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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年08月08日

インターハイ準々決勝 立正大淞南×米子北@三木陸上

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0807miki1.jpg島根の高校サッカー界を代表する黄色の勇者と、同じく鳥取の高校サッカー界を牽引してきた白の野武士軍団が全国8強で対峙。立正大淞南と米子北の山陰対決は三木総合防災公園陸上競技場です。
8年連続での全国は今大会出場校の中でも2番目の記録。しかも、4年前と3年前には2年続けてベスト4まで勝ち進むなど、今や全国屈指の強豪として認識されている感のある立正大淞南。迎えた今大会の初戦は東北をPK戦の末に何とか退けると、2回戦は鹿児島実業相手に杉本龍哉(3年・C大阪和歌山U-15)と井上直輝(3年・LEO SC)の2トップ揃い踏みで2-0と快勝。続く3回戦では草津東をこれまたPK戦で撃破して、3年ぶりとなるベスト8進出。悲願の日本一を視界に捉えつつ、隣県との対戦に向かいます。
立正大淞南と並んで、8年連続での全国は今大会出場校の中でも2番目の記録。6年前にはその立正大淞南もいまだに届いていない準優勝を経験するなど、その名を県外にも確実に轟かせている米子北。今大会は初戦で佐賀学園を7-0という大差で粉砕し、2回戦では好チームとの呼び声も高かった西武台を2-1で振り切ると、明徳義塾との対戦となった3回戦も谷口喬亮(3年・米子後藤が丘中)の3戦連発弾が飛び出すなど、2-0と快勝を収めて5年ぶりの全国8強へ。「何とか鳥取県でも、日本一小さい県でもやれるんだという所を見せたいというのがある」と話す城市徳之監督の下、鳥取県勢初の全国制覇を目指して、まずはこのクォーターファイナルを戦います。お互いがお互いを意識し合う山陰対決は激戦必至。注目の70分間は立正大淞南のキックオフでスタートしました。


ファーストシュートは立正大淞南。4分に井上がうまく前を向いてスルーパスを送ると、杉本のミドルは枠を捉え、ここは米子北のGK中原創太(2年・FCバイエルン ツネイシ)が何とかセーブしましたが、まずは2トップでフィニッシュまで。7分は米子北。小嶋海斗(3年・Foltizone)、江口大輝(3年・ヴィッセル神戸U-15)とボールを回し、谷口のシュートは立正大淞南のGK小笠姫馬(3年・大阪セントラルFC)がキャッチしたものの、まずはお互いに手数を出し合いながら様子を窺います。
そんな中でシュートをより打っていくのは米子北。8分、江口の右カットインシュートはDFに当たり、こぼれを山室昂輝(2年・FCバイエルン ツネイシ)が左足で狙うも、ボールは枠の右へ。10分、小嶋が右のハイサイドへボールへ送り、思い切って叩いた江口のボレーは枠の右へ。12分、山室、谷口、岡本悠太郎(3年・鳥取セリオFC)と細かく繋ぎ、江口のシュートはDFに弾かれたものの、GKとDFの連係ミスでこぼれを岡本がシュート。ボールは無人のゴールのわずかに左へ逸れましたが、13分にもスムーズなパスワークからキャプテンの小長裕也(3年・ガイナーレ鳥取U-15)が枠外ミドルを放つなど、米子北が立て続けに取り切ったフィニッシュ。
立正大淞南も14分、左サイドでボールを持った上西健也(3年・大阪セントラルFC)がクロスを上げると、ファーで上村大悟(3年・高槻FC JY)が折り返したボールは中原がキャッチ。15分もやはり上西がクロスを放り込み、こぼれを拾った上村が残したボールを白岩直斗(3年・長野FC)がミドルレンジから狙うも軌道はゴール左へ。なかなか連動性のある攻撃を繰り出せません。
26分は米子北の決定機。山室を起点に小嶋を経由して、谷口は右へラストパス。江口はGKと1対1になりましたが、ここは「1対1でキュッと出るスピードとか抜群なんですよ」と南健司監督も評価する小笠が、その抜群のスピードで江口との距離を詰めてファインセーブ。「アレはスーパーセーブ。凄い角度で入って行きましたからね」と指揮官も絶賛のプレーで失点は許しません。
逆に27分は立正大淞南お得意のセットプレー。右サイドで獲得したCKを白岩がグラウンダーで蹴り込むと、ニアへ入った上西のスルーを経て、後ろの井上がシュート。綺麗に決まりかけたサインプレーは、しかしボールがクロスバーを越えてしまい完結ならず。30分にも右SBの藤井義治(3年・兵庫FC)が縦にスルーパスを通し、上村のマイナスクロスを井上はシュートまで持ち込めず。逆に31分には米子北も小嶋が左から斜めに付けたクサビを、谷口は反転しながら枠の右へ逸れるシュートまで。前半は3対7というシュート数が示すように、米子北がやや押し気味に進めながら、スコアレスでハーフタイムに入りました。


後半はスタートから立正大淞南に1人目の交替が。中盤アンカーに入っていた吉田海都(3年・玉湯SC)に替えて、沖西和馬(3年・大阪セントラルFC)を送り込み、中盤のバランスと支配力アップに着手するも、後半ファーストシュートは米子北。38分、山室のパスを狭いスペースで受けた谷口は、小笠にキャッチを強いる枠内シュート。40分には城市監督も谷口を下げて、1人目のジョーカーとも言うべき﨑山誉斗(2年・FC琉球U-15)を投入して、縦へのスピードを増強。41分にオーバーラップした右SBの魚橋良輔(3年・VIVOニッケ)が中へ戻し、山室のシュートはヒットしませんでしたが、43分にもCBの嶋田遼允(3年・VIVOニッケ)がドリブルでグイグイ持ち上がり、最後は江口がボレーミドルを枠内へ。米子北が良いリズムで立ち上がります。
44分に立正大淞南が創った決定的なチャンス。左サイドを単騎で抜け出した井上は、そのまま体勢を立て直してシュートまで。枠へ飛んだボールは、しかし右のポストを叩き、こぼれを狙った白岩のシュートは「アイツは頑張りましたね」と指揮官も評価した米子北のCB池澤裕翔(2年・鳥取VAMOS FC)が懸命にブロック。直後に沖西が蹴った左CKはDFにクリアされましたが、このワンプレーで踏み込まれた立正大淞南のアクセル。
48分は右CK。白岩のショートを途中出場の千川原慎(3年・FC厚木JY DREAMS)が足裏で残し、収めた白岩のクロスはDFのクリアに遭うも、工夫あるセットプレーを。49分も右CK。今度は白岩が中に蹴り込み、ゴール前の混戦からこぼれたボールを白岩が自ら狙うも、軌道はクロスバーの上へ。52分は左CK。沖西のキックは中原がパンチングで掻き出しましたが、徐々に立正大淞南が右の上村、左の千川原と両ワイドの仕掛けからセットプレーを続けて獲得。相手を自陣に押し込み始めます。
それでも57分には米子北が迎えた千載一遇の先制機。自陣から嶋田が大きく蹴り込んだFKはDFラインの裏まで飛ぶと、一瞬足の止まった立正大淞南の選手は反応できず、﨑山はまったくのノーマークでバックヘッド。ボールは小笠の正面を突き、ゴールとはいかなかったものの、エアポケットのような瞬間を突いた米子北の決定的なチャンス。61分にも山室の左CKから、ニアでマーカー2人に挟まれながら小長が放ったヘディングは小笠ががっちりキャッチ。「1点取っていればというゲーム」とは城市監督。残り10分。勝敗の行方は混沌と。
64分に城市監督が切った2枚目のジョーカー。江口に替えて「30分より10分くらいの方が瞬間的なスピードで行ける」中紘佑(3年・米子美保中)をピッチヘ解き放ち、最後の勝負へ。終盤は米子北が続けて繰り出すセットプレー。65分の右CKは岡本が蹴るも、そのまま中を抜けてスローインへ。67分の右CKも岡本が入れると、ここはDFがきっちりクリア。68分の右FKも岡本が放り込み、今度は小笠がパンチングで回避。凌ぐ立正大淞南。アディショナルタイムの掲示は3分。
70+1分に米子北が切った3枚目のカードはGK。2年生の中原から3年生の坪倉龍太(3年・米子尚徳中)にスイッチする、確実にPK戦を想定した守護神の入れ替えを。すると、ラストチャンスは立正大淞南の決定的な先制機。70+2分、左サイドでドリブルを開始した杉本は運んで運んで、最後のマーカーも外すとGKと1対1に。渾身のシュートは、しかし最初の守備機会となった坪倉がファインセーブで凌ぎ切り、思わず頭を抱えてしゃがみ込む南監督。両者譲らず。準決勝への切符はPK戦で争われることになりました。


米子北1人目の嶋田は右スミへ豪快に蹴り込み、立正大淞南1人目の井上も冷静にGKの逆を突いて成功。米子北2人目の﨑山はきっちり右スミへ沈め、立正大淞南2人目の上村は強烈な弾道をゴールネットへ。2-2で迎えた3人目。米子北の小嶋が左を狙ったキックは、小笠が完璧に読み切るファインセーブで仁王立ち。立正大淞南3人目の白岩も確実に決め切り、とうとう両者に点差が生まれます。
米子北4人目は岡本。プレッシャーの掛かるキックは、無情にもクロスバーを直撃。悲鳴と歓声の交錯するスタジアム。決めれば終わりの立正大淞南4人目。CBの武田航太郎(3年・高槻FC JY)は左スミのゴールネットを力強く揺らして、熱戦の山陰対決に幕引き。「凄く見たいんですけど"ジンクス"の問題で」PK戦をベンチで見届けていなかった南監督に黄色い歓声で勝利を教えた立正大淞南が、ここ5年で3度目となるベスト4へと駒を進める結果となりました。


見応えのある山陰対決でした。「去年も選手権で山陰対決のチャンスがあったのに、ウチが負けてしまってできなかったという後悔はずっと残っていたので、これがインターハイのこの場でできたというのは嬉しいですし、できれば勝ちたかったですけど、どっちに転んでもいいようなゲームだったと僕は思っているので、良いゲームができたと思います」と城市監督が話せば、「鳥取島根の山陰勢がここでベスト4を懸けて戦うことなんか、想像ができないことだったんですよね。けれども今はお互いが、向こうはインターハイ準優勝、こっちは選手権3位、インターハイ3位、3位ということで、ウチの生徒にも『夢を与える存在であれ』と言っているんですけど、鳥取と島根の山陰勢の小中学生にも両チームが十分夢を与える存在になってきたというのは、1つお互い今日この対戦ができて嬉しかったことですね」と南監督も感慨を口に。最後はPK戦での決着となったこの70分間が、山陰のサッカー界全体にとっても大きな意義のある熱戦だったことは間違いありません。     土屋


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(写真提供:石倉利英)

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