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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年09月14日

高校選手権東京B1回戦 成立学園×修徳@清瀬内山

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0913kiyose.jpg2年前のファイナルで東京の覇権を競い合った両雄が早くも1回戦で激突。成立学園と修徳がいきなり対峙するビッグマッチは清瀬内山グラウンドです。
新チームの立ち上げとなった新人戦は、地区大会で大東文化第一にPK戦で敗れて関東大会予選出場を逃し、インターハイ予選は帝京に再びPK戦で敗退。苦しい時期が続いた中で「自分たちは新人戦もインターハイも良い結果を残せなくて、全国に行くことができなかったので、この選手権という最後の大会で結果を出さなきゃいけない」と河口海斗(3年・成立ゼブラFC)が話したように、選手権に今までのすべてをぶつける覚悟は整っている成立学園。全国という扉を開くためには、まずこの初戦で2年前のリベンジをきっちり果たし、さらに先へと繋がる視界を確保したい所です。
2年前には東京連覇を達成し、一気に全国ベスト8まで躍進。昨年もそこまではなかなか結果を出せずに臨んだ選手権予選でベスト4へ勝ち上がるなど、やはりこの時期までには間違いなくきっちりチームを仕上げてくる修徳。1次予選からの参加となった今大会は、3回戦で都立豊多摩の抵抗に苦しみながらも最後は何とかPK戦で勝利を収めると、決勝は都立竹早に5-1と快勝して都大会まで。初戦で当たる成立も含めてトーナメントの山型の厳しさに「楽しみじゃないよ。あんなに厳しいのは久々でしょ」と苦笑するのは岩本慎二郎監督ですが、一定の手応えを胸に2年前の返り討ちを狙います。初戦で実現するにはあまりにも惜しいカードに、ピッチの周りにはかなりの数の観衆が。注目の80分間は10時ジャストにキックオフの時を迎えました。


序盤からハッキリしていたのは、成立がボールをキープながらテンポアップのポイントを探る中で、修徳はしっかりブロックを築いてカウンターを狙うという構図。「相手は最初引いてきたので、ちょっと自分たちが相手と同じようなサッカーになってしまった」と河口が話したように、成立がCBの手塚翔太(3年・ヴェルディSS小山)と長草優之(2年・鹿島アントラーズつくばJY)を中心に左右へ動かすものの、「最初はみんな硬くて、自分もファーストタッチも全然ダメでしたし、緊張していたと思います」とは左SBのオトゥール・コナー(3年・SYDNEY OLYMPIC FC)。なかなかギアを上げ切れない時間が続きます。
一方の修徳はある程度引き込みながらも、ボランチに入った岡田拓光(3年・KSCウエルネスFC)のフィードから、右の根岸航(2年・ジェファFC)と左の久野蓮太(3年・田口FA)を走らせつつ、虎視眈々と窺うチャンス。また、成立のバイタル侵入は谷中瑞基(3年・松戸第三中)とキャプテンの中村大志(3年・ジェファFC)で組むCBコンビと、修徳伝統の6番を背負うボランチ小澤翔(3年・荒川南千住第二中)がしっかり監視。手数を繰り出させません。
そんな中で成立に訪れた決定機は28分。左サイドをドリブルで運んだ長島滉大(3年・成立ゼブラFC)は短く中央へ。このパスをダイレクトで叩いた河口のシュートは、クロスバーにハードヒット。先制とは行きませんでしたが、ようやく生まれた決定的なシーンをキッカケに、少しずつ動き出したゲームの歯車。
32分は修徳。中盤で相手ボールを引っ掛けた久野のドリブルは、少し大きくなってタッチを割ったもののキレのある動きを。直後の32分は成立。手塚が右へサイドチェンジを送り、何とか残した矢田部竜汰(2年・横浜F・マリノスJY)のクロスへ、長島がバイシクル気味に飛び付いたボレーはクロスバーの上へ。34分は修徳。1トップの佐藤颯(2年・世田谷東深沢中)が裏を狙うも、走った石原海(3年・ジェファFC)とは合わずに成立のGK吉澤凌(3年・成立ゼブラFC)がキャッチ。やり合う両者。
37分は成立。長草が縦にクサビを打ち込み、長島のヒールを長田一宏(3年・成立ゼブラFC)が左へ繋ぎ、鈴木龍之介(2年・成立ゼブラFC)が上げたクロスはファーへ流れてゴールキックに。40分は修徳。左サイドでボールを引き出したSBの大畑雄亮(3年・ジェファFC)がクロスを入れるも、ここは吉澤が鋭い出足で飛び出してキャッチ。「自分たちのサッカーはあまりできなくて、ちょっとやりにくい部分が多かった」とは河口。スコア動かず。0-0で最初の40分間は終了しました。


ハーフタイムに動いたのは岩本監督。久野を下げて和田裕太(3年・三郷JY)を左SBに投入し、左SBだった大畑が一列上がって左SHへ。レフティを縦に並べてサイドの主導権奪還に着手しましたが、後半も攻勢は成立。45分に相手のミスパスを奪った長島がエリア内へ侵入するも、最後は中村が素晴らしいタックルで回避。46分にも大野泰成(2年・FCゼブラ)、鈴木と繋いで、長田が放ったシュートはDFが弾き、こぼれを大野が叩いたシュートもDFに寄せられて枠の左へ。ゴールは陥れられません。
際立つ修徳の集中力。51分は成立。吉村伸(3年・アセノSC)が右に振り分け、長島が力強くサイドをえぐって折り返すも、ニアへ飛び込んだ吉村の前で、修徳の右SB石原健流(3年・ヴェルディSSレスチ)がきっちりクリア。52分も成立。右から大野がCKを蹴り込むも、中村が高い打点のヘディングでクリア。修徳も52分には右から岡田が左足でクロスを放り込み、佐藤が競り勝ったボールは根岸もわずかに届かず。57分は再び成立。右サイドで鈴木が2人を置き去ってクロスを入れるも、戻っていた岡田がスライディングでブロック。「修徳は本当に素晴らしいチームですよ」とは成立の宮内聡監督。水際で踏みとどまる修徳。これが彼らの真骨頂。
60分に2枚替えを決断したのは「ちょうど残り20分くらいの時に彼らが入るとちょっとリズムが変わって、得点の生まれやすいリズムになることは今までもあった」と話す宮内監督。大野と吉村に替えて、竹本大輝(2年・成立ゼブラFC)と萩原幹太(2年・成立ゼブラFC)をピッチヘ送り込み、長田がボランチへスライド。2列目に右から萩原、竹本、鈴木というゼブラ出身の2年生トリオを並べて勝負に出ます。
すると、「采配なんかとんでもないです」と謙遜した指揮官の采配が的中したのは63分。河口が右サイドへ展開すると、入ったばかりの萩原はそのまま縦に持ち出しながら丁寧に中央へ。「マイナスに来たので当たらないかなと思ったんですけど、ひねったらうまく当たった」と振り返る河口のダイレクトシュートは、低い弾道で左スミのゴールネットへ吸い込まれます。「萩原は練習でもああいう動き出しはよくあるし、崩してから外にはたいて中で決めるというのは練習の中で最近出てきたので、そういうのが今日の試合で出たので良かった」と話した河口に関しては、宮内監督も「ウチの心臓部ですね。素直だし良く走るし非常に良いんです」と称賛を口に。吉村からキャプテンマークを譲り受けた"副キャプテン"の一撃で、成立が1点のリードを手にしました。
50分過ぎからはサイドを破られる回数も増加しながら何とか守ってきたものの、とうとう1点のビハインドを追い掛ける格好となった修徳。67分に和田との連携から岡田が左アーリーを送るも、根岸が頭に当て切れずにチャンスが潰えると、岩本監督も2枚替え。よく体を張っていた小澤と谷中を下げて、望月翔(2年・草加松江中)と高橋奨平(3年・修徳中)をピッチヘ解き放ち、佐藤と望月を最前線に配してゴールを奪い返しに打って出ます。
71分は修徳。和田が左へ流し、大畑のクロスは吉澤ががっちりキャッチ。74分は修徳。根岸のクサビを望月が捌いたパスは、佐藤も必死に走りましたが届かずにゴールキックへ。成立は74分に1トップの長島と西尾悠太(3年・カムイJY)を入れ替え、前からのプレス強度向上に着手。「たぶん一発ではやられないので、その後にこぼれたりとか、セカンドアクションの所。どうしても最後の方になると棒立ちになっちゃうので、その"負けた、勝った"の後の所が大事だと伝えていた」と宮内監督。いよいよ勝負は5分間とアディショナルタイムを残すのみ。
77分のビッグチャンスは修徳。石原のパスを受けた岡田は右へ小さく。マーカーを振り切った根岸が思い切って右足を振り抜くと、際どいコースに飛んだボールは、しかしわずかに枠の左へ。頭を抱えた修徳ベンチと修徳応援席。逆に安堵のため息が漏れた成立ベンチと成立応援席。1-0。両者の点差は変わりません。
78分に修徳は最後の交替を。根岸に替えて笈川勇斗(3年・ヴェルディSSレスチ)をピッチヘ。79分に成立も最後の交替を。接触で倒れたオトゥール・コナーと西羽開(2年・鹿島アントラーズつくばJY)をスイッチして、取り掛かりたいゲームクローズ。第4審が掲げたボードには"3"の文字が。残されたアディショナルタイムは180秒。激闘も正真正銘のクライマックスへ。
80+1分は修徳。佐藤が強引に放ったミドルがゴール左へ外れると、これがこのゲームのラストシュート。しばらくして清瀬の空へ吸い込まれたファイナルホイッスル。「2個上の時の修徳にやられて、あの修徳を思い出した時に厳しい戦いになるなと思ったので、それなりの覚悟で今日は臨んでいた。しっかりDFラインも頑張ってくれて、全体的に攻撃陣も守備してくれたので、そういう部分が今日の勝ちに繋がったかなと思います」と河口。2年前のリベンジと初戦突破を同時に手に入れた成立が、早稲田実業の待つ2回戦へと駒を進める結果となりました。


選手権独特のピリピリ感が痛い程に伝わってくる好ゲームでした。「2年前の決勝戦もそうでしたし、岩本監督は当然何かを考えてくるだろうなと思っていたので、今日みたいなゲームになることはわかっていましたから、もう最長を考えていました。PKも練習してきましたし。当然ですよね」と宮内監督。特に前半は持ち味のオーバーラップを封じ込められたオトゥール・コナーも「修徳は本当にやりにくい相手でした」と率直な感想を口に。やはり修徳は最後まで修徳だったと思います。ただ、この難しいゲームをしっかり勝ち切った成立はやはり実力者。「夏休みにある程度やることはやってきて、全国の強豪チームとやってもほとんど互角にやれるようになってきていたけど、こういうゲームになるということはまだまだ本当の真剣勝負で同じことができるかという所ですよね」とは宮内監督ですが、「みんなが1つになってやろうと言っていたのが、選手権前になって本当に1つになってきたなと思います」と河口はチームの団結力を強調。続けて今後へ向けての意気込みを問われると「やることは変わらないので、勝ったチームの分まで頑張って全国に行けるようにやっていきたいです」とキッパリ。10年ぶりの戴冠へ。東鷲宮のゼブラ軍団が好発進を切っています。     土屋

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