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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
夏の全国ベスト4がいよいよ選手権予選に登場。優勝候補筆頭の呼び声も高い関東第一に創価が挑む2回戦は、おなじみ駒沢第2球技場です。
7年ぶりに乗り込んだインターハイは躍進の舞台。清水桜が丘、大津、広島皆実など強豪を相次いでなぎ倒して、全国の4強まで堂々と駆け上がった関東第一。ただ、選手権予選は3年前と4年前に連続してファイナルまで進出したものの、一昨年は初戦で、昨年はベスト8で敗退とここ2年は西が丘まで届かず。大会前に戦う最後の公式戦となったT1の都立東久留米総合戦は0-3で完敗という結果を突き付けられた中で、試されるリバウンドメンタリティ。初めてとなる冬の全国を目指す新たな航海に漕ぎ出します。
2012年と2013年の選手権予選は2年連続で都大会で勝利を挙げて、ベスト16まで進出。昨年は選手権予選こそ1次予選敗退となりましたが、関東大会予選では東京実業を破ってやはりベスト16まで勝ち上がるなど、近年はその存在感を高めてきている創価。迎えた今大会は1次予選を13得点無失点の3連勝で抜け出すと、先週の都大会初戦となった法政大学高を5-1の大差で下して2回戦へ。小さくない勢いを持って難敵との一戦に臨みます。会場は真夏が帰ってきたかのような灼熱の駒沢。10時キックオフのゲームは関東第一がボールを蹴り出してスタートしました。
開始早々の決定機は関一。4分に高橋快斗(3年・P.B.J)が倒されて獲得したFK。中央やや右、ゴールまで約20mの位置から冨山大輔(2年・FC習志野)が右スミへ収めたキックは、創価のGK宮本泰誠(3年・V・ファーレン長崎U-15)が横っ飛びでファインセーブ。直後に道願翼(3年・VIVAIO船橋)が蹴った右CKも宮本にキャッチされたものの、まずはセットプレーから関一が創価ゴールを窺います。
ただ、ゲームが進んでいくと明らかになったのは創価の頑丈なブロック。鈴木一真(3年・FCスポルト宇都宮)、土谷竜也(3年・アスルクラロ沼津U15)、田坂勇人(3年・FC Consorte)の3人を守備の中心に配した変則気味の5-3-2で、2トップの秋山光一(3年・リオFC)と望月響(2年・川崎フロンターレU-15)もほとんど自陣に引きながら、スペースをきっちり埋めて関一のアタックに対応。13分に左から田坂がロングスローを投げ入れ、関一のボランチ野村司(3年・レッドスターJY)に跳ね返されたのがファーストチャンス。潔く打ち出した専守防衛の構え。
「この形になっちゃったから、冨山をゴールの近くに置くしかないのですぐ変えちゃいました」と振り返った小野貴裕監督は、この創価のブロックを見て10分過ぎに決断。右SHに置いた道願をボランチへ、ボランチの冨山を1.5列目へ、トップの鈴木隼平(3年・Forza'02)を右SHへそれぞれスライドして、より冨山をボールが経由する並びへ変化を。13分に野村が30m近い距離から放ったミドルはわずかに枠の左へ。18分に冨山が蹴った左CKは城戸伸二(2年・創価中)がクリア。20分にCBの鈴木友也(2年・VIVAIO船橋)が狙ったミドルで奪った左CKを冨山が蹴るも、今度はニアで秋山がクリア。関一にもなかなか効果的な崩しが出てきません。
25分は関一。岡崎仁太朗(3年・杉並ソシオ)のパスを冨山が左へ流し、高橋のポストから道願が狙ったミドルはわずかに枠の右へ。32分も関一。冨山が右へ振り分け、エリア内へ潜ったSBの二瓶亮(3年・江戸川葛西第三中)が折り返すも、冨山のシュートは宮本が丁寧にキャッチ。33分も関一。左SBの大里将也(3年・レッドスターJY)が好クロスを送るも、高橋のヘディングはゴール左へ。変わらない両者のゼロ。
36分も関一。野村のスルーパスに鈴木隼平が走るも宮本がキャッチ。37分も関一。道願が右へ展開し、二瓶の折り返しを野村が狙うも宮本がキャッチ。38分も関一。中村翼(3年・大豆戸FC)、鈴木隼平、野村とボールが回り、二瓶のグラウンダークロスがこぼれると、岡崎が放ったシュートはクロスバーの上へ。40分は関一の決定機。野村が右のハイサイドへ落としたボールを岡崎が中央へ戻し、高橋が打ち切ったシュートはDFに当たって右ポスト直撃。前半終了のホイッスルにざわめくスタンド。最初の40分間はスコアレスでハーフタイムに入りました。
10分間のブレイクを挟んでも大きな流れは変わらず。42分に冨山のショートコーナーを高橋が戻し、冨山が左から上げたクロスは宮本がパンチングで回避。43分にも道願のショートコーナーを高橋が戻し、道願が右から上げたクロスはニアで飯島佳祐(3年・RENATO FC)がクリア。直後に道願が入れた右CKを、中村が頭で合わせるも枠の左へ。「ウチは高さは正直ないですし、創価のGKは"5.5"のゴールエリアの中をしっかり守れるGKで、ストーンの位置の9番の子(秋山)もサイズがあった」(小野監督)中で、関一のセットプレーも決定的なシーンには繋がりません。
45分も関一。二瓶のパスから道願が枠へ収めたシュートは宮本がキャッチ。46分も関一。高橋を起点に大里が放り込んだクロスを、鈴木隼平が反転しながら放ったシュートは川島大樹(3年・創価中)が決死のブロックでストップ。その右CKを冨山がマイナスに入れると、鈴木のシュートを道願が押し込みに掛かるもDFがきっちりブロック。50分も関一。ショートコーナーから岡崎のリターンを道願が放り込み、鈴木隼平が走り込むもDFが確実にクリア。途切れない創価の集中力。
51分は関一の決定的なシーン。冨山の左CKはこぼれ、岡崎が拾ったボールを冨山がファーまで届かせ、野村の折り返しを高橋が頭で合わせるも、ボールはわずかにゴール左へ。53分に高橋、冨山と回ったボールを混戦から道願が落とすも、野村のミドルは枠の上へ。54分は創価のファーストシュート。飯島のパスを左で受けた秋山は、ワンテンポ創ってから短く付けると、市川孝一(3年・レッドスターJY)の枠内ミドルは関一のGK円谷亮介(3年・FC東京U-15深川)が確実にキャッチしましたが、沸き上がる創価の応援団と応援席。「全然チャンスじゃなくてもボールがウチのゴール方向に向けば『オオ~』ってなりますしね」と苦笑したのは小野監督。スタンドに漂う"もしかして"の空気。
そんなムードを切り裂いたのはナンバーセブン。56分に右サイドで関一が獲得したCK。コーナーアークに立った道願は、ショートコーナーではなく速いボールを中央へ打ち込むと、ニアへ突っ込んだ高橋の完璧なヘディングはゴールネットへ綺麗に突き刺さります。「柔らかいボールを入れるとGKの餌食になっていたので、ハーフタイムに『ちょっと速いボールで手前で勝負するのがいいんじゃないか』とは言っていた」と小野監督。ようやく関一が1点のリードを手にしました。
突き放す"新・カナリア軍団"。62分に鈴木友也のパスを中村翼が縦に打ち込み、二瓶は足の裏で後ろに残すと鈴木隼平が右サイドからクロス。DFのクリアが小さくなった所を見逃さなかった高橋は、こぼれを拾って至近距離から右足を強振。ボールはゴール左スミへ力強く飛び込みます。やり切る力はチームでもトップクラスの高橋はこれでドッピエッタ。関一に2点目が記録されました。
1失点目以降もブロックを崩さなかった創価でしたが、広がったビハインドに金子翔一監督も決断。62分に秋山と笹川大輔(1年・創価中)、64分に市川と高橋大貴(2年・創価中)を相次いでスイッチすると、最終ラインの鈴木一真と田坂を揃って前線に移行させ、土屋はボランチへスライド。最終ラインには川島、城戸、高橋大貴とまったく異なる3人を並べて勝負に出たものの、次の歓喜も"新・カナリア軍団"。
67分、左からスローインを大里が投げ入れ、ボールを受けた高橋は素早くエリア内へショートパス。斜めに入ってきた岡崎がそのまま左へ流れながら、体勢を立て直してシュートを放つと、ボールはゴール右スミへゆっくりと転がり込みます。インターハイの全国得点王にもここで結果が。決定的な3点目が関一に入りました。
71分に道願と篠原友哉(1年・府ロクJY)、73分に二瓶と大須賀琢磨(3年・FC東京U-15深川)、大里と石島春輔(2年・JSC CHIBA)を続けて交替で入れ替え、ゲームクローズに入った関一を前に、創価も最後の意地を。75分、望月を起点に鈴木一真とスイッチで入れ替わった途中出場の川原俊將(2年・創価中)は、粘ってクロスを上げ切るも寄せた鈴木友也がブロック。直後の右CKを望月が蹴り込み、河原の折り返しへ高橋大貴が懸命に足を伸ばして当てたシュートはわずかに枠の左へ。78分、茂貫智文(3年・東村山第四中)が絡んだ流れから笹川が中央にスルーパスを通すも、走った田坂はわずかにオフサイド。立ちはだかる関一の高い壁。
最後まで手綱を緩めない関一。79分には大須賀、冨山、野村と細かく繋いだボールを、3分前に投入された新翼(3年・Forza'02)が左カットインから狙うも、体を投げ出したDFに当たったシュートは枠の右へ。80+3分にも新、鈴木隼平とパスが回り、野村がミドルレンジから放ったシュートは宮本がファインセーブで何とか阻止。さらなる追加点への意欲を隠しません。
80+4分は創価のラストチャンス。左サイドを笹川が単独で抜け出してシュートまで持ち込みましたが、円谷が丁寧にキャッチすると、駒沢に響いたタイムアップのホイッスル。終わってみれば「今年はずっと『目の前のゲームをとにかく取れないと何もないよ』というのを言ってきた」と小野監督も話した関一がきっちり3ゴールを奪い切り、ベスト8へと駒を進める結果となりました。
「創価の子たちもここまで頑張ってやるので、これぐらい相手は本気でぶつかってくるんだということを、子供たちが肌で感じられたというのが今日の一番の収穫かなと思います。本当に苦しいゲームでしたから」と小野監督もゲームを振り返った関一は、改めて選手権の難しさを痛感するような80分間になったのではないでしょうか。「子供たちにはハーフタイムに戻ってきた時に『相手は0-0でこういう雰囲気になるんだよ。しかも、お前たちは0-0だとこういう雰囲気になるんだよ」と。『だから、勝つということは本当に難しいんだよ』という話をしました」と指揮官。対戦相手へ送られる声援に包まれがちなスタジアムの雰囲気も含めて、"全国ベスト4"という周囲からの見られ方は間違いなく今後もつきまとって来るもの。ただ、今年の関一の選手たちにはそういうメンタル的な部分で、浮き足立つような様子がまったくないのも確かです。苦しみながらも初戦をきっちり乗り越えた関一。悲願の全国へ必要な勝利の数はあと3つです。 土屋
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