、決めるべき所をきっちり決める勝負強さで結果を出してきた所がありましたが、この日はそれぞれ0-0と0-1のタイミングであった決定的なチャンスを生かせなかったことが、最終的な結果に直結してしまいました。それでも、この時期に全国でも経験できなかったスコアでの敗戦を突き付けられたことも、今シーズンの彼らにとっては間違いなくプラスに作用させることのできる反省材料。彼らの明日からの取り組みがどう選手権予選に反映されるかを楽しみにしたいと思います。
久留米は今シーズンから導入した3-4-3がかなりハマってきた印象を受けました。冒頭でも川村の言葉を引用したように、シーズン序盤はトライしたいことと現実のギャップが端から見ても存在していたように感じましたが、「2点3点取っても前からマンツーマン的にオールコートプレス」(齋藤監督)というアグレッシブなスタイルが、このシステムとしっかりマッチ。昨年のチームも相当良いチームだったと思いますが、そのチームから川村だけがレギュラーとして残った今年のチームも「去年のチームよりも、そのさらにもっと前のチームよりも吸収力がある」と指揮官が"スポンジ"に例えた吸収力の高さで、かなりの好チームに仕上がってきたことは疑いようがないでしょう。「ここまで来て、選手権でラストという所で本当に勝てるようにもなってきましたし、自分たちに自信が付くことがいっぱいあって、結果が残せているというのが自分たちの大きな自信になっていると思います」と話したのは川村。秋の西が丘をスカイブルーで染め抜く準備は整っているようです。     土屋

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